『この腕で勝利を』(2021.10.15)

  

《粗筋》
 
 すでに、夜も更けた空に浮かぶバーンパレス。
 そこからは、崩壊の音が聞こえだしていた。翼に見える部分に、大きなひび割れが走る。

 かつて、ミストバーンがバーンパレスで最も美しい場所と称したホワイトガーデンも、階段が崩れてひどい有様だった。
 上から落下した瓦礫が階段を更に壊し、噴水すら粉砕してしまった。

 天魔の塔を折り巻いていた尖塔も、一つずつ崩れ落ちていく、
 ついには翼部分が折れ、本体から切り離されてしまった。幸いにも、浮遊能力を持つ瓦礫は緩やかに上に上るため、地上へ被害は及ばない。

 その崩壊の原因であるダイは、吠えながらバーンへと殴りかかる。ダイの拳は、物の見事にバーンの頬を捕らえた。呻きながらも、足でダイを蹴り返すバーン。
 ダイの小柄な身体は吹き飛ばされるが、空中で踏みとどまってすぐさま反撃に転じる。

 両者がぶつかり合う度に火花が飛び散り、その余波で床や壁が壊れていく。互いに殴り合うことだけに夢中になっている勇者と大魔王は、全てを込めて拳をぶつけ合っていた――。








 その頃、地上に残された者達は壊れゆくバーンパレスを見上げていた。驚きの声を上げ、仰け反るバダック。
 メルルは空を見上げたまま、不安そうに呟く。

メルル「ポップさんとの繋がりが……」

フローラ「え!?」

 ハッとしたような表情を見せるフローラ。

フローラ「みんな……っ」

 フローラの口から、珍しくも不安そうな声が漏れる。







 同じ頃、暗闇の中、光を感じて目覚めた男がいた。
 呻きながら、うっすらと目を開けるラーハルト。意識が戻るなり、ハッとして周囲を見回す。

ラーハルト「ここは……?」

 かすかなその声に、真っ先に気づいたのはヒュンケルだった。

ヒュンケル「ラーハルト!」

 ラーハルトの近くにいたヒムも、ラーハルトの方を向いて声をかける。

ヒム「やべえ状況で目ぇ覚ましやがったな、おめえも」

 それだけ言うと、ヒムは真正面に向き直った。

ラーハルト「なにぃ!?」

 立ち上がり、ラーハルトもヒムの見ている方向を眺める。その目が、驚きに見開かれた。
 『瞳』から解放された仲間達が揃うそこは、薄暗く、周囲がぶよぶよと不定形な肉壁じみたもので覆われた場所だった。

 ここはバーンパレスの心臓部らしいと、説明するヒュンケル。最上部から落とされ、閉じ込められたという説明を、真顔で聞き入るラーハルト。

ラーハルト「なんだと!?」

 その時、マァムの息吹が響き渡る。会話を一旦打ち切って、マァムの方へ注目するヒュンケル。

 気合いのこもった目で真正面を睨みつけるマァムは、左手を前に出して身構え、片足を後ろへ引く。
 弓を引き絞るように半身を引いた彼女は、強く握りしめた右手から光を発しだした。
 全身に微弱な白い光を纏い、マァムは輝く拳で必殺技を放つ。
 
マァム「閃華裂光拳!」

 壁に打ちつけられた拳が、眩いまでに光り輝く。それを見た一同から、思わずのように「おお」と声が上がった。

 しかし、光は壁に吸収され、マァムの生身の拳は壁をわずかにくぼませただけにとどまる。
 悔しそうな表情で、拳を収めるマァム。

 そのマァムの脇を咆哮を上げて駆け抜けたのは、クロコダインだった。
 思い切り腕を振りかぶって、豪腕を壁に叩き込む。ずっぽりと壁にはまり込んだ腕を引き抜くと穴が開き、ぬめったような液体がこぼれるが、その穴は決して大きくはなかった。
 その上、自動的に修復されてしまう。

 それを見ていたレオナは、この壁は魔力炉と同じ材質で魔法を吸い込んでしまうし、再生能力も高いと判断する。

マァム「でもまさか、マホイミまで吸収してしまうなんて……!」

 納得しきれないように言うマァムに、困ったように腕を組むブロキーナ老師。

 部屋全体が揺れているのを見ながら、アバンは自分達が元に戻ったことから考えて、ダイが大魔王に致命的なダメージを与えたか、魔力の源を絶ったと考える。
 アバンの話に、全員が聞き入っていた。

 両者の激突でバーンパレスが崩壊しても、もはやバーンにはそれを維持する魔力が無い……このままでは自分達はバーンパレスの中心ごと落下して全滅すると淡々と語る。

ポップ「冗談じゃねえぜ! ここまで来て……っ」

 左右に開かれたポップの手から、それぞれ別の魔法が宿る。
 炎の弓を生み出し、氷の矢を引き絞るポップ。

ポップ「これならどおでぇ!!」」

 ポップの放ったメドローアが、壁を直撃する。
 全てを消滅させる魔法の矢――が、その光すら壁は吸収してしまい、傷一つ負わなかった。

ポップ「だめ……か……これでも……」

 肩を落とし、荒い息をつくポップの横をレオナが駆け抜け、壁に注目する。

レオナ「魔法力自体を吸い込んでしまう相手には、さすがのメドローアも効果はないんだわ」

 ポップの方を見ながら、そう告げるレオナ。
 その時、不意にポップが気が抜けたような表情を見せたかと思うと、ふらっと倒れかかった。
 ちょうど、そこにやってきたマァムが、慌ててポップを抱きとめる。

ポップ「あ……ああ、大丈夫。ちょっと……くらっときただけだ。まだまだ、頭は回るぜ」

 マァムの方を振り向きながら、そう強がるポップ。それを聞いて、しんぱいそうな表情をしていたマァムにも、わずかな微笑みが浮かぶ。
 もう一度マァムを見てから、ポップはしっかりと前を向いて立ち上がった。

ポップ「こいつだって、完璧じゃねえはずだ! 絶対に何か手がある!! ダイが……」

 その時も、ダイとバーンは壮絶な殴り合いを続けていた。まるでそれが見えているかのように、ポップは思いを込めて呟く。

ポップ「あのダイが……ッ、全てをかなぐり捨ててまで戦っているのは、なんのためだ!? こんなところで、おれ達が犬死にするわけにゃあいかねえよ!」

 力強いポップのその言葉に、仲間達は注目し、聞きいっていた。







 その頃の天魔の塔は、壊れゆく細かな破片や瓦礫が夜空へと浮かび上がり、どこか幻想的な光景を醸し出していた。
 その中心で激しくぶつかり合っているのは、ダイとバーンだ。
 二人がぶつかる度に火花が飛び、雷光が散って周囲を壊していく。だが、二人は一切怯むことなく、戦い続けていた。







 同じ頃、バーンパレス中央部ではヒムが大きく身を仰け反らせて吠える。すでに回復魔法をうけたのか、その両手はきちんと復元されている。

ヒム「くそったれぇええっ!!」

 渾身の力で繰り出されたヒムの拳が、壁に突き刺さった。だが、その穴は決して大きくはない。
 何度も繰り返したせいか、壁には殴って開いた後があちこちに残っているが、どれも脱出路にはなりえない小ささだ。
 後方にいるアバンやクロコダインも、苦しそうに肩で息をしている。
 
クロコダイン「全員の闘気技を試したのに、まるで通じん!」

 しかし、ポップは振り返ってそんなことはないと反論する。壁に近寄っていったポップは、魔法力の類いでは傷はつかないが、闘気技なら傷はつくと説明する。
 自動的に修復していく壁を見ながら、ポップは言う。

ポップ「問題は、その強さだ!」

 外壁の修復能力を上回る力で、一瞬だけ吹き飛ばす――そうすればルーラで逃げ出せると言うポップの声は、希望に満ちていた。
 が、レオナはうつむきがちに答える。

レオナ「でも、そんな力は今のあたし達には残されていないわ……」

 この心臓部を貫いたことがあるのは、ダイのドルオーラだけだというレオナの指摘に、痛いところを突かれたような表情を浮かべるポップ。
 クロコダインも、単純な破壊力ではこの壁は壊せないと判断する。圧倒的なエネルギーを誇る竜の騎士だからこそ出来たと告げるクロコダインの手は、戦慄くように震えていた。

 それを聞いて、ポップもうつむいて何かを考え込む。そんな彼に注目している一同。

ポップ(いや、まて。落ち込んじまうには早いぜ)

 何か忘れている気がすると、ポップは思いを巡らせる。ドルオーラとまで言わなくても、闘気を全開でぶちかませるなにかがあるのでは、と――。
 ポップはハッと、気づく。

ポップ「ある……あった!」

 その声に、全員が驚きの声を上げる。
 ポップは指を二本交差させ、宣言する。

ポップ「グランドクルスだ!」

 チウはきょとんとするだけだが、クロコダイン達は納得する。

クロコダイン「なるほど!」

レオナ「それだわ!」

 だが、マァムはポップに走り寄り、無茶だと止める。傷だらけのヒュンケルにそんな真似をさせるのに反対するマァムを、ポップは軽く腕を押さえて落ち着かせる。

ポップ「元々、あの技をヒュンケルに教えたのは誰だよ?」

 半目でそう言ってから、ポップは期待に満ちた目をアバンへと向ける。それに釣られて、アバンを見るマァム。
 ポップは妙に力の入った仕草で、アバンこそがグランドクルスの本家本元だと断言する。

 それ聞いて、目を見開くマァム。
 嬉しそうにアバンを振り返り、確認を取ろうとするポップに、アバンはすぐには応えなかった。眼鏡が目の色を隠し、表情を窺えない。
 その様子を、背後にいるヒュンケルはじっと見つめていた。

 甘えるように、アバンを急かすポップ。
 それに対し、アバンは破顔する。

アバン「あはははーっ、いやぁー、さすがはポップ、頭の回転が早い! よくぞそれに気がつきました! では、この場は私に任せて頂く……とゆーことで、かるーく一発!」

 上機嫌に笑うアバンに、ポップもはしゃぎ気味だ。

ポップ「わーいっ、お願いしまーすっ、せんせーっ。わーいっ、わーいっ」

 身構えるアバンと、はしゃぐポップに割り込むように、鋭い声がかけられた。

ヒュンケル「やめろっ!」

 動きを止め、振り返るポップ。

ヒュンケル「やめさせろ、ポップ……また師を犠牲にしたいのか!?」

 目を固く閉じ、険しい声音でそう言うヒュンケルに、ポップは驚いたような声を出す。

ポップ「え?」

 ヒュンケルはアバンには無理な理由を、淡々と説明する。
 グランドクルスは確かに、剣を使えぬ際の切り札としてアバンがヒュンケルに伝えた技……隠し技の一つ。

ヒュンケル「オレで無くては、あの威力にならない。と言うよりも……オレでなければあれを使って生き残れない」

 その説明を聞いて、息をのむポップ。

アバン「そうですね。グランドクルスは下手すると自爆技になってしまう……それを最大級で放出しつつ、自らも生き残る。ヒュンケル、まさにあなたが戦いの中でつかみ取った、奇跡の呼吸……神業とも言える技ですよね」

 ヒュンケルを、目だけで振り向くアバン。その口元には、嬉しそうな笑みが浮かんでいた。
 自分には無理かも知れないが、この場は敢えて不可能に挑戦させて貰うと言い、身構えるアバン。

ポップ「先生っ」

 顔色を変え、師の名を呼ぶポップ、マァム、レオナ。

ヒュンケル「いや、その必要はない! オレがやれば済むことだ」

 声を荒げ、アバンの方に歩み寄るヒュンケル。
 だが、マァムが慌ててヒュンケルの腕にすがりつき、止める。

マァム「だめよ、ヒュンケル! そんなことをしたら……」

ヒュンケル「だが、誰かが生命の危険を承知でやらねばならない……! そうだろう、マァム……」

マァム「でも……!」

 なおも言いつのろうとしたマァムだが、その時、一段と大きく部屋が揺れた。








 外部から見たバーンパレスは、もはやボロボロだった。
 多くの部分が崩れ、破片が落下し始めていた。








 バーンパレス内にいる一同もそれを察知し、焦りだす。

ヒュンケル「時間が無い! オレが……っ」

アバン「いや、私が!!」
 
 師弟が揉めている時、どこから息吹が聞こえた。声の主へ目をやる一同。
 そこには銀髪を靡かせ、身構えるヒムの姿があった。ヒムの身体が、闘気を帯びて光り出す。

チウ「ヒムちゃん!」

ポップ「まさか!」

 驚く彼らの前で、ヒムはその技はよく覚えていると言った。自分との戦いで、ヒュンケルが使おうとした技を見よう見まねで再現しようとする。
 交差したヒムの両腕が、生命のエネルギーを宿した虹色に輝いた。

ポップ(ヒムがっ、グランドクルスを!?)

 ヒムの腕にヒビが入り、砕ける前兆を見せる。ヒム自身もそれに気づき、驚きを見せる。
 その様子は、見ていたアバンも気がついていた。あれでは身体がもたないと案じるアバン。

ヒュンケル「よせっ、ヒム! オレがやるっ!! オレに任せておくんだ!」
 
 悲鳴のような声を上げ、ヒムへと近づくヒュンケル。だが、ヒムはますます闘気を高める。

ヒム「そうはいかねえ! ここでおまえに死なれたら、永久に勝てねえ!」

ヒュンケル「くだらんことを言うなっ!!」

 振り返らないヒムの頭の飾りにヒビが入るのを見て、ヒュンケルは彼の名を叫ぶ。

ヒム「……本当、いうとな……」

 わずかに振り向き、ヒムが本音を打ち明ける。

ヒム「好きになっちまったんだよなぁ、おまえら人間達を。そして……おまえらの仲間達も。ここにいる奴ら全員、オレは好きだぜ!
 絆を守るためなら、命をも捨てるバカばっかり……!」

 ヒムの両腕に致命的なまでにひび割れが入り、分解寸前となる。

ヒム「オレの戦友達とそっくりだ! もう……誰一人、悲しい顔にゃあさせたくないんだよ!」

 身体のあちこちにヒビが入りながらも、ヒムは闘気を高めるのを止めない。ハドラー親衛隊の絆の証だったはずの腕輪さえ、大きくヒビが入って崩れた。

ヒュンケル「ヒムーーッ!!」

ヒム「見損なうなって……てめえが不死身なら……オレもまた不死身だぁああああーーーっ!!」

 生死の越を振り切り、ヒムの渾身のグランドクルスが炸裂する。彼の両腕から放たれた巨大な光の十字架は、凄まじい勢いを放出した。
 それは、ヒムの腕を簡単に砕いた。
 ボロボロと細かく砕け散っていくヒムの腕。末端から始まった損壊は本体にまで及び、ヒムの身体全体が瓦解しようとしていた。
 ヒムの顔が、グランドクルスの白い光に包まれる。







 その時、外部からでもはっきりと見える十字傷が、バーンパレスの中央部に刻まれた。
 傷跡から爆発的な光が放たれ、中央部は中からの圧力に耐えかねたように爆発する。







 その瞬間、アバンとポップが同時に魔法を唱えた。

「ルーラッ!!」

 白い光が、二人を覆い隠した――。








 地上。
 木々が大きく揺れた上に、突如として落下する巨大な塊。それは、大きな十字の傷を刻まれたバーンパレスの中央部だった。
 本体はそのままでも、落下の衝撃で周囲の木々は倒れ、火の手が上がる。

 その時、夜空を切り裂くように流れる白い軌跡。
 それは途中で人影に転じ、悲鳴を上げながら夜の森へと落下する。

 ヒュンケル、マァム、ラーハルト、クロコダイン、レオナ、アバン、ブロキーナにチウが地面に投げ出されていた。彼らは、揃って一方向を見やる。
 チウが、真っ先に崖の方へ走り寄った。その後ろに、マァム達も続く。

 チウが見たものは、巨大なバーンパレス中央部が炎をに包まれている光景だった。
 
クロコダイン「おお……っ」

ヒュンケル「バーンパレスの最後だ……」

 炎は勢いを増し、球体を包んで燃え上がっていく。それを見ながら、チウは涙を堪えて呟く。

チウ「ヒムちゃん……キミは立派だった……キミの活躍は永久に忘れない! 本日をもって! 獣王遊撃隊12番をっ、永久欠番とする!」

 涙を拭い、敬礼をしてそう宣言するチウ。








 チウの足元――崖の下の方では、ポップがヒムを抱きかかえて、引き起こしていた。

ポップ「よかったなぁ、おい。永久欠番だってさぁ」

 炎の方を見ながら、冗談めかしてヒムに声をかけるポップ。

ヒム「ちくしょおお、ひでえなぁ隊長さん。ちゃんと生きてるよぉ〜」

 恨めしそうな声でそう言い、鼻をすすり上げるヒム。その表情は、もはや金属生命体という域を超えて、人間のように豊かだった。







 炎が消え、消し炭となったバーンパレス中枢部――。
 そこから少し離れた崖下では、ラーハルトが慎重な手つきでヒムを座らせているところだった。
 そこの遠くから誰かの声が聞こえてくる。
 声の方向を振り向くポップ達。
 
 フローラを戦闘に、バウスン将軍、エイミ、メルル、バダック、アキーム、獣王遊撃隊達が駆けつけてきた。
 仲間との再会に、誰もが表情を明るくして喜ぶ。合流した彼らは、思い思いに喜び合い、感激を訳あった。

 バダックはレオナの両手を握りしめ、涙ながらに姫の無事を喜ぶ。

バダック「姫様〜っ」

 レオナの横を走り抜けたメルルは、ポップへと向かう。その後ろを走り抜けるアキーム。

メルル「ポップさん……」

ポップ「メルル……ははっ」

 照れくさそうに、笑顔で頭をかくポップ。
 一方、バウスン将軍はクロコダインと固い握手を交わしていた。アキームは、その後ろに控えている。

バウスン将軍「よくぞご無事で」

クロコダイン「うむ」

 エイミは、今にも泣き出しそうに目を瞬かせながら想い人の前に立っていた。

エイミ「ヒュンケル……よかった……本当に」

 伏せられたエイミの目から、涙が伝って落ちていく。そんな彼女を、ヒュンケルは穏やかな表情で見つめていた。

 チウは地上の遊撃隊達に、得意そうに何かを語っている。

チウ「ボクがいたからねぇ……」

 そんな光景を、ヒムとラーハルトは満足そうに眺めていた。賑わいは、いつまでも静まりそうも無かった――。

フローラ「よかったわ、みんな無事で……」

アバン「いやぁ〜、本当によく脱出できましたよね」

 ごく自然に隣に立ったアバンに、フローラも当然のように頷き返す。

フローラ「ええ」

 また、穏やかな目を一堂に向けたフローラだが……その絵が大きく見開かれた。

フローラ「え!?」

 人形のようにぎこちない動きで、アバンの方に顔を向けるフローラ。アバンはみんなの方を見るのに気を取られているのか、フローラの動きに気づいていない。

フローラ「……アバン?」

 呼ばれて、初めてフローラの方を向くアバン。

アバン「はい?」

 気の抜けるような笑顔を浮かべるアバン。それを見たフローラの目が光を失って沈み込み、そのままふらっと倒れてしまう。
 それを見て慌てるアバンだが、フローラはバッタリと倒れてしまった。

アバン「わっ、フローラ様っ、お気を確かにっ」

アバン「大丈夫ですか!? フローラ様っ」

 完全に気絶したフローラを抱き起こしながら、焦るアバン。

 その後ろで、仲間達は呆れたようにそれを眺めていた。

レオナ「そっか、女王様、先生が生きていたの知らなかったのね」

ポップ「そりゃ、気も失なうか……」

 そこに、足音を立てながらロン・ベルクがやってくる。気遣わしげに、周囲を見回すロン・ベルク。
 
ロン・ベルク「ダイはっ!? ダイはどうしたんだ!?」

 彼の方を向くポップとレオナ。
 だが、レオナもヒュンケルも、その場にいた者達は目を落としてしまう。つい先程までの賑やかさが嘘のように、静まりかえる中、ポップが思い詰めたような顔で空を振り仰ぎ、答えた。

ポップ「まだ……あそこだ」

 ポップに釣られるように、彼の左右にいたメルルとレオナも空を見上げる。
 夜空に浮かぶのは、もう随分と高い位置まで昇ってしまったバーンパレスの残骸。中央部分が抜け落ち、羽部分が半分ぐらい折れてしまっても、未だに浮かんでいる敵の城だった。

ロン・ベルク「……そうか」

ポップ「また……最後はあいつに頼っちまった。おれ達なんかにゃ手も出せない世界へ、あいつ一人で行っちまいやがってさ……!」

 震える手を握りしめながら、ポップは切々と訴える。涙を必死に堪えているような声……だが、ついに耐えきれなくなったのが、ポップは深くうな垂れた。

ポップ「ちっくしょおお!」

 固く瞑られた目から、涙がこぼれ落ちる。
 そんなポップを、痛ましそうに見つめるバウスン将軍。その背後には、同様の表情を浮かべたアキーム、マァムの姿も見える。

 心配そうにポップを見つめるメルル。その後ろにいるエイミも、同情の表情を浮かべていた。
 声を殺して泣くポップの肩に、ヒュンケルの手がかけられる。

ヒュンケル「ポップ……もっと胸を張れ」

 その言葉に、顔を上げるポップ。

ヒュンケル「おれ達は全員死力を尽くした。誰もが自分の力委譲の奇跡を起こした」

 彼の言葉に、ポップだけでなく誰もが耳をすませていた。気絶から目覚め、今だアバンに抱えられているフローラも、それを聞いていた。

ヒュンケル「だから全員ここにいられる。だからこそダイは、あそこで戦っていられるんだ。
 もっと……誇るべきだ」

 いつにない笑顔を浮かべ、ポップを諭すヒュンケル。
 涙で一杯の目でそれを聞いていたポップは、今にも泣き出しそうな顔ながらも、それでも腕で乱暴に顔を拭う。

ポップ「……おう! だな!」

 強い口調で言い返し、空を見上げるポップは、もう泣いてなどいなかった。ポップが強い光を宿した目で空を見上げることで、仲間達も同じ視線で空を見上げる。

ビースト君「ダイ君は我々みんなの肩を蹴って、天へと駆け上がって行ったんだよ。」

 おとぎ話を語るようなブロキーナ老師の言葉に、レオナは彼の方を一瞬振り向き、呟く。

レオナ「後は、もう待つしかないのね。信じて……待つしか」

 再び空を見上げるレオナの表情は、どこか切なげだった。

ラーハルト「心配いらん。ダイ様は必ず勝つ! あの方は戦神バラン様の息子なのだから……!」

 みんなが揃って、空を見上げていた――。







 その頃、壊れかかったバーンパレスでは、ダイがバーンに殴りかかっていた。互いの名を呼び合いながら、思い切り拳をぶつけ合う勇者と大魔王。
 それが強い光を呼び起こし、周囲を砕いていく。







 地上からも、一瞬だけ光ったその光は見えていた。それを見ながら、ポップは思う。

ポップ(勝って……勝ってくれよ、ダイ。そして、戻ってこい! どんな姿でもいい、おれ達のところへ!
 帰ってくるんだ、ダイ!)

 声には出さぬまま、ポップは強く――強く、そう思った。








 その頃、バーンパレスではダイは呻きながら起き上がったところだった。
 壁も天井も無くなったその場所では、星がやけに綺麗に見える。
 何気なく下を見下ろしたダイの目が、大きく見開かれる。

 ダイが見たものは、丸く、巨大な大地の姿だった。海の上に雲が多い、地図のように地上の形が見て取れる。

ダイ「地上!?」

 初めて見る地上に、驚くダイ。
 が、すぐにバーンに居場所を気にして、彼を探し出す。本能的に、まだいると悟るダイ。
 闇の中で、ダイの青い目が光り輝く。

ダイ「やつを……倒さなければ!」

 バーンがいると思しき方向に走り出すダイ。








 一方、バーンは瓦礫の影に崩れ込んでいた。
 呻きながら、四つん這いの姿勢からなんとか身を反転させ、壊れた壁に背中を預けた姿勢で座り込む。
 荒い息をつくバーンの第三の瞳は、完全に光を失っていた。

バーン「勝てぬ……このままの身体では」

 せめて両腕があれば――そう言った直後から、たとえ両腕があっても勝てないと自覚するバーン。

バーン「今のあやつは魔獣……勝利のために、全てを捨てている……!」

 自分の手を見つめるバーン。
 その手が小刻みに震えるのは、果たしてどんな感情から生まれるものなのか。

バーン「余も……捨てねばならぬか」

 バーンの手が、額の第三の目に伸ばされる。
 と、鋭い爪でそれを抉るバーン。苦痛のせいか、バーンの目が大きく見開かれる。

 大量の血が飛び散り、バーンは苦痛に呻く。
 それでも、バーンは自らの手で第三の目をえぐり取った。それを抜き出した途端、飛び散った血が岩の塊となってバーンに向かって伸びていく。
 見る見るうちに膨らむ岩の塊は、おとぎ話の茨姫の茨のごとく、バーンを覆い、包み隠す。








 同じ頃、魔界。
 雷鳴が鳴り響く中、ヴェルザーが呟いた。

ヴェルザー「む? この強烈な波動……バーンめ、まさか。鬼眼の力を解放するつもりなのか? それほどの相手か……あの竜の騎士の息子は……」








 同じ頃、バーンパレス。
 ダイは、一心に走っていた。その前方で、何かが爆発する音と光があった。

ダイ「すごいエネルギーだ!! バーンめ、なにを……!?」

 何のためらいもなく、異変の起こっている所へジャンプするダイ。
 床に降り立ったダイは、目を見張る。
 床から突き立った、刺々しい岩の塊。その岩の上の辺りに、光り輝く人影が見えた。

 光が消え、それが目を閉じたバーンだと分かる。
 第三の眼には切れ目が入り、もはやそれは目と呼べないものになっていた。
 戸惑うダイに、目を開けたバーンは語りかける。

バーン「ダイよ。竜の子よ。見事だ……おまえの強さは、この世のものとは思えん。悟ったぞ……おまえに勝つには、余も魔獣にならねばならんとな」

 バーンを宿した岩の塊の一部に、ヒビが入った。
 かつてハドラーが戻れぬ道を突き進み、力を得た話になぞらえ、自分も二度と元に戻れなくても、勝利のために全てを懸けると語る。

 その間も、岩のひび割れは大きくなっていき、赤黒い目玉のようなものが出現する。
 次々とひび割れていくバーンに、驚愕するダイ。

 岩を崩して立ち上がったのは、とてつもない巨人だった。
 その手に殴られ、ダイは吹き飛ばされる。叩きつけられ、壁に背をぶつけるダイ。
 そのせいで、わずかに血を吐き出す。
 
 ダメージを受けながらも、壁に手をついて必死に起き上がろうとするダイ。
 そんな彼に、巨大な足音が迫る。

 目を上げると、そこには城以上の大きさを持つ巨人がいた。赤く光る目の上に、バーンの上半身が埋め込まれているのが見える。
 じっとダイを見おろすバーン。
 ダイも睨み返すが、その上に巨大な足が降ってきた。

 一度は踏み潰されるも、とっさに手で支え、踏ん張るダイ。竜闘気を全開にして足を押し返すダイを見て、バーンはほくそ笑む。
 器用に足の指でダイを掴み、そのまま蹴飛ばした。

 瓦礫に飛ばされたダイに、近づいていったバーンが手を伸ばしてくる。が、ダイは竜闘気を全開にして空を飛び、その手を避けた。

ダイ「強い!! それがおまえの本当の正体か!?」

バーン「無礼な。余の本体は、飽くまでこの身体よ……」

 今の姿は第三の目、鬼眼に力を上乗せした魔獣の形だと説明するバーン。

バーン「鬼眼王とでも呼ぶべき姿だ」

ダイ「キガン……オウ……」

 ダイの目が、最大限大きく見開かれる。
 自分に向かって手を伸ばしてくる、その姿――身体を刺々しい岩で覆われたそのフォルムは、ダイには見覚えのあるものだった。
 パプニカで戦った鬼岩城の姿が思い出される。

ダイ「そうか、鬼岩城!! あの姿はっ」

 再び伸びてきた手を、なんとか躱すダイ。
 ダイを追いながら、それを肯定するバーン。

バーン「いかにも! 余が最強となった姿をイメージして、建造したものだ!!」

 床を蹴り、飛び上がったバーンはダイを追う。
 その間も、バーンの言葉は止まらない。
 小さなドラムーンに鬼眼に力を加えただけで、ゴロアのようなモンスターに進化したこと。

 自分の肉体に同じ進化を施せば、こうなることは分かっていた――両手を握りしめて力を込めた巨人は、肩から無数のビームを生み出した。ビームは自動的に、ダイを襲う。
 飛んで逃げ回るダイを、無数のビームが追尾する。

バーン「そして、魔力の源たる自分自身に行えば、二度と元に戻れないであろうこともな! 鬼岩城は、余の果たせぬ夢を具現化した玩具の筈だった!」

 怒りを込めたバーンの説明の合間も、ビームはダイを追跡し続けた。ギリギリでそれをかわしながら、飛んで逃げ続けるダイ。

バーン「だが……敗北よりはよい……! 敗北よりはっ!! 大魔王バーンの偉大なる名だけは、守り通すことができるッ!!」

ダイ「そのため、使ったのか!! 自ら封じていた力を!! 勝利のためだけにっ」

 空を飛び、時に瓦礫を滑り、ビームを避けながら、ダイもまた、声を張り上げる。
 赤いビームがついにダイを捕らえたが、数が減り、威力が弱まっていたビームを、ダイは片手で振り払う。

ダイ「本来の姿を捨ててまでっ!! ……おれと……同じことを……」

 笑いながら、ダイを追って空を飛んでくるバーン。

バーン「それもまたよしっ! 三界を支配する恐怖の魔獣となって、恐れられ続けるのもまた一興よ!!」

 巨大化した拳が、何度となくダイを襲う。辛うじて避け続けるダイだが、バーンの攻撃は終わらない。

バーン「ダイ! 竜の騎士!! おまえにさえ勝てれば!! おまえに勝つことが、今の余の全てなのだっ!!」

 バーンの執念の一撃が、ついにダイを捕らえた。
 瓦礫ごと殴られるダイ。瓦礫が砕け散っていくが、ダイは生きていた。

バーン「砕けて散れ! ダイーーーっ!!」

 狂気じみた叫びを上げ、拳に貼り付いたダイを瓦礫に叩きつけるバーン。
 瓦礫に飲み込まれたダイの悲鳴が上がる。
 歓喜の表情を浮かべるバーン。
 だが、拳と瓦礫に挟まれながら、ダイは諦めてはいなかった。

ダイ「全開! ドラゴニックオーラ!!」

 青い光を噴き上げ、空へと飛び上がるダイ。
 両手を身体の前で合わせたダイは、ドルオーラの姿勢を取る。竜魔人化してから放つ初めてのドルオーラが、バーンを直撃した。

 目を大きく見開き、驚愕するバーン。
 バーンを中心に、巨大な爆発が巻き起こった。
 それを見おろし、一息ついてドルオーラの構えを解くダイ。だが、まだ彼を取り巻く青い竜闘気が、油断なく見おろすその目が、戦いがまだ終わってないことを語っていた――。

 


《感想》

 ポップ達の脱出劇に時間を取ってくれて、大感激!
 実はアニメが停止した際、この部分が削られるかもと密かに怯えていた部分だったんです♪

 冒頭のバーンパレスの崩壊シーン、見ていてなぜか悲しくなりました。特に、ミストバーンが自慢していたホワイトガーデンの崩壊は無性に寂しかったです。

 原作ではここで地上から見上げるフローラ達のシーンが入るのですが、アニメではダイのガチバトルが先でした。

 ダイとバーンの殴り合い、ダイとバランの殴り合い並に迷惑な……っ。まあ、今回は壊れるのはバーンパレスなので問題は無いですけど(笑)
 夕日が落ちて、暗い中でのバトルになりましたが、顔や表情がはっきりと分かる明度を保った暗さに、ホッとしました♪

 実写やゲームでもそうですが、暗さを強調しようとして明るさを落としすぎたせいで、何が映っているのかはっきりと見えなくなってしまうような明度調整をされてしまうと、残念感が半端ないので。

 夜の暗さを実感できる色彩でありながら、表情や動きを見るのに阻害のない色彩が好みなので、今回のダイの夜バトルの色合いは嬉しかったです! ……たまにアニメなのに、変なとこだけ夜の闇を追及しすぎてほとんど見えなくなってしまう作品もありましたから……あれはひじょお〜に寂しかったです。

 メルルの台詞は、アニメの改変ですね。
 後のポップの様子から、メルルとの交信が出来なくなっていたのではないかと推測はしていましたが、アニメで確信を得られた気分です♪

 地上でフローラ様がみんなの心配をする声音が、本音をのぞかせたような声だったのに感激しました♪
 フローラ様は常に冷静であろうとしていると言うか、自分の感情を抑えて指導者であり続ける傾向が強いと感じていました。

 落ち着いていて優しい声が印象的で、普段から感情を見せずに口調を変えないようにしているなと思っていましたが、みんなを心配する時の声には明らかな不安がにじみ出ていて、彼女の素を感じ取れたようで嬉しかったです。

 ラーハルトが目覚めたシーンで、仲間達がバラバラに立っているような感じの中、クロコダインがレオナの真後ろに立っていたのを発見して、ちょっとほっこりしました。

 気絶したラーハルトを心配して、ヒムとヒュンケルが一塊になっていたように、クロコダインもレオナを心配して、いざとなったらかばえるように側にいたのかなと考えると、萌えます♪

 しかし、バーンパレスの心臓部、灰色っぽい地味な色合いとは思いませんでした。もっと肉々しい赤い色合いか、うっすらピンクなイメージだったのになぁ……と思った後で、名作ゲーム(ただしR18)『沙耶○歌』のイメージがいつの間にか混じっていたことに気がつきましたよ(笑) ええ、ちょっと反省。

 それにしても、ラーハルトも気の毒に……。
 いつから気絶していたのか分かりませんが、目が覚めたらいきなり状況が飛びまくっていますもんね。

 マァムの閃華裂光拳、タメからしっかりと演出してくれたのが感激でした!
 正面向きだけでなく、後ろから見た構図なども入っていて、雄々しくも女性らしいマァムの姿に見惚れましたよ!

 ひっさびさのマァムの活躍っ! ……まあ、ノーダメージでしたけど(笑)
 そう言えば、マァムがメタルフィストをつけないまま攻撃していたのだと、アニメを見て気づきました。

 素人考えでは、武装化しているのならつけっぱなしの方が良さそうな気がしましたが、閃華裂光拳を打つには邪魔になるのかもしれませんね。手袋も外していたぐらいですし。……ついでに、猛虎破砕拳ももう一度、見たかったです!

 クロコダインの攻撃も、獣王会心撃で見たかったのに〜。
 でも、原作よりも力の入った攻撃だったのは嬉しかったです。……しかし、この壁のぬめった質感はザムザの腹を思わせるねばっぽさで、あんまり好きになれません。

 ブロキーナ老師、原作では「打つ手なし……だね……」と諦め気味の台詞をはいていましたが、アニメでは唸りつつ腕組みをするにとどまっています。
 この腕組みポーズが、妙に可愛い♪ やはり、足さえはみ出さなければビースト君もゴースト君も可愛いですよ〜。

 アバン先生の説明の際、バーンパレスの断面図が出てきたのは原作通りでしたが、落下アニメーションで演出されたのには驚きました。危機的状況なのがすごく分かりやすいです。
 淡々とした説明と機械的な絵柄ながら、落ちた時の爆発まで再現されていて、ちょっと怖っ。

 ポップのメドローア、迫力があっていいですね! これが、作品中最後のメドローア……炎の弓を先に作り出し、氷の矢を生み出す演出が綺麗でした。
 これまでは、両手を合わせた時に光の矢が生み出される演出が多かったですが、その時々で微妙に見せ方が違っていて、しかも角度を変えてくれるのも嬉しいです。

 今回のメドローアの作り方を見てみると、両手を合わせた段階で光の弓にするのはスピード重視のやり方で、今回の方法が正統な気がしてきました。敵がいない状態で、集中して放てる状態だったことを考えると、この時ほど撃ちやすい状況はないですしね。

 メドローア失敗直後、レオナが走ってくる演出がちょっと嬉しかったです。
 原作では、レオナはポップの後ろで同じ分析をしていますが、心の中で思うだけでした。
 ポップ自身もレオナと同じ分析をしただろうから、わざわざ口にしなかった印象です。

 だけど、アニメではそれをきちんと言葉にしてポップに話しかけているのが、彼女も参戦している印象があっていいですね。

 ポップが倒れかかるシーン、悔しそうな表情をしていたポップが、一瞬背筋を伸ばしたと思った瞬間、目つきがフッと緩んで倒れかかるという演出の細かさに感心しました!

 特に、一瞬、背筋を伸ばしたシーンがお気に入りです!
 息も上がっていて、落胆で肩を落としていたポップが、わざわざ背筋に伸ばしたという事は、彼があの時、気持ちを切り替えた証だと思います。

 つまり、自分の最高の必殺技を無効化された衝撃から立ち直り、別の手段を探そうと思った。
 けど、そこで体力的な限界が来て、意識がフッと薄れた。
 呆けたような、あやふやな表情に変化する辺りがリアルです。

 ポップを支えるマァムの反射神経、素晴らしいですね。マァムは真後ろにいたのでポップの表情が見えなかったはずなのに、ふらつきを見逃さずに即座に支えています。

 レオナはポップのふらつきに驚いてはいますが、反応するだけの反射神経はなかったようですね。

 また、アバン先生はポップの様子に目を向け、マァムの後ろにいたヒュンケルもそれを見ていました♪

 ところで、原作ではマァムはポップの肩の辺りを支えていましたが、アニメでは片手は肩に、片手は脇の下にと差し込まれています。
 原作よりもポップが頭の位置や腰を落としているところを見ると、マァムは軽く支えるレベルじゃなくてしっかりと身体を持ち上げる勢いで介助していますね。

 ポップの強がりと、それを見守るマァムの表情が、たまらなく好きです!
 特に、心配そうなマァムが、ポップの言葉を聞いて浮かべる微笑みがっ! マァムがヒュンケルに向ける微笑みは、まさに聖母というイメージで、何もかも許し、慈しむような微笑みなのに対し、マァムがポップに向ける微笑みはどこか心配そうな印象があると個人的に思っています! 

 ポップの犬死に拒否宣言、気迫がこもっていて良かったです!
 単に生き延びたいから、だけではなく、必死に戦っているダイのために脱出したいと願うポップの考えが、胸に染み入ります。

 そして、全員集合図の改変にも感動!
 ポップを中心にしていて、みんなが彼を注目しているのは原作も同じなのですが、実は原作の注目度は『ほぼほぼ』レベル。
 
 ラーハルトは顔に影を懸ける形でわずかに顔を背け、ビースト君は何故かそっぽを向いています。
 レオナとヒュンケルは一応ポップの方を向いていると言えなくもないのですが、真正面を見ているような角度と表情です。

 が、アニメではポップの左右にマァムとレオナが寄り添い、全員がポップに顔を向けているので、彼への期待が感じられて嬉しくなりました♪ アニメの配置を見た後で原作を見ると、ちょっとバラバラ感があるようにさえ見えてしまいます。

 レオナとマァムがポップの両脇にいるせいか、画面もなんか華やか。そして、密かに嬉しいポイントが、ヒュンケルがポップの真後ろにいることだったりします。
 兄弟子として、弟弟子を守り、援護しようとする覚悟が窺えるように見えるのは、妄想でしょうか?(笑)

 ダイとバーンの殴り合いシーン、動きが速っ。
 原作ではほぼ見開きなワンシーンが、動きを見せる形でのバトルになっていたのは嬉しい驚きでした。

 クロコダインの台詞、原作ではヒムの復元についてと、「これまで……なのか……!」という弱音が混じっていましたが、アニメではそこはカットされていますね。

 ポップの脱出計画の際、レオナとクロコダインの台詞の一部がカットされていますね。

原作レオナ「あれほどの破壊力をもった技を、誰が使えるっていうの?」

原作クロコダイン「残念だが、たとえ己が5人いたところで、ドルオーラには及ばん……!」

 妙に具体的なこの部分がそろって無くなっているのが、面白いです。このまま、二人の会話として通用しそうな感じですね。

 ドルオーラについて語るクロコダインが、自分の力のなさを嘆くように手を震わせている姿はシビれるぐらいかっこよかったです。抑えめの声とは裏腹に、手に現れた隠しきれない悔しさが際だって見えて、実に印象的でした。

 ポップが悩むシーン、左右反転していましたが、それよりも印象的だったのは周囲にいる仲間を2〜3人ずつ、ゆっくりと見回すように映し出していたこと。

 周囲が暗くてちょっとモノクロっぽい色彩になっているのも相まって、まるで……『犯人は、この中にいる!』と言わんばかりの演出に、つい笑ってしまいました(笑)
 その後の閃きシーンと言い、○探偵コナンのBGMでも流したら、すごく似合いそう。

 ポップがわざわざ指を交差させて、グランドクルスと言うシーンが妙に可愛いです。
 しかし、残念なのが「あった」とポップが声を上げるシーン、原作ではマァムとレオナのツーショットが描かれていた貴重なコマがあったのに、そこはアニメでは映像化されませんでしたよ……!

 男率の高いダイ大では、めったにない美少女が寄り添い合っているシーンだったのに〜。

 グランドクルス発言で、チウはそもそもグランドクルス自体見た事がなかった気がしますが、なぜ彼の台詞を残してクロコダインとレオナの台詞を削りまくったのかが疑問です(笑)

原作クロコダイン「な、成程……! あれならば闘気エネルギーの最大放出!」

原作レオナ「ドルオーラに限りなく近い威力が出せるかも……!」

 説明が一気に省かれましたが、アニメのクロコダインとレオナの短くも息の合った掛け合い、勢いがあっていいですね♪

 マァムが反対するシーン、原作ではマァムはポップの腕をむんずと掴み、ポップは逃げ腰になって落ち着けと言っていますが、アニメではマァムの動きはポップにすがりつくような感じで、かなり落ち着いている感じがします。
 よくも悪くも原作のマァムの方が、基本的にバイオレンスなんですよね(笑)

 でも、ポップの台詞が削られていたのは、返す返すも残念!

原作ポップ「お、落ち着けよ、マァム!! あんな半死人に頼んなくてもいいの!!」

 ヒュンケルをさりげなくディスっているこの口の悪さ、聞きたかったです〜。
 そう言えば、半目になったポップの表情、横顔で小さく描かれているだけで終わったのも、ちょっと残念。したり顔で語るポップの顔を、アップで見たかったのですが。

 でも、アバン先生を見る時の期待に満ちあふれたポップの顔が、実に可愛くて満足です。この表情はアニメの改変ですね♪
 ポップがアバンを指すポーズ、原作のままなのに、原作よりもずっと距離が近づいているのに笑っちゃいました。

 アバンを振り返り、目をキラキラさせているポップの信頼の表情もイイ感じ♪ その間、アバン先生が白眼鏡のままなのが、事情を知ってから見返すと意味深に感じます。

 ポップとアバン先生のやり取りで絵が左右逆転していますが、それ以上に差を感じるのは、原作では笑顔を見せていたアバンの目が、アニメではずっと白眼鏡のままだったこと。

 それに全く気づかないポップが、腕をブンブン振ってはしゃいでるのが可愛いです♪ 原作では書き文字だった「わーいわーい」を、きちんとセリフにしてくれたのも嬉しいポイントです♪

 お調子者師弟本領発揮とばかりに、息の合ったはしゃぎっぷりがいいですね。

 そこに割り込むヒュンケルの説明は、かなりカットされていました。「だが、それを最大最強の技に進化させたのはオレだ」の説明は、傲慢な響きが気に入っていたので、カットされたのは残念です。

 ヒュンケルの説明を聞くポップの表情も、原作よりも驚きが強い分、子供っぽさを感じられて気に入りました。
 ヒュンケルを振り返るアバン先生も、嬉しそうで……弟子に追い越されたことを喜ぶことのできる器の大きさを感じます。

 想像に過ぎませんが、アバンはヒュンケルの使ったグランドクルスを見た時から、自分の教えた技の可能性を再確認し、いざという時の備えになるかもと想定していたように思えます。

 そして、この部屋に閉じ込められてあれこれ試す中で、自分がグランドクルスを使うことも模索していたのではないかと思えてなりません。ポップが思いつかなかったら、最終的には自分から言い出して試すつもりがあったとは言え、そのことについてどう説明するか、悩んでいたのだと思います。

 が、アバンが結論を出す前に、ポップがそれに気づいてしまった。
 ポップの提案で技を使ったのでは、自分がグランドクルスを使ったことで死亡した場合、ポップが後で傷つく可能性がありますから、自分が提案するよりも早くポップが提案してきたのは不本意だったでしょう。

 だからこそ、最初にそう言われた時、すぐには反応しきれなかった……しかし、ポップがその可能性に気づいてしまった以上、危険性を一切説明すること無く、あんな風におどけて見せたんじゃないでしょうか。

 成功すれば問題ないですし、もし技と引き換えに自分が死んでしまったとしても、アバン自身もその危険性に気づいていなかった――つまり、ポップがそれに気づかなかったとしても、仕方が無いと思わせることができるように。

 そして、ヒュンケルはアバンの迷いや危険性に気づいたからこそ、アバン先生を止めているわけですが、自分だけでは止めきれないと考え、ポップに止めるように言っているのが面白いですね。

 ヒュンケルは自分より、ポップの方がアバンを説得できると考えているんでしょう。
 ここは自分で泣きつき、甘えるのも手だと思うのですが(笑) アバンはヒュンケルに対して負い目を感じているので、彼の頼みを無下にはしにくいでしょうし、アバン内でのヒュンケルのイメージは、幼い頃の印象が深く残っているはずです。

 ヒュンケルとマァムのやり取りも、かなり改変が。

マァム「だめよ、ヒュンケル! そんなことをしたら、絶対に死んじゃうわ!」

ヒュンケル「だが、誰かが生命の危険を承知でやらなければいけないことならば……! 少なくとも、確実に技だけは成功するオレがやるべきだ……!! そうだろう、マァム?」

 見ての通り、原作の方が理屈っぽいです。アニメでは簡略化しつつ、声の演技で省略部分を補っているのが素晴らしいですね。
 でも、残念だったのがこの会話の直後、部屋が揺れるシーン。

 アニメでは互いに腕をつかみ合っているマァムとヒュンケルが、普通に立っていましたが、原作ではここで二人とも姿勢をちょっと崩しています。
 どうせなら、ここでバランスを崩したマァムをヒュンケルが支えるぐらいの演出があって欲しかったですよーっ。二人とも、体幹強すぎっ。
 いや、筆者は筋金入りのポプマ派ですけどね(笑)

 ヒムのグランドクルス挑戦シーン、回想シーンが入ったのが嬉しかったです。回想シーンは色違いのフィルターがかかることが多いのですが、このシーンは色鮮やかな決闘の光景そのままでした。

 仲間達の姿を一人ずつ映しながらのヒムちゃんの告白、感動的でした♪
 それにしてもこの告白、仲間に対してのものではありますが、ポップからマァムへの告白よりも具体的で情熱的(笑) ポップも見習うべきだと思いました。……ヒュンケルの方が、割と詩人チックだったミストバーンの影響を受けてか寡黙な割に表現力があるので、せめて本音はきっちりと口にしないと。

 ヒムちゃんのグランドクルス発動直前、原作ではヒュンケル、ポップ、チウがヒムちゃんに呼びかけていますが、アニメではヒュンケルだけに絞っています。

 ヒムちゃんのグランドクルスシーン、カッコいい……! 砕ける破片が煌めいて、すごく綺麗ですね。
 ポップとアバン先生のダブルルーラにも感動しました♪

 原作では「今だっ!!」の台詞がありましたが、それを略してルーラだけで簡潔にしている改変が好きです。

 漫画のコマのように、左右に二人を同時に見せながらのルーラシーンがひたすら格好良かったです♪
 そう言えば、アバン先生が台詞でルーラと言いながら使うのって、これが初めてなんじゃ……。

 そして、空中でルーラが途切れ、地面に投げ出されるルーラの着地は、凄まじいまでのダイナミックさです。もしかして、アバン先生もルーラがあまり得意じゃない……?(笑)
 いやいや、さすがに人数オーバーでしょう、きっと。

 原作では割と地面に近くに投げ出された印象で、しかもブロキーナ老師などはしっかりと着地を決めていましたが、アニメでは全員倒れています。
 そして、原作では即座に起き上がってダッシュしていますが、アニメでは起き上がりに一拍の間を置いていますね。いい演出です♪

 バーンパレスの燃え方、原作の方がすぐに真っ黒に燃えまくっている印象ですが、アニメは割と穏やかな印象。十字傷がいつまでも残っているのが、正直意外でした。
 ……あの傷跡、なんだかしいたけの飾り包丁に見えます(笑)

 チウが涙を拭って敬礼する動きが、めっちゃ可愛い♪
 実は「本物の戦士だったぞ……」の台詞が省略されているのですが、それがきにならないぐらいに可愛いです。

 ポップとヒムのやり取り、実に楽しかった〜っ。
 ヒムはかなりひどい崩れ方のままですが、顔のひび割れは既に治っているので、ポップはルーラと回復呪文を併用して彼を助けたんでしょうね。

 アバン先生が必ずみんなを助けると踏んで、ヒムのみを選んで救助したポップの判断力と、ポップのルーラを当てにせずに全員救出を優先したアバン先生の判断が、相談もしていないのに見事に合致しているのに感心します。

 でも、ポップが突発的に単独行動を取ったことを思えば、この予期せぬ行動のせいでアバンが着地でバランスを崩した可能性があるのかもと思い至りました。

 物を運ぶ際だって、10個の物を運ぶつもりだったのに、それが不意に9個になっていたらバランスを崩しちゃいますもんね。そうだとすると、着地失敗の責任はポップのせいになるのですが(笑)

 ポップとヒムの会話シーン、左右逆転していますが、実に生き生きとしていて、ポップがヒムを持ち上げる時のわずかなかけ声や、ヒムちゃんが鼻をすする音など、原作には無かった音声も付け加えられている細かさに感動しました♪
 ここでのCMは、流れ的にもぴったりだと思いました。

 CM後、ラーハルトがヒムを座らせているシーンにびっくり。意外と仲良しさん♪
 原作にはない追加シーンですが、こういうささいな動きって嬉しいですね。
 言葉に我出していませんが、ラーハルトがヒムを気遣っているのがよく分かります。

 原作でもラーハルトとヒムが並んでいたので、ラーハルトがヒムを休ませる姿勢を取らせたのは納得いきます。……どう考えても、ヒムって見かけ以上に重いでしょうしね、金属だし。

 バダックさんの呼び声にみんなが振り向くシーン、ポップとレオナが並んでいるのは原作通りです。
 ポップの呼びかけで崖下に合流し、レオナと状況を話しあっているところと見ました♪

 ポップの応急手当でヒムの命は取り留めたものの、完全回復をさせるのはどうしたらいいのかと相談しているところだったりすると、嬉しいです。

 仲間達との合流シーン、水彩画風の止め絵が三枚も用意されたのは嬉しい限り。
 一枚は、駆け寄ってくるフローラ様達。
 一枚は、それを喜ぶポップ、レオナ、クロコダイン。実は、原作ではこのシーン、後ろにいたのはビースト君でしたが、クロコダインの方が絵的もしっくりきます。

 そして、合流シーンのみんなが駆け寄る図……手を伸ばしてバダックを迎えようとするレオナに、真っ直ぐにポップの元に向かうメルルがお気に入りポイントです。

 しっかりと手を握り合っているバダックさんやバウスン将軍に比べ、メルルはポップの前で立ち止まるなど、どこまでも控え目。
 メルル、どさくさに紛れてポップに抱きついちゃってもいいのに……と思いました。

 クロコダインとバウスン将軍の挨拶が、将軍同士の風格があって好きです。エイミさん、泣き顔が美しい……!
 いきなり自慢をしているチウには笑いました。可愛い!

 フローラ様の隣に、ごく自然によってきたアバン先生。その後、フローラ様の気絶シーンがもう、大爆笑もの!
 首をぎこちなくアバンへ向けるフローラ様の動き、いいですねえ。その後、目の光を失ったフローラ様の一瞬の顔が怖かったです。

 もし、アバンの浮気容疑が発生したらこの顔になるのでは無いかと思えてしまう、目の色のない瞳が怖っ。
 それにしても、アバン先生、気絶するフローラ様を支えるのが間に合わないだなんて。

 マァムはポップの立ちくらみに即反応したのに、アバン先生は覚悟が足りないのでしょうか。……って、逆に言うと、マァムは常日頃からポップがいつ倒れてもおかしくないと最初から思っていて、支えたり庇おうという思考があるだけなのかも(笑)

 ロン・ベルクがやってくるシーン、原作ではもっと静かな印象がありましたが、アニメでは勢いがあるように思えました。
 チウが獣王遊撃隊と一緒になって、ビースト君の話に聞きいっている風の背景が可愛いです。

 しかし、ロン・ベルク、空気が読めないというか、雰囲気ぶち壊しまくり……(笑)

 ポップが空を見上げるシーン、メルルの顔が映り込んでいるのがお気に入りポイント♪

 ヒュンケルがポップを励まし、立ち直らせるシーンに感動しました。
 実際、あの場面ではポップが落ち込んでしまったら、もう他のメンバーはどん底まで落ち込むしかない場面でしたし。
 
 敢闘賞の活躍を見せたポップが何も出来なかったと言うのなら、他のメンバーはそれ以上に、何一つ出来なかったことになってしまいます。
 だから、ポップを励まし、彼に自分の戦いに意義があったと認めさせることで、他のメンバーの戦いにも意義を見いださせたかったのではないかと……そんな風に感じられます。

 さりげなく目を覚ましているフローラ様とアバン先生のツーショット、いいですね。原作ではフローラ様は気絶したままっぽい描写だったので、彼女にもヒュンケルの台詞やダイの奮闘を知って貰えて、嬉しいです。

 ヒュンケルの慰めに、ポップが今にも号泣しそうに顔をくしゃくしゃにしておきながら、それでも耐えて涙を拭くシーンに感動しました♪
 アバンの死に号泣していた頃のポップだったら、感情を抑えずにあの場で泣きまくっていたでしょうが、この時のポップは自分の感情に流されず、ダイの勝利だけを信じようとしています。

 ポップが強く、ダイに帰ってこいと望むシーン……実にいいですねえ。
 同時進行でダイ達の戦いも映っていましたが、拳をぶつけ合うバースの大胆さにびっくりです。
 って言うか、バラン戦もそうでしたが、最終決戦がガチ殴り合いになっていますよ〜。

 ダイが地上を見おろすシーン、原作では地面が多く見えて飛行機から見おろした雰囲気かなと思いましたが、アニメでは海と雲が多く見えて、もっと高い位置から見おろした雰囲気だと思いました。

 それにしても、何の知識も無くあれが地上だと判断できたダイは凄いなと思いますが、もしかすると天界の神々の知識が予備知識として竜の騎士の紋章に刻まれていたのかも知れませんね。

 バーンが自ら手で第三の目を抉るシーン、血の代わりに白い透過光を使っていましたが……それでも、絵面がエグいですよっ。

 しかし、バーン様が埋め込まれた歪な岩の塊……バーン様の輝き具合を見て、「太陽の塔」を連想しちゃいましたよ!(笑)

 全てを捨てたバーン様の台詞、実は改変されています。
 原作では「今、おまえの気持ちを余も実感できる」と言っていましたが、アニメではハドラーに思いを寄せています。

 ハドラーの決死の覚悟が、バーンに少しでも通じたような気がして、ちょっと嬉しい改変でした♪

 ダイが巨大化バーンに殴られるシーン、原作では無防備に吹っ飛ばされていましたが、アニメでは両手で頭を庇おうとする仕草が追加されていました。でも、結局は力の差が酷すぎて吹っ飛ばされているんですけどね。

 巨大化バーンと、鬼岩城を重ね合わせた回想シーン、良かったです♪
 しかし、比べてみると、鬼岩城はいかにも無骨で、巨大化バーンの方がデザイン的に洗練され、動きやすそうな印象ですね。

 ダイとバーンのド迫力バトルに、目が釘付けっ!
 全てを捨ててたバーンの執念と、怪獣大決戦じみた巨大生物と人間大の生き物との戦いがもの凄いです。さっきまで互角以上に戦っていたのに、あっと言う間に劣勢に……これがダイ大クオリティ!(笑)

 ビームを避けるダイの動きが、スピード感があってよかったです! 原作には無かったビーム攻撃が、ここまで引っ張った動きになるとは……!
 ダイが「おれと同じ事を」と呟くシーン、顔を拭う仕草をみせるのがよかったです♪
 
 にしても、時々、壊れる物体の砕け方が妙に四角くて、まるっきりマインクラ○ト(笑) まあ、バーンの魔力でくみ上げたものだろうし、いざというときに備えて壊れやすく処理して置いたと考えれば、納得ですね。

 現実世界の車のフロントガラスのように、ある程度の衝撃が加わったのなら周囲に被害を与えない形でバラバラに砕ける仕掛けをしておいたのかも。

 最終的に鬼眼王の姿に巨大化することも想定に置いていたのなら、邪魔するかもしれない壁などは、ある程度以上の衝撃を受けたのならあっさり崩せるようにしておいた方がいいですし。
 四角く砕けたのなら、再利用しやすいですしね♪
 
 ダイのドルオーラの一瞬、竜の姿が見えた気がしました。

 最終回予告、普段のような映像ではなく、終始花に囲まれたダイの剣のイラストが映っていたのに涙……っ。でも、バランの剣について告げていた辺り、最後までネタバレしていくスタイル(笑)

 最終回だけは、「大冒険が、今、終わる」のナレーションになるかな〜と少し思っていたのですが、いつものナレーションでした♪
 ホッとしたような、寂しいような……複雑な気分です。

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