6 レオナ 人を導く、正義の使徒!

  

 パプニカの王女レオナは、正義の心を持つ使徒。
 アバンに見出だされなかったただ一人の使徒だが、その素質や心はフローラの御墨付きだ。

 指導者としての素質を持つ彼女は、真理を看破し強く善を貫く正義の使徒――。
 誰よりも強い正義感と使命感が、レオナの一番の武器となる。

 レオナの成長もマァムと同じくS字型だが、その伸びはマァムに比べれば目立ちにくく穏やかな線を描く。

 なにしろ王女のレオナは何回か戦闘に加わったのものの直接戦闘には一切参加していず、また、参戦したとしても回復係りに徹していたから戦力的にどう成長したかは掴みにくい。

 また、初登場から再登場までの間に大幅な精神面での成長を遂げているので、作品中では心の成長度の起伏もさほど感じられない。
 レオナは戦いと言うよりも、人を導くことで成長を遂げたキャラクターなのだ。

 賢者の卵であるレオナは魔法使いと僧侶の魔法の両方を使えるが、彼女の専門は回復魔法で攻撃魔法はさほどでもない。

 攻撃魔法が得意なポップが大魔道士に昇格し、両方の分野でレオナ以上の力を持っているため、彼女が戦いで活躍するのは難しいかもしれない。
 しかも、彼女は武器が得手とは言えないため、肉弾戦も期待できない。

 こう言うと欠点だらけのようだが、レオナの本領は戦いのサポートよりも冷静に戦力を分析し、判断できる統率力にある。
 実戦経験の少なさをカバーしてありあまる聡明さを持っているのが、レオナの長所。

 洞察力はあっても感情に流されがちなポップや、他者への説得力に欠けるヒュンケルとは違って、レオナは人を説得する力に長け、自分の感情を推し殺して戦況を見詰める冷静さを備えているのだ。

 

≪☆抜きんでたカリスマ性! 生まれながらの王族の姫≫

 レオナの戦いは、魔王軍そのものと人間との戦いにあたる――。
 一国の王女として、人を導き、戦う勇気を生み出させるカリスマを備えたレオナは、滅びかけたパプニカの国を立派に守り、ダイ達の助けを借りて再建させた少女だ。

 だが、レオナは普通の女の子として、ダイ達と気楽に旅をしたいという気持ちもあった。指導力に優れていると言え、まだ14歳だ。

 遊びたい盛りのレオナは魔王軍との戦いの合間に、ダイやポップと共に、ベンガーナへ買い物気分で小旅行へとしゃれこむなど気楽なところもみせていた。

 たとえ厳しい戦いが待っていたとしても、レオナは城で王女として過ごすよりダイたちと旅している方が楽しかったに違いない。
 だが、そんなレオナの気持ちを変えたのは、今は亡きアバンの教えだった――。

 

≪☆自分の意思より、なすべきことを!≫

 対ハドラー戦後、マトリフがダイ達に届けた一冊の本……アバンが生前に書き残した言葉は、傷付いたダイ一行を励まし慰めを与えた。
 そして『自分のできる最善を尽くしなさい』という教えが、レオナの心をゆり動かした。


 ダイ達の一行としてと戦うよりも、パプニカの王女として世界の王達に呼びかけ、人間達の力を一つにすること――。
 それが自分にしかできない『最善』だと気付いたレオナはその後は長らくダイ達と行動を共にできなかったが、それでも王女として頑張り抜く。

 戦いに関してはダイ達と仲間になれない寂しさを感じながらも、レオナは自分にできることを精一杯やり抜くことに専念する。

 レオナが『指導者』と言う重荷から解放されるには、対バーン戦後。生き延びていたフローラがレオナに変わってからのことである。

 

≪☆やる時はやる! 本当の仲間になるために…≫

 5人目の使徒に選ばれ、ダイ達と共に戦う戦士になるように薦められたレオナ――だが、そのためには恐ろしい試練が待っていたし、時間的な制限もある。
 だが、レオナはむしろ喜んでその提案を受け入れた。

 一緒に戦えないもどかしさを感じていたレオナは、みんなの本当の仲間になるために、渋るダイを説得して破邪の洞窟で大破邪呪文習得のための試練を受ける。
 いくつもの罠を乗り越えひきかえそうといった仲間たちを励まし、レオナはついに目指す呪文を手にいれる最後の試練を受ける。

 古代の神の投げかける質問――一歩間違えれば命を落とす問いかけにレオナは自分なりの信念を持って答え、ついに大破邪呪文を手に入れた!
 呪文習得と共に、レオナは正式に5人目の使徒となったのである。

 

 ……さて、レオナの成長は5人の中でもっとも目立ちにくく、伸びが遅い。
 しかし、賢者はもともと成長が遅いものだ。そう思って、長い目で見るのが正しいのかもしれない。

 また、ダイを除くアバンの使徒の中でもっとも登場が速かった割には、もっともアバンの使徒になるのが遅かったのも、レオナの特徴の一つ。
 もともと実戦的な戦力というよりは、リーダーシップをもったサポート係りだったから仕方がないと言えば仕方がないのだが…。

 また、年齢のせいか、あるいは相手がダイのせいか、恋愛柄みのエピソードが少なかったのも寂しいところ。
 連載前からのレギュラーでありながら、戦闘や心理面での見せ場が悲しいほど乏しかったレオナ姫――ぜひ、よりいっそうの活躍を願いたいものだ。
 
 

5に戻る
二章目次に戻る
解析目次に戻る

inserted by FC2 system