2 人を見る目は本物! ポップの一目惚れのお相手は?

 

 まだ12歳で恋愛音痴のダイと違って、ポップは15歳――思春期にさしかかったお年頃には、そろそろ異性が眩く見えてくるはず。
 魅力的な女性キャラクターに心動かされるもの、当然だろう。

 マァム、レオナ、エイミ、メルル、フローラ――この5人の女性がダイ一行に関わる主な女性キャラクターだが、どの娘も水準以上に可愛い上に、独特の魅力を持っている。

 その中の誰が好きかというのは完全に好みの問題だが、ポップ君の好みを探ってみると、なかなか面白い結果が分かる。

 ポップは以前、ダイに好みの女の子を聞かれて『美人で金持ちでグラマーで……おれのいうことならなんでも聞いてくれるコだよっ!』と言ったことがあるが、こんな意見はセクハラだと罵られるぞっ。

 それに、金持ちだといえるコは、せいぜいレオナぐらい――しかし、国王が死に魔王軍と戦っている状態じゃ、それもたいしたことはなさそうだ。メルルを除いては勝ち気なコぞろいだから、彼氏の言いなりになるタイプとも思えないし……。

 ところでポップ好みの一つ美人の基準だが、ポップ自身が美人だと評した女性はレオナ、エイミ、メルル、フローラの4人。だが、レオナに関してはきれいな子だと認めた割には、特にアプローチする様子もなかった。

 ポップはお姫様だとうっとりし、おしとやかな子だと勝手に想像して憧れていたはずなのだが……。
 思ったことをポンポン言ってのける勝ち気さは、彼の好みとは掛け離れていたらしい。

 フローラについては、すごい美人だと評価した割には恋愛対象としては見なかったようだ。
 やはり、年の差がこれだけ離れているとねえ。

 おもしろいのが、エイミとメルル。
 初対面の時、ポップは顔を赤らめて二人に見とれている。
 二人に共通しているのは、長い黒髪が魅力的な理知的美人だと言う事。

 そういえばポップの母スティーヌもそのタイプだから、少々マザコンの気があるのか、あるいは女性の外見的な好みは父親譲りなのか……。

 しかし、これはあくまで外見上の好み。
 きらびやかに登場する女の子たちに目を奪われることがあっても、ポップが本当に好きな女の子は、マァム。

 初対面の時、ポップはマァムを男の子と見間違えたぐらいだから、けっしてポップはマァムを美人だと認めたわけじゃない。むしろ、生意気な女と思いいきなりケンカしたせいで、ポップ、マァムとも第一印象は最悪に近かったわけだ。だが、ポップがマァムを好きになったきっかけは、マァムがアバンのことを思い出して、涙ぐんでいるのを見た時。

 一見ボーイッシュに見えるマァムの秘められた女らしさに、ぐっと心を惹きつけられたのだ。
 その瞬間にポップは彼女に一目惚れしたといっていい。

 好みとはまったく違うタイプなのに、ポップはマァムの優しさと、なによりもその心の強さに魅力を感じたのだ。

 どうしてこんな女に惚れたのかと後に自分でも言っていたが、人の心とは不可解なもの――ましてや、恋なんてものは時として理屈や好みを超越した、一種の運命としか言い様のない展開を見せる時がある。

 それに、ポップは妙なところで、人を見る目がある。
 好き嫌いは激しいものの、アバンの正体も知らぬうちからいきなり家出して弟子入りしたり、悪に染まった頃のヒュンケルに一目で不信感を抱いたように、勘だけは妙に抜きんでている。

 そのポップが一目で気にいり、好きだと思った少女なら、きっとそれは間違ってはいないだろう。
 


  

 

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