17 もう一度、告白……ポップ&マァム |
対親衛騎団戦直後、まだ戦いの真っ最中だというのにポップは正式にマァムに告白している。 なにもそんな世界の運命がかかっている時に、一度マァムに言ったことをもう一度言わなくてもいいようなものだが、ポップにしてみればいつ死ぬか分からない時だからこそ、後悔しないように言っておきたかったらしい。 メルルのためにではなくマァムのためにも自分の意思で告白したポップは、マァムの返事も求めずに早く戻ろうと急かす。そんなポップに、マァムは自分の気持ちを聞かずにポップだけの気持ちを言うのは勝手だと責める。 ポップの一番痛いところをずばりと突く。 マァムの返答が怖かったポップだが、マァムにそう言われたことと、メルルに失恋を味合わせたことを思えば自分が逃げては申し訳ないと思い、マァムの返事を聞く。 そんなポップに、マァムは本心を答える。 彼の孤独が気にかかるように、ポップの手の掛かる弟のような感じはやはり気にかかる。 ポップの気持ちは嬉しいと思うが――今のマァムには、それに答えることができない。 いままでそのことでポップを傷付けていたかもしれないと思えば、なおさら自分に返事をする資格があるとは思えない。この戦いが終わって誰が好きか気づくまで待っていてほしいと告げるマァム――そのために一緒に戦い、未来をつかみとりたいというマァムに、ポップは言葉もなく彼女の手を握り締める。 自分にはもったいないような返事――マァムを好きになって本当によかった……そう一人で想いを噛み締めるポップだが、急に黙り込んだポップにマァムは訝しげな表情をみせる。 しばらく俯いていたポップは、この戦いで死んだら何もならないから前借りが欲しいと言って、突然マァムにキスを求める。あわてふためくマァムに、ポップはやけに落ち着いたしぐさで目を閉じてマァムに顔を寄せる。真っ赤になりながらも、マァムもつられたように目を閉じるが――ポップはキスすると見せかけて、マァムの鼻に指を突っ込んだだけ。 からかうつもりでキスを仕掛けたポップは、けっこうその気になっていたマァムをおちょくるが、そんな態度に彼女の怒りが爆発したのは、言うまでもないこと。 ポップのおふざけで雰囲気が台無しになったのは事実だが、そのおかげでいつものように気楽に話し合えるのも確かなこと。ケンカしながらも仲が良く、遠慮なしに言いあえる関係――ポップとマァムはずっとそんな関係だったし、告白後もそれが特に変わったわけじゃない。 だが、この先マァムはポップに約束したように、この戦いを乗り切って自分の気持ちをはっきりさせ、ポップやヒュンケルを異性として見つめるようになり、誰かを好きになるだろう。 ――しかし、結果がどう転ぶにしろ、この二人の関係ってマァムが主導権を握るようだ。 腕力では格段にマァムのほうが上なのに、キスの時逃げようとしなかった事実や、ヒュンケルと一緒にいたにも拘らず、ポップを心配して戻ってきた事実。 そんなマァムの行動の真意に気付かないうちは、本当に『可愛い弟』で終わってしまうぞ……。 |