1 憎み切れない小悪党、にせ勇者様ご一行

  

 勇者でろりん(20歳)、戦士へろへろ(25歳)、僧侶ずるぽん(22歳)、魔法使いまぞっほ(68歳)
 なかなかにバランスのとれたこの一行は、ニセ勇者一行としてダイの一番最初の敵だった連中だ。

 ……というか今気がついたが、メンバーが流動的に入れ替わり、常にいるのが勇者と魔法使いの、というダイ一行よりもはるかにバランスが取れているっ(笑)

 ゴメちゃんをさらって一儲けしようと企んだセコイ悪党だが、その実力は大したものではない。ダイと島の怪物達によってコテンパンにされ、一応改心した……ということになっているが、どうも行動に反省が見られない。

 ダイと二度目に会った時も、以前とちっとも変わらぬ小悪党ぶりを発揮していたが、忘れた頃にひょっこりといろんな所に登場してくるこいつらは、なんとなく憎めなくて気になる存在だ。

 へんてこな割に味のある名前といい、妙に生活力に溢れた逞しさといい、思わず笑ってしまうようなトボけた魅力がある一行だ。

 この連中、どうやって知り合ったのかでろりんとずるぽんはロモス王国出身だが、へろへろはリンガイア王国、まぞっほはパプニカ王国出身とかなり出身地はバラバラである。

 最初はロモスあたりをうろついていたが、パプニカ、オーザムなど変なところばかりに姿を現している。

 彼等は魔王軍を避けようとしているらしいが、その割には選び抜いたかのように敵がいるところにでっくわしているのが笑い者である。
 でろりんはかなり見栄っ張りで、実力不相応にハデ好きな性格のようだ。

 一見この一行はでろりんが率いているようだが、実際に一行の知恵袋として活躍しているのは、ずるぽん。悪知恵の働く女で、ダイと戦ったときも人質を取ったり、ダイを騙してみたりと一人で頭脳面を受け持っていた。もっとも、悪知恵があるといってもそんなに度胸はないので、セセこましい詐欺をセコセコやるのが関の山なのだが……。

 へろへろは金にがめついし外見がごついので誤解されやすいが、実は人がいい上に特技は炊事や掃除だ。
 そのせいで一行の中では一番損ばかりさせられているようだ。

 一人だけ年が離れているまぞっほは、さすがに最年長だけあってなかなか練れた人物だ。

 昔は本物の勇者一行の魔法使いを目指していたが、根性がなくて挫折した過去を持っているらしい。しかし、まぞっほはそれを悔やむでもなく、自分は自分なんだと割り切って気楽に小悪党を演じている。

 もっともこのまぞっほこそが、対クロコダイン戦の時、迷っていたポップを励ました人物なので、ダイ一行にとっては隠れた恩人に当たる相手だ。
 だが、彼等はそれを笠に着て、ダイ達を強請にいこうと思うほど悪党じゃない。

 やっぱり本物の勇者はかっこいいなあ、などと呑気なことを言っているのだから、おまぬけである。
 ……つくづく、世の中には善にも悪にも染まり切れない半端な奴もいるものだ。

 勇者を諦めているなら、それぞれ国に戻って地道に暮らせばいいようなものだが、それでも一応レベルアップしたいという向上心や、金を手に入れたいという欲はあるらしい。

 本物を目指そうとたまに熱血している姿もみかけるが、まぞっほが何日持つか、と一人で笑っているところを見ると、決心も長続きしないらしい。
 うわ、ダメダメ(笑)

 紙面にはちょくちょく登場するものの、彼等がダイと直接顔を合わせたのは2回だけ。 ポップ、マァムに至っては一度しか会っていない相手だが、もう一度会えば懐かしいと歓迎するだろう。

 特にポップにとっては、まぞっほは恩人とも言える相手だ。
 だが、危険はさける主義のこやつらのこと、ダイ一行が戦っているような最前線に行くはずもない。

 しかし、偶然にも……本当にも偶然にも最後の最後の戦いで、ダイ達を手助けして黒の結晶を止めるという大殊勲を果たしてみせた。
 まぐれとはいえ、これはすごい!

 兄弟弟子であるまぞっほとマトリフの再会も見ることができたし、最終回ではマトリフの洞窟に居着いた4人組の姿も確認できたことだし、脇役の中ではナンバーワン的に優遇されたキャラクター達である。

 


  
  

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