2 お人好しのロモス王 

  

 人柄が顔に滲み出ている、いかにも人のよさそうなロモス王は、本名はシナナ王。
 小柄でずんぐりむっくりした体に、子供っぽさを残した瞳、もじゃもじゃのお髭は、王様と言うよりはサンタクロースを連想させる。

 威厳はほとんど感じられないが、正義感と責任感に溢れた台詞や態度は立派なものだ。ダイの良き理解者で、パプニカ王国にダイを勇者として推薦したのも、彼。
 年は58歳で、母、妻、息子3人、孫一人と家族にも恵まれた優しい王様だ。

 ロモスはこれといった特徴もない国だが、国王の人望が厚く、人々の結束力が強い。
 その代わり武力や軍事面で劣るところがあるが、そのせいかロモス王はやたらと勇者に憧れを持っているようだ。

 そのせいでニセ勇者や武闘大会を開いたザムザにコロリと騙されたのだが、逆に言えば人を疑わない寛容な性格だと言うこと。
 ――まあ、年の割には子供っぽくて、夢見がちなだけだとも言えるが。

 しかし、だからこそダイが実力を発揮する以前から、ダイの心がけを見て勇者と認め、覇者の冠という宝を渡したのだろう。気前がいいのは彼の長所の一つで、ダイ達がパプニカに向かう時は王様御用達の船を貸しているし、ダイ、ポップ、マァムの三人には、武器防具を新調して与えている。

 その時ポップは、アバンから貰った古い武器や防具を捨てるのが嫌で、ロモス王に預けている。
 わざわざそんな約束まで守っているのだから、律義で優しい性格だ。

 しかし、気前が良すぎるのも考え物で、武闘大会の商品に覇者の剣を惜しげもなく出したせいでそれが敵の手に渡り、ダイはその後苦戦を強いられることになったのだが……。
 しかし、そんなのは些細な出来事(?)で、優しいロモス王のことはダイもポップも気にいっているようだ。


 その証拠にあの口の悪いポップでさえ、ロモス王に非難めいた台詞を言った試しがない。
 対クロコダイン戦、武闘大会戦と二度も活躍したことがあるせいか、ロモス王とダイ達とのかかわりは結構深く、ロモス王はダイ達にはまるで孫にでも接するように親しげに話しかけている。

 しかし、勇者は好んでも、武力や軍備を備えることはあまり好きではないらしい。
 船を武装させたのを、後悔するような口振りを見せたことがある。

 人望の厚い王は、物や武器に頼るのではなく、人を大事にする大切さを知っているのだろう。

 王様の中ではレオナに次いで出番の多いロモス王は、あまり目だった活躍を見せないものの、ほのぼのとしていてなんとなく好きなキャラクターの一人だ。

 


  

 

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