『魔界よりの帰還 ー後編ー』

  
 

「くそっ、止めろ!」

 思わずダイはキルバーンの方に掴みかかったが、そんなことでは魔法の光も、音もやむはずはない。
 必死なダイを、ピロロが嘲るだけだった。

「ムダ、ムダ。今回のその人形はね、前とは役割は違うんだ。空間転移の力……それしかないんだよ。話しかけるのは自由だけど、無意味だね。もちろん、壊せばどうなるか――分かるだろ?」

 そう言いながら、ピロロの身体が宙に浮いていく。

「がんばってね〜♪ あ、スイッチを入れてからきっかり60秒で発動するから。巻き込まれたくないから、ボクは一足先に失礼するよ」

 わざとらしく手を振りながら、ピロロは瞬間移動魔法を発動させる前に一言、残す。

「クックック……、父親のしでかした不始末の、後始末をしてもらおうか。じゃあ、シーユーアゲイン、竜の騎士クン!」

 一瞬で消えたピロロを、ダイは追おうとも考えなかった。すでに、残された時間は十数秒もないだろう。迷う暇すらなかった。
 剣を一閃し、鎖を断ち切る。

「……!?」

 その勢いのせいでポップがはじき飛ばされるのが見えたが、助け起こすどころか彼の様子を確かめる暇すらなかった。
 切れた鎖は、蛇の様にダイに絡みつく。

 が、ダイはそれに構わず、むしろ自分からしっかりとキルバーンを抱えて空へと飛び上がった。
 そのまま自分に出せる限りの魔法力をふり絞り、空高くへと飛んでいく。

(――ポップ……ッ、ごめんっ!)

 せめて、振り返ってそう告げたかったが、その余裕すらなかった。
 最後に一目、見ることさえ叶わなかった。
 ポップを見ようと振り返るしぐさをとれば、それだけで飛翔呪文の勢いが殺されてしまう。

 それでは、意味がない。
 キルバーンの身体に隠された仕掛けを、ポップの近くで発動させるわけにはいかない。 今回、キルバーンが仕組んだこの移動方法が、どんなものなのかダイには見当もつかない。

 ピロロの説明が、全部正しいという保証もないのだから。
 が、危険度がある以上、見過ごせない。
 危険にポップを巻き込まないためにも、少しでも遠くに運ぶために、全力で飛び続けるしかない。

 自分の行動が、ピロロの思惑通りに乗せられてしまっていると分かっていても、他に手段が思いつかない以上、仕方がない。
 皮肉にも、以前と全く同じことをしてしまっている自分を、正気に返ったポップがどんな目で見ているのか……見られないのは、幸いかもしれなかった。

 前にポップを蹴り落とした時の、彼の表情を今でも覚えている。あの、悲痛な絶叫は、今も耳を離れない。

(ごめん……、ポップ! 本当に、ごめん……っ)

 後悔とは裏腹に、ダイは腕に込めた力を強める。
 もうすぐ起こるだろう空間移動の衝撃を、少しでも抑えるために。
 強く力を込め、道化師の身体を抱きかかえると、意外にも漆黒の腕が自分を抱き返すのを感じた。

(……?)

 それは、少しばかり驚きだった。
 前回と違い、今回の漆黒の道化師はまったくといっていい程存在感がなかった。以前は腹話術を駆使して、生きているかの様に見せかけていたが、今回はそんな工夫など微塵も感じられなかった。

 意思を封じられたポップ以上に、人形の様に感じられた。
 それだけに、この移動のための仕掛けを持つだけの人形なのだろうと思ったのに、黒衣の道化師は両腕を使って、しっかりとダイを抱きしめる。

 まるで守られるようなその動作が意外だったが、ダイは気にせず気迫を高め、衝撃に備える。
 そして、視界を真っ白に染め上げる強烈な衝撃が、ダイを襲った――。






 意識を失っていた時間は、恐らく、ごく短かっただろう。
 衝撃は、予想していたよりも軽いものだった。少なくとも、黒の核晶の爆破のエネルギーに比べれば、たいしたものではなかった。

 移動の瞬間は目眩に似た衝撃に襲われ、固い地面に投げ出されたものの、怪我らしい怪我も負わずにすんだ。
 しかも、衝撃のせいでダイを戒めていた鎖はほぼ解けている。わずかにまとわりつく鎖を手でむしり取り、ダイは起き上がった。

(ここは……!?)

 素早く周囲を見回して、ダイは瞬時に悟っていた。
 自分が、地上に戻ってきている事実に。
 ピロロ……いや、真のキルバーンの言葉から、てっきりヴェルザーの元に飛ばされるだろうと予測していただけに、その事実は驚きだった。

 だが、間違いはない。
 頭上には魔界では決して見られなかった、抜けるような青空が一面に広がっている。
 薄暗がりの世界に慣れていた目には、太陽の眩しさが痛いぐらいだったが、数度瞬きをしただけで視界は今の世界に順応する。

 それは、竜の騎士ならではの順応力の高さだ。三世界の守護者である竜の騎士は、使命を果たすために違う世界を行き来する能力を持っている。
 それは同時に、どの世界にも順応できる適応性を持つという意味に等しい。

 ましてや地上はダイが生まれた世界だ、自分が戻ってきたのを把握するのも、魔界との差を納得するのも早かった。
 あれほど帰りたいと望んだ地上を足に踏み締めながら、しかし、ダイはなんの感慨も感じなかった。

 地上など、どうでも良いと思った。
 すぐさま、ダイは身構えて向き直る。

「……キルバーンッ、おれを魔界へ戻せ!」

 少し離れた場所に倒れていた黒ずくめの道化師は、ゆっくりと起き上がった。だが、その動きは不自然だった。
 ごく普通の人間がそうする様に、手足の間接を利用して起きる動きではない。さながら、見えない糸で上に引っ張られた操り人形の様な、不自然な動き。

 服が破け、腕や足など、末端部分が多少壊れている様だったが、それでもキルバーンが動いているのを見て、ダイはわずかにホッとするのを感じた。
 悔しいことに、もしキルバーンが壊れてしまったり、どこかにいってしまったのなら、ダイには空間移動の方法はなくなる。

 すぐにでも、魔界に帰らなければならない。
 ダイの頭にあったのは、それだけだった。ポップをまた、置き去りにしてきてしまった――その焦りに、身が焼かれるようだった。

 いかに他に助ける手段がなかったとはいえ、今度はこの前とはまったく意味が違う。
 魔界での危険は、地上の比ではない。
 人間であるポップは、魔界の瘴気には適応出来ない。即座に死ぬわけではないとはいえ、長くいればいるほど衰弱し、悪影響がでてくるのは違いない。

 そうでなくても、魔界にいる限り人間は襲われる存在だ。ポップに襲いかかるであろう無数の悪意や敵意を思うだけで、気が狂いそうな程の焦燥感を覚える。
 あの気紛れなピロロが、ポップをあの後どう扱うかなんて、とても信用出来ない。

 仮に、彼の手からポップが逃れたとしたも、それはそれで心配だった。
 いくら首輪から開放されたポップが正気に返ると言っても、魔界にいきなり適応するのがどんなに難しいことか、ダイは身をもって知っている。

 なんとしても、ポップが死ぬ前に助けに戻らなければならないと思った。
 そのためになら、何をしても構わないと思った。何を代償にしても構わないから、ポップを助けに戻りたいと願う。

「聞こえているのか、キルバーン!? おれを、魔界に……ポップの所に返せ!」

 それに対して、キルバーンから抑揚に掛ける声が聞こえてきた。

「…………その、必要はない……」

 曲がりなりにも返ってきた返事に、ダイはさっき以上の安堵を感じる。
 ピロロは、先ほど告げた。
 今度のキルバーンは、空間転移しかできない人形だと。

 もし、それが真実だったなら、ダイに魔界にいく手段はなくなってしまう。だが、意思を持った相手ならばまだ、手の打ちようがある。

「聞こえているのか! 今すぐ、魔界へ連れて行け! さもないと……っ」

 焦りのあまり、ダイは殺気を振りまきながら叫ぶ。

「――やれやれ。ンな必要はないって言っただろ?」

 声が変わった訳ではない。だが、かすかな、違和感にダイは手を止めた。

「え……?」

 声そのものは、確かにキルバーンのもの。
 だが、人をからかう口調はそのままでも、キルバーン独特の人を見下し、面白がって見物しているかのような口調とは違う。

 もっと人懐っこく感じるそのからかい口調に、聞き覚えがあった。
 戸惑うダイの目の前で金属が小気味良くぶつかりあう音が響き、キルバーンの身体が割れる。

 壊れた、という割れ方ではない。
 それは、精巧なからくり仕掛けが動く様に似ていた。
 ずっと以前、レオナが持っていたオルゴールを見た記憶を思い出す。

 蓋を開けるだけで、演奏を奏でながら小さな人形が自動的に踊る不思議なからくりだったが、それをもっと複雑にしたような動きだ。
 幾つかの複雑な手順を経て胸が開き、腕が割れ、足が割れる。内部をさらけ出していくその動きに、ダイは呆気に取られて見ているだけだった。

 元々、彼の本来の姿はからくり仕掛けの人形だった。どんな仕掛けがあろうと驚くには値しない。
 それに、キルバーンの本体はかなりの長身だ。

 並の成人男性を軽く上回る体格の人形の中には、人が一人が隠れられるぐらいのスペースは十分にある。
 だが、それが分かっていても、人形の中に見えた人影はダイを驚かせるには十分だった。

 入っていたのは、キルバーンより一回り以上小柄な青年。
 ふわりと、体重を感じさせない動きで地面に下り立った青年は、最後まで手に持っていた仮面を外し、その下に隠されていたおどけた笑顔を見せる。

「よっ、ダイ!」

 機械を通さない声は、懐かしくも耳新しいものだった。

「ポッ……ポップ!?」

 ダイの目が、極限まで見開かれる。
 目の前にいるのは、紛れもなくポップ――ついさっき、魔界で見たばかりの姿のままの彼だった。

「なんだよ、鳩が豆鉄砲食らったみたいな面しやがってよ」

 懐かしく聞こえるのは、ダイの知っているポップの口調その物でしゃべるからだ。
 そして耳新しく聞こえるのは、完全に声変わりが終わり大人の声になったせいだと、ダイは気づいた。

「しっかしまあ、おまえ、ちょっと見ない間に、育ちやがったなぁ。……ちぇっ、昔はオレより小さかったくせしてさ」

 ごく自然な動きで自分の側に近寄ってきたポップを見て、ダイは今更の様に自分の成長を思い知る。
 以前、自分がポップを見上げていたのとはちょうど逆に、今はポップを見下ろしていた。

「ポップ……? ホントに、ポップ、なのかい?」

 戸惑いは、どうしても消えない。
 あまりにも都合の良すぎる展開に、これが夢か、でなければ罠ではないかという疑いが拭いきれない。

 だが、目の前にいるポップは疑われたのが心外とばかりに、大袈裟に膨れて見せた。その表情のせいで、少年の頃そのままの印象に戻る。

「なんだよ、薄情な奴だなぁ。オレが本物かどうかも、見分けがつかないのかよ?」

「だ、だってっ、だってっ……」

 最大級の混乱が、ダイの舌をもつれさせる。
 長年、人と話さなかったせいで、言語能力まで落ちてしまったようで、言葉がうまく出てくれない。

 だけど、口から出る言葉とは裏腹に、ダイは分かりかけてきていた。
 理由や、理屈はさっぱり分からないままだが、目の前にいるのは紛れもなくポップだと。

(そっか……、ヒュンケルに、前に言われたのにな)

 目に頼るな――修行時代、兄弟子はそう忠告してくれた。
 相手の気配を察知するのは、アバン流刀殺法、空の技の応用だ。
 心の目で生命エネルギーを捕らえ、その存在を察知する――それが、空の技の基本だ。

 あの時、ダイは確かにポップの気配を感じた。だが、なまじ目で見えていたポップの姿に気を取られ過ぎていて、気がつかなかった。
 あの時、鎖に繋がれたポップとほぼ同じ位置に、死神人形がいたことに。

「トーゼン、あっちが偽者に決まってるだろ。あの死神野郎に、今度はオレがいっぱい食わせてやったんだよ」

 魔界で感じたのと同じ気配を漂わせ、緑衣の魔法使いは不敵に笑う。

「あの野郎が、オレを拉致ろうとしやがったのは、ホントだよ。だけど、あいつはよっぽど前の失敗に懲りてたみたいでさ、本体の方は直接はこなかった。意思もない、遠隔操作の人形なんかを使ってきたから、付け入らせてもらったってわけさ」

 襲われた時に返り討ちし、相手の一人を逆に掴まえて変身呪文で自分そっくりに化けさせ、利用した――。
 たいしたことでもなかったかのようにポップは簡単に説明したが、ダイにしてみれば聞いただけでゾッとする様な話だ。

「ポップ、なんて無茶するんだよっ!?」

 キルバーンに誘拐されたふりをして魔界に来る……その作戦自体が、果てしない程に無謀な上に無茶苦茶だ。
 魔界は、本来、人間が居れるような場所ではない。

 しかも、正体がバレれば即、ポップの身に危険が及ぶ。意思を封じられて人形同然だったもう一人のポップを思い出し、ダイは本気で身震いする。
 が、ポップは文句を言われるのが不当とばかりに、盛大に顔をしかめた。

「無茶だぁ……!? よく言えるな、キルバーンの身体を抱えて一人で飛びだしやがったてめえの方がよっぽど無茶じゃねえかっ! バカか、おまえは!? あれから五年も経っているのに、頭の中身はぜんっぜん成長してねえのかっ!」

「だ、だって、あれはっ、そうしなきゃ、ポップも他の人達も死んじゃうって思ったから……」

「だからてめえは、大馬鹿野郎だっていうんだ! だいたい、五年前のことだって、オレは全然許してないんだからなっ。あーっ、思い出したら腹が立ってきやがった! よくもあの時、人を足蹴にして置き去りにしやがったな!」

 一言言ったら、その倍以上の文句がポンポンと返ってくる。
 そういえば、ポップと口喧嘩をして勝てるわけなかったんだよなあと、今更の様にダイは思い出した。

「オレはなぁ、てめえにあの時の仕返しをしようって、ずっと思ってたんだ! 今度会ったら絶対にぶん殴って、倍……いや、最低でも三倍返ししてやるってな!」

(……殴られるのは構わないけど、魔法の方が効き目あると思うけどなあ)

 一瞬、そう思ったものの、ダイはなんとかそれは口に出さずに飲み込む。
 怒りに手を震わせているポップは、どう見ても本気で怒っている。その原因が自分にあることを承知している以上、弁明する気にもならなかった。

「ごめん。ホントに、悪かったと思ってるよ。なんなら、好きな様に殴っていいよ」

「よ、よぉーし、いい覚悟だ! じゃ、目をつぶって、歯を食いしばってろ!」

 胸倉をぐいっと掴まれ、ダイは言われるままに素直に目を閉じた。普通なら殴られると分かっていれば、腹筋に力を込め、少しでも衝撃を減らすように筋肉を張り詰めるが、今のダイは敢えて何もしなかった。
 殴ったポップの方の手が痛まないように、むしろ、だらんと脱力したぐらいだ。

 それでポップの気がすむならいいと思ったのだが……予想している痛みは、一向に襲ってくる気配が無かった。
 ダイの胸倉を掴んだ手はそのままなのに、なぜかポップは行動に出ない。

「ポップ?」

 目を開けてみたが、ぐいっとポップが顔を肩口に押しつけてきたせいで、顔を見ることが出来なかった。

「うっせーっ! 黙って目を閉じて、歯を食いしばってやがれ……!」

 聞こえる声は、泣き声だった。
 しがみつく腕も、見える後頭部も、かすかに震えているのが分かる。

「ちくしょう……っ、情けねえな、肝心な時に…っ。あんなに、絶対に、思ってたのに……っ。てめえに会ったら、殴ってやるって決めてたのによ……っ!」

 泣きながら怒っているポップを、ダイは半ば呆然としながら見下ろしていた。
 それは、意外だったからでは無かった。むしろ、逆だ。あまりにも、ポップらしいと思ったから――。

 笑ったかと思うと、すぐに怒って、感情が高ぶればそのまま泣いて。
 ちょっと臆病で、そのくせ意地っ張りで。普段はお調子者のように振る舞っているくせに、いざとなると誰よりも勇敢で、頼りにしていた友達。

 15才のポップは、そんな少年だった。
 あれから過ぎた時間が、短いとは思えない。

 時間の感覚を当の昔に失っているダイには分からないが、ポップはあれが五年前だと言っていた。
 ならば、きっとそうなのだろう。

(その間……ずっと、探していてくれたんだ)

 ゆっくりと、胸に暖かさが広がっていく。
 青年と呼べる年になった今も、ポップの根っこは変わっていない。
 魂の色は、変わらないのだ。

 あの時と変わらないままで、ダイを探し、助けてくれた。最悪の絶望の中からダイを救いあげ、あれほど夢にまで見た地上に連れ戻してくれた――。

「ポップ……」

 込み上げてくる歓喜が、今度はダイの声を震わせる番だった。
 目頭を熱くする感覚に、まだ自分にも涙なんてものが残っていたんだなと、ぼんやりと思う。

 それは、魔界にいる間は忘れていた感覚だった。
 黒と灰色に塗りつぶされた魔界とはまるで違う、緑豊かな地上の光景が目の前に広がっていく様に、心の色までもが塗り変わっていく。
 今こそ、やっと地上に戻ってくることが出来たんだと実感出来た。

「ポップ。……ありがとう」

 この感動を伝えるには、あまりにもそれは薄っぺらな言葉の様に思える。だけど、ダイには他に思い付く言葉がなかったから、思うままの言葉を並べた。

「本当に、ありがとう……。ポップのおかげで、おれ、帰ってこれたんだね。ありがとう。そして……ごめんね、あの時、蹴飛ばしたりして」

 以前より、ずっと小さくなってしまったように感じる身体を抱きしめると、遅せーんだよ、と、鼻を啜る声が響く。
 しばらく、無理やり嗚咽を堪える様にしゃくり上げた後、ポップはぽつっと呟いた。

「……おかえり、ダイ」

「うん。――ただいま、ポップ」

 そう答えるダイの顔には、五年ぶりに浮かべる笑顔が浮かんでいた――。

                                     END


《後書き》
 55000hitキリリク、『魔界ダイがポップに迎えに来てもらう、お持ち帰り話』でしたっ♪
 一応、17才ダイに20才ポップでの、五年後別バージョン魔界ストーリーですが、その割にゃ基本設定はうちのメインである二年後魔界と大差がない様な…(笑)


 ヴェルザーの封印の中側に落ちたか、外側に落ちたかの違いなような気がします。
 ま、まあ、それはそれとして、キルバーンをピロロバージョンで活躍させるのはめったにないので、書いてて楽しかったですっ。


 仕掛けに懲り過ぎたせいでお題にそっている話になったどうかは、今一歩疑問なんですが(<-肝心なとこがダメじゃん!)
 不安要素は多々あるのですが、お気に召して頂けると嬉しいです〜。


《おまけのマイ設定》
 今回、ダイ視点で話を書いたせいで、やたらと細かく練り込んで設定した『キルバーン・マーク?』の説明が全く(笑)できなかったのが非常に無念だったので、ここに載せておきます。

 もっとも、これは読まなくても全然SSには関係ないので、ご興味のない方は読まなくても別に支障はないです(笑) 

 

『キルバーン・マーク?について』

 ……まあ、正式な名前は付いていないのですが、便宜上そう呼びます(笑)
 真のキルバーンであるピロロが作り上げた、二機目の自動操り人形です。外見はわざと以前の人形に似せていますが、中身や機能は全く異なります。

 以前のキルバーンはピロロの正体を隠すと同時に、ある程度の戦闘もこなす上、爆弾を秘めた操り人形でしたが、マーク?は空間移動と人間の保護機能を主目的とする操り人形です。

 地上と魔界を移動する機能が付いていますが、無理に空間を繋げ、爆破衝撃によって移動するという乱暴な移動手段のため、上級魔族並かそれ以上の頑健な肉体を持っていなければ、移動の際の衝撃に巻き込まれて大きなダメージを受けます。

 移動の際、人間を連れてきても死なせないように、自身の内部に人間一人を収納出来るシステムを持つ、非常に嫌な造りの操り人形です(笑)
 人形内部には、魔法力を変換して生命維持を持続する機能がついています。

 内部にいる人間は、魔界の瘴気から守られ、食事や排泄を必要とせずに生命を維持することができます。ですが、内部にいる人間自身の魔法力を変換してその機能を維持するので、内部の人間の魔法力が弱まれば次第に衰弱し、枯渇した際には死に至ります。

 普通の人間では全く意味のないシステムだし、魔法を使える者でも標準以上の力を持っていないと機能しない上、長く入れっ放しにしておけば徐々に弱っていく嫌な仕掛けです。 内部の人間の抵抗を抑える仕掛けはないので、意思を封じる首輪とセットで使う目的で作られています。

 元々、ダイをおびき出すための人質を魔界へ連れてくるのを目的に作った人形なので、マーク?自体には戦闘能力はありません。ある程度の自走性はあるので遠隔操作も可能であり、命令を受ければその通りに動く力はありますが、防御力は高くても攻撃力は皆無です。

 そのため実際にポップを拉致した時は、戦闘能力を持つ魔族を実行部隊として共に送り出しています。また、別にマーク?は対ポップ用に作られた機体ではありません。基本的には、レオナを捕獲する目的で作られています。

 魔界でしばらく生存させる目的があるため、魔法力の高い人間を手に入れたいと最初からピロロは考えていました。
 ポップか、レオナか……どちらを人質にしてもダイにとっては効果があるなら、パプニカに必ずいると分かっていて、しかもより戦闘力に劣るレオナを狙った方が楽と判断したのです。

 が、マーク?が襲撃してきた際、たまたまポップがパプニカにいたため、レオナ拉致計画は失敗。それどころかキルバーンの企みを見切ったポップが、わざと掴まったふりをして魔界に乗り込んで裏を掻くという本編の話に繋がる……とゆー話を考えたりしてました。


 ――つーか、ここまで考えていたんなら、こっちの話から書いてもよかった気もします(<-気付くの遅っ)
 ついでに思ったのですが、この流れだったら、いくらダイを連れ戻すためだったとはいえ、ポップがレオナ達と再会したら一騒動ありそうな気もしますね(笑)
 

前編に戻る
小説道場に戻る
トップに戻る

inserted by FC2 system