とある死神からの挑戦状

ハァ〜イ、グッドイブニング♪
クククッ、今宵はとっても月が美しい夜だねえ。
何かが起こるのに相応しい……そんな夜だと思わないかい?

ところで、キミ達は人狼ゲームと言う遊びをご存じかな?
人狼と言っても、彼等は見た目は人間そのもの。話しても、今までの彼等とは何の変わりもない。――昼間はね。


ところが、夜になると狼の本性を現して、人間をガブリッ!!


フフフ、どうだい、こんな不気味存在が同じ村の仲間として、素知らぬ顔で混ざっているだなんて、恐ろしくて仕方がないだろう? 何せ放っておけば毎晩一人づつ餌食となり、終いには最後の一人まで食い殺されてしまうのだから!

惨殺された仲間の死を嘆く、キミのすぐ隣にいる人間こそが人狼なのかもしれないよ……クックックッ。


え? 黙って食い殺されるのなんて嫌だ? そう思うキミに、朗報だ!
人狼を殺すゲームに参加させてあげよう……なぁに、ルールは簡単、殺るか、殺られるかだよ。

キミ達は仲間全員で話し合って、人狼だと思う一人を決定し、夜になる前に処刑する!
ただ、それだけでいいのさ♪
人狼は、吊すことでしか殺せないからね。


おや? 何を尻込みしているんだい? え? そんなことをして、間違って狼では無い人を殺してしまったらどうするって?

フーン、それはそれで仕方がないってものじゃないかな? 
全員が食い殺されるのを羊のように震えながら待つより、多少の犠牲は覚悟の上で攻撃した方がいいと思うんだけどね。

狼を全滅させれば、人間の勝ち。
だけど、人間の数を狼達の数よりも減らせば……狼の勝利になる!
勝利した狼達は、一つの村を滅ぼすぐらいでは満足しない。新たな獲物を求めて、また、どこかの村を襲うだろう。
……へぇ〜、そう聞いたら戦う気になったかい?


クックック、まあ、ボクも鬼じゃないからね。
哀れな人間達のために、特殊能力を幾つか与えよう!

まずは占い師!
占い師は、夜の時間に任意の人間を一人、占うことができる。
占い師には、全てお見通しさ……相手が人間なのか、あるいは人の振りをした狼なのかを即座に見分けるだろう。


お次は霊媒師!
霊媒師は、前の晩に死んだ人間が人間なのか、狼なのかを見分けることができるよ!
これで、残った狼の数を把握もできるし、間違って殺っちゃった人間の死を安心して嘆くこともできちゃうってわけさ♪

まだまだいるよ、狩人!
狩人は、夜に任意の人間一人を選んで、守ることができる。
狩人に守られた人は、たとえ狼に襲撃されても死なないよ♪ つまり、狼の攻撃を防げる人材ってわけ。
凄いと思うだろう? フフフ、でも狩人は自分で自分の身は守れないんだけどね。


さて、これら特殊能力を与えられた人達に、ご忠告♪
狼にとって、これらの特殊能力者達は厄介な存在さ……よって、彼等は特殊能力を持つ人間を優先的に噛みにくる。
この意味が分かるかな?

つまり、キミが能力持ちだとして、村を救うために英雄のような心持ちで名乗りを上げたとしよう。
その途端、狼もキミに注目する。
クックック……おめでとう、スリリングな人生がキミを待っているよ。


狼は、夜、キミを殺そうとするかも知れない。
あるいは昼間、キミを嘘つきだと貶めて吊す対象へなる様に導くかも知れない。
なにせ、狼は嘘つきだからねえ♪

そうそう、言い忘れていたけれど、狼は嘘つきさ!
嘘をつけない人間達と違って、狼は自由に嘘をつく。
キミが占い師だと決死の思いで告白した瞬間、自分こそが真の占い師だと名乗りを上げて、人間達を翻弄してしまうかもね。


しかも、狼達は夜にこっそりと相談することができる!
人間が、今夜は誰が殺されるかと震えながら目を閉じている間、狼達は笑いながら相談して今夜の獲物を決める。
あるいは、翌日、どんな風に人間を騙すか話しているのかもしれないね。
でも、狼達の声はキミ達にはただの遠吠えとしか聞こえない。


そして、敵は狼達だけではない。
人間なのに、人狼に心酔してひたすら味方をする……それが、狂信者さ!
狂信者は、嘘つきさ。

狂信者には、何の特殊能力もないし、狼が誰なのかも分からない。
だが、それでも狼に有利になるように取り計らおうとする。自分の身を危うくしてでも、ね。
狼のためになら、自分が吊されても、食われても本望だと考える。
フフフ……、まさに狂人と言えるね。


ただ、気をつけなければいけないのは、狂信者はどんなに狼に狂っていても人間だってことさ。
占いの結果も人間と出るし、霊媒師にも人間だと判断される。
生き残っている場合も、人間勢の数としてカウントされるよ。
迂闊に殺してしまうと、人間の数を減らしかねない厄介さがあるのさ。


おやおや、何をそんなに青ざめているんだい?
怖じ気づいたのかな……でも、もう遅い。
もう、とっくにゲームは始まっているんだ。

キミも知っての通り、パプニカ王国の城下町ではここ数日、不可解な殺人事件が連続している。
殺された人間は、見るも無惨な死に様だったそうだよ。
まるで、狼に食い殺されたみたいだってね……クックック。


この話を聞いたお姫様は、すぐにこれが人狼の仕業だと見抜いたよ。
しかも、その犯人がパプニカ城内にいると判断し、候補をすでに絞り込んでいる。
人狼候補は、次の通りさ。

勇者 ダイ
大魔道士 ポップ
魔剣士 ヒュンケル
拳聖女 マァム
パプニカ王女 レオナ
三賢者 アポロ
三賢者 マリン
三賢者 エイミ
テラン王女 メルル
兵士A キミだよ♪


フフフ、自分まで人狼候補だと判断できる冷静さ、さすがはレオナ姫だねえ。
彼女は自分自身も含めた十人を離宮へと閉じ込め、決着がつくまで決して外には出さないようにと兵士達に命じた。
これでもう、狼を全滅させるか、人間が全て死に絶えるまで扉は開かない!


断言しよう!
人狼は、この十人の中にいる!
二匹の狼、狂信者、占い師、霊媒師、狩人、そして4人の人間……この中から狼を探し出して欲しい!

言うまでもないが、キミ(兵士A)は人間だよ……キミが一番良く知っているだろうけどね。
残りのメンバーは、全てが勇者一行の面々だ。
世界を救った英雄達の中に、確かに二匹の狼が紛れ込んでいる――ククク、キミにそれを見抜けるかな?


さあ、命がけのゲームの始まりだ!!
裏切り、駆け引き、嘘――それらをくぐり抜けて、見事に狼を全滅させることができるかな?
フフフフ、覚悟はいいかい?

 


 

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