『ダイの秘密』(2021.4.17)
  
 

《粗筋》

 テラン城の地下牢前では、メルルがドラゴンの騎士……バランの接近を予知していた。
 さっそく対処しようとするクロコダインに、レオナは自分も参戦する意志を語る。
 
 迷うクロコダインだが、レオナの意志の強さを認め、受け入れる。
 ナバラとメルルにダイを牢屋の外に出さないようにと言い残し、レオナはダイへと視線を向ける。
 それに気づき、わずかに怯えた様子を見せるダイ。

 レオナは何かを決意した表情を見せ、パプニカのナイフを手に取り、それをダイの腰に取り付ける。
 ダイは怯えて嫌がるが、レオナはじっとしているように言い、この武器で自分の身を守りなさいと告げる。

 だが、ダイは身を守ることも戦うことも怖いと感じているようだ。ナイフすら涙ぐむほど怖がり、取ってと怯えるダイの前で、レオナは沈んだ表情を見せる。

 そんなダイの頬に手を当て、レオナはダイを抱き寄せる。柵越しに抱擁し、キスをする。
 驚きに目を見開くだけで、ほぼ硬直しているダイ。

 そんなダイに、レオナは『勇者ダイ』について語る。
 勇気があり、明るくまっすぐな少年……それこそが本当のダイだと言い、今のビクビクしているだけの君は勇者でもダイでもないと、訴える。

 しかし、レオナのそんな心からの訴えもダイには響かない。
 自分が勇者だなんて嘘だというダイに対して、レオナは静かに首を横に振る――そんなことは有り得ない、とでも言うかのように。

 が、ダイはもう少し待てば自分を守ってくれる人が来ると言う。
 それに驚く、メルルやナバラ。
 だが、クロコダインだけは驚く様子はない。単に、ダイがバランを本能的に父と感じていることを再確認しただけだった。

 レオナはダイの手を握り、接近する存在が敵だと言い切る。
 ダイの心から自分達の思い出を奪った敵が来るのに、喜ばないでよと強く言い切るレオナ。
 そんなレオナを、痛ましそうに見つめるのはメルルだった。

 レオナは涙ながらに、ダイに戦うようにと告げる。
 戦って、思い出と勇気を取り戻して、と――。
 それを聞いても、ダイは変わらない。自信なさげに俯いているだけだ。

 しかし、レオナはそれ以上返事を強要する事無く立ち上がり、クロコダインに呼びかける。
 迷い無く駆け去って行くクロコダインとレオナ。

 レオナが立ち去った後、ダイは身をよじって腰のナイフを見下ろす。
 ぼんやりと思い出すのは、南の島での光景。
 レオナがダイにナイフを渡していた――はっきりとは思い出せないながら、なんだか前にもこんなことがあったような気がすると呟くダイ。





 一方、ヒュンケルを倒したラーハルトは、倒れたヒュンケルがまだわずかに動いているのを見て、まだ死んでいないのだと悟る。
 だが、ポップの時と違い、ラーハルトはヒュンケルに止めを刺してやる気は無い。
 ディーノ奪還のため、バランの下へ急ぐつもりでいる。

 それを、薄れがちな意識の下で聞いていたヒュンケルは、起き上がる。
 ダイを渡さないと言い切るヒュンケルは、ダイを地上の人間全ての希望だと考えている。

 が、それを一笑に付すラーハルト。
 人間にはその権利はないと蔑み、冥土の土産にバランの憎しみの根源を明かす。バランの妻――ダイの母親が人間に殺されたという事実を。
 それに、衝撃を受けるヒュンケル。

 ダイの母が何者かと問うヒュンケルに背を向け、ラーハルトは竜の騎士について語る。
 竜の騎士は本来、聖母竜によって生まれ、聖母竜によって命の終わりを看取られる。家族など、存在するはずもない一代生物……だが、バランの代に例外が起こった。

 15年前、魔王ハドラーが現れた時、竜の騎士ではなく人間の勇者がそれを倒した。その時、バランは魔界で地上支配をもくろむ冥竜王ヴェルザーと戦っていた。
 ヴェルザーに比べればハドラーは小物であり、バランはヴェルザー戦に集中せざるを得なかった。



 死闘の末、瀕死の重傷を負ったバランは、竜の騎士が回復するという奇跡の泉へと向かう。だが、泉を前にして力尽き、倒れ込んだバラン……その顔に、水滴がしたたり落ちる。

 見上げれば、そこにいたのは両手に水を溜めて差し出す美しい人間の娘……それが、二人の出会いだった。
 二人の間に愛が芽生えるのに時間はかからなかった……だが、ソアラはアルキード王国の姫だった。

 ソアラに誘われてアルキード城を訪れたバランを、アルキード王は最初は歓迎した。
 だが、それを快く思われない家臣達がいた。
 彼らはバランは人間ではないと王に耳打ちし、バランを追放するように企んだ。

 雨の中、一人、城から旅立とうとしたバランの前に現れたのは、同じく雨の中佇むソアラだった。
 彼女に別れを告げ、去ろうとするバラン――だが、ソアラは『自分達』を置いていかないでとすがりつく。

 その言葉からソアラが子供を授かったことを察し、竜の騎士である自分が子供を得たことに驚くバラン。
 その奇跡を味わった以上、ソアラを置いていくことなどできない。
 雨の中、二人は分かちがたく抱き合った――。






ヒュンケル「その子供が……っ」
ラーハルト「ディーノ様だ」





 バラン達はテランの深い森の置に、静かに隠れ住んでいた。
 息子を見て、なんという名前にしようかとソアラに尋ねるバラン。ソアラはディーノという名前をあげる。
 アルキードの言葉で、古き竜という名前だという。

 いい名だと喜び、ダイを高い高いするバラン。だが、それでディーノが泣き始めたのを見て、慌ててソアラがディーノを抱き留め、あやす。
 それをちょっと憮然とした表情で眺めるバラン。それは、まだ若くて不慣れな、だが幸せな夫婦の日常光景だった――。






ラーハルト「だが、人間達はそんな安息の日々も許さなかった……!」






 魔物に王女を奪われたとあっては国の名折れと、アルキード王は二人の居場所を突き止め、王自ら大群の兵士を率いてテランの小屋を取り囲んだ。
 幼くても異変が分かるのか、泣くディーノ。そんなディーノをあやしながら、ソアラも不安そうにバランに声をかける。

 バランに人間を殺す気はない。
 ソアラとディーノ……自分にとって最も大切な者達を見つめ、バランは決断を下す。

 自分が降伏するのと引き換えに、ソアラとディーノの安全を求めた。
 アルキード王はそれを受け入れるが、魔物の血の入った子を国に置くわけにはいかないと、ディーノを船に乗せて異国へと送る。

 バランは極刑となり、城の中庭で魔法使い達の炎で焼き殺されると決まった。
 棒杭に後ろ手にくくりつけられたバランは、何一つ抵抗せずに静かに目を閉じる。
 願うのは、ソアラとディーノが幸せに暮らすことだけだった。

 バラン追放を企んだ家臣の命令により、三名の魔法使いから一斉に炎の魔法が放たれる。
 その炎がバランに当たる寸前、悲痛な悲鳴と共に飛び込んできたのはソアラだった。

 バランを庇って自分の背中で魔法攻撃を受けたソアラ……バランの目が大きく見開かれる。
 目の前で起こった惨劇に驚愕するアルキード王や家臣達。特に魔法使い達は、後悔するように自分の手を見つめていた。

 だが、バランはそんなことなど目に入っていなかった。
 ソアラが崩れるように倒れるのを見て、いとも簡単に背中の縄を引き千切る。元々、バランにとっては、それはいつでも千切れるものだった。

 ソアラを抱きかかえ、彼女に呼びかけるバラン。
 瀕死のソアラは、父親達の非道をこれ以上見ていられなかったのだと訴える。人間を恨まないでと望む彼女は、人間達が臆病なだっただけだと言う。

 バランはソアラを気遣ってこれ以上話さないようにと言うが、ソアラは喋るのを止めない。
 ディーノを探して、二人で平和に――そこまで語って、彼女は力尽きてしまった。



 バランの肩を抱いていたはずの手が、静かに滑り降りる。力なく地面に落ちたソアラの手は、もう動かない。ついさっきまで笑顔を浮かべていた口は、もう、その呼吸を止めてしまった。

 そんなソアラの顔に、ぽたり、ぽたりと水滴が落ちる。
 もう、動くことのないソアラを抱きしめ、慟哭するバラン。

 悲劇を目の当たりにして怯える家臣達の中で、いち早く気を取り直したのはアルキード王だった。
 怒りに駆られ、魔物を庇って死んだ娘を恥さらしだと言ってのけたアルキード王をきっかけに、バランの怒りが炸裂する。

 床を強く拳で殴りつけ、バランは激昂する。
 バランの怒りはアルキード王個人にではなく、人間達全てへと向けられていた。
 人間共に消えろと叫んだバランに呼応し、凄まじい閃光が膨れ上がってアルキード王国を一瞬で消滅させた。

 亡くなったソアラを抱きしめ、空を飛ぶバラン――彼はこの時、人間達を見限った。
 人間達のクズさを嘆き、そんな人間を守るために冥竜王と戦った事さえ悔いるバランの目から、とどまることなく涙が溢れる。

 抱きしめたソアラの顔に伝って流れ落ちるその涙は、まるでソアラが泣いているかのように見えた――。






 
 その後、バランは世界中探したが息子を見つけることは出来なかった。どうやら船が難破してしまったらしい。
 失意のどん底にいたバランに、大魔王バーンが声をかけたのだった。
 まず、滅ぼすべきは、人間ではないか、と――。

 ラーハルトの話を聞き終わったヒュンケルは、立ち上がろうとしていた。経っているだけの力も無いといいながら、それでもヒュンケルは立とうとしていた。
 ダイのために。そして、バランのために。




 それを聞いて、ラーハルトは血相を変える。
 だが、ヒュンケルにしてみれば、バランの心理はよく理解できるものだ。人間に失望した過去を持つからこそ、彼の絶望感も周囲の破滅を望む気持ちも理解できる。

 しかし、仲間によって人間の良さに気づかされたヒュンケルは、それをバランに伝えてやりたいと思う。自分になら出来るかもしれない――今のヒュンケルだからこそ、そう思えた。

 が、ヒュンケルのそのバランへの共感はラーハルトの怒りを買う。バランの怒りを見くびられたと感じたのか、激昂するラーハルト。
 怒りのままに攻撃するラーハルトの槍先を、ヒュンケルは躱した。

 それに驚くラーハルトだが、ヒュンケルに言わせればそれは当然の帰結。
 これまでヒュンケルは、竜騎衆戦後に控えるバラン戦のことを考え、余力を残すために攻撃を避ける間合いを広めに取っていた。

 しかし、今のヒュンケルは捨て身だ。
 喰らっても構わないと考え、致命傷さえ避ければいいと最小限の動きで躱すからこそ、避けることができる。

 そんなヒュンケルの言葉を否定するがごとく、猛攻を仕掛けるラーハルト。だが、ヒュンケルはふらついてるように見えて、それらの猛攻を紙一重で躱していく。
 そして、隙を見て自分の剣を拾い、ラーハルトに斬りかかった。
 
 拾い間合いを持つ槍は、手元に飛び込まれるとかえって動きが封じられる。なんとか突き放そうと槍を振るうラーハルトだが、捨て身のヒュンケルは食いついてきて離れない。
 火花の散る剣戟で優位に立ったのは、ヒュンケルだった。

 ヒュンケルのふるう剣を、槍の柄で辛うじて止めながらラーハルトは思わず問う。

ラーハルト「どこにこんな力が……!? それに先程までよりも速い」
ヒュンケル「これが命を懸けた時の人間の力だっ!」

 だが、それだけは認めないと、ラーハルトは再び攻撃に転じた。今度はさすがのヒュンケルも躱しきれないのか、棒立ちのまま攻撃を食らう。それでも手加減せずに連続攻撃を仕掛け、ラーハルトは彼を突き放した。
 一旦距離が空いた瞬間を狙った攻撃に、ついにヒュンケルは再び倒される。

 仰向けに倒れ込んだ姿勢も、前と同じ……だが、ラーハルトは今度はそのまま見過ごす気もなければ、単に止めを刺して終わらせる気も無い。
 己の最強の技で勝負を仕掛けようと、槍を回し始めるラーハルト。

 予備動作からラーハルトの決め技を読んだヒュンケルは、拳を握り込む。その拳がかすかに紫色の光を放っていたことに、誰も気がつかなかった。
 空中に高々と跳び上がったラーハルトの姿を、ヒュンケルは見てはいなかった。

 放心したような表情の後、全てを諦めたように目を閉じる。
 しかし、ラーハルトの攻撃の手は止まらない。彼の必殺技、ハーケンディストールが放たれる。

 が、その瞬間、ヒュンケルが刮目した。
 それは、ヒュンケル自身の命を囮とした罠だった。ヒュンケルが差し伸べた両手を繋ぐのは、光り輝く金鎖。

 そして、ラーハルトの放つ技の描く闘気の形は、十字を形取る。
 闘気のぶつかり合うで生み出された十字架を利用し、今度はヒュンケルが必殺技を放つ。
 グランドクロス――その技にラーハルトはひとたまりも無く吹き飛ばされる。

 宙に舞い上げられながら、ラーハルトは無防備なはずのヒュンケルがなぜ闘気をこめた武器を持っていたのか――その疑問を狂おしいまでに追求していた。……高々と舞い上がった身体が、轟音と共に地面に落下するその瞬間まで。

 それに応じて、ヒュンケルは自分に残された最後の武器を見せる。
 涙型のペンダントにしか見えない、アバンのしるしを。
 ちゃちな鎖にしか見えないそれは、アバンの使徒の絆であり、決して切れることはないと断言するヒュンケル。

 絆、とオウム返しに呟き、ラーハルトは力尽きたのか地べたに伏せってしまう。
 辛うじて勝利を拾ったヒュンケルだったが、彼もダメージが大きかった。グランドクロスを使った後は、思うようには動けない。

 しかし、背後から気配を感じたヒュンケルは身を翻してそれを躱し、それと同時に自分の剣を拾い上げる。
 ヒュンケルを襲撃したのは、鎖鎌の刃を直接握り込んだボラホーンだった。

 ボラホーンをもう一度倒そうと、気迫を込めるヒュンケル。
 だが、ボラホーンは余裕たっぷりに笑う。

ボラホーン「出来るかな?」

 驚愕に見開かれるヒュンケルの目の前に、ボラホーンの手に掴まれたポップが突き出される。頭を握りこまれ、ぶら下げられたポップはひどく苦しそうだった。
 ポップを人質に、武器を捨てるようにと迫るボラホーン。

 卑怯だとヒュンケルが非難するも、その途端にボラホーンは拳に力を込める。文字通り頭を割られるような苦痛にうめくポップを見て、ヒュンケルは耐えかねたようにやめろと叫ぶ――。


《感想》

『ヒュンケルとラーハルト戦、期待以上!』
 と言うのが、今回の一番の印象でした♪ 前半を見ていた時は、バランパパンで全てを塗りつぶされるかと思う迫力でしたが、夢にまで見た剣と槍との戦い方が実に良かったです!

 いや、若き頃のバランやソアラの恋物語もよかったのですけど♪ ソアラ姫、なんとなく原作よりもレオナに似ている印象を受けますね。
 原作ではソアラとレオナが似ていると思ったことは一度も無かったので、アニメにならではの感想の一つです。

 今回のスタートは、テラン城からだったのはちょっと意外でした。前回の続きからだと、ヒュンケルとラーハルトの続きからだとばかり思っていたので。
 テランでのメルルの予知、原作よりも具体的に!
 原作ではすごいエネルギーを持った者だと言っていましたが、アニメでは竜の騎士様と名指しでしたね。

 また、クロコダインが戦いに備える緊迫感のあるシーンで、ダイがバンダナをちょっとずらして紋章の光を不思議がっているシーンが、実に可愛かったです♪

 原作でもダイは不思議そうにバンダナを押さえていますが、バンダナを少しずらすという動作がくわえられているのがいいですね。

 自分も戦うと申し出るレオナとクロコダインのやりとり、実にいい感じでした。原作と違って、真正面から向き合う時間をしっかりと取っているのが嬉しい限りです。クロコダインの目の中にレオナが映る演出が、特に気に入りました!

 でも、ダイがバランの接近を感じていることにナバラやメルルがすごく驚いていましたが、いや、あんた達だって同じ事が出来るのになぜ驚く? と、突っ込みたくなりました。

 しかし、パプニカのナイフ……なぜか牢の外にあるテーブルの上に置いてありましたが、先週まではあのテーブル自体なかったような気が……気のせい?(笑)

 まあ、それはともかくレオナがパプニカのナイフを手にする時、顔に影が入るカットの演出はいい挿入だと思いました。

 ダイとレオナの抱擁シーン、もしくはキスシーンは、これまでずーっとどっちなのか不明だと思っていたのですが、アニメではキスシーンっぽいですね。
 レオナの前髪がさらっと落ちるシーンが、非常に美しかったです。

 しかし、原作でも思いましたが、レオナは勇者ダイに拘るあまり、今、目の前にいるダイを全否定しちゃっていますね。
 記憶を失った不安定なダイにとって、これはよろしくないです。今の自分では、周囲が自分を受け入れてくれないと思い込ませてしまうので……。

 その不安感があるからこそ、ダイが本能的に同族の保護を求める気持ちが強まったんじゃないかと思えます。

 それはさておき、自分は勇者じゃないと言うダイに対して、レオナが首を横に振るシーンはアニメの改変ですね。静かですが、印象的なシーンです。
 なのに、ダイはバランの接近を喜んでいるという皮肉。
 
 記憶喪失中のダイは不安そうな表情でいることが多いのに、この時のダイはすごく嬉しそうな表情をしていますね。レオナにとっては、辛いシーンです。

 それはいいのですが、メルルのカットが移動したせいで「なんて強い女性(ひと)なの……」と言う彼女のモノローグがカットされてしまったのが悲しいですよ〜っ。
 
 単に、レオナ姫と呟くにとどまってしまいました。
 メルルがレオナの強さに感服する感じがして、気に入っていたシーンなのですが。

 そして、ダイがナイフについて回想するシーン、ダイがおっかなびっくりナイフを取り出すシーンがカットされたのは残念ですが、シーン回想がダイの意識に合わせてぼやっとした焦点が甘いカットになっていたのは嬉しかったですね。

 ただ、ダイには自分が勇者ダイだという自覚がないだけに、自分の姿はもっと曖昧な方がいいような気がしました。でなければ、最初からダイの目に映るレオナのシーンに限定して欲しかったです。

 ラーハルトの過去語り、原作と違って背を向けて話しだしたのが意外でした。てっきり、敵には背中を見せない主義かと思っていたのですが(笑)
 そして、ついにっ、聖母竜を見ることが出来たのに感激しましたとも!
 やっぱり白い竜だったんですね、優美で美しい竜です。

 回想シーンでのハドラー襲来劇で、逃げ惑う人々の中、倒れた母子を庇う父親のカットは良かったです。原作では倒れた母子しか描かれていなかったので、彼女達が助かったと思うとホッとしますね。……もしや、あえなく親子三人そろってという可能性もありますが……いえいえっ、ものごとはいい方向に考えたいですっ。

 ハドラー対アバン戦、しっかりとしたカットで描かれたのも嬉しい限り♪ これはもしや、第一話の続きですかね? 

 若きバランの戦い、くるくるときりもみでヴェルザーと戦う姿が、ベンガーナでヒドラと戦うダイに重なって見えました。
 さすが親子と言うべきか、それともこれが竜の紋章に伝わる記憶のせいか、ドラゴンに対する戦い方に統一感がありますね。 

 奇跡の泉に向かうバラン、原作では一応歩くシーンがありましたが、アニメでは思いっきり這いずりまくり(笑) 

 行き倒れバランが手を伸ばした先の泉、虹色の輝きが垣間見えて非常に綺麗です。バランが見ていた時は普通の泉っぽかったので、太陽の当たる角度で色が変わって見える五色湖みたいなものなのでしょうか?

 ソアラとの出会いシーン、光差し込む美しいシーンだったのは嬉しいのですが、欲を言えば原作の白黒の鮮烈さも出して欲しかったです……っ。
 周囲が真っ暗に見える中だからこそ、太陽を背負って現れたソアラの輝きに目を奪われるシーンを是非とも再現して欲しかったのに〜っ。

 寸前まで死にかけていたんだし、バランの視界で周囲が灰色と黒に染まって見えて、最後の瞬間に光を背負ったソアラを目撃。
 ソアラの言葉と共に、世界がゆっくりと色を取り戻す――そんな演出が見たかったです。

 ああ、でもソアラの声が澄んで可愛らしい感じで、そこは大いに気に入りました。
 ところで、原作ではお付きの侍女らしき者が二名後方に控えていましたが、アニメでは彼女らはカットされていますね。

 そして、ソアラの服……アニメで見ると、なんて露出が多めっ(笑)
 原作でも谷間が丸見えの、胸のコルセット風の組紐合わせがすごく悩ましいと思っていましたが、さすがにそこは谷間が見えないように修正されていたものの……足のスリットの方はなんで原作の深さのままで通したんですかっ!?

 お色気制限に統一感はないんですかー、あれって、いくらなんでもスリットが空きすぎなのでは?(爆笑)

 バランとソアラの抱擁シーン、原作ではマントに隠されていたソアラの服が、アニメでは足が向き出しにっ。え、ええと、お色気制限はいったいどこに?

 バランを快く思わない家臣達、原作寄りもグッと数が増えているのにも爆笑しました。敵、多すぎませんか、バランパパン? 兵士達でさえ睨みつけていますよっ。

 ついでに、婿に入る男に王座を譲ることが前提になっているアルキード王国は相続に関する法規を見直した方がいいと思います。

 いくら王権が基本的に男性に与えられる者だとしても、血統的に女性の方が王位継承権を持つ場合への対策は必要だと思うのですが。
 婚姻相手を王配と見なして政治力や継承権を抑える手法はヨーロッパではよく取られた方法ですし、王女が一人しかいないならその時点で手を打っておかないと。

 アルキード王、どうにも融通が利かないというか、柔軟性がない王様みたいですね。

 んでもって、雨の中のバランとソアラの抱擁シーン……こっちは疑いの余地も無く、キスしまくっとりますね(笑) 原作にないのに、なぜここでアップで思いっきり恋愛イベントをぶっ込んできたのやら。親子そろってキスシーンな展開!

 そこからいきなりヒュンケルとラーハルトの場面に切り替わって、ちょっと驚きました。
 原作ではずーっとラーハルトの語りで通していましたが、アニメではヒュンケルの反応も入れているのが、いかにも話を聞いている感じがしますね。

 アニメで感心したのが、ヒュンケルが「ダイ」と呼ぶ前に、ラーハルトが「ディーノ様だ」と強く言っているところです。ラーハルト的には、バラン様の息子が人間の呼び名で呼ばれることすら不快なんでしょうね。

 そして、些細な違いですが、原作ではバランとソアラはテランの森に逃げ延びてからダイを産んでいる、と説明されていますが、アニメではバランとソアラ、ダイの三人で隠れ住んでいると説明されています。

 アニメ版ではもしかすると、ダイが産まれるまでの間、彼らに協力した人間がいたのかもしれないと想像させてくれます♪
 原作では、ダイはお包みで包まれているだけでしたが、アニメでは立派な産着を着ていましたし。

 しかし、ダイに名前をつけるシーン……目はぱっちりと見開き、動きも活発、表情の変化も大きくて、どう見てもこの子、新生児じゃないんですけどっ。命名は二週間以内にお願いしますっ、新米パパさんっ、ママさんっ。
 っていうか名前の相談なら、なぜ産まれる前にしとかなかったの!?

 さらに言うのなら、乳飲み子がいる母親に料理させている間、あんたはぼーっと子供を眺めているだけって、なにやっとるんですか、バランパパンッ!?
 もし、万一、首も据わっていない新生児なら、脇の下を持って持ち上げて高い高いなんて持ち方しちゃダメですってばっ。

 しかし、原作でもこのシーンのバランは髭を生やし始めていましたが、アニメだと原作よりも薄めの髭のせいか、若く見えますね。
 ダイをソアラがあやしている際に、頭の後ろに手を当てている表情が「まいったなぁ、なんで上手く出来ないんだ?」って感じで、いかにも子供に不慣れな青年って感じがするのが新鮮でした。

 アルキード王が来るシーン、思っていた以上に兵士達の数が多くてビックリしました。いくらなんでも多過ぎでしょっ。
 
 ダイが船に乗せられて異国に送られるシーン、画面全体が暗くなっていくのが、これから来る嵐とデルムリン島への漂流を暗示しているように見えました。

 ソアラの最後の言葉、笑顔で語っているのはいい改変ですね。原作では終始、辛そうな表情でしたが、アニメ版では彼女は父親達の非道について辛い思いはしていても、バランとディーノの今後を思って最後の最後に笑顔を見せた……そんな風に思います。

 また、バランの涙によりソアラが泣いているように見えるシーン、原作にはない改変ですね。そうじゃないと言いたいにもう伝えることの出来ない、ソアラの嘆きが見えるかのようです。

 ――と、感動のコメントの後になんですが、13分40秒前後のソアラの背中……なんで炎で焼かれてマントや服が焼けたのに、肌がめっちゃきれいなままなんですかっ!? 火傷一つ無い、お美しくもセクシーな背中のラインが丸見えなんですがっ。

 せめて、黒焦げに……って、マリンさんの時も火傷はNGでしたっけ。いや、それならせめてマントと服の破けを少なくするとか、原作のように背中は見せないアングルにするとか……っ。なんかこう、もうちょっと工夫できなかったものでしょうかね。

 ラーハルトの語りが終わった時、日が差して周囲が明るくなり、ヒュンケルが立ち上がる演出は良かったです!
 原作でも雨や曇り空などをうまく使って表現していますが、アニメではカラーなだけに天候変化が際だって見えますね。

 ヒュンケルとラーハルトの攻防、動きやスピード感に文句はないですが、原作ではヒュンケルはラーハルトの猛攻を避けきれずに小さな傷を連続で負って血が飛んでいるのですが、そのシーンはカットみたいですね。
 特に、胸の傷がついたばかりなのに古傷みたいになっているところなど、ちょっと興ざめなのですが。

 ……バランパパンなど血まみれだったんだし、それぐらいの流血ならいいかと思うんですが。

 ヒュンケルが倒れ、拳を握り込むシーン。
 紫色の光が光っているのが、嬉しくなりました! 原作では特に光っている描写はないのですが、ミナカトールのことを思えばここで魂の色を見せてくれるのは歓迎です!

 ヒュンケルのグランドクロス、やっぱり迫力がありますね。
 個人的には、最後にヒュンケルがアバンのしるしを掲げた時、ヒュンケルの顔が映り込んでいたのが気に入っています♪

 ボラホーンの襲撃、ヒュンケルに被さるように大きな影が見えてからヌッとボラホーンが登場するのはいいんですが、ヒュンケルってば華麗にジャンプして躱してますよっ。動けないんじゃ無かったんですか!?(笑)

 原作でも避けていましたが、あんな風にジャンプして避けていたとは思いもしませんでした。しかも、ジャンプと同時にしっかりと剣を拾いに行っている辺り、あまりにも抜け目がない……MP0になる度にフラフラしているポップとはえらい違いです(笑)

 ボラホーン復活時のヒュンケルの台詞、大幅にカットされていますね。ボラホーンの台詞もですが、彼の台詞は減っても文句があまりなさそうな気がします(笑)

 ポップが人質にされたところで、続くとは……。結局の所、ポップって主戦力でも傍観ポイントにいても、いつだって瀕死でピンチな立ち位置になっちゃうんですね。
 原作ではここで切ってはいないんですが、次回への引きにはぴったりなシーンとは思いました。

 けどっ!
 なら、なぜに予告の段階でポップとヒュンケルが無事にレオナ達と合流しているシーンを流しちゃうんですかねー!?

 しかも予告段階で、『激闘の末ラーハルトに願いを託されたヒュンケルとポップ』って、言っちゃってますよっ、それ、次回放映分っ。この時点では、まだラーハルトは遺言前っ(笑)
 ダイが檻から出るシーンも暴露済みですし。

 ここは、先がどうなるのか分からないけど、ピンチなクロコダインとレオナをメインにバランのすごさをアピールする予告で良かったのでは……?

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