『ダイの秘密』(2021.4.17) |
《粗筋》 テラン城の地下牢前では、メルルがドラゴンの騎士……バランの接近を予知していた。 レオナは何かを決意した表情を見せ、パプニカのナイフを手に取り、それをダイの腰に取り付ける。 だが、ダイは身を守ることも戦うことも怖いと感じているようだ。ナイフすら涙ぐむほど怖がり、取ってと怯えるダイの前で、レオナは沈んだ表情を見せる。 そんなダイの頬に手を当て、レオナはダイを抱き寄せる。柵越しに抱擁し、キスをする。 そんなダイに、レオナは『勇者ダイ』について語る。 しかし、レオナのそんな心からの訴えもダイには響かない。 が、ダイはもう少し待てば自分を守ってくれる人が来ると言う。 レオナはダイの手を握り、接近する存在が敵だと言い切る。 レオナは涙ながらに、ダイに戦うようにと告げる。 しかし、レオナはそれ以上返事を強要する事無く立ち上がり、クロコダインに呼びかける。 レオナが立ち去った後、ダイは身をよじって腰のナイフを見下ろす。 一方、ヒュンケルを倒したラーハルトは、倒れたヒュンケルがまだわずかに動いているのを見て、まだ死んでいないのだと悟る。 それを、薄れがちな意識の下で聞いていたヒュンケルは、起き上がる。 が、それを一笑に付すラーハルト。 ダイの母が何者かと問うヒュンケルに背を向け、ラーハルトは竜の騎士について語る。 15年前、魔王ハドラーが現れた時、竜の騎士ではなく人間の勇者がそれを倒した。その時、バランは魔界で地上支配をもくろむ冥竜王ヴェルザーと戦っていた。 死闘の末、瀕死の重傷を負ったバランは、竜の騎士が回復するという奇跡の泉へと向かう。だが、泉を前にして力尽き、倒れ込んだバラン……その顔に、水滴がしたたり落ちる。 見上げれば、そこにいたのは両手に水を溜めて差し出す美しい人間の娘……それが、二人の出会いだった。 ソアラに誘われてアルキード城を訪れたバランを、アルキード王は最初は歓迎した。 雨の中、一人、城から旅立とうとしたバランの前に現れたのは、同じく雨の中佇むソアラだった。 その言葉からソアラが子供を授かったことを察し、竜の騎士である自分が子供を得たことに驚くバラン。
バラン達はテランの深い森の置に、静かに隠れ住んでいた。 いい名だと喜び、ダイを高い高いするバラン。だが、それでディーノが泣き始めたのを見て、慌ててソアラがディーノを抱き留め、あやす。
バランに人間を殺す気はない。 自分が降伏するのと引き換えに、ソアラとディーノの安全を求めた。 バランは極刑となり、城の中庭で魔法使い達の炎で焼き殺されると決まった。 バラン追放を企んだ家臣の命令により、三名の魔法使いから一斉に炎の魔法が放たれる。 バランを庇って自分の背中で魔法攻撃を受けたソアラ……バランの目が大きく見開かれる。 だが、バランはそんなことなど目に入っていなかった。 ソアラを抱きかかえ、彼女に呼びかけるバラン。 バランはソアラを気遣ってこれ以上話さないようにと言うが、ソアラは喋るのを止めない。 バランの肩を抱いていたはずの手が、静かに滑り降りる。力なく地面に落ちたソアラの手は、もう動かない。ついさっきまで笑顔を浮かべていた口は、もう、その呼吸を止めてしまった。 そんなソアラの顔に、ぽたり、ぽたりと水滴が落ちる。 悲劇を目の当たりにして怯える家臣達の中で、いち早く気を取り直したのはアルキード王だった。 床を強く拳で殴りつけ、バランは激昂する。 亡くなったソアラを抱きしめ、空を飛ぶバラン――彼はこの時、人間達を見限った。 抱きしめたソアラの顔に伝って流れ落ちるその涙は、まるでソアラが泣いているかのように見えた――。
ラーハルトの話を聞き終わったヒュンケルは、立ち上がろうとしていた。経っているだけの力も無いといいながら、それでもヒュンケルは立とうとしていた。
しかし、仲間によって人間の良さに気づかされたヒュンケルは、それをバランに伝えてやりたいと思う。自分になら出来るかもしれない――今のヒュンケルだからこそ、そう思えた。 が、ヒュンケルのそのバランへの共感はラーハルトの怒りを買う。バランの怒りを見くびられたと感じたのか、激昂するラーハルト。 それに驚くラーハルトだが、ヒュンケルに言わせればそれは当然の帰結。 しかし、今のヒュンケルは捨て身だ。 そんなヒュンケルの言葉を否定するがごとく、猛攻を仕掛けるラーハルト。だが、ヒュンケルはふらついてるように見えて、それらの猛攻を紙一重で躱していく。 ヒュンケルのふるう剣を、槍の柄で辛うじて止めながらラーハルトは思わず問う。 ラーハルト「どこにこんな力が……!? それに先程までよりも速い」 だが、それだけは認めないと、ラーハルトは再び攻撃に転じた。今度はさすがのヒュンケルも躱しきれないのか、棒立ちのまま攻撃を食らう。それでも手加減せずに連続攻撃を仕掛け、ラーハルトは彼を突き放した。 仰向けに倒れ込んだ姿勢も、前と同じ……だが、ラーハルトは今度はそのまま見過ごす気もなければ、単に止めを刺して終わらせる気も無い。 予備動作からラーハルトの決め技を読んだヒュンケルは、拳を握り込む。その拳がかすかに紫色の光を放っていたことに、誰も気がつかなかった。 放心したような表情の後、全てを諦めたように目を閉じる。 が、その瞬間、ヒュンケルが刮目した。 そして、ラーハルトの放つ技の描く闘気の形は、十字を形取る。 宙に舞い上げられながら、ラーハルトは無防備なはずのヒュンケルがなぜ闘気をこめた武器を持っていたのか――その疑問を狂おしいまでに追求していた。……高々と舞い上がった身体が、轟音と共に地面に落下するその瞬間まで。 それに応じて、ヒュンケルは自分に残された最後の武器を見せる。 絆、とオウム返しに呟き、ラーハルトは力尽きたのか地べたに伏せってしまう。 しかし、背後から気配を感じたヒュンケルは身を翻してそれを躱し、それと同時に自分の剣を拾い上げる。 ボラホーンをもう一度倒そうと、気迫を込めるヒュンケル。 ボラホーン「出来るかな?」 驚愕に見開かれるヒュンケルの目の前に、ボラホーンの手に掴まれたポップが突き出される。頭を握りこまれ、ぶら下げられたポップはひどく苦しそうだった。 卑怯だとヒュンケルが非難するも、その途端にボラホーンは拳に力を込める。文字通り頭を割られるような苦痛にうめくポップを見て、ヒュンケルは耐えかねたようにやめろと叫ぶ――。 《感想》 『ヒュンケルとラーハルト戦、期待以上!』 いや、若き頃のバランやソアラの恋物語もよかったのですけど♪ ソアラ姫、なんとなく原作よりもレオナに似ている印象を受けますね。 今回のスタートは、テラン城からだったのはちょっと意外でした。前回の続きからだと、ヒュンケルとラーハルトの続きからだとばかり思っていたので。 また、クロコダインが戦いに備える緊迫感のあるシーンで、ダイがバンダナをちょっとずらして紋章の光を不思議がっているシーンが、実に可愛かったです♪ 原作でもダイは不思議そうにバンダナを押さえていますが、バンダナを少しずらすという動作がくわえられているのがいいですね。 自分も戦うと申し出るレオナとクロコダインのやりとり、実にいい感じでした。原作と違って、真正面から向き合う時間をしっかりと取っているのが嬉しい限りです。クロコダインの目の中にレオナが映る演出が、特に気に入りました! でも、ダイがバランの接近を感じていることにナバラやメルルがすごく驚いていましたが、いや、あんた達だって同じ事が出来るのになぜ驚く? と、突っ込みたくなりました。 しかし、パプニカのナイフ……なぜか牢の外にあるテーブルの上に置いてありましたが、先週まではあのテーブル自体なかったような気が……気のせい?(笑) まあ、それはともかくレオナがパプニカのナイフを手にする時、顔に影が入るカットの演出はいい挿入だと思いました。 ダイとレオナの抱擁シーン、もしくはキスシーンは、これまでずーっとどっちなのか不明だと思っていたのですが、アニメではキスシーンっぽいですね。 しかし、原作でも思いましたが、レオナは勇者ダイに拘るあまり、今、目の前にいるダイを全否定しちゃっていますね。 その不安感があるからこそ、ダイが本能的に同族の保護を求める気持ちが強まったんじゃないかと思えます。 それはさておき、自分は勇者じゃないと言うダイに対して、レオナが首を横に振るシーンはアニメの改変ですね。静かですが、印象的なシーンです。 それはいいのですが、メルルのカットが移動したせいで「なんて強い女性(ひと)なの……」と言う彼女のモノローグがカットされてしまったのが悲しいですよ〜っ。 そして、ダイがナイフについて回想するシーン、ダイがおっかなびっくりナイフを取り出すシーンがカットされたのは残念ですが、シーン回想がダイの意識に合わせてぼやっとした焦点が甘いカットになっていたのは嬉しかったですね。 ただ、ダイには自分が勇者ダイだという自覚がないだけに、自分の姿はもっと曖昧な方がいいような気がしました。でなければ、最初からダイの目に映るレオナのシーンに限定して欲しかったです。 ラーハルトの過去語り、原作と違って背を向けて話しだしたのが意外でした。てっきり、敵には背中を見せない主義かと思っていたのですが(笑) 回想シーンでのハドラー襲来劇で、逃げ惑う人々の中、倒れた母子を庇う父親のカットは良かったです。原作では倒れた母子しか描かれていなかったので、彼女達が助かったと思うとホッとしますね。……もしや、あえなく親子三人そろってという可能性もありますが……いえいえっ、ものごとはいい方向に考えたいですっ。 ハドラー対アバン戦、しっかりとしたカットで描かれたのも嬉しい限り♪ これはもしや、第一話の続きですかね? 若きバランの戦い、くるくるときりもみでヴェルザーと戦う姿が、ベンガーナでヒドラと戦うダイに重なって見えました。 奇跡の泉に向かうバラン、原作では一応歩くシーンがありましたが、アニメでは思いっきり這いずりまくり(笑) 行き倒れバランが手を伸ばした先の泉、虹色の輝きが垣間見えて非常に綺麗です。バランが見ていた時は普通の泉っぽかったので、太陽の当たる角度で色が変わって見える五色湖みたいなものなのでしょうか? ソアラとの出会いシーン、光差し込む美しいシーンだったのは嬉しいのですが、欲を言えば原作の白黒の鮮烈さも出して欲しかったです……っ。 寸前まで死にかけていたんだし、バランの視界で周囲が灰色と黒に染まって見えて、最後の瞬間に光を背負ったソアラを目撃。 ああ、でもソアラの声が澄んで可愛らしい感じで、そこは大いに気に入りました。 そして、ソアラの服……アニメで見ると、なんて露出が多めっ(笑) お色気制限に統一感はないんですかー、あれって、いくらなんでもスリットが空きすぎなのでは?(爆笑) バランとソアラの抱擁シーン、原作ではマントに隠されていたソアラの服が、アニメでは足が向き出しにっ。え、ええと、お色気制限はいったいどこに? バランを快く思わない家臣達、原作寄りもグッと数が増えているのにも爆笑しました。敵、多すぎませんか、バランパパン? 兵士達でさえ睨みつけていますよっ。 ついでに、婿に入る男に王座を譲ることが前提になっているアルキード王国は相続に関する法規を見直した方がいいと思います。 いくら王権が基本的に男性に与えられる者だとしても、血統的に女性の方が王位継承権を持つ場合への対策は必要だと思うのですが。 アルキード王、どうにも融通が利かないというか、柔軟性がない王様みたいですね。 んでもって、雨の中のバランとソアラの抱擁シーン……こっちは疑いの余地も無く、キスしまくっとりますね(笑) 原作にないのに、なぜここでアップで思いっきり恋愛イベントをぶっ込んできたのやら。親子そろってキスシーンな展開! そこからいきなりヒュンケルとラーハルトの場面に切り替わって、ちょっと驚きました。 アニメで感心したのが、ヒュンケルが「ダイ」と呼ぶ前に、ラーハルトが「ディーノ様だ」と強く言っているところです。ラーハルト的には、バラン様の息子が人間の呼び名で呼ばれることすら不快なんでしょうね。 そして、些細な違いですが、原作ではバランとソアラはテランの森に逃げ延びてからダイを産んでいる、と説明されていますが、アニメではバランとソアラ、ダイの三人で隠れ住んでいると説明されています。 アニメ版ではもしかすると、ダイが産まれるまでの間、彼らに協力した人間がいたのかもしれないと想像させてくれます♪ しかし、ダイに名前をつけるシーン……目はぱっちりと見開き、動きも活発、表情の変化も大きくて、どう見てもこの子、新生児じゃないんですけどっ。命名は二週間以内にお願いしますっ、新米パパさんっ、ママさんっ。 さらに言うのなら、乳飲み子がいる母親に料理させている間、あんたはぼーっと子供を眺めているだけって、なにやっとるんですか、バランパパンッ!? しかし、原作でもこのシーンのバランは髭を生やし始めていましたが、アニメだと原作よりも薄めの髭のせいか、若く見えますね。 アルキード王が来るシーン、思っていた以上に兵士達の数が多くてビックリしました。いくらなんでも多過ぎでしょっ。 ソアラの最後の言葉、笑顔で語っているのはいい改変ですね。原作では終始、辛そうな表情でしたが、アニメ版では彼女は父親達の非道について辛い思いはしていても、バランとディーノの今後を思って最後の最後に笑顔を見せた……そんな風に思います。 また、バランの涙によりソアラが泣いているように見えるシーン、原作にはない改変ですね。そうじゃないと言いたいにもう伝えることの出来ない、ソアラの嘆きが見えるかのようです。 ――と、感動のコメントの後になんですが、13分40秒前後のソアラの背中……なんで炎で焼かれてマントや服が焼けたのに、肌がめっちゃきれいなままなんですかっ!? 火傷一つ無い、お美しくもセクシーな背中のラインが丸見えなんですがっ。 せめて、黒焦げに……って、マリンさんの時も火傷はNGでしたっけ。いや、それならせめてマントと服の破けを少なくするとか、原作のように背中は見せないアングルにするとか……っ。なんかこう、もうちょっと工夫できなかったものでしょうかね。 ラーハルトの語りが終わった時、日が差して周囲が明るくなり、ヒュンケルが立ち上がる演出は良かったです! ヒュンケルとラーハルトの攻防、動きやスピード感に文句はないですが、原作ではヒュンケルはラーハルトの猛攻を避けきれずに小さな傷を連続で負って血が飛んでいるのですが、そのシーンはカットみたいですね。 ……バランパパンなど血まみれだったんだし、それぐらいの流血ならいいかと思うんですが。 ヒュンケルが倒れ、拳を握り込むシーン。 ヒュンケルのグランドクロス、やっぱり迫力がありますね。 ボラホーンの襲撃、ヒュンケルに被さるように大きな影が見えてからヌッとボラホーンが登場するのはいいんですが、ヒュンケルってば華麗にジャンプして躱してますよっ。動けないんじゃ無かったんですか!?(笑) 原作でも避けていましたが、あんな風にジャンプして避けていたとは思いもしませんでした。しかも、ジャンプと同時にしっかりと剣を拾いに行っている辺り、あまりにも抜け目がない……MP0になる度にフラフラしているポップとはえらい違いです(笑) ボラホーン復活時のヒュンケルの台詞、大幅にカットされていますね。ボラホーンの台詞もですが、彼の台詞は減っても文句があまりなさそうな気がします(笑) ポップが人質にされたところで、続くとは……。結局の所、ポップって主戦力でも傍観ポイントにいても、いつだって瀕死でピンチな立ち位置になっちゃうんですね。 けどっ! しかも予告段階で、『激闘の末ラーハルトに願いを託されたヒュンケルとポップ』って、言っちゃってますよっ、それ、次回放映分っ。この時点では、まだラーハルトは遺言前っ(笑) ここは、先がどうなるのか分からないけど、ピンチなクロコダインとレオナをメインにバランのすごさをアピールする予告で良かったのでは……? 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