『超魔生物対チウ』(2021.6.12) |
《粗筋》 超魔生物へと変身して見せたザムザ。 ザムザの動きの速さに、驚くポップ。 そんなダイをさすがだと、感心したように呟くザムザ。 目の前にいるザムザの姿がぼやけ、ぶれて見える。拳の竜の紋章の光も薄らぎ、ハサミの力に押され始めた。 ダイを心配し、その意味を問うロモス王。 一方、ザムザはダイを食い殺そうと腹の口を開く。不気味な花弁のように覆っていた部分が一気に花開き、牙の生えた腹の口が露わになった。 自分の腹へダイを落とそうと、ゆっくりと移動させるザムザ。頭から飲み込まれそうになった瞬間、ダイは全身の力を振り絞ってハサミを破壊する。 ふらつくダイは、名前を呼んだポップの方を見るが、その目に映る光景は殺気まで以上にぼやけ、ブレまくっていた。 倒れたダイを見て、満足そうに呟くザムザ。その際、腹の口や花弁が、その心を顕すように、不気味に蠢いていた。まるで、笑っているかのように――。 が、その時、鋭い光弾がザムザの羽を貫いた。二発、三発と連続して飛ぶ光弾がザムザの身体を傷つける。 ポップの放つギラが、ザムザの腹の花弁の一部をぶっ飛ばす。 ザムザの上半身を包み込むような炎に、悲鳴を上げるザムザ。 動物の本能として、ザムザを恐れる気持ちを理解したポップは、それ以上チウに声をかけず、代わりに兵士達に王様を頼み、一人、ダイを助けるためにコロッセオに駆け出す。 取り残されたチウは、しっぽの震えが止まらないことを心底悔しがりつつも、その場で震え続けていた。 だが、ポップはザムザの言葉より、彼の左手のハサミや身体が完全復活していることに驚いていた。 超魔生物はいかなる外傷もすぐに治癒する快復力を持っていると、自慢げに語るザムザ。 ポップもダイの元へ駆け寄ろうとするが、それよりも一瞬早く、ザムザはハサミでダイを摘まみ上げた。ダイを再び食べようとするザムザに、ポップはやめろと叫んで魔法を放とうとした。 ザムザ「覚えておくんだな……! 猛獣は食事の邪魔をされると、怒りが収まらんのだ」 笑いながら、ザムザはダイを腹の口の上へと運ぶ。 その声を、バイオプリズン内にいたマァムも聞いていた。 ゴースト「急がなきゃ、だね」
だが、チウは震える尻尾を手で握りしめて止め、悪魔をやっつけてやると決心した。
それを見て、ザムザは無駄な抵抗を止めろと忠告する。すぐに死ぬより、モルモットとして生きながらえた方がマシだろうと言うザムザの意見を、どちらもごめんだとはね除けるポップ。 バイオプリズンに目をやったザムザは、あの中にも魔法使いがいるからモルモットは足りているといい、ポップはダイと同じように飲み込むつもりで、彼近づいていくザムザ。 しかし、そこに「待てい!」と叫ぶ声が。 ザムザに対し敢然と喧嘩を売るチウを、あっけにとられた顔で見るポップ。ザムザも、ネズミ一匹など物ともしていない。 実力に見合わない大言壮語をするチウに、慌てるポップ。 尻尾に震えるなと言い聞かせ、チウは自分を鼓舞するように叫ぶ。 チウ「勇者ダイ君も、このぼくが助ける!」 勢いよく飛び出していくチウ。ポップが止めるも、チウはそれさえ聞こえていないのか、窮鼠文文拳で殴りかかる。 並の人間のリーチにさえ敵わないチウに、あんな巨体と戦えるわけがないと、ポップは思わずぼやいていた。 が、吹っ飛ばされたチウは諦めない。
それでも続けて拳を打ち込むマァムに、一緒に閉じ込められた男達は無駄だと声をかける。力でも、拳でも、魔法でも効き目が無かったと、男達はすでに脱出不可能と諦めてしまっていた。 そのやり方ではダメだといい、修行で得た力を正しく発揮するようにと優しく諭すゴーストに、マァムは何か思い当たることがあるらしい。
そんなチウを見ながら、ポップは考えていた。 それがどんなに勇気が要ることか分かるだけに、昔に自分と引き比べ、チウを見直すポップ。 やられっぱなしのチウは、ポップにだけはかっこ悪いところを見せたくなかったと悔しそう。 ポップ「そうかい、だが逃げずに戦っているだけでも立派なもんだ」 チウ「ふん、失敬な! 仲間を見捨てて逃げちまうようなヤツは、最低のクズだ!」 ポップ(……耳が痛いぜ) ポップはチウに、ダイを救出する策があるから手を貸すようにと持ちかける。腹の口を開かせるから、チウの力で土手っ腹に一発ぶち込めと指示するポップ。 よろめきながら立ち上がったポップは、目を閉じて集中力を高める。ザムザが襲いかかってくるが、それさえ気にとめた様子もなく魔法に集中するポップ。 ポップ「フィンガー・フレア・ボムズ!」 ポップの手から、同時に三発のメラゾーマが放たれる。 魔法の成功に喜ぶポップだが、打つと同時に力尽きたのかその場にへたり込む。フレイザードの必殺技を再現させたポップは、ひどく嬉しそうだった。 本来は五発同時撃ちをする魔法だが、ポップの全魔法力を注ぎ込んでも三発が限界だった。 まとわりつく炎は、通常の魔法と違いそう簡単には消えない。超回復を持つザムザなら火傷には耐えられるが、炎が燃えることで顔周辺の空気が燃えて息が出来なくなってしまう。 息が出来ないなら、腹の口を開いて呼吸せざるを得ない。ポップの狙いは、そこだった。 勢いよくそれを承知したものの、どうすればいいのかとここに来て考え込むチウ。 こうなったら格好なんか気にしてはいられないと開き直ったチウは、観客席の一番上へと登っていく。 最上段からザムザを見下ろしたチウは、かけ声と共にまりのように丸まって下へ落ちていく。弾みながら勢いをつけて、体当たりを仕掛けるチウ。 胃液らしき物を吐き出したザムザの腹を見ていたロモス王と兵士達は、一斉に驚く。 が、チウは今の技が案外格好良かったと悦に浸り、こんな状況下だというのに命名に拘って悩んでいた。 窮鼠包包拳と命名したと同時に、ザムザの足の踏み潰されるチウ。 しかも、激昂したザムザは怒りも露わに皆殺しだと叫ぶ。 その頃、バイオプリズンの中では奇妙なガスが充満しており、中に閉じ込められた者達は咳き込み、苦しんでいた。立てもしなくなり、蹲る男達。 身体からわずかな魔法の光を放つ彼女は、身体から微弱な回復魔法を全身から張り巡らせている。 目を閉じ、身構えたままの姿勢で、マァムはバイオプリズンについて考えていた。あらゆる攻撃が通じないが、生命体であることは変わりは無いと確信したマァムは、目を見開き、武神流秘奥義を使う決意を固める。 手袋を外し、舞うように両手を構え直すマァムの動きに、周囲のガスは霧散するように押されていく。 だが、身構えたマァムの拳が黄金色に輝き、壁に叩きつけられた瞬間、いっそうの光が輝いた――! 一方、バイオプリズンの外では、ザムザがチウをゴミ呼ばわりし、踏みにじり続けていた。 その時、不審な音を聞いてザムザはバイオプリズンの方を向く。 そんなザ無差の前に立ちはだかったのは、武闘家マァムだった。 マァム「みんなを放してもらうわ!」 マァムの話を聞いて嘲笑い、なお一層チウを踏む足に力を込めるザムザ。 穴にすっぽりとザムザがはまり込んだ隙に、マァムはチウの側に屈み込み、回復魔法をかける。あっと言う間に元気になったチウに、マァムはポップを助けてあげてと頼む。 ダメージが残るのか頭を抑えながら、超魔生物はすぐに回復すると自分に言い聞かせるように呟くザムザ。 ロモス王はバイオプリズンから解放されたとは言え、倒れている男達を心配して、自分のことはいいから助けるようにと兵士に命令を出す。 ザムザはマァムに対して怒りを露わにし、モルモットにせず廃棄処分にすると言い切る。 マァム「なら、教えてあげるわ……! 生命の痛みを」 気迫のこもったマァムのその言葉さえ、ザムザは一笑した。 再生しない自分の体に驚き、うろたえるザムザ。 その名を知らないはずのザムザだが、それでも再生が無効化されたことと、バイオプリズンが壊されたことを関連付け、同じ技だと気がつく。 《感想》 変身シーンは、もう一度やると思っていました(笑) ザムザのカニバサミ、アニメでは筋が入っていました! 原作よりも、より研がれた印象で切れ味がアップしている見た目です。 しかし、何よりビビったのは腹の口っ。 ダイがハサミを壊した後、ふらつくシーンで、ポップだけでなくロモス王や兵士達の姿もそろって霞んでいましたが、ここはちょっと残念。 ダイの倒れる姿勢、原作では手足を広げてバタッと言ってましたが、アニメではお行儀良く手足をそろえて倒れているという改変。倒れるシーンで気遣うのは女性キャラ限定かと思っていたんですが。 「あがきよって〜」のザムザのセリフの後、腹の口が蠢くついでに花弁がわずかに揺れる表現、不気味すぎますよっ。原作でも確かに、ここで口のアップと吠え声があるのですが、まさか花びら部分も揺れ動くとは思いもしませんでした(笑) ギラを連発するポップ、いいですねえ! ただ、残虐さを抑えるためか、ザムザへのダメージ表現は控え目になっているのがちょっと残念ですが。ダメージ表現が少ないと、魔法の威力が低いように見えますね、やっぱり。 ポップのメラゾーマが当たる寸前、ザムザが手で顔を庇うような仕草を見せているのが意外でした。炎ぐらいなら利かないと思いますが……まあ、実戦経験がなさそうなので、とっさに反応しちゃったのかもしれません。 魔法使いとして反応するなら、つい対抗呪文を打とうという反応を見せてもいい気もしますが、自称妖魔学士ですし、デスクワーク中心で実戦には疎いのかもと思った瞬間でした。 ポップがコロッセオに走り出すシーン、躍動感があっていい動きでした。走るシーンがダイナミックなアニメって、やっぱりいいですね♪ チウが震えるシーン、ゴメちゃんが心配そうに見ているのがキュンとしました。原作でもゴメちゃんはこの時ずっとチウの側にいるのですが、表情的にはあまり心配そうでもなく、じーっと見ている感じだったので、アニメのゴメちゃんの表情の豊かさ、かわゆい鳴き声が嬉しいです。 ポップがザムザのハサミを避けるシーン、後ろにバク転してますね、すごい運動神経! しかも、杖を手に持ったまま! 原作通りなんですが、原作寄りも動きが洗練されている印象です。 ザムザが前に進み出た際、ポップが怯えて一歩下がり、それでも杖を身構える動きがリアルで実にいいです。魔法使いのポップからすれば接近戦は避けたいところでしょうが、ダイを置いて逃げるにもいかないのでその場に踏みとどまる……初期のポップからは考えられない成長ぶりがいいですね〜。 ザムザの台詞、微妙に改変されていました。 原作ザムザ「覚えておくんだな……! 猛獣は食事の邪魔をされると、怒り狂うのだ」 『狂う』が放送禁止用語に引っかかったんでしょうか? それとも、分かりやすい表現にするための改変か……微妙ですね。 しかし、ザムザの腹の音、ぬちゃぬちゃした音まで不気味さがこめられていますね〜。そして、アニメの方が原作より飲み込み速度が速いです。 以前、R18な大人向けゲームに『丸呑み』という分野があるのを知って以来、ちょっと興味があったのですが(笑) それはさておき、バイオプリズンの中でのゴースト君の台詞も、追加されていました。 チウが尻尾を掴んで決意するシーン、原作では尻尾を握りしめただけでなく、口で噛んでいましたが、アニメでは手で掴むだけに改変されていました。 驚いたのが、ザムザが魔法使いのフォブスターを名前で呼んだ点! チウが助っ人として声をかけた時、原作ではポップが誰か助っ人に来てくれたと期待するモノローグがあり、その相手がチウがと知ると、失礼なぐらいガッカリしているシーンがありましたが、そこはまるっとカットされていましたね(笑) でも、チウ君の頑張りが微笑ましいです! 声も、無理して頑張っているのが見え見えな、力んだ声なのが実にいいです。 バイオプリズンの中で、男達の諦めの声……なんか、全員渋い声ですね、どの声もなかなか好みです♪ ポップがチウを見て、自分と引き比べるシーン、台詞にすごく実感がこもっていていい感じ。 チウとポップのやり取りが、実にいい感じですね。ちょっと息切れしているように発音しているのが、いかにも戦いの合間の会話って感じで雰囲気がでています。 ポップのフィンガー・フレア・ボムズ、初見参っ♪ ポップはちゃんと五発分のメラゾーマを作り出したものの、腕が未熟だったせいか途中で二発分は消滅してしまった……と、解釈してよさそうですね。 ポップのフィンガー・フレア・ボムズの解説シーン、台詞も略されずにきっちりと説明されていたのには感心しました。のたうつザムザの動きがあるせいか、説明だけなのに動きも多くて説得力を感じます。 しかし、思ったのですが以前ハドラーが持続性のあるメラを放とうとしていましたが、それこそがフィンガー・フレア・ボムズの原型だったのかもしれないですね。 そう思うと、フレイザードはハドラーを母体にしつつも、彼よりも魔法特化な方向に成長しつつある分身体だったわけで、マトリフが予想していたように、もっとレベルが上がればさらに高度な魔法を使った可能性があったのかも。 チウの悩みシーン、原作ではもっとグダグダ悩み、ついでにポップをディスってた台詞がまるっとカットされていましたね(笑) チウの体当たりシーン、身体の弾み方が思っていたよりも愉快な感じに跳ねていました! 原作ではもっと直線的な動きに見えたのですが、弾む感じとチウのテーマソングの相性がぴったりでしたね。 ザムザの腹から出てきた胃液(じゃないかもしれない)、色が緑色でしたよ〜。まったくもう、どこからどこまで隙なく色彩感覚が悪いキメラですね! まあ、胃液が結構サラサラした液体っぽいのが、唯一の救いです。これで妙にねばっとしたとろみのある液体だったりしたら、グロ度がさらにあがるところでしたよ。 ゴースト君の説明、一部がカットされた上、ゴースト君の身体が光るシーンが無かったのが、ちょっと残念。 そう言えば武術メンバーの台詞に、微妙な改編を発見! 原作ラーバ「小娘の力でなにができる……」 アニメラーバ「女の力でなにができる……」 えー、女性蔑視発言はアウトで、小娘はOK? 個人的感想かもしれませんが、女と呼ぶよりも小娘と呼ぶ方が、より小馬鹿にしているように感じるんですが、そこはいいんでしょうかね? バイオプリズンの破裂シーン、これは残念でなりませんっ。 武闘家マァム、実にかっこいいです! そして、原作時からの謎のコロッセオの大穴。都合良くザムザの背後にあった大穴、これがいつのタイミングで空いたのか、何回原作を読み返しても見当がつかないです(笑) でも、次にダイが見えるシーンではちゃんと手が肌色に塗られていたので、指定ミスっぽいですね。 角が無くなったザムザが、うろたえて何度も顔をさするのが意外と可愛い♪ 次回予告、すでに予告の段階でダイの復活がネタバレしまくっとりますが(笑) ダイが戦うことを前提にした予告の中で、移るのはマァムのアクションオンリー……もしもーし(笑) 《ものすごくどうでもいい懺悔》 思いっきり余談な上に個人的感想になっちゃうんですが、アニメを見ていると、ロモスの決勝進出者達に対してなんだか申し訳ない気分が一杯に……っ。 声を聞くとすごく真っ当な人達に聞こえるので、罪悪感が増し増しです。……まあ、フレイザードとかザボちゃんとかその他魔王軍メンバーには、それほど悪いコトした気もしないのですが(笑) |