『我ら獣王遊撃隊』(2021.9.25)


《粗筋》

 ポップの渾身のメドローアが炸裂し、極大消滅魔法の生み出す白い光に飲まれた親衛騎団達。

ポップ「勝った」

 勝利を確信して呟いたポップの頭を、クロコダインは豪快に掻き撫でて褒める。上機嫌のポップもクロコダインの新必殺技にサポートを褒め返し、先程までの緊迫感が嘘のように和気藹々とした雰囲気になる。

 ヒュンケルもポップの新呪文の効果に満足そうだったが、彼は突然血相を変え、槍を手に前に進み出て身構えた。

 ヒュンケルの警戒を見て、マァムは心配そうに何があったのかと尋ねる。クロコダインも事情が分からず戸惑い気味だが、それでもヒュンケルに習って斧を持ち直した。
 まだ、何かいると最大限の警戒を見せるヒュンケル。

 と、その時、地響きに似た音が響き渡った。
 メドローアで削り取られた地面から、いきなり何科が盛り上がり、土煙を上げながら何者かが現れる。
 それを、驚愕の表情で見つめるポップ。

 煙越しとは言え、消滅したはずのハドラー親衛騎団らのシルエットがはっきりと映しだされる。
 見る間に煙が薄れ、無傷の親衛騎団の姿が現れた。

 極大消滅呪文の効力を誰よりも知っているからこそ、ポップは彼らが無傷だったことに驚き、動揺を隠せなかった。

 危なかったと言いながらも、どこかクールな様子のヒム。
 その背後で、ブロックが倒れ込む。倒れた彼の身体を見て、ダイ達だけでなく親衛騎団も目を見張る。

 ブロックの身体は、無残にも背中側の半分が削り取られていた。心配し、彼の名を呼ぶヒム。
 アルビナスは、ブロックの背中を見ながら彼に救われたことを悟る。

 メドローアが迫る中、ブロックは仲間四人を抱き寄せて地面へ倒れ込んだ。巨体からの重みを利用して仲間を地中に埋め、避難させた……ブロックの機転が無ければ自分達は全滅していたと静かに呟くアルビナス。

 自分の身の危険を顧みず仲間を助けたブロックに、ヒムは感謝の言葉を投げかける。倒れたまま動けないながらも、それに返事をするブロック。

 それを見て、ポップはショックを受けつつも敵のチームワークの良さを理解する。ヒュンケルもマァムも、それは同じだった。

マァム「……ああして、互いの長所を合わせ、短所を補いながら戦った時の強さは、私達自身が誰よりも知っているもの……!」

 だが、ダイは強敵と戦うことは覚悟の上だと断言し、仲間達を鼓舞する。その言葉のおかげで、みんなが気を取り直しす。
 特にポップは気合いを入れて、今度こそ決めると元気いっぱいだ。

 しかし、そこに『そうはいかぬ』との言葉がかけられる。
 なんと、そこにはいつの間にかシグマが佇んでいた。ダイ達からたいして離れてもいない場所、落ちている千切れた腕の側に悠々と立つシグマ。

 シグマの腕が爆破して跡形もなく吹き飛んだが、シャハルの鏡だけは無傷でそこに残っていた。それを丁寧に拾い上げながら、シャハルの鏡はハドラーから授かった伝説のアイテムだと語るシグマ。

 軽くシャハルの鏡を放り上げ、自分の腕に見事に装着するシグマ。
 シグマはメドローアの威力を褒めながらも、一度見た以上は二度と通用しないと宣言する。
 シグマの不敵な言葉に、青ざめて息をのむポップ。

 シグマは一飛びで仲間達のところに戻り、ヒムは第二ラウンド開始と息巻く。
 が、アルビナスがブロックの手当てが先だとそれを止めた。我々には使命があると説教しかけるアルビナスの言葉を遮り、血気に逸るヒム。

 しかし、どこからか聞こえる声に、ヒムはピタリと動きを止めた。
 電流のような不思議な光が溢れる中、黒い球のような物が出現した。それは見る間に大きくなり、中から人影が揺らいで見える。
 それに、わずかに身構えるダイ。

 黒い球体は溶けるように消え、マントを羽織ったハドラーが出現した。
 ダイに呼びかけてくるハドラーに対し、身構えるダイを軽く制し、ヒュンケルは腕につけていた盾をブーメランとしてハドラーに投げつける。

 弧を描いてハドラーへと跳んだブーメランは、彼の肉体をすり抜けた。それに驚くダイやポップだが、ヒュンケルは驚く素振りも見せない。予想していたとばかりに落ち着き払った表情で、戻ってきたブーメランを受け止める。

 今のハドラーの姿が幻影だと看破するヒュンケル。
 ハドラーもこの姿は魔力で送った映像だと肯定し、本当の自分は死の大地にいると暴露する。

 自分の手を汚さず部下に襲わせたことについて、ヒュンケルは激昂して文句をつける。
 が、ハドラーには微塵の動揺も見られない。

 ハドラーには奇襲の意志もなく、死の大地でダイ達を待つつもりだった。
 だが、人間達が余計な動きをしているのを見て、親衛騎団にふるいの役目を負わせた。

 自分達の役目は腕試しだと言い切る親衛騎団。
 この場で、自力で立っていられない人間には死の大地に来る資格は無いと言う。
 ノヴァを初めとして大多数の人々が倒れている中、親衛騎団のふるいに残ったのはダイ達一行しかいなかった。

 ダイ達に早く死の大地に来るように誘いをかけ、ハドラーはダイが呼び止めるのも無視して再び不思議な球体に身体を覆われ、消え去ってしまう。
 悔しそうにそれを見送るダイ。

 残る親衛騎団も、もはや戦う気は無いらしい。
 シグマはブロックを背負い、アルビナスが代表としてダイ達に別れを告げ、死の大地で待っていると言葉を残してルーラで飛び去った。
 それを追いかけるように、二つのルーラの光が空へと軌跡を描く。

 それを一瞬見送ってから、ヒュンケルは地上を見据えて槍を身構える。
 その視線の先には、ヒムがいた。

 一人とどまったヒムは、ヒュンケルへの敵愾心を隠しもしなかった。額の傷のお返しをする気満々だが、ヒムにとってハドラーの命令は絶対だ。
 ヒュンケルと戦う指令が下ることを祈り、ヒムもルーラで飛び去った。

 それに腹を立てたポップが追いかけようとするが、ダイが両手でポップのマントを掴み、引き留める。

ダイ「ポップ! それじゃこの前と同じだろ!」

ポップ「あ……そっか」

 ダイに引き留められて気が抜けたのか、落ち着きを取り戻すポップ。
 そしてマァムは、周囲に目を走らせ毅然とした口調で言った。

マァム「まず、みんなの手当てをしないと。手が足りないわ。ダイとポップでレオナ達を呼んできて!」

ポップ「分かった!」






 一方、ハドラーの待つ王座では、金属音を響かせて親衛騎団が帰還していた。
 任務の完了を報告し、傷ついた仲間の復元を依頼するアルビナス。 

ハドラー「ウム……おまえもだ」

アルビナス「ほんの掠り傷です」

 部下達のところへ足を運び、ハドラーはダイ達に対する感想を求める。士気も高く気に入ったと発現するヒムに対して、ハドラーは満足げに笑う。
 アルビナスがフェンブレンがいないことに気がつくと同時に、ハドラーはそれに答える。

ハドラー「この死の大地にネズミが入り込んでいるようなのでな。無傷のあやつを派遣した」





 その頃、荒涼とした死の大地ではチウが隊員三号のマリンスライムに胸を張って指示を与えていた。真剣な表情でそれに応じ、ぴょんぴょん弾んで海へと飛び込むマリンスライム。

 それを見送ってから、チウは用心深く周囲を見回してから移動しはじめる――と本人は思っているだろうが、その動きはどうにもコソコソとしたものだった。岩陰に隠れながら(ただし、丸見え)、さささっ(本人が口にしている)と死の大地を探索するチウ。

 その最中、彼は前方に光り輝く何かを発見する。
 近づいていったチウは、それがポップの杖だと気がつく。この前の戦いで無くしたのだろうと貶すも、一応拾って服の中にしまい込むチウ。

 そこに、ゴメちゃんとパピラスが飛んでくる。
 気合いを入れて周囲を見回す仕草を見せる二匹は、空からの偵察報告をしていた。

 いくら探しても岩山しか無く、山を越えようとすると不思議な力で押し戻されてしまう。海が怪しいと踏んだチウは、マリンスライムを仲間にした自分の先見の明を褒める。

 事情を知らないゴメちゃんに、先程マリンスライムを仲間にしたことを得意そうに告げるチウ。
 仲間を増やすためには戦って勝つという儀式が必須だと知っているゴメちゃんは、チウを尊敬しているかのように目を輝かせる。

 それに対し、どこか焦った様子ながらもたいしたことが無かったと見栄を張るチウ。……が、その後ろ姿はコブだの絆創膏だのが目立っていたことは秘密である。

 海を眺めやり、入り口の場所についての確信をますます強めるチウ。
 と、そのチウの勘を褒めながら登場したのは、異形の金属生物……フェンブレンだった。

チウ「おいっ、魔王軍っ!? オリハルコンの奴か!?」

 突然の敵の乱入に、毛を逆立てて驚く獣王遊撃隊。それに対し、フェンブレンは堂々と名乗る。

フェンブレン「いかにも。ハドラー親衛騎団の僧正(ビショップ)、フェンブレンだ」





 同じ頃、光も届かない海の底ではマリンスライムが泳ぎながら、何かを探していた。
 やがて、海底奥の洞窟の先に、巨大な門を発見する。
 不気味な装飾の成された門は、いかにもおどろおどろしかった。

 怯えたマリンスライムだが、一転して決意の表情を浮かべ、急いで引き返す。勢いよく地上へ飛び出し、石のように水面を跳ねて飛んで死の大地に戻った。





 一方、チウ達は険しい表情でフェンブレンと対峙していた。
 そこに、跳ねながら駆けつけるマリンスライム。海底の門のことを報告され、チウはそこが大魔王の居場所への入り口だと確信する。

チウ「やっぱり、海底にあったんだ……!」

 自分達が重要な場所を探し当てたことを、フェンブレンに誇らしげに語るチウ。
 それに対して、フェンブレンはため息交じりに『魔宮の門』を見てしまったかと呟く。

 思わず聞き返したチウに、フェンブレンはその門が大魔王バーンの居城・バーンパレスへの入り口だと暴露した。
 その名を噛みしめるように繰り返したチウは、パピラス、マリンスライム、ゴメちゃんに目線だけで合図を送る。

 次の瞬間、チウ、ゴメちゃん、マリンスライムは一斉にパピラスに飛び乗った。すかさず、翼を広げて飛び上がるパピラス。
 逃げにかかるパピラスの背中から、チウは情報を漏らしたフェンブレンに礼を言い、この情報を知ったダイ達が総攻撃するだろうと得意げに勝ち誇る。

 だが、それを落ち着き払って見送りながら、フェンブレンはそれは三つの意味で無理だと宣言する。
 フェンブレンの身体が緑色の光に包まれる。

 一つ目の理由は、チウ達がこの島から出られないこと。
 その台詞と同時に打ち出された風の魔法が、チウ達を襲う。嵐に巻かれたようにバランスを崩し、真っ逆さまに落下するチウ達。
 それを軽く笑い、フェンブレンはどこまでも落ち着いた態度で、慌てること無く彼らの方へと歩を進める。

 地面に叩きつけられたチウ達は、一瞬、気絶していた。
 なんとか辛うじて意識を保っていたチウは、今の突風がバギだと気がつく。ゆっくりとその場に歩いてきたフェンブレンは、それを肯定した。

 真空系呪文を極めているフェンブレンは、周囲のものをいつでも切り刻めるのを自慢にしている。
 うめきつつも立ち上がろうとするチウに、フェンブレンは二つ目の無理な理由を語る。

 大魔宮が不可侵の場所であり、魔宮の門は大魔王バーンの超魔法で封印された、伝説の開かずの扉だということ。
 それを信じず、フェンブレン達がどうやって出入りをしているか問うチウ。

 親衛騎団は特別な呪法により、出入りを許されているのだとフェンブレンは説明する。
 門をこじ開けるのは、たとえ竜の騎士でも不可能だと断言するフェンブレン。

 しかし、チウはそれを嘘だと否定し、信じようとしない。
 だが、フェンブレンにとって、チウが信じようと信じまいとどうでもいいこと。

 彼は三つ目にして最後の無理な理由を、告げる。
 チウ達がダイ達にこの話を伝えることは無いと、フェンブレンは手を刃のように尖らせた。

フェンブレン「なぜなら、おまえはこの場で死ぬ! ダイ達が目にするのは、おまえ達の死骸だ!」

 目を赤く光らせ、剣と化した腕を大きく振り上げてフェンブレンは襲いかかってきた。
 ビビり、身を竦めるチウのすぐ頭上の岩が一刀両断される。

 その物音に、ゴメちゃんとパピラスが目覚める。
 決意の表情で、フェンブレンに向かって走り出すチウ。だが、チウが攻撃を仕掛ける前に、フェンブレンの薙いだ刃が彼の腕を切り、傷を負わせる。
 もんどりかえって、後ろの岩に叩きつけられるチウ。

 岩にぶつかって動けないチウに、ゆっくりと近づいていくフェンブレン。再び、彼が刃の腕を構えるが、フェンブレンは攻撃寸前に足下に目を落とす。
 見れば、そこには必死にフェンブレンの足に噛みつくマリンスライムの姿があった。

 思わぬ部下の奮闘を見て、『マリべえ』と名を叫ぶチウ。
 マリンスライムとしては必死な噛みつきも、フェンブレンは全く痛痒を感じていないようだが、彼は不機嫌そうに足を軽く上げてマリンスライムを払いのける。

 それは単に止めさせるための動作では無く、攻撃のための予備動作だった。刃を思わせるフェンブレンのつま先が、鋭く光る。
 その刃を利用して、フェンブレンは容赦なくマリンスライムを蹴飛ばそうとした。

 その瞬間、チウが弾丸のように急回転して突っ込んでくる。
 チウの必殺技、窮鼠包包拳がフェンブレンに炸裂し、緑色の血飛沫があがった。
 それに驚くゴメちゃん。

 次の瞬間、血を撒き散らしながら吹っ飛ばされたのはチウの方だった。またも岩山に叩きつけられるチウを、パピラスもマリンスライムも目を見開いて見つめる。

 血まみれで岩にもたれかかるチウを見て、フェンブレンは呆れた様子を隠しもしなかった。
 ほぼ全身が刃物で出来ているフェンブレンに体当たりをかけるのは、自殺行為に等しい。しかも、雑魚を庇うためにそうしたことが理解できないとばかりに小馬鹿にしていた。

 だが、チウは岩を手で強く叩供養にして掴み、フェンブレンの言葉を遮った。
 力を振り絞って立ち上がりながら、チウは雑魚に見える怪物達が自分にとって初めての子分だと力強く言い切る。

チウ「みんな……我が隊の立派な隊員達だ!」

 自分が隊長と自負するチウは、隊長は部下を必死で守るものだという強い信念がある。
 確固たるチウの宣言に、ゴメちゃんを初めとする遊撃隊員は目を潤ませて感動していた。

 だが、彼らの感動もフェンブレンの胸には響かない。
 むしろ、チウの思わぬ根性を見て、彼が泣いて命乞いするところを意地でも見たくなってきたと言う。

 怪訝な表情を見せるチウに、フェンブレンは自分の性癖を暴露する。
 他の親衛騎団がみんな騎士道精神に溢れているから合わせているが、彼だけは違っていた。

フェンブレン「ワシは……残酷なのだ」

 そう言い切るフェンブレンの細められた目は、妖しい光に満たされていた。その目を、チウは臆すること無く真っ向から睨み返した――。





 一方、その頃のサババの港では倒された人々の救助活動が始まっていた。
 地べたにゴザを敷いて怪我人を横たえさせ、動ける者が手当てに当たっていた。
 エイミやメルルも怪我人達に付き添い、気遣っていた。

レオナ「早く! こっちの人にも手当てを!」

 戦いの前に奮戦したガルーダも、疲れ切っているのが壁に寄っかかって座り込み休んでいる。
 マァムもゴメスに回復魔法をかけ、手当てに励んでいた。
 魔法の使えないダイは、兵士を背負って運搬する役目で頑張っていた。

 そこに、焦ったように駆けつけてきたのはアキームだった。
 惨状に驚き、自分が率いるベンガーナ戦車隊は何をしていたのかと憤るアキーム。

 ゴメスが彼らが真っ先にやられたこと、まだドックにいることを話した途端、アキームは絶叫しつつものすごい勢いでそちらへと走っていく。
 キョトンとした顔でそれを見送るダイ。

 怪我人を壁にもたれかけさせたダイは、同じく壁にもたれているノヴァに声をかける。
 だが、ノヴァは意識はあるもののすっかりと気落ちしてしまし、自分の不甲斐なさに落ち込んでしまっていた。

 もう自分を放っておいてくれとグダグダと話すノヴァを、ダイは驚いたように聞くばかりだったが、少し離れたところでそれを耳にしたマァムの表情には、わずかな怒りが浮かんでいる。

 ノヴァの泣き言が我慢できないとばかりにマァムはムッとした顔になり、ノヴァの方に向き直った。

 ノヴァを励まそうとするダイの目の前で、マァムはいきなりノヴァの手首を握ったかと思うと、そのまま捻り上げる。
 痛みに思わず飛び上がり、マァムの手を振り払うノヴァ。

 そんなノヴァに、マァムは辛辣だった。
 ちゃんと立てるくせに、つまらない見栄を張って立つ気力を無くしていたノヴァを容赦なく責める。

 痛めた手首を押さえつつも、それに反論できないでいるノヴァ。
 そんなノヴァに、マァムはさらに追い打ちをかける。
 ここにはあなたより力が無いのに、あなたより必死に戦った怪我人が一杯いるのだから、立てるのなら自力で基地に帰ってくれ、と。

マァム「それとも……私が運んであげましょうか?」 

 怒った顔で告げたその言葉が、止めだった。
 何か言い足そうに、それでも何も言えないまま背を向けたノヴァは、他の怪我人達を運ぶと言って歩き出す。
 それを見やって、満足そうに微笑むマァム。

 いつからその光景を見ていたのか、ススッとダイの側に近寄ってきたレオナは楽しそうに、小声で囁く。

レオナ「誰だか知んないけど、マァムと結婚する人って大変よねえ〜」

 それを聞いたダイは瞬きを繰り返し、レオナも自分のことを棚に上げていると呆れるのだった。

ポップ「おーい」

 ダイ、レオナ、マァムの三人が声の方向に顔を向けると、ポップを中心にヒュンケルとクロコダインが並んで歩いてきた。
 ポップはチウを探していたが、見付からない。ゴメちゃんもいないという。

 マァムは彼らが死の大地へ行ったのかと心配する。
 クロコダインは謝罪し、チウに獣王の笛をやったことを悔やむ。空を飛ぶモンスターを仲間にして、飛んでいったのだと予測するクロコダイン。
 ルーラで連れ戻してくると言うポップ。

クロコダイン「オレとヒュンケルが用心棒だ」

ポップ「頼もしいねえ」

 ダイも行くつもりだったが、戦力を分断することを用心するヒュンケルに止められる。

ヒュンケル「おまえとマァムは、みんなを守っているんだ」

ダイ「分かったよ」

 レオナはポップに、チウを連れたらすぐに戻るように念を押す。戦力の立て直しを優先すべきだというレオナに対して、ポップは少しおどけた様子で承知し、二度と同じミスはしないと明るく請け負う。

 それを聞いて笑顔を見せるレオナに、そんな彼女を嬉しそうに見つめるダイ。
 挨拶を交わした後、ポップのルーラで空に飛び上がる三人。






 その頃、死の大地ではゴメちゃん、マリンスライム、パピラスは身を寄せ合い、目を閉じて震えていた。
 彼らのすぐ近くでは、チウがフェンブレンの攻撃で切り刻まれていた。肩当てが切り裂かれ、地面に落ちる。

 両手でなんとか急所をかばってはいるものの、チウは肩で息をしていて苦しそうだった。
 それでもチウは、フェンブレンに軽口を言い返す気力を失ってはいない。

 が、そんなチウの強がりを鼻で笑ったフェンブレンは、一足飛びに距離を詰めてチウの胸に刃の指を打ち込んだ。それも、わざと急所を外して、だ。
 チウの危機を見て、悲鳴じみた声を上げるゴメちゃん達。

 そんな状況でありながら、チウはみんなに心配するなと声をかける。
 必ずみんなを助けてやると言い切るチウに、思わず涙をこぼす遊撃隊員。だが、痛くないと強がるチウにフェンブレンはさらに深く刃を差し込んだ。
 苦痛に呻きながらも、必死で刃を抜こうとするチウだが、びくともしない。

 苦痛にうめくちうを見ていたゴメちゃんは、悲しそうに俯き……やがて、泣きながらも決意したような表情を見せる。
 ピッと泣くと童子に涙を振り払って羽を伸ばしたゴメちゃんの身体が、金色の光に包まれる。

 楽しげにチウをいたぶるフェンブレンや、苦痛に耐えるだけで手一杯のチウは気づかなかったが、ゴメちゃんは全身から凄まじい金色の光を放った。
 驚くマリンスライムとパピラス。
 フェンブレンも、ようやくそれに気がついた。

 だが、その時にはゴメちゃんは閃光を放ってフェンブレンに体当たりを仕掛けていた。その一撃はフェンブレンをよろめかせ、倒す。
 それに、驚くチウ。
 
 しかし、フェンブレンに当たった瞬間、ゴメちゃんは気が抜けたような表情になって光も失われ、ぽてんと落下する。目を回したゴメちゃんは気絶してしまったのか、チウの呼びかけにも答えなかった。

 すぐに起き上がったフェンブレンだが、予想外の攻撃に動揺を隠せなかった。磨き抜かれた自分の腕に映り込んでいた顔を見て、彼は驚く。
 オリハルコン製のフェンブレンの顔が、今の体当たりで変形していたのだ。

 驚愕し、フェンブレンは有り得ないとばかりに喚き散らす。
 だが、彼はすぐに冷静さを取り戻した。
 有り得ない行為を起こしたスライムの正体や理由を突き止めるよりも、自分の体を傷つけた者を処分すると決めたのだ。

 感情的にゴメちゃんを殺そうと刃の腕を振りかざすフェンブレン。
 それを庇おうと、チウが、ハピラスが、マリンスライムがゴメちゃんの上に覆い被さる。

 隊員二号に手出しはさせないと叫ぶチウだが、フェンブレンはマリンスライムを蹴飛ばし、ハピラスも蹴散らして、チウに向かって刃を振るう。だが、背中を何度も切り裂かれても、チウはゴメちゃんをしっかりと抱きしめて庇い続けた。

 それに業を煮やしたフェンブレンは、チウごとゴメちゃんを串刺しにしようとする。
 が、その時、滑り込むように走る刃が、フェンブレンの目を貫いた。そのまま、岩山に貼り付けにされるフェンブレン。

 その時、謎の人物がマントを翻してその場に現れる。 
 しかし、フェンブレンは貫かれた剣を抜こうとしても抜くことが出来ず、目がやられたせいで相手を見ることも出来ない。

 何者かと問うフェンブレンの問いに、その男は答えない。
 彼は述懐するように、強者が弱者をいたぶる行為が醜いと嘆く。その言葉には、どこかしら自嘲の意味合いが込められていた。

 激昂するフェンブレンに、刃がさらに深く突き立てられる。
 この場は引けと脅しつけ、男はフェンブレンに突き立てた刃をあっさりと引き抜いた。

 自由になったフェンブレンは、覚えておけと捨て台詞を残してルーラで去って行った。

 謎の男は竜を象った剣を鞘に納め、振り返る。その顔は紛れもなく竜騎将バランだった。


  


 


《感想》

 クロコダインがポップの頭を撫でるシーンというか、手が大きすぎて頭を鷲掴んでいるようにしか見えません(笑) アニメではポップの頭に手を置くシーンも追加されていて、最初はすごく驚いている感じがしていいですね。

 最初はポップは痛そうな顔をしているので、クロコダインも手加減に苦労しているみたいに見えます。でも、手を横に軽く動かして揺らす感じでなでなでしているシーンではポップは全然痛がっていないので、クロコダインの学習能力の高さを感じます。

 ヒュンケルが気配に気づいて警戒するシーン、原作ではその場で身構えていましたが、アニメでは数歩進み出ていますね。自分が前に出ることで、後衛を守る強い意志が感じられます。

 それを追ってマァムも数歩動いていますが、彼女はごく普通に動いていて、単にヒュンケルを心配している感じで、クロコダインは「なんだ?」と尋ねながらも斧をしっかりと身構えています。
 クロコダインの方が警戒心が高く、敵への心構えが強いのが良く現れているいい改変だと思いました。

 原作では、ヒュンケル以外は無警戒なんですよねー。ダイとポップに至っては、アニメでも何が起こっているのか分からずにきょとんとしたままでしたが(笑)

 ハドラー親衛騎団の出現シーン、アニメの方が動きが派手。最初、爆弾かと思いましたよ(笑)
 シルエットから煙が薄れて敵の正体が露わになるシーン、迫力があってよかったです!

 最初は黒いシルエットだったのが、光と共に白銀の輝きに取って代わるのが美しかったです。そして、原作通りの構図ではありますが、巨体のブロックが両手を広げているのが、仲間達を腕の中に抱き込んで庇っているように見えるのもいいです。

 ヒムがブロックに関するシーンで、台詞の改変が。

原作ヒム「ありがとよ、ブロック。デカいくせに冴えてるな、おまえさんは」
アニメヒム「ありがとよ、ブロック。見た目と違って冴えてるな、おまえさんは」

 えーと『デカい』も差別用語になるんですかね? でも、アニメの台詞だと見た目を全否定しているも同然なのですが、それはいいんでしょうか?(笑)

 ポップがショックを受けるシーン、背景の青空に黒い靄がかかって暗くする演出がいい感じです。完全に黒にするのではなく、青空がうっすらと残っているのが尚更暗さを際立たせています。

 マァムの台詞、前半部分と『よく知っている』の『よく』がカットされていました。ダイの台詞からも「構うもんか!」がカットされていますね。
 一瞬だけマァムに目を向けた後、真正面を向いて決意を語るダイがすごくいい感じです。

 ポップが次は決めると気合いを入れるシーン、原作ではポップが普通に胸を張るシーンのカットでしたが、アニメでは腕を握りしめたポップを斜め上から見下ろすという構図に改変されていました。

 原作のちょっと子供っぽいポップのえっへんポーズを見てみたかったのですが、アニメ版の気合いシーンもシリアスでいい雰囲気で、甲乙つけがたいです〜。
 シグマの声で、きょとんとする表情はちゃんと合って、嬉しいです♪

 シグマの台詞から『この私が意地でもそのまま君にお返しするからな』の部分がカットされていました。気に入っていた台詞だっただけに、残念!
 何やら今回は、微妙なカットシーンが多いみたいです。

 ところで、シグマの足のカットがはっきりと見えました!
 原作では普通にブーツみたいな足と思っていたのですが、アニメでは甲の部分と踵部分に分離するようになっていて、動く時にはつま先立ちになる分、踵が浮く仕組みになっていると判明!

 この細かなギミックにより、足の甲部分が格段に馬の蹄感が増しています。うわー、細かいところまでよく作り込んでいるなと、あらためてアニメスタッフの拘りに感動しました♪

 ハドラーの出現シーンも、妙に凝っていますね。原作では昭和期の壊れたテレビのごとく、ノイズと共にいつの間にか来ていた感が強かったのに(笑)
 ピンクの電流の中、成長していく黒い球体の中に細かな水疱が立ち上る図は、なかなかに新鮮で面白かったです。

 ハドラーの声、最初からエコーをかけてここにはいない感を出していますね。
 後、ハドラーが完全に姿を出し切る前に、ダイは真顔で身構える改変がいいです。原作では素直に驚いていましたが、アニメではハドラーへのライバル心というか、敵と認めている感じが強いです。

 ハドラーを前にして、ポップはやや気負いすぎ、ヒュンケルは冷静なのが面白いですね。
 しかし、ハドラーの卑怯さを糾弾する熱さにはちょっと驚きました。

 原作ではそこまで怒っている風でもなく、相手の反応を見るための挑発的な台詞かと思っていましたが、アニメだと武人としての生き方に拘るヒュンケルの若さというか、熱さを感じますね。

 親衛騎団が立ち去る際、シグマがブロックを背負う改変がありました。シグマも片手がないんだから、ここは無傷のフェンブレンが持てばいいんじゃ無いのかと思いましたが……よく考えたら、彼の腕では助けるどころか仲間の身体を傷つけちゃいそうですね(笑)

 アルビナスの別れの挨拶で、『思わぬ力の入ったバトルになってしまいましたが……』『続きは死の大地で……』の部分がカットされたのは残念。
 シグマがブロックを支えたことでルーラで飛び去るシーン、原作では四つだったのが三つに変更になっていました。

 ポップが飛び出しかけるシーン、原作ではダイはポップの腕を掴んで止めていますが、アニメではマントの裾を掴んでいますね。
 両手でギュッと握って引っ張る姿が、幼児みがあってすごく可愛いです!

 原作ではダイが「みんなの手当てが先だろ」と止めているのですが、アニメではそれをマァムが回復の指示を出しているように改変していますね。
 しかし、一国の姫君を何の躊躇もなく衛生兵代わりに利用しようとは(笑) そもそも、勇者と一行の要となる魔法使いも使いっ走りにしていますし……大物ですね、マァム。

 傷ついた親衛騎団のシーン、シグマがやや身をかがめて倒れそうなブロックを支えているせいで、原作と比較するとブロックがやや大きめに見えます。

 このシーンだけでなく、なんとなくですがブロックが原作よりも大きめなキャラ設定がされているんじゃないかと、前から思っていたのですが。
 ううっ、全員の身長比較図が気になります! ダイ大のアニメ用設定資料が、見てみたいーっ。というか、熱烈に欲しいですっ。

 ハドラーがアルビナスの些細な掠り傷にも配慮しているのが、萌えっ。表面上はクールを装っていても、アルビナスは内心では嬉しく思っていたに違いないですっ! ええ、異議は認めませんっ(←超独断) 筆者はハドラー×アルビナス派ですので!
 
 後、フェンブレンに関する説明が、原作とは違っていました。
 原作ではハドラーはフェンブレンを場所を指定した上で『置いた』と発現しているのに対し、アニメでは『派遣した』と言っています。

 死の大地の陰鬱な風の音の直後、チウ君の元気なテーマソングがあまりにも似合わなすぎて、つい笑っちゃいました。
 遊撃隊の新メンバー、マリンスライムがめっちゃ可愛いですっ。貝殻が重そうなのに、めっちゃ元気に弾んでいます。原作では彼に命令を下すシーンはなかったのですが、改変されていました。これは嬉しいおまけシーン♪

 なお、命令を下すチウ君の後ろ姿にでっかい絆創膏が貼ってあるのは、後のシーンへの伏線であり、ご愛敬です(笑)

 ハピラス、立ち姿ががに股ですっごくみっともない感じ。まあ、身体の大きさに比べて足が極端に短いので仕方が無いのですが……空が飛べる有能君なのは間違いないですが、かわいげのなさが非常に残念! いや、これでも原作に比べればアニメ版のパピラスの方がまだ可愛いのですけどね。

 マリべえを自慢をするチウと、隊長の活躍に目を輝かせるゴメちゃんがめっちゃ可愛いですよっ。ゴメちゃんもスライムの一種なだけに、お仲間が増えるのが嬉しいのかもしれません♪

 チウの後ろ姿を見る度に思うのですが、チウって体格の割には肩甲骨の辺りが発達していて、背筋が強そうな感じがします。正面から見ると、ずんぐりむっくりな幼児体型なのに。

 一度、服を脱いだ時の体つきを見てみたい気もします。
 長毛のふわふわの動物をお風呂に入れた時のような、衝撃映像になるかもしれません(笑) とりあえず、チウも足は短そうですし。

 チウがフェンブレンを見て、オリハルコンの奴という台詞やフェンブレンの名乗りはアニメでの改変です。
 原作では、チウは相手が誰かも分からないまま戦っていたし、フェンブレンも名乗るほどの相手とも思っていなかったんですね。原作ではその辺が曖昧だったりして、チウはフェンブレンを『魔王軍』と呼びかけていました(笑) 

 ただ、アニメのチウもフェンブレンの名乗りを聞いたにもかからわず、魔王軍と呼んでいますけど。

 CM開けの海のシーン、海の浅瀬が光が差し込んでとても綺麗な画面から、下へとパンしていって、暗い海へと変化していく演出はお見事。
 しかし、マリンスライムってフワフワと浮き沈みするように泳げるんですね、初めて知りました。スー○ーマリオにでてくる水中の怪物っぽいです。

 かと思えば、勢いよく海面に飛び出したり、水面を跳ねて移動したりも出来るなど、アクティブな動きに感動。
 原作以上のスピード感のある動きがいいですね。
 ただ、着陸するまでの動きで終わっていて、地上に上がってからも元気よく跳ね回るシーンはカットされたのが残念です。

 チウ達の脱出シーン、仲間達の有能さに感服!
 特にマリンスライムなどはパピラス、ゴメちゃんとは初対面のはずなのになんて息が合っていることか。

 また、原作では可愛くまん丸目を見せて威張っていたチウが、アニメでは得意げな表情をしていたのがまた、ぶさ可愛くてよいです♪ 原作以上に、顔芸が豊かになった印象ですね。

 獣王遊撃隊が落下するシーン、原作ではちゃんと描かれていますが、アニメでは音だけになっていました。
 だけど、ひっくり返ったマリンスライムの姿に唖然!

 貝殻から身体がでろんと半分はみだし、ポカンと口を開け、白目をむいて伸びていました! げ、原作にもない貴重なマリンスライムの気絶シーンです!
 原作では普通の格好だったのに。っていうか、マリンスライムってヤドカリみたいに殻から身体を出せたんですか!?

 後、原作ではこちらに顔を向けて目を回していたゴメちゃんが、アニメではうつ伏せに倒れていました。

 フェンブレンの話を聞くチウが、立ち上がろうとして失敗し、それでも諦めずにもう一度立とうとする動きがいいですね。

 後、フェンブレンが自分達がバーンパレスに出入り出来る説明が改編されていました。
 
原作フェンブレン「我々は魔宮の中で生まれた。だから、ルーラで出入り出来るのだ」

アニメフェンブレン「我々は特別な呪法をかけられた魔王軍の戦士だ。よって、ルーラで出入り出来る」

 細かい部分ですが、原作とアニメの差を感じます。
 原作では親衛騎団はバーンパレスへの出入りは、生まれつきの特殊技能として自動獲得した物ですが、アニメでは呪法をかけられているので、呪法をかけた側の思惑次第では資格を抹消される可能性があると推測しました。

 フェンブレンの「おまえ達は死ぬ」の台詞の後半が改変されています。原作では『死人は口がきけない』でしたが、アニメではそこを気遣って……えー、えーと、死骸と言っちゃうのって気を遣ったって言えるんですかね?(当惑)

 フェンブレンの目が赤く光る演出にビックリ!
 し、知らなかったです、アニメになってから発覚した新事実が次々とっ(笑)

 原作ではチウに対してフェンブレンが一方的に切りつけている演出でしたが、アニメではチウが最初の一撃の後、自らフェンブレンへ向かっているのがいいと思います!

 無謀ですが、勇気がありますよね。
 最初は情報を得ると同時に撤退を選び、逃げられないなら戦おうとするチウに感心しました。
 後、チウの血も緑色なんですね。

 血の色が赤じゃないからと言って、傷口が原作よりも大きく、出血も派手になっているんですが、それは……一度、制作スタッフ様の血の色を問いたいものです。

 後、チウが腕を切られた後で後ろの岩に叩きつけられるシーン、勢いよく転がっていますが、これってフェンブレンの攻撃と向きが合っていないので、的の打撃力で飛ばされたとは言いがたい気がしてなりません。

 腕を切られた痛みのせいで、チウがとっさに後ろに逃げようとしたせいで自ら岩に激突し、大惨事になっているような……。
 切ると同時にバキの魔法を使っていれば、魔法で吹き飛ばされた可能性もありますが、魔法の光は一切無いんですしね(笑)

 マリべえがフェンブレンの足に噛みつくシーンも可愛いですが、そこでフェンブレンの足が原作と改変されているのを発見!
 原作ではフェンブレンの足はつま先だけでは無く踵の後ろも爪のように尖っていたのに、普通の踵になっていました。

 フェンブレンがチウや遊撃隊をバカにしている台詞の時、マリべえがひょこんひょこんと小さく跳ねながらチウへ近づこうとしている姿が、すごく可愛くていじらしかったです。
 原作でもあるシーンなのですが、コマの隅で小さく描かれただけの目立たないカットがアニメでれっきとしたワンシーンになるとは、感動です!

 チウの台詞で「我が隊の立派な隊員達だ」が追加されているのは嬉しい改変でした。原作ではこの時、ただ隊員と言っているだけですが、チウが部下を誇りに思っているのは他の話からもよく分かるので、ここで立派な隊員と言ってくれて本当に良かったと思います。

 しかし、その直後にフェンブレンの残酷発言って(笑)
 前回までは紳士的行動を取り繕っていたのに、ここに来てフェンブレンのサドッ気全開ですよっ。
 まさか、普段は改変しまくりの原作の台詞を、ここでそのまま全のっけで来るとは思いませんでした。いや、こここそ隠すべき場所なのでは?

 フェンブレンの台詞を聞いて戸惑うチウ君や怪物達の表情が、理解しきれない者を見る目に見えてしまいます。
 と言うか、ぶっちゃけ『なに、この変質者?』と言わんばかりの表情に見えましたとも(笑)

 浜辺での野戦病院、原作では小さめだったカットをしっかりと丁寧に描写して入れ嬉しい限り。
 メルルの手当て姿が、実に可憐です。マァムの回復魔法も、実にいいですねえ。それにしても、ゴメスとマァムの組み合わせはつくづく縁があると思います。

 ダイが兵士を背負っている図、兵士さんがものすごく窮屈そうでお気の毒。
 ゴメスの台詞に改変がありました。

原作ゴメス「ま……真っ先にやられちまったから、多分、まだドックのほうで生き埋めに……」

アニメゴメス「ドックが襲われた時に……真っ先にやられちまったよ。多分、まだドックの……(アキームが騒ぎ出したので、聞き取れない)」

 アキームさんがコケるシーンや、「うーーっ」と唸るシーン、戦車隊員が怒鳴られるシーンもカットされていますね。ちょっと残念。
 それにしてもアキームさんの走り、手を大きく振って原作寄りも勢いよく走っている気がします。

 激おこマァムが実に可愛いです♪ ポップに対して怒った時は、失望感が強い怒りだったのに対し、ノヴァに対しては甘えた態度が気に入らないとばかりの叱責という印象でした。

 マァムから見れば、村にいる自分より小さな子達のダダと変わらない感覚なのかもと思いました。

 そう言えばマァムの台詞で、原作では「城へ帰る」がアニメでは「基地に帰
る」になっていました。
 レオナの台詞でも、原作との改編を発見。

原作レオナ「誰だか知んないけど、マァムの旦那さんになる人って大変よねえ〜」

 この台詞の直後にポップの出番を持ってきたことで、ポップがそうなる可能性が高いと示唆しているような密かな演出が、実に憎いですねえ! ええ、筆者はポプマ派です! ……まあ、ポップと一緒にヒュンケルとクロコダインも来ましたけど(笑)

 ポップがチウ達を連れ戻すことをみんなと話し合うやり取りでは、細かい改変がいくつもありました。
 クロコダインとポップの軽い口調でのやりとりが、互いの信頼感を感じさせてすごくいい感じ♪

 逆に残念なのが、ダイがポップと一緒に行くと食い下がるシーンがカットされていたこと。ダイにしては珍しく、ヒュンケル達が一緒に行くからと断られても、それでも食い下がっていたところが好きなシーンだったので、アニメではあっさりと引き下がっていてがっかりです。

 そう言えば、レオナの『リターンバック』も単に連れ帰るに変わっていましたね(笑)

 ここはそれほど残念でも無かったのですが、ポップとのやり取りの後でレオナが笑うシーンで、ダイがそんなレオナを嬉しそうに見ているシーンが加わっているのは嬉しい改変でした。

 ポップのルーラが死の大地を目指すシーンから、死の大地へいるチウ達への変換演出はお見事でした。

 チウ君がいたぶられているシーン、原作寄りも傷や背後の岩の傷がソフトになっていましたね。
 チウに刃を刺しながら嬲る台詞も、さすがにカットされていましたし。ここも原作のままならどうしようかと思いました(笑)

 ゴメちゃんが決意するシーンで、原作ではチウとの回想シーンが入っていましたが、アニメではカットされていました。
 ゴメちゃんの神秘の力、発現!
 思っていた以上に綺麗な黄金色で、見ていて感動しました〜。

 ゴメちゃんをチウ達が必死に庇うシーンもいいですね。原作ではフェンブレンは腕で切り裂く攻撃でマリンスライムを払いのけているんですが、アニメでは蹴飛ばしていました。
 アニメのフェンブレンは、意外と足癖が悪いです。

 フェンブレンが去る時、ルーラで移動していますね。原作ではフッと消えるような描写だったのですが、アニメでは親衛騎団の移動手段はルーラで統一しているみたいです。

 それにしても、バランパパン、シルエットだけでも特徴的な髪型や剣のせいでバレバレですね(笑) まあ、チウはバランとは会ったことはないので、最後に顔が見えても分からないと思いますが。
 しかし、チウを見下ろすバランがとてつもなく悪役っぽく見えてしまいましたよ(笑)

 次週予告、ヒュンケルとバラン戦の予告にワクワクっ。
 しかし、ポップがチウを抱きかかえて泣くシーンから始まったのに、その点は全く説明されていませんでしたね。
 頑張ったチウのために、何か一言ぐらいふれてあげても……(笑)

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