『アバン流究極奥義』(2021.10.2) |
《粗筋》 荒涼とした死の大地に、不気味な風の音が響き渡る。 同じ部屋にいたヒムとアルビナスは、そんなハドラーを驚きの目で見つめている。 そして、鈍い咳と共にハドラーは喀血した。 二人の肩を借りて歩くのがやっとの様子のハドラーに、アルビナスはそこまでしてダイ達に勝ちたいのか、と問いかける。 間髪入れず、勝ちたいと答えるハドラー。 ヒム達の手を借りて、王座へと座るハドラー。 その話を、真剣な表情で聞き入るヒム。 だが、ハドラーの言葉を遮って、ヒムは構わないと言い切る。 それを見て、ハドラーもアルビナスも驚く。 乱暴な手つきで、ヒムはその水を……涙を振り払った。空中に飛んだ水滴が、鮮やかにきらめく。 と、わずかに聞こえてきた音に対し、ハドラーは険しい目を音の方へ向ける。 フェンブレン「申し訳ありません……ハドラー様」 アルビナス「フェンブレン!?」
三人は固まったまま走り出す。岩の向こう側を見たポップは、倒れているチウ達を発見する。 血にまみれ、ぐったりと目を閉じているチウをポップは抱え起こし、必死に呼びかける。その後ろに、そっと近づくヒュンケルとクロコダイン。 チウの言葉の意味が分からず戸惑うポップの口に、輝きの杖が突っ込まれる。うめくも、なんとか杖を口から外すポップに対して、チウは杖を拾ったことや、最新情報を手に入れたことを自慢する。 強がるチウを心配し、ポップはもう喋らないようにと注意するも、チウはそのまま気絶してしまう。 それを見ながら、クロコダインはヒュンケルとチウの勘違いや誰と戦ったかについて話し合う。 明らかに様子が変わったヒュンケルに、どうしたのかと問いかけるクロコダイン。 ヒュンケル「ポップ……! チウ達を連れて戻れ!」 ポップは全員一緒でも大丈夫だし、この場所にヒュンケル達を残していくのを心配して反論するが、それを遮ってヒュンケルは頼み込む。 ポップ「なんだかわかんねえけど、無理すんな!」 ルーラで、その場から飛び去るポップを見送るヒュンケルとクロコダイン。彼が完全にその場からいなくなってから、クロコダインがヒュンケルに理由を問う。 が、ヒュンケルはそれには答えず、険しい目を岩山に向け、怒鳴るように叫んだ。 ヒュンケル「出てこい! おまえだと言うことは分かっている!」 岩陰から登場したのは、竜騎将バランだった。 バラン「久しいな、二人とも」 バランの登場に、驚愕するクロコダイン。だが、バランは落ち着き払った態度で歩を進めると、気配を消していたのに勘づいたヒュンケルの腕前や、ポップを先に返した判断力を褒める。 一見、友好的に見えるバランに対して、クロコダインは警戒を緩めない。バランの目的がダイとの対決にあるのではないかと、真っ先に問いただす。 人間達が力を合わせてバーンに挑む中、ダイは欠かせない存在だと訴えるクロコダインに、ヒュンケルも力強く続く。 おまえ達だけでは、私に勝てない、と。 さすがに驚き、翻心の意味を問うヒュンケル達。だが、説明無用と言い放ち、その場から離れようとするバラン。 目的が同じなら、過去の行きがかりを捨てて共闘しようと申し出るクロコダイン。目を伏せたままのバランは、返事もしない。 だが、ダイの名を聞いた途端、バランは目を開けた。 一瞬、ヒュンケルの方に目を向けたクロコダインの頬に、バランの痛烈な拳が叩きつけられる。 その怒りは凄まじく、吹っ飛ばされたクロコダインが地に落ちるよりも早く、続けざまの肘打ちで追撃を仕掛けた。 クロコダインを心配して彼の側に駆け寄るヒュンケルだが、その背後に音も無く忍び寄るバラン。 巨漢のクロコダインでさえ吹っ飛ばした一撃に、ヒュンケルは回転しつつ弾き飛ばされ、やはり岩山に叩きつけられる。その際、手放した槍が岩に当たって固い金属音を響かせた。 ほんの数瞬で徹底的に打ちのめされたヒュンケル達……。苦痛に呻きながら倒れる彼らの目の前で、バランは己のマントを投げ捨てて見くびるなと言い放つ。 人間も敵と言い切り、死んでも協力しないと宣言するバランは、どこまでも自分一人で戦う覚悟だった。剣を拾い上げて鞘に収め、背を向けるバランに対して、よろめきながらも辛うじて上半身を起こしたヒュンケルは、単独で敵地へ行く危険を説き、彼を止めようとする。 しかし、危険を承知しているバランの心は微塵も揺らがない。 バラン「死にたくなかったら、早く帰れ。……ダイのところへ」 振り返ったバランの額には、すでに竜の紋章は消えていた。振り返った瞬間に見えた目の鋭さも、ダイの名を呼ぶ時にはわずかにだが緩む。 その目を見て、ヒュンケルは以前のバランとの差違を感じ取る。 一方、拠点では大勢の怪我人が横たわったり、壁などにもたれかかって座り込んでいた。 ダイ&ポップ「えっほえっほ」 ポップとダイも、二人が借りて担架に怪我人を乗せて運んでいる。 レオナ「でも、立て直しは出来ます」 そこに、奥の扉からマァムとメルルが出てきて、チウ達の手当てが終了したことを告げる。それを喜ぶダイ。 ヒュンケルがあまりにも真剣に頼んだせいだと言い訳するポップに、ダイはなぜヒュンケルがそんな態度を取ったのか、疑問に思う。 ポップ「なんだ?」 自分の右手を見て、ダイは戸惑ったような口調で答えた。 ダイ「……わかんない……」 そんなダイの姿に覆い被さるように、竜の紋章の光が浮かぶ。 死の大地で、額に竜の紋章を宿してその場から立ち去ろうとするバラン。が、槍にすがって立ちあがったヒュンケルが、それを止めようと声をかける。だが、すでに振り向きもしないバラン。 が、そんなバランに対して、ヒュンケルはバランの真意が読めたと告げる。 だが、バランはダイのためには自分を放っておいた方が得策だと諭す。なぜ止めるのかと問うバランに対し、ヒュンケルは死地へ一人赴くバランを見過ごせないと言い切る。 ヒュンケルの脳裏をよぎるのは、死ぬとはとても思えない安らかな表情で、バランとディーノのことを自分に託したラーハルトの顔だった。 その姿が、一瞬ぼやけたように見える。瞬きをすると、そこにいるのはヒュンケルでは無く、ラーハルトの姿に見えた。 最も信頼していた部下が自分を諫めようとしているのかと、驚きと共に振り返るバラン。 正対したヒュンケルに、自分がその説得を聞くと思うのかと問うバランに対し、ヒュンケルは力強く答える。 ヒュンケル「思わん!」 言葉と同時に、槍を投げ捨てるように地面に突き立てるヒュンケル。ハドラー達が気づく前にバランを倒すしかないというヒュンケルは、足をわずかに開く構えを取った。 バランでさえ戸惑う構え。 ヒュンケルの身体から闘気が完全に消えたことに、驚くバラン。 だが、無防備な立ち姿に見えて、ヒュンケルの目には闘志が満ち、自信に溢れている。 戸惑うクロコダインは、ヒュンケルから闘気が感じられないことに気づく。それと同時に、バランもまた闘気を消し始めた。 そんな中、バランは落ち着き払った声でこれが捨て身技……カウンター狙いの攻撃だと看破する。 それに対し、ヒュンケルは師であるアバンの書の話を始める。 敵を前に闘気を抑える境地に至るため、アバンは敢えて剣を捨ててその技を習得した。 15年前。 が、アバンは剣を地面に突き刺し、決然とした目でハドラーに勝負を挑んだ。 アバン「来いっ! ハドラー!」 自ら武器を手放したアバンを見て、ハドラーは闘気を高めながら吠える。 ハドラー「バカめッ、勝負を捨ておったか!? これで終わりだぁあああーーっ!」 闘気で拳を輝かせながら、一直線にアバンに向かってくるハドラー。その拳が、アバンの胴を思いっきり叩く。 が、回転しながら後ろに転がったアバンは、背後に突き立てた剣を手にして、反撃に転じた。 闘気を込めた一撃の直後で隙が出来たハドラーは、アバン渾身のアバンストラッシュをまともに受けてしまった。 倒れた魔王を背に、しばし、しゃがみ込んでいたアバンはゆっくりと立ち上がる。壊れかけた遺跡のような建物に、夕焼けの光が差し込む中、振り返ったアバンは万感の思いを込めるように己の手で倒した魔王を見つめていた。 回想は飛んで、崖に面した川辺に立つアバンと幼いヒュンケルの姿が映る。卒業の証であるアバンのしるしをもらった直後、アバンに攻撃し、返り討ちに遭った時の回想。 今の時系列に戻り、死の大地で相対するヒュンケルとバラン。 それを聞いて、クロコダインはようやく彼らの意図を悟る。 だが、バランは自分ではヒュンケルのように上手く闘気を消せないと、ヒュンケルの成長ぶりに驚きつつも褒める。よほどの覚悟がなければそこまではできないと、バランは身をもって知ったのだ。 その時、少し離れた岩山に、銀色の影が舞い降りる。それはアルビナスとヒムだったが、戦いに集中しているヒュンケル達が気づくことは無かった。
そして、ヒュンケルはバランがカウンターに耐えるかと挑発的に言った。即ち、自分こそがカウンターで止めを刺すと、暗に口にしている。 バランは両手でしっかりと剣を構え、身構える。 バランと対峙しながら、ヒュンケルは一日たりとも忘れたことのなかったラーハルトのことを思い出す。
ヒムは決闘に横槍を入れるのに、反対する。ハドラー様からもお叱りを受けると彼女を止めるが、アルビナスは動じない。 アルビナス「災い全て、燃え尽きるべし……!」
激流のごとく襲いかかる幻の竜に、ヒュンケルは無反応だった。 そのわずかな隙を見逃さないとばかりに、バランが挑みかかってきた。地面を強く切り、一気にヒュンケルへ距離を詰めようとする。 竜の紋章が襲ってくる――かのように見えたが、それは剣を振りかざし迫ってくるバランだった。 銀色の身体を太陽のように輝かせたアルビナスの攻撃に、周囲も金色の光に包まれていく。 驚愕の表情のまま、光に飲まれるクロコダイン。容赦なく広がる光に、全てが飲み込まれていく。 砕けた小石が雨のように荒れ狂い、ようやく光の奔流が収まった頃、ヒムは地面に開いた大穴を覗き込んでいた。 成果を問うヒムだが、アルビナスの右半身が大きく削られているのに気がつき、愕然とする。 それを真後ろから支えるヒム。 赤い夕日に、死の大地が染まっている。 死の大地を眺めることが出来る森の中で、クロコダインは木にもたれかかって座りこみ、自分を助けてくれたバランに話しかけていた。 ヒュンケルを心配して立ち上がったクロコダインは、バランが見つめる先に倒れている彼がいるのを発見する。 その姿の衝撃を受け、膝から崩れ落ちるクロコダイン。両腕で地面を殴り、思わず彼の名前を叫んでいた。 アルビナスが割りこんできた際、ヒュンケルに集中していたバランは、何も出来なかった。というよりも、ヒュンケルへの攻撃を止める気は無く、そのまま攻撃を続けようとした。 しかし、ヒュンケルは一瞬の驚きから立ち直ると、身体の向きを変えてアルビナスに向き直った。その背後に、魔槍の柄が銀色に輝く。 アルビナス「ニードルサウザンド」 女王の放つ無数の雷針が、ヒュンケルを打つ。 だが、その瞬間、バランの剣もまた、ヒュンケルを捉えていた。 クロコダインは無言のまま、ヒュンケルの側へと歩み寄る。ヒュンケルの側に座り込んだ獣王に対し、バランは問いかけた。 バラン「クロコダインよ。私はどうすればいいと思う?」 何をすればヒュンケルに報いることが出来るのか、真剣に尋ねるバラン。 バランをバーンと戦わせた方が、人間達にとって得だと思ってしまったことを、クロコダインは恥じていた。自分ではバランに勝てないと諦めたクロコダインは、自分には何も言う資格がないと思っている。 号泣しながらヒュンケルを抱き寄せたクロコダインは、不器用な友の心意気だけは汲み取って欲しいと頼んだ。 バラン「……そうか」 その頃、拠点では死の大地の地図を見つめながら、レオナが呟いていた。 レオナ「大魔宮……バーンパレス」 ポップ「その魔宮の門が、海底にある……か。チウの奴、よくも見つけてくれたもんだぜ」 チウから聞いた情報を元に、どうやって魔宮の門を攻めるか作戦を立てている勇者一行。 だが、レオナは一人では危険だと止める。 そこに、足音と共に登場したのはバラン。 バラン「行くのは私だ」 その声に一瞬ビクッとし、顔を上げるダイ。その近くではポップが驚きのあまり腰を抜かして、床にへたり込んでいる。 ポップ「な、ななななな……っ」 堂々と姿を現したは、バラン。 ポップ「バランッ!?」 警戒と驚きが等分に混じったような目で、バランを見上げるダイ。そんなダイを見下ろすバランは、一見落ち着き払っているように見える。 《感想》 なんというストーリー性の高いオープニングかと、のっけから目を奪われました! 感動の余り、オープニングは単独で別に感想を書いちゃいましたよ。 しかし、新オープニングの出だしがハドラーから始まるとは。誰が主役やねん(笑) でも、新アニメではキャラクターが回想するのでは無く本来の時間の流れに沿って話を進める方針みたいなので、これはこれでいい気がします。 ハドラーの喀血の量、原作よりも控え目になっていますね。 ハドラーが上には上がいると呟くシーン、ダイ、バラン、大魔王バーンの順に並んでいたのが、彼の中での強さの基準みたいです。 フェンブレンがハドラーの元に戻るシーンや、アルビナスが彼を心配したように呼ぶシーン、アニメでの改変ですね。 見事に、背が低い順から並んでいますね。歩く時も走る時も、さりげなくポップの足に合わせて二人の優しさが好きです♪ チウがポップの口に輝きの杖をツッコむシーン、どう見ても無理がある気が(笑) ポップの台詞やチウの自慢台詞、一部カットされていました。ポップの台詞はあまりたいしたことがない部分だったので問題ないのですが、チウの「羨ましかったらおまえも努力したまえ」の偉そうな台詞を聞いてみたかったので、そこが無くなったのはちょっと残念。 ヒュンケルがバランの気配を感じて動揺するシーン、原作では集中戦やおどろ線で表現されていましたが、アニメでは目眩風に表現されているのが興味深かったです。 ポップに戻れと言う台詞、原作では ヒュンケル「……ポップ!! チウ達を連れて一足早くルーラで戻れ!!」 だったのですが、アニメでは台詞から説明部分を削り落としたことで切迫感、緊張感が強まったように感じられました。 ポップがチウ達をルーラで運ぶ前、原作ではガバッとまとめて抱きついていましたが、アニメではゴメちゃんとマリンスライムは拾い上げ、パピラスは足を掴むというアクションが入るのが楽しかったです♪ ヒュンケルがポップを見送るシーン、髪がルーラの巻き起こす風に揺れているのが細かくて感心しました。その風が収まってから、クロコダインが声をかけているのもいいですね。 ヒュンケルのバランへの呼びかけ、原作ではもっと余裕綽々なイメージかと思っていたのですが、アニメでのヒュンケルにはそこまでの余裕がない感じですね。 後、バランの登場、思ったよりも早かったです(笑) 原作では、ヒュンケルの腕前を褒めた後で口にした久しいなという挨拶を、再会した段階で言わせたことで、ずいぶんと友好度が上がったように感じられます。 それはともかく、ヒュンケルやクロコダインの台詞も、大幅カットされとります。これまでの説明的な部分は省いてもいいという判断みたいですね。 クロコダインのバラン説得のシーン、目がキラキラと輝いていましたよ! あれだけひどい目にあったのに、全く悪意を抱いていないクロコダインの潔さ……かっこいいです。 原作では、マントの下のバランが拳を握り込んだ気配をヒュンケルが察知する演出がありましたが、アニメではこのシーンは省略されていましたね。 怒りのバラン、すっごい迫力! やはり、アニメという動きが加えられたことと、声優さんの演技も加わったことで演出がより際だって見える印象です。 バランが振り返ってダイのところへ帰れと言うシーン、実に、実に素晴らしかったです! 息子を思うことで、荒れ狂う竜の怒りを静めたのだと解釈します。また、ダイの名を呟く時だけ、目元が和らぐのがいいですね。 拠点に戻っての怪我人治療光景、アニメで見るとカラフルなだけにより惨憺な印象ですねえ。しかし、怪我人がもたれかかっている宝箱の大きさにびっくり。いや、原作通りのサイズ感なんですけど、色がつくとやたら大きく感じます。 座り込んだ人間を並べて3、4人ぐらい入れそう。これだけ大きいと、中の物を取るだけでも一苦労しそうですよ! つい、○ルダの伝説の宝箱を思い出しました(笑) 担架を運ぶポップとダイが、小さくかけ声を合わせているのがめっちゃ可愛いです! 原作では怪我人の様子を気にしながらゆっくり運んでいる印象でしたが、アニメでは元気よく駆けていますね。怪我人は揺らさない方がいいですよ〜? そしてバウスン将軍……原作の時点から思っていましたが、あなたも棒立ちになって愚痴っていないで働きなさいっ(笑) 落ち込んだ時に自分の悩みに囚われて動こうとしなかったノヴァの資質が、父親譲りじゃないかと思えてなりませんよ〜。 レオナの台詞「死人が出なくて良かった」とか「生きていれば」など、生死に関わる部分がカットされていますね。 マァムとメルルが並んで登場するシーン、いいですね。一歩引いた一から突いてくるメルルの慎ましさが、なんとも可愛らしいです。台詞を一言ぐらい、つけて欲しかったです〜。 しかし、上目遣いマァムの表情はちょっと残念。原作の表情や角度が気に入っていただけに、真正面からの上目遣いはちょっとイメージが違いました。ついでに、ぷんすこエイミさんのシーン、彼女が後ろ姿だったのも残念です。 でも、その分、目をキョドらせながら言い分けするポップの表情が楽しめたのは、素直に嬉しいですが ダイが右手の疼きを感じるシーン、原作ではダイ一人だけが気がつき、口にしないまま疑問に思っていましたが、アニメではポップとの会話があるのが嬉しいです。 ダイの些細な異変にポップが気がついたのも嬉しいし、ダイが全く理由が分からずに戸惑っているのも可愛らしくて、いいですね。 と、そこから幻のようにバランの額の紋章を浮かび上がらせることで、ダイの手の甲の紋章とバランの額の紋章が重なっているかのような演出には見惚れましたとも! 最初はダイが実体でバランが幻のような薄さですが、濃淡が逆転して視点が入れ替わるシーン切り替えもいい感じです。 ヒュンケルの説得シーン、思いっきりカットしたり、場面を先取りしたりと、改変が大胆でしたね。 アイキャッチの時の音楽、音が微妙に変化したような? 原作ではトーンの中に白いシルエットで表現していたシーンを、鎧等の細かい線までを白い線で描きつつも、顔が描かないことで虚無感を演出しているのはいいですね。 バランの台詞、改変されています。 原作バラン「読めた。これは捨て身のカウンター攻撃(アタック)だ」 原作ではわかりやすさを優先して説明過多気味だったのを、あっさり一言で済ませています。カウンターでは無く、捨て身技の方を残す辺り、ポケモンなどで『捨て身』という攻撃方法が周知されたのが利いている気がします。 ヒュンケルの回想シーンに出てくるアバンの書のアップ、文字は読めないけど何やらかっこいい感じですね。たまに『!』や、アンダーラインなどもあるのは面白かったです。 もしや○撃の巨人のような仕掛けが混じっているのかとワクワクしましたが、じっくりと見た結果、左右のページで同じ文が最低でも3つあることを発見しました。 残念なことに、それっぽい文字をコピーしまくっている可能性の方が高そうです。 アバン先生の回想シーン……15年前のハドラーの方が老けて見えるのはこれいかに(笑) アバンが剣を床に突き刺すシーン、剣をアップにしているせいで自分のすぐ背後に捨てたという位置関係が明らかにされないのが残念です。 アバン先生の戦いも、やや不満が。 が、倒されたはずのアバンが反転し、剣を掴んで反撃する所こそがこの技の醍醐味だと思います! なのに、アニメではアバンの後ろ姿からの構図でカメラ視点を固定し、アバンが後ろに吹っ飛ばされ、身体を反転し反撃する流れを描いています。技術的には、こちらの方はむしろ難しいとは分かっていますが……っ、せめてアバン先生のアップぐらいは欲しかったですよ。 アバンストラッシュの輝きは綺麗でしたが、原作のように真っ二つに両断もせず、むしろハドラーが倒れるシーンはぐっと遠景の俯瞰図にして、殺伐さを消した代わりに迫力も軽減しまくりでした。 ヒュンケルの説明が削られまくるのは覚悟していましたが、一番好きな『そして、これなら確実におまえを殺さずに勝つことができる』が削られていたのが、非常に残念です。 ヒム達の登場、原作では普通に歩いていますが、アニメではルーラで飛んできています。いや、ルーラだと気づかれそうな気がするんですが(笑) 原作ヒム「なっ……、なんだ、あいつら? 敵陣で仲間割れか?」 原作では、ヒムはバランの正体を知らないどころか、ダイ達の仲間と判断しているみたいですね。 ヒュンケルとバランの対峙シーン、めっちゃかっこいいです! 単に回想を流すよりも、両者に共通する武器を通じて流すことで、よりドラマチックな感じがします。 アルビナスが『全てはハドラー様のため……』と言うシーン、まるでこちらを見下すかのような目線に、上から入った暗いグラデーションのせいで、恐ろしいぐらいに迫力がありましたよ! あ、あれ、おかしいな、原作ではここはただのアルビナスの顔のアップで、彼女のハドラーへの思いが垣間見えるシーンだと思っていたのですが……なんか、女王様気質のヤンデレが入ってきた模様です(笑) しかも続いてここで、『災い全て燃え尽きるべし』の台詞を言っちゃっています! バランとの対決シーン、幻の竜が暴れるシーンが迫力がありました♪ 小説で、日本刀で襲いかかってくる敵が身を縮めて気配を消すせいで、敵から見るとあたかも一本の刀だけで襲いかかってくるように見えたという、戦闘シーンを見たことがありますが、それを思い出しました。 アルビナスのニードルサウザンド、アニメでは敢えて技名を叫ばず、白く消滅させていく雰囲気がお見事。 何回か見返したものの『ううーん、もしかしたらルーラしているのかな?』レベルにしか分からないですよ。ただでさえ画面全体が白く光って見えにくいのに、超スローにして見返さないと分からないぐらいの駿足描写、止めて欲しいです〜。 ヒムの「おっ、おいおい……!! 本当にかたづけちまったのかよ、あの鎧の男まで……」の台詞が削られていました。ちょっと残念。 そして、ここには文句をつけたい……! なぜに、ふらついたアルビナスをヒムが支えるシーンを、真下から見上げるという妙な姿勢で描写したっ!? その直後のシーンでも、ヒムのアルビナスの支え方が原作と違って支えているのではなく、しっかりと掴んで保定しているように見えるのですが〜。 また、アルビナスがヒュンケルがいなくなったと呟いた後の、ヒムの『いなくなった?』の台詞がカットされたのも不満です。 死の大地が夕焼けで真っ赤に染まる風景が映ったのは、非常に美しい光景で満足です♪ あまり重傷さを感じないのは、なぜなのか。 なまじ、鎧が壊れてもピカピカ感があって、夕日の差し込む背景が美しすぎるせいか、凄惨さがかんじられませんでした。 クロコダインが膝から崩れ落ちるシーンとか、両手で地面を叩くシーンなど、彼らしい情の厚さを感じてすごく好きです。 バラン視点での三すくみな戦いの図、素晴らしく格好良かったですよ。白い発酵したかのような背景の中、アルビナス、バラン、ヒュンケルの三人のシルエットのみが描かれるシーンの美しいこと! 砕かれるアルビナスに、青い竜の紋章だけがくっきりと浮かぶバラン、血を吐き、切られた胴部分が赤く表現されたヒュンケルの図が、静止画として動きを止めて表現されるのが、まさに戦いの場を一瞬切り取った感があってよかったです。 でも、そのかっこよさの直後、クロコダインに判断を丸投げしているのには、思わず「いやっ、人に聞くんかいっ!」とツッコミましたよ!(笑) クロコダインがヒュンケルを抱き上げるシーン、原作では控え目な抱き起こしでしたが、アニメでは顔を擦り付ける程しっかりとした抱擁になっています。なぜ、この抱擁シーンだけは派手目に変えたのか?(笑) 最後に三人の遠景場面になり、バランがクロコダインとヒュンケルを見つめるシーンは、背景の木々が夕日に照らされてまるで紅葉のようにきれいで、実にいいシーンでした。 レオナ達の話合いシーン、冒頭にレオナとポップの台詞が追加されたせいか、ずいぶんと穏やかな話合いになったように思えます。 ところで、レオナがもう一人と提案した直後、バウスン将軍、ノヴァ、マァム、ポップの順に顔が次々と映し出されるシーンがありましたが、これもアニメの改変ですね。 原作ではすぐにポップが名乗り出ていますが、アニメではみんなの顔を見せた後で名乗っている分、熟考の末の発言に思えます。 マァムが自分が行くわと言うシーン、身を乗り出して発言しているのがいいですね。すごくやる気を感じます。そして、ノヴァは台詞さえカットされている始末。 バランがやってくる直前、円型の卓を頭上から見下ろす構図になったのが面白かったです。 バランの声に、ダイが反応しているのも細かくていいですね。 ポップの腰を抜かすシーン、原作よりも思いっきり表情を崩して鼻水も垂れまくりなのには笑っちゃいましたよ。原作ではただ驚いて腰を抜かしているだけですが、アニメではバランを指さして何かを言おうとして、壊れたレコードみたいにうめいています(笑) バラン、ダイと顔を合わせた時、目の輝きだけがわずかに揺らいでいるのに感動。 次週予告では……あのーもしもし、プレゼントの応募方法が画面のL字部分で紹介されているせいで、なんか集中できないのですが! さりげに、エイミさんとヒュンケルのシーンも混じっていたりしましたが、そこは触れないのですね、アバン先生(笑) 予告の最後に、ダイとバランが背中合わせに立つ姿が公開されていましたが、原作でもお気に入りのシーンだけに感無量です! |