『ハドラーの挑戦』(2021.10.16) |
《粗筋》 奇襲のような攻撃が、武器を手放したバランを襲う。 ダイ「うぉおおおおっ!」 だが、その瞬間、拳の紋章を光らせたダイが背中の剣を引き抜き、バランとフェンブレンの間を一瞬で通り抜け、海底に着地した。 まだきりもみ状に激しく回転しているフェンブレンだが、その動きは次第に弱まり、やがて止まった彼の身体は見事なまでに真っ二つに断ち切られていた。 フェンブレンは今の技がアバンストラッシュだったと悟り、バランではなくダイに敗北したことを知った。 バランはその様子を見ていたが、ダイはアバンストラッシュを放った姿勢のまま、戸惑ったように自分の剣を見ていた。 思念派でバランに剣を褒められ、ダイはようやく彼らしい笑顔でバラン員向かって頷いた。 二人で力を合わせれば必ず門を破れると鼓舞するバランと共に、門へ向かって泳ぐダイ。 両者とも竜の紋章を光らせ、必殺の一撃を同時に門へと叩きつける。その瞬間、眩い光が目の前一杯に広がった。
天井から落ちてきた石のかけらが杯に落ちたのを見たバーンは、鼻で笑ってそれを放り捨てた。バーンの手から離れた杯は、中に入っていた酒をこぼすこともなく、空中で灰となって消え失せる。 バーン「代わりを持ってこさせろ」 ミストバーン「はっ」 さすがの大魔王も竜の親子の力を認めたのか、一言、呟く。 バーン「……たいしたものだな」 海水を吸い込む魔宮の門の穴を見て、素直に喜ぶダイ。だが、バランは当然の結果だと冷静に言う。
喜びに浸る勇者一行と違い、親衛騎団はフェンブレンがこの場へ送ってきたエンブレムがひび割れたことで、魔宮の門の決着を悟る。 いきり立ち、フェンブレンの敵討ちをしようとヒムの手をシグマが止める。 フェンブレンが暴走した今、自分達がここを離れるわけにはいかないと諫めるアルビナスの言葉に、ヒムはポップ達に向き直る。 それを聞いて驚くポップ達。 一方、地底ではダイとバランは海に没した階段を抜け、そろって空気のある層へと飛び出していた。海水の浸食が及んでいない階段を、駆け上がる竜の親子。
マァムが素早い動きで大きくジャンプをする隣では、ポップがトベルーラで同じ高さを飛んでいた。寄り添い合って空を行く二人は、それぞれ反対側に向かって警戒心を向けている。 飛ぶポップを、バッタのように跳ねながら追うマァム。その後ろを、さらに親衛騎団の三名が追う。 と、その時、シグマが手にしたランスを投げつけた。狙いは、言うまでも無くポップ。 ランスになにかがぶつかった衝撃で爆破が起こり、親衛騎団とポップ達はそれぞれ反対の方向へと飛ばされた。 なんとか姿勢を整え、猫のように四つん這いになって地面に落ちるマァム。ポップは受け身を取る余裕もなく、背中から落っこちてうめく。それでもなんとか身を起こしたポップの前に、銀色の足当て(グリーブ)が近づく。 それを見て、いつになく驚いた表情を見せるアルビナス。 銀色の鎧を纏い、槍を持った戦士――それは紛れもなく、ヒュンケルだった。 アルビナスもヒュンケルが重傷を負ったことを知っているだけに、彼の戦線復帰に驚きを隠せない。 敵を前にして、身構えるヒュンケルとポップ。が、マァムは心配そうな表情をヒュンケルへ向けていた。 だが、クロコダインはヒュンケルの無茶さに力づけられ、一気に気力を取り戻した。やおら、腕を出して相手の頭をつかんがクロコダインは、一気に反撃に出てブロームの巨体を担ぎ上げ、地面に叩きつける。重量差のせいか、その弾みでクロコダインも弾き飛ばされてしまうが、力勝負で負けた琴がショックだったのか、倒れたまま一声、うめくブロック。 ゴメちゃんはヒュンケルの参戦を喜び、歓迎の鳴き声を上げていた。 その言葉を受けて、「どうせ突っ立っているしかできないんだから心配することはない」と、スタスタと数歩前へ進み出るポップ。 が、ポップは振り返りもしないまま、いつになく真剣な口調で突っ立っているだけでいい、と語る。 その言葉を噛みしめるように、一瞬、目を閉じるヒュンケル。ポップの真意を知ったマァムは、またもポップの名を呼ぶが、その声音はさっきまでよりもずっと柔らかかった。 たとえ戦えなくても、来てくれただけで勇気をくれたと考えるポップは、ヒュンケルを振り返って「安心して突っ立っていろ」と言う。 突っ立っているだけの方が疲れるから遠慮するというヒュンケルに、ポップは素直じゃないヤツと不機嫌そうだ。 一方、敵陣営ではブロックが仲間の側へと戻ってきた。 クロコダインが、多分、ダイ達が倒したことを教える。 竜の騎士二人を相手にするとは、よほどの自信があるのか、捨て身の覚悟なのか……もしくはその両方なのか。 それに応じるように、ヒムも自分達の決意を露わにする。
だが、ハドラーは苦笑しながらそれを否定する。 しかし、今、ダイとバランが戦いを挑んできたことを望んでいるというハドラー。 ハドラーはフェンブレンの暴走が予想外だったと言った。 ハドラーは声を張り上げ、勇者ダイ打倒を宣言した。 だが、バランはそんなハドラーの自惚れを一喝し、自分一人で引導を渡してやると剣を身構えた。
ダイはハドラーの強さを竜の騎士二人と互角と見ており、確実に相手を倒すために一緒に戦おうと説得する。 が、ダイは誇りよりも実利優先だ。
バーンはハドラーが敢えて背水の陣を敷いたと評価しているが、ミストバーンはすでにダイ達が王宮に乗り込んでくることを心配していた。 戸惑うミストバーンに、バーンは確信を持った口調で、ダイ達が自分の顔を見ることは決してないと宣言した。
そんな二人に、どちらが戦うのかと、急かすハドラー。 ハドラーに向かって戦うのは自分だと宣言するダイは、言葉ではなく行動でハドラーの強さをバランに分からせるつもりだ。 身構え、階段を一気にジャンプするダイ。 一足飛びでハドラーに打ち込むダイだが、その剣はしっかりと受け止められる。剣戟だけで、その場に闘気が漏れ出して空気をふるわせた。 初撃と共にハドラーと距離を取ったダイは、またもハドラーに斬りかかった。 動き回るダイにたいし、ハドラーはその場を動きもせず、片腕だけでダイの猛攻をあしらっていた。ダイの成長を、まるで喜んでいるかのよう笑うハドラー。 ダイの攻撃を紙一重で躱すハドラー。その斬撃が背後の壁を大きく砕いても、ハドラーは動じもせず、不敵に笑ってさえいた。 その光景を、階段下から見上げるバランは驚愕の表情で見上げる。 ハドラーはダイに向かって、健気だなと話しかける。 だが、ダイ自身もハドラーの全てを見切っているわけではないと指摘するハドラー。 左手に武器があることに驚くダイだが、そこから一直線に地獄の鎖(減る図チェーン)が発射される。槍のようについてくる攻撃を、辛うじて躱すダイ。 ハドラーが左手をふるうと、チェーンは生き物のように動き、一瞬でダイに巻き付いて締め付ける。身動きを封じられた上に、棘のついたチェーンで捕縛され、悲鳴を上げるダイ。 身動きできないダイに向かって、ハドラーは自由な右手でイオラを放つ。 チェーンを手元に回収したハドラーは、一瞬の間も置かず両手から魔法の光を放ち出す。イオナズンの予備動作を見せるハドラーは、油断なく黒煙を見つめ続けていた。 と、煙を裂いて青い光に覆われたダイが飛び出してきた。アバンストラッシュを仕掛けてきたダイを、イオナズンで迎え撃つハドラー。 トベルーラで飛び上がり、ダイを受け止めるバラン。 文字通り身体を張ってハドラーの実力を証明したダイに、バランも納得し、今こそハドラーの力を認めた。 薄れゆく黒煙の中、ハドラーは平然と立っていた。 アバンストラッシュの威力をイオナズンで相殺されてしまった。 だが、ハドラーの胸の傷を見て、バランは血相を変える。
ハドラーが負けても、黒の核晶を爆発させて相打ちさせる予定だったのだ。死の大地は吹き飛ぶかもしれないが、バーンパレスに影響はないとバーンは全く気に懸けた様子もない。 すでに、ハドラーを捨て駒として見るバーンの目は、どこまでも冷酷だった。
一方、バーンの玉座では、ステンドグラスの光を浴びながらバーンがハドラーについて語っていた。 ハドラーが勝手に超魔生物に改造したのは、バーンにとっても想定外だった。改造の影響で、黒の核晶はいつ爆破してもおかしくない状態になっているという。 それを聞いて、息をのむミストバーン。 しかし、それでもバーンはハドラーの最後を見届けてやると言う。 それに比べ、ハドラーへ友情じみた感情を抱くミストバーンは、彼の生存を望みたいと考えている。だが、破れたのなら、華々しく散るようにと思うミストバーン。 傍観を決め込むバーン達と違い、実際にハドラーと正対するダイ達はこれ以上無いほどの緊迫感を味わっていた。 ダイ「どうしよう……?」 驚くダイに、バランは魔法や魔法剣を使わないように忠告する。それじゃ勝てないと言い返すダイに、言うことを聞くように強く言い聞かせるバラン。 だが、ダイ達の会話が聞こえていないハドラーは、二人のやり取りを作戦会議と受け止めていた。 咆哮と共に兜やマントがはじけ飛び、超魔生物ハドラーの全身が露わになる。 肩当てを広げ、そこから風を吹き出して飛び上がるハドラー。彼は一直線に、ダイとバランへと向かってきた――。 《感想》 親子の共闘に感動! 冒頭のダイがバランを庇うシーン、原作では「やめろ」と叫んでいましたが、アニメでは吠えるような叫び声になっていましたね。いかにも我を忘れている夢中さが強く感じられて、いい改変です。 しかし、血が出ないと思ってフェンブレンの真っ二つシーンは容赦なくやっていましたね。これまでの敵の中で、一番、原作に忠実なやられぐあいかも。 ポップとマァムがダイ達が魔宮の門を壊したと知り、がっちりと手を握り合うシーン、いいですね♪ 敵討ちだと騒ぐヒムをアルビナスが諫めるシーン、本来ならばここでハドラーとのやりとりがあるはずが、前回やったためか回想シーンのみに鳴っていましたね。 ただ、残念なのはヒムに向かって「おおっと、そうはさせるかよ!!」身構えるポップのシーンや、アルビナスの声にビビるポップのシーンがなくなっていたこと。 ポップの驚きのナレーションと、海底魔城を走るダイとバランのカットをだぶらせた演出はいい感じでした。ダイ側のBGMが、いかにもラスボス前っぽい曲になっているのが、ものすごくDQっぽいです。 バランの台詞、さりげなく改変されていましたね。 原作バラン「正気か? 一人で来るとは……」 意味合いは同じでありながら、問題にはならず、さらに短く改変する辺りにシナリオ担当様の苦労を感じます。こうやって短くした台詞の意味を通じやすくするのは、声優さんの演技力も大きいと思います。 クロコダインがブロックに攻撃を仕掛けられているシーン、とりあえずベアバックと判断しましたが、どちらかというと相撲の鯖折りに近い気もします。 相撲の鯖折りなら自分より小柄な相手にかける技ですし、突っ立って手で締めていただけ、しかも下半身が見えなかった原作と違って、アニメでは十分にのしかかっている上、クロコダインの足が完全に浮いてしまっていたので、尚更背骨への負担が心配になります。 ポップとマァムが親衛騎団から逃げるシーン、ゴメちゃんが真剣な表情で先頭を切って飛んでいるのが実に可愛いです♪ でもポップの動きに合わせて、マァムが動いているのは嬉しかった点。ポッ ランスが爆破後、ポップとマァムが地面にへたり込んでいる図は原作にもありましたが、マァムが辛うじて着地を決め、ポップが着地失敗するのはアニメの改変ですね。いかにもありそうです(笑) 二人のところに足だけが見えるシーン、原作にもありますが、アニメだと色が同じなのとちょっとぼやかしていることから、一瞬、敵かと思わせる演出でいいですね〜。 クロコダインの反撃シーンはかっこよかったですが、動きがよく見えなかったです、も少し詳しく見たかった。っていうか、あの姿勢からどうやって反撃したの!? ショックを受けたような「ブ、ブローム……」の一言が、妙に可愛かったです。 ゴメちゃんがヒュンケルを歓迎するシーン、原作ではヒュンケルの周囲を飛び回っているのに、アニメでは思いっきり省略されとりました(泣) ゴメちゃんの八の字飛行、見たかったのに〜。 ポップとヒュンケルのやり取り、いいですねえ。ポップがヒュンケルを兄貴分と呼んだ時、ヒュンケルは感動したように瞑目し、マァム、クロコダインは柔らかい表情でポップを見ています。 隅っこにいるゴメちゃんが白目を剥いているのはどういうこと!? ヒュンケルに対しての状況説明シーンは、やっぱり大胆に端折っていますね。まあ、その辺は仕方が無いですが。 ハドラーとバランの台詞、カットされつつも重厚なやり取りがいい感じ♪ ハドラーの言葉に、バランが心を動かされたといった印象で、いい感じです。バランはダイが自分よりもソアラに似ていると思っているので、他人から親子だと認められるような言葉に動揺したように見えました。 CM後、ダイがバランのマントを掴んで止めるシーンと、父親を見上げるシーンがめっちゃかわいいのなんの♪ バラン視点からだと、いつもダイはこんな風にちっちゃく、上目遣いに見えるわけですね。 バーンとミストバーンの会話、渋くてかっこいいですね。バーンの悪役感が、ものすごいです! ダイとバラン、この時点ではまだ共闘出来ないのだなぁと実感。ダイとポップが向かったのなら、最初から協力するのを目的に動いていたでしょうに。 ダイとハドラー戦、動かないハドラー相手に何度も打ちかかるダイの姿を見ていると、デルムリン島でのダイとアバンの訓練を思い出しました。あの時とは、迫力もダイの動きも段違いですが。 ハドラーのヘルズチェーン、さすがに巻き付いた時に血飛沫が飛ぶシーンはカットされていましたね。頬の掠り傷は良くても、やっぱり重傷は避けたい模様。 黒の核晶、初見ではすごく見えにくい、としか。 バーンとミストバーンのやり取りはよかったですが、バーンがミストバーンの身体には黒の核晶をつけていないと言う発言が削られていましたね。 バランの魔界の回想シーン、バランのみがモノクロっぽいカラーで、ヴェルザーがセピア色の背景に線画だけで描写されているという変わった画風だったのが印象的でした。 バランの話に驚いているダイが、何度も瞬きを繰り返しているのが可愛くて良かったです。 バーンの王座のステンドグラス、ちょっと稚拙な印象で歪んだ感じがする感じに表現されていました。パプニカのステンドグラスが芸術性を高められていた感じなのに対して、バーンのステンドグラスは原作寄りもさらに歪さを残すことで、不気味さをアップさせた感じです。 なまじ玉座や白の他の部分のデザインが秀麗なだけに、一部分だけそうではない部分があると、かえって深い意味があるように深読みしてしまいそう。 バーン様がチェス盤を吹き飛ばすシーンを見て、思わず「ぁああああっ、330万円がっ!」と叫んでしまったのは、現実とごったにしちゃっていますね(笑) ダイとバランのやり取り、シンプルすぎて爆笑しました。 分からんと言われて、ダイが「えっ!?」と聞きかえすのはアニメの改変ですが、まったく同感です! 見ている立場でさえ、思わず聞きかえしたくなる反応でしたからね! 次週予告、完全にハドラーとバランがメインに。ダイの見せ場が欠片もないのですが……。ポップ達にいたっては、カットゼロの上に一言も触れていないし! |