『生存者たち』(2021.11.27) |
《粗筋》 自然豊かな場所に広がる、平和な町並み……そこは、ロモス王国、ボルトスの街だった。 初老の男「みんな、逃げろ!」 子供を連れた母親「走って、早く!」 身一つで逃げ出す彼らとは裏腹に、一定の速度で飛ぶ白い飛行城。張り出した翼の先端部が動き出し、白い槍のような物が真下に射出される。 街を飲み込むドーム型の爆炎は、遠くからでも視認できた。 兵士A「うおお……」 兵士B「オレ達の街が……!」 ロモス城では、ロモス王や兵士達が城のテラスからその光景を見ていた。と、そこに空にルーラの軌跡が光る。 だが、やってきたのは頭を深く下げて跪く魔法使いの男――フォブスターだった。 フォブスター「急な時ゆえ、失礼をお許しくださいませ。カール王国、フローラ様の命により、現状を伝えに参りました」 顔を上げたフォブスターを、ロモス王は目を瞬かせながら見返した――。
雪空の中でも威容を見せつけるバーンパレスに、驚く偽勇者一行。 岩にしがみついて爆風に耐えながら、本物の勇者は何をやってるんだと叫ぶでろりん。だが、手が滑り、結局仲間と一緒に吹き飛ばされてしまう。 地面に巨大な槍がまたも突き刺さり、爆炎の後には大きなクレーターとそこに塔のように突き立つピラァ・オブ・バーンのみが残される。 バーンパレスから下を見下ろし、ピラァ・オブ・バーンの破壊力を我がことのように喜び、悦にいっているザボエラ。 だが、ハドラーを貶した際、ミストバーンは目を光らせる。 ザボエラは気づいていたが、放っておいたと得意げに笑う。 取り残されたザボエラは、なんと言われようとも生き残った者が勝者だと、独りごちる。
助かったのかと身を起こそうとしたポップは、自分のすぐ隣にいるマァムに気がついた。目を閉じたまま倒れているマァムが、自分を抱えてここまで泳ぎ切ったと悟り、感心したような目で彼女を見返す。 ポップ(おまえ、ホントすげえなぁ……) その時、獣の鳴き声が聞こえた。 魔法力が空になったポップでは強敵過ぎる相手だが、マァムだけは守ると決意したポップはふらつきながらも立ち上がり、両手を大きく振り回してクマの気を引く。 グリズリーを挑発しながら横へ移動し、差し違えてでも相手を倒す覚悟を見せるポップ。 ポップ(なんだ?) 攻撃とは無縁な行動を見て、戸惑うポップ。 アキーム「しっかりしてください、今、森の砦にお連れします!」 アキームがポップの所に駆け寄り、ノヴァも後を追う中、チウはクマチャの肩の上に飛び乗り、部下を労う。 チウ「よく見つけたな」 クマチャ「アォーオ」 ちょっと照れくさそうに頭をかくクマチャ。 ポップ「森の砦……?」 ノヴァ「ボク達はカール騎士団に助けられ、今、そこにいるんだ」 マァムの側に屈み込んだノヴァが、ポップの疑問に答える。そして、アキームはポップの真ん前に陣取っていた。 アキーム「カール騎士団は生き残っていたのです! そして、フローラ様も」 なにやら、ジト目でノヴァの方を見ていたポップだが、それを聞いて正面に向き直った。。 ポップ「は?」
魔王軍はバーンパレスを使い、世界のあちこちを爆撃していたのだという。 そんな中、レオナはパンと手を打ち合わせ、敢えて明るい声でポップ達の生還を喜び、ダイやヒュンケル達もきっと無事だと言おうとする。 が、ベッドに横たわったポップは、それを遮って淡々と現況を話す。ダイがマザードラゴンに連れ去られたこと、ヒュンケルとクロコダインが大魔王の必殺技をまともに食らったこと……。 部屋に入ってきたその女性を見て、レオナは嬉しそうに「フローラ様」と呼びかける。 近づいてくるフローラに対して、ポップは身を起こす。マァムは座っていた姿勢から立ち上がろうとするが、頭痛を感じたのかふらつき、側にいたエイミが慌てて彼女を支える。 事情を知った上で、アバンの遺志を継ぐなら弱音を吐いてはだめだと語りかけるフローラ。 ロカ……自分の父親の話を、マァムは目を見張って聞き入っていた。そんなマァムを優しく見つめ、微笑むフローラ。 フローラは15年前にハドラーが襲ってきた時の話をする。 だが、本心では恐怖を感じていた。 魔王に怯えていたのは彼女だけでなく、兵士や重臣達も同じだった。 だが、その時、のんきな口調で発言したのがアバンだった。 しかし、その顔はすぐに笑いを堪える表情へと変わる。周囲の人々が吹き出す中、我慢していたロカもついに吹き出し、爆笑が広がった。 そんなアバンの明るさ、人々に希望を与える姿に、フローラは勇者の資質を見いだした。 その姿には、アバンへの強い信頼と、それ以上の感情が込められているのが一目で分かった。 しかし、フローラはポップに辛い報告をさせるよりも早く、優しい声音でアバンが死を承知していると告げた。 その言葉を聞いたポップは、悲しそうに顔を伏せる。マァムも、今にも泣きそうなほど目を潤ませていた。 ギュッとシーツを握りしめる手。 レオナ達が驚く中、ポップとマァムは自力で立ち上がっていた。その目には、強い光が浮かんでいた。 フローラの手を、それぞれ両手で握りしめるポップとマァム。そんな二人に礼を言い、先の計画はあるから今は休むようにと告げてフローラは立ち去った。 頼りがいのある女王に、ノヴァは感服した様子だ。マァムも、レオナの尊敬している人だと納得している。 ポップ「アバン先生の恋人かぁ……大人の魅力って言うか、なんていうかぁ……うぇへっへっへ」 鼻の下を伸ばして笑うポップの頭に、マァムとレオナの鉄拳が同時に叩き込まれる。 マァム&レオナ「「下品!」」 頭にたんこぶ二つを作り、蹲るポップに、まだ怒り足りないとばかりに胸を張るマァムとレオナ。 バウスン将軍「レオナ姫! すぐに司令室へ! 今度は我がリンガイアに魔王軍が!」 その場にいた一同が、その凶報に息をのんだ――。 夕闇に染まる町並みに、突如として落とされるピラァ・オブ・バーン。街は一瞬で壊滅した。 その城の中で、バーンは酒杯を手の中で揺らしながら、味気ないと呟いていた。あまりにも簡単に進む地上攻略に退屈を感じているバーンに、すかさず追従するザボエラ。 だが、キルバーンは器用にトランプを操り、必ず当たるという占いを披露した。何度やってもスペードのエースが出てくるのが不吉だという。
光の源は、大切そうに球を抱えた聖母竜だった。
振り返った先にいたのは、眩いほどに白く、神々しいドラゴンだった。 静かに、ダイに死を告げるマザードラゴン。 竜の騎士は世界のバランスを保つために生み出された存在だが、今はもうその役割を果たせなくなっている。 その場に膝をつき、大魔王バーンを誰にも止められないことに絶望するダイ。 だが、何も起きないことをいぶかしんで、ダイは顔を上げる。 思わず、「父さん」と呼びかけるダイ。 マザードラゴンはバーンに勝てない以上、生き返らせても苦しませるだけだと止めようとするが、バランはダイの力を信じ、マザードラゴンに食い下がって説得する。 真摯な懇願に、マザードラゴンは頷いた。自分に残された最後の力を、ダイに与えるという。 そして、バランはダイに対して遺言を残す。 出来ないと弱音を吐くダイだが、バランは息子に対して一人ではないと言った。 行かないでと引き留めるダイの目の前で、バランは光の粒子となって消えた。 そして、テラン湖の上では、マザードラゴンの発する光が膨れ上がっていた。マザードラゴンが大きくのけぞって発光し、消える。 テラン王を初めとするテランの民達は、それを驚きの目で見上げていた。 神殿の柱に寄りかかるダイは、気絶しているのか目を閉じたまま動かない。だが、小さな声で父を呼んでいた。 それを見たテラン王は、ルーラの出来る者を呼ぶように周囲に命じる。急いでフローラの元へ送り届けるよう、手配するテラン王。 北の砦。 それに気遣ったのか、ポップはマァムにこの場は離れようとこっそり囁き、マァムも賛成して頷いた。静かにその場を去り、扉が閉められる。 ダイとレオナだけが取り残された部屋で、レオナは涙をポロポロとこぼしながら、ダイの手を頬ずりし、彼の生還を喜んでいた。 ポップ達はフローラのいる司令室へと移動し、ダイの無事を報告する。
ポップ「処刑だと!? ふざけやがって!」 マァム「ヒュンケルとクロコダインは、魔王軍の捕虜になっていたのね……」 フローラはすっくと立ち上がり、宣言した。 フローラ「ただちに会議を始めます!」
《感想》 ポップとマァムの遭難シーン、なぜに省いたぁあああああーーっ!? と、嘆きはさておき、冒頭のピラァ・オブ・バーンの攻撃シーンで、直接攻撃の前に全景が入ったのが嬉しかったです。緑に囲まれるような牧歌的な町並みが、いかにもロモスっぽかったです。 爆撃を受けるシーン、原作では顔がきちんと描かれていますが、アニメではシルエットのみになっていました。……なんか、より爆破の強さが感じられて、悲痛なのですが(笑) フォブスターとロモス王のシーンは、アニメの改変ですね♪ しかし、ポップ達が出会う前からフローラ様の名前を思いっきり出しちゃっていますよっ。 そもそも、今回の作戦の指導者はどう考えてもレオナだったことを思えば、ここはレオナからの命で来た方と言った方がよかったんじゃないかと思うのですが。 世界会議まで行って作戦を立てたのに、現場の判断でいきなり指導者を変更しちゃったことになりますからねー。 上層部にしてみれば、命令系統の混乱を招くような行動は厳禁でしょう。結果的にプラスになったとしても、後でぐちぐちと文句をつけてくるのがお偉いさんというもの……所詮、現場の苦労は偉い人には分からんのですよ(笑) 久々の偽勇者一行の登場は嬉しいですが、でろりんの台詞が大幅カットされたのは悲しい〜。意外と戦況を見る目のあるでろりんの台詞、割と好きだったのですが。 ロモスの街の名前はしっかりと出したのに、なぜ原作でもテロップが流れたオーザムの地名はナシなのか疑問です。 ザボちゃんとミストバーンの会話、動きが細かくていいですね♪ ポップ達の漂流シーンがカットされたのは残念ですが、倒れているマァムの黒ストッキングの破れ方が、これまた実に色っぽい! しかし、ポップの台詞や表情が改変されていました。 原作ポップ(とんでもねえ女だ。おれ、考え直しちゃおうかな……) と、原作では呆れている感じの台詞を言っているのが好きだったのですが、アニメでは素直にマァムに感謝している感じに見えます。 しかし、いくらチウも一緒だったとは言え、アキームさんの台詞&登場と同時にチウのテーマソングが流れると……アキームさんの曲と勘違いしてしまいそうです(笑) アキームさんの走り方、手を直角に曲げてキビキビ走るのがなんだか教本っぽくて笑えます。 原作では「よくやったぞ、エライ!」と読め、クマチャが嬉しそうに鳴いているだけですが、アニメではより仲良しな感じの上、クマチャの動きが人間っぽくなっていますね。 原作ではアキーム達がポップ達に駆け寄ったシーンから後の台詞はないので、アニメでの改変は嬉しいです。 原作では、クマチャがマァムをお姫様抱っこし、ポップはノヴァに肩を借りて移動しているのですが、アニメではノヴァがマァムを運んでいるのかもと、想像する余地がありますね。 マァムに「私が運びましょうか?」と凄まれたのをやり返して、今はボクがキミを運ぶと言い返すシーンなどが頭に浮かびます♪ あ、でも、チウがそれを見逃すとも思えないので、騒ぎが起こりそうな感じが実にナイスです♪ 運ぶシーンがまるっとカットされ、ついでにポップ達とレオナ達の再会シーンもすっとばされたのが残念でなりませんっ。 マァムの寝間着、淡いピンクになっていましたっ。女の子用の寝間着、ちゃんと用意していたのかとビックリ。 原作ではエイミさんは、洗面器にタオルを入れた物をもって歩いていましたが、アニメではエイミさんは手を揃えて立っているだけですね。 後、原作ではこの時、すでにピラァ・オブ・バーンが落ちた場所を明確にして地図で表していたのですが、アニメでは省略されていて残念。 フローラ様、お美しい! ですが服のデザイン的に思いっきり肩幅が広がっているのに体格は華奢なせいか、少々バランスが悪く見える気が。原作ではいい感じのバランスのデザインと思ったのですが、アニメではややバランスが悪い気がします。欲を言えば、もう少し洗練された感じがほしかったかも。 これまでのダイ大男性キャラの筋肉質な体型が、アニメのデザインになっているのには何の不満も無かったのですが、女性の鎧って難しいのかなぁと改めて思いました。 そう言えばロード○島戦記のヒロインのデザインも肩幅が広い癖に皮鎧で、耳が極端に尖っているという独自のスタイルだったせいか、アニメ化などメディアでのイラストが落ち着くまではずいぶんと違和感があったことを思い出しましたよ。 それまではエルフと言っても耳はほんの少し尖っているに止められるか、あるいは上に伸びる形が多かったので、初めて目にした頃は彼女のエルフ耳は独特に感じられました。 が、彼女以降はエルフや異人種の耳が横に長いデザインが主流になり、デザインが洗練されてきて今ではすっかりと好みなのですが♪ それはさておき、フローラ様に対して姿勢を正そうとしてマァムがふらつくシーン、原作には全くない改変ですね。エイミさんが不自然な場所に居るなとは思っていましたが、この演出のためにわざわざ! っていうか、このマァムがふらつくシーン、なぜ付け加えたのか疑問ですが。まあ、弱っているマァムがすごく可愛いので、これはこれで目の保養です♪ また、フローラがロカについて語るシーンでマァムを見ているシーンや、マァムが笑顔で頷くシーンなど、地味だけどいい改変ですね。 若き日のフローラ様、旧アニメのレオナに見えてなりません(笑) フローラ様のドレス、淡いオレンジ色でこちらもいまいちなイメージが。この色合いだと、せっかくの金髪が引き立たないと思うんですけど!? アバンの台詞にみんなが吹き出すシーン、原作ではみんなが呆れ、真っ先にロカが笑いを堪え、その後他の人達に笑いが伝播し、最後にはフローラまで笑い出すという順番でした。 どちらかというとロカに我慢に我慢した挙げ句に最後に笑うか、もしくは最初にうっかり笑ってしまった後で口を押さえるかであって欲しかったのですが……とりあえず、笑った瞬間のフローラがすごく可愛らしくて、笑うアバンと兵士達の図もいい感じでした。水彩画風のほのぼのとした塗りが、すっごくグッドでしたよ♪ フローラの話を聞いているポップとマァム、身体の向きを完全にフローラへと向けているのもアニメの改変ですね。 ポップがあぐらをかいているのに対し、マァムはきちんと正座している辺りが行儀の良さの差って感じがします。 ポップとマァムがやる気を取り戻すシーン、ポップが「へへっ」と笑うシーンで見せる一瞬の笑顔、すごくよかったです! 笑ってから、やる気のある表情を見せる変化が、実にいいですねえ。 ところで、ポップがフローラについて語ってマァム達を怒らせるシーン、アニメでは随分改変されていますね。 それに対し、マァム達は「失礼なことゆーーなっ!」と怒っています。 アニメではポップは、フローラ様の大人の魅力にデレデレしていますが、はたしてどっちが失礼かは大いに疑問ですね。 バウスン将軍のセリフも、やや改変されています。 バーン様が味気ないとぼやくシーン、原作では左手で酒杯を扱っていましたが、アニメでは右手になっていました。 キルバーンの占い、トランプの動きが派手でいいですね。 テラン王が窓際に行くシーン、原作では杖をついて腕を支えて貰う程度であり、窓は自分で開けていました。 聖母竜……なんだか……絵がごつい……。もう少し、もう少しだけでもなんとかならなかったものか(涙) 首が太くて短く、腕が筋肉質で発達しすぎているのが気に入りません。もう少し優美なデザインに改良して欲しかったですよー。飛んでいる時はあんなに優美に見えたのにっ。 原作のデザインに沿っていると言えば沿っているのですが、漫画では違和感なく見えた聖母竜が、アニメでは筋肉質に見えてしまうのが不思議です。 それにしても、聖母竜の説明で「邪悪な力によって生命がつきようとしている〜」の部分がカットされなかったのは、感激ですよっ。 マザードラゴンに説得されるダイも、バランとの別れの際のダイも、ひどく弱っている感じで可哀相。 テラン湖に降りたダイもまた、幼い感じで可愛いです。 ダイが生還し、皆がそれを喜ぶシーン。 ついでに言うなら、アニメではゴメちゃんとチウが欠けていましたね(笑) ヒュンケル達の処刑を聞いた直後の、ポップ達の反応はアニメの改変ですね。そこを作り込んでくれたのは、嬉しいです♪ しかし、予告を見て気がつきましたが、ヒュンケル達が囚われているバーンパレスを表現するのに一度青空を映し出していますが、会議がすぐ開かれてダイが目覚めることを考えれば、夜空でもよかったような気が。 次回予告では、ダイが落ちこんでいるカットが全くないので、予告内容と絵があっていない気がします(笑) でも、原作屈指のお気に入り回なだけに、期待はうなぎ登り♪ |