『絆にかけて』(2021.9.10)

  

《粗筋》
 
 ポップの頭脳を認め、ダイとポップに全てを託して玉となってしまったアバン――足元に転がってきた玉を、屈み込んだポップは両手でしっかりと握りしめる。

 悔いるように、目を固く閉じ、玉を手にしながらアバンの名を呼ぶポップ。
 赤い瞳の中に閉じ込められたアバンは、目を閉じたまま気絶しているようだった。

ポップ「……見ててくださいよ。必ずおれたちで、大魔王に一発かませてやりますからね!」

 真剣な表情で、アバンに向かってそう誓うポップ。
 そんなポップの背後で、バーンは鼻で笑い、再び天地魔闘のポーズを取る。スッと目を据える大魔王に、緊張をみせたのはヒムとラーハルトだった。
 動かないポップを気にしてか、肩越しに振り返り叫ぶラーハルト。

ラーハルト「な、なにをしている!? バーンが攻撃してくるぞ!!」

ヒム「早く構えろよ!」

 だが、ポップは落ち着き払った表情で、ジッと手の中の玉を見つめていた。

ポップ「……いや、心配ねえ」

 言いながら、ポップは丁寧に床に玉を置いて立ち上がった。バーンの方を振り向きすらしないその態度に、ダイ、ヒム、ラーハルトは驚いたように目を見張る。

 が、ポップは相変わらず敵に背を向けたまま、バーンがあの構えを取っている限り絶対に攻撃してこないと断言した。
 あれはそういう技だと言うポップに、わずかに反応を見せるバーン。

ポップ「見抜いたぜ……!」

 バーンに向き直ったポップは、天地魔闘とは受けの奥義だとの考察を述べた。
 一瞬で三つの技を出せるとは言え、それだけではただの三段攻撃にすぎない。それに、そこまでしなくてもバーンの技なら大概の敵は倒せる。

 天地魔闘の構えとは、バーンが真の強敵に会った時のみに使用する技……相手に先手を打たせた上で、攻撃、防御、呪文の三大超必殺技を叩き込み、完膚なきまでに敵を粉砕する必勝の奥義。

 それを聞いて、悔しそうに歯ぎしりしながらバーンを睨むヒムとラーハルト。

 ポップはなおも説明を続ける。
 天地魔闘を実行するには、莫大なエネルギーを蓄積して放たなければならない。不動の構えを取るのは先手を取らせるのだけが目的ではなく、余分なエネルギーを使わずにため込み、爆発させる意味もあるのだろう、と――。

 ポップの話をジッと聞き終わった後、バーンはどこか満足げな表情で目を伏せた。

バーン「……アバンの言葉も苦し紛れの捨て台詞でもなかったようだ」

 お前のような小僧がそれを見抜くとは、と呟くバーンの言葉に、悔しそうな表情を見せるポップ。
 
バーン「だが! それが分かったところで、何が出来る?」

 バーンの目が、カッと見開かれる。
 自分がこの構えを取れば、何者も崩すことが出来ないのにどう戦うつもりかと問うバーン。

 そして、時間稼ぎも無意味と決めつける。
 暗黒闘気でダメージを受けたダイは、回復呪文では治らないと断言するバーン。

 その言葉に、歯がみをするダイ。
 が、ポップはそんなことはわかりきっているとばかりに、顔色一つ変えなかった。

ポップ(それだぜ、問題は……! さっきからダイが全っ然回復してねえ!)

 ちらっと、ポップはダイに目を向ける。が、その目はすぐに鋭さを交えてバーンを睨みつけた。

ポップ(おれの考えじゃ、バーンに攻撃を加える方法はただ一つ! 一回目の攻撃から、次にエネルギーが蓄積されるまでのわずかなスキをつくしかないんだが……!!)

 仲間達の様子をちらっと確かめ、みんながこの調子では……と思い悩むポップ。
 ヒムもラーハルトも気迫を込めて身がまえるも、ダメージがあるのは否めない。ダイも気は張っているが、傷が痛むのか苦しそうに顔をしかめる。
 歯を食いしばり、バーンを睨むポップ。

バーン「いつでも余の方から攻撃できると言うことも……忘れてもらっては困るぞ!」

 バーンが構えを解き、攻撃の気配を見せたことに警戒するヒムとラーハルト。
 その瞬間、ポップが叫んだ。
 名を呼ばれ、後ろにいるポップを目だけで振り返るヒム達。

ポップ「赤の他人のおまえらにこんなこと頼むのは気が引けるけどよ!! ……おまえらの生命、おれにくれっ!!」

 意表を突いた頼みに、驚き、思わずポップを振り返る二人。
 しかし、その時、バーンが動き出した!
 歓喜の表情で、攻撃を仕掛けるバーン。伸ばした両手から放たれた闘気に、ダイとポップは悲鳴を上げながら吹き飛ばされる。彼ら二人と一緒に、玉も飛んでいた。

 一瞬、それを見てからバーンに向き直るヒムとラーハルト。
 バーンの攻撃に、なすすべもなく吹き飛ばされるヒム。果敢にも自分から攻め込もうとしたラーハルトは、バーンの手刀で目から血を撒き散らし、のけぞった。
 楽しげに、両手から闘気の光を放つバーン。







 その光は、地上からも見えた。
 白亜のバーンパレスが、眩い光のせいで黒々としたシルエットをさらけ出しており、不気味さを強めている。
 続け様に聞こえる轟音や光に、カールの兵士達は目を腕で庇いながら上空を見上げていた。

 フローラを初めとして、ノヴァ、バウスン将軍、バダックも驚愕の表情で空を見上げていた。彼らの背後には、未だに気絶したメルルを抱きかかえた栄美の姿も見える。

 太古の人間が雷鳴を天上の神々の争いだと思っていたという逸話を、口にするフローラ。空を見上げる彼女の顔には、怯えの色が見て取れる。
 ノヴァも、恐ろしい威力だと冷や汗を隠せなかった。今、間違いなくダイ達が大魔王バーンと戦っていると確信するノヴァ。

 座り込んでいたロン・ベルクも、これほどとは、と改めて思い知る。
 もはや、この先に待つのは大魔王の最期か、あるいは地上の破滅……どちらか、二つに一つだと考えるロン・ベルク。
 雷鳴に照らされたバーンパレスは、不吉なほどに黒く見えた――。







 一方、バーンパレスでは、マァムが玉の中で悲痛な叫びを上げていた。







 バーンの攻撃に、吹き飛ばされるヒムの姿が見える。








 どうしようもないと、玉の中で歯を食いしばるヒュンケル。








 ラーハルトが、床にたたきつけられる。








 次元が違いすぎると、玉の中で目を見張るクロコダイン。







 ダイとポップがそろって、吹き飛ばされていた。なのに、バーンは平然と足を踏みしめる。








 もうやめてと、悲痛に泣き叫ぶレオナの声は、玉の外へ届くことはない。







バーン「フハハハハッ、おまえの仲間達の悲痛な叫びが聞こえるようだぞ、ダイ!」

 高笑いをするバーンの前で、ダイは倒れ込んだまま。ダイのすぐ隣にいるポップは、なんとか起き上がろうと床や膝に手を当てているが、荒い息をつくばかりだ。

 救援が現れても、レオナの二の舞だと嘲笑い、勝利宣言をするバーン。
 もがき、起き上がろうとするダイだが、がくりと頭を落とす。ヒムやラーハルトは先程からひっくり返ったままだ。

 それでも、なんとか顔を上げるダイ。
 ポップが身体が動きゃしねえと愚痴る。

ポップ「やっぱ、無謀だったのか、おれの策は……!」

 その時、押し殺したような声が問いかけてくる。

ラーハルト「聞かせろ……」

 声の方向にポップが目をやると、うつ伏せに倒れ込んだラーハルトが、必死に身体を起こそうとしていた。
 苦しそうにもがきながら、ポップの策や、生命をよこせと言った意味を問う。

ラーハルト「一つでも勝ち目があるなら、今言え! ……もはや、凌ぎきれん」

 そんなラーハルトに対し、ポップは自分の考えていた策を打ち明ける。
 難しいことではない……ただ、ダイのために三人がかりで身体を張って、攻撃をいなし、スキを作って、ダイに攻撃に専念させてやりたかったと、悔しげに訴えるポップ。

 その話を聞いていたヒムは、苦しげに身を起こして過去形なのかと、問いかけた。
 
ポップ「……てんで甘かったみたいだよ……このままじゃ、もう代わりにくらってやることもできそうにねえ!」

 振り絞るような声で言い、悔しそうに拳を床に打ちつけるポップ。そんな親友の姿を、ダイはじっと見つめていた。
 ポップの名を呼ぶダイの顔が、赤い光に照らし出される。
 光の差す方向を見やったダイの目が、大きく見開かれた。

 ダイより一歩遅れて、ポップやラーハルトもそれに気づく。
 バーンが、手から魔法の光を放っていた。カラミティウォールで一掃すると宣言するバーンの手が、激しい魔法力を帯びて強く輝く。
 いくつか、巻き添えを食う可哀相な瞳があるようだと笑うバーン。

 







 チウは、その声を玉の中で聞いていた。
 位置的に自分がバーンの前、つまり最前線にいると気づき、自分のことだと涙ながらに絶叫するチウ。

チウ「ひぃいいいっ、ぼくなのねーーっ!?」







バーン「スピードはかなり遅めにしておいてやろう。じっくりと恐怖を味わうがいい!」

 ニヤリと笑ったかと思うと、バーンは勢いよく腕を振り抜き、カラミティウォールを放った。
 床を削りながら、勇者達に迫ってくる魔法の壁。
 
 それを見たヒムは息をのみ、ラーハルトは俯き、ダイは歯を食いしばる。だが、誰もが敵の攻撃を目の当たりにしながらも、動こうとしなかった。
 ゆっくりと動いてくる魔法の壁の向こうでは、バーンが高笑っていた。

ポップ「ちっくしょう、バカ笑いしやがって!」

 下から噴き上がるオーロラのように、刻々と色を変えながらこちらに迫り来る光の帯は美しかった。――だが、見た目の美しさとは裏腹に、それは触れれば即死級のダメージを与える死の壁だ。

ポップ「諦めねえ……」

 そう呟いたのは、ポップだった。
 震える足に力を込め、よろめきながらも立ち上がる。

ポップ「絶対に諦めねえぞぉおっ!」

 ふらつきながらも、ポップは気迫のこもった目で迫る魔法の壁を睨みつける。
 この攻撃を凌ぐのを前提にしているポップは、もう一度バーンにあの奥義を使わせることを考えていた。

 ポップの発言に、ギョッと驚くヒム。
 俯いたままのラーハルトも、バカなと否定の言葉をはく。アバンも加えた三人がかりでもやられていなかったのを見ていなかったのか、と問うラーハルト。

 しかし、ポップは一瞬の迷いもなく即答する。十人でかかっても天地魔闘の構えは敗れはしないと答える声は力強く、ポップが本心からそう思っているのは明白だ。

ポップ「だが、最大の奥義を放った瞬間こそ、最大のスキが生じる瞬間でもあるはず!」

 真剣なポップの言葉に、ダイが続く。

ダイ「ポップ……おれと同じことを……」

 驚いたようにダイを見下ろすポップ。
 真剣な目で前を見据えながら、ダイも自分の考えを話す。
 ダイも、それしかないと思った……三つの技全てに耐え、その直後に攻撃。それしか、あの完全無欠な技を崩す方法はないと思っていた。

ダイ「でも……おれ一人じゃ、確実に死んでしまうのが分かっていたから……」

ポップ「……見抜いてたか、おめえも。さすが相棒、話が早ぇぜ」

 すぐ側にまで魔法の壁が迫る中、ポップの横顔に笑みが浮かぶ。
 ダイに向けられた柔らかな表情は一瞬で消え、ポップは真剣な表情で前を見据えた。

ポップ「今はもう、おまえは一人じゃねえ! 代わりに超必殺技を全部くらってくれる仲間がここにいるんだ!」

 三発、全部自分が受けてでもダイにトドメのチャンスを作ると断言するポップ。

ヒム(……そういうことだったのか。こいつら、正気じゃねぇや)

 呆れたように、フッと表情を緩めるヒム。俯いたラーハルトは、苦しげに息をついている。
 と、ポップがわずかに弱気な表情を見せた。

ポップ「へへっ、夢のまた夢みたいな話だよなぁ。相手にまだ、奥義の構えさえとらせられねえってのに……」

 自嘲気味に笑うポップは、自分の言い分がどれほど無謀か自覚している響きがあった。だが、それでもポップは魔法の壁に臆することなく立ち続ける。

ポップ「まず、この目の前のもの凄ぇのをどうにかして……大魔王様がその気になってくれるかどうか……すでにもう大バクチだがなぁ!」







 気迫のこもったポップの声は、玉の中にいるチウにも届いた。
 一瞬、怯えを忘れた表情を見せるチウ。
 が、すぐに目の前に迫る魔法に、手を思いっきり前に伸ばしてくるなと叫ぶ。








 迫る魔法の壁に身がまえるポップだが、その脇を何かがものすごい速度で走り抜けた。
 そして、魔法の壁に銀色の腕が突き刺さる。
 それを見て、驚くポップとチウ。

 雄叫びを上げながら、ヒムは光の闘気を振り絞ってカラミティウォールに対抗しようとしていた。







チウ「ヒムちゃん……!」

 両手を組み合わせ、目を潤ませて感激するチウ。








ヒム「おもしれえじゃねえか!! のってやるぜ、その無謀なバクチによ! ……結果が見られそうにないのが、ちと残念だがな」

 苦しげに、だがそれでも一歩も引かずに魔法の壁に立ち向かうヒムは、振り返って苦笑じみた笑みを見せる。
 切羽詰まった声で、ヒムの名を呼ぶポップ。
 その時、ラーハルトがふらりと立ち上がった。

ラーハルト「……初めておまえを尊敬した」

 苦しそうな声に、振り返ってラーハルトを見るポップ。ラーハルトは強く、手にした槍を握りしめる。

ラーハルト「だが、おまえごときにダイ様への献身で負けるわけにはいかない! もはや目が見えん……バーンはどっちだ!?」

 叫ぶラーハルトの目は固く閉じられ、涙のように血が流れていた。

ヒム「バーンならこっちだ! こぉーいっ!」

 力強く、ヒムが叫ぶ。それを聞いて、身がまえるラーハルト。
 バーンのカラミティウォールを、ヒムは渾身の力を込めて割り広げる。光の闘気と、オリハルコンの硬度でごり押しして技を左右に割った先には、立ったままこちらを見つめるバーンの姿があった。
 腕を下ろしただけのその姿は、天地魔闘の構えとはほど遠い。

 その表情は、先程までのように楽しんでいるものではなかった。
 不快なものでも見るような、冷たい目でヒムの奮闘を眺めている。
 吠え立てながら、ヒムはついにカラミティウォールを左右に引きちぎった。その余波で、天魔の塔に外部からでも見える炎が二箇所から上がった。対角線上に上がった炎は、黒煙を巻き上げる。

 カラミティウォールからは逃れられたとは言え、煙と爆風に襲われて己のみを庇うダイとポップ。
 爆風に押されているのは、二人だけでは無かった。
 床に転がっていた瞳が爆風により、固い音を立てながら転がり出す。

 その間も、バーンは静かに前を見つめ続けていた。
 爆風を物ともせず手を下に下ろしたままのバーンの髪が、荒れ狂うように舞った。

 黒煙の向こうから、飛び上がってかかってくる人影を見て、息をのむバーン。
 並んでバーンへと挑みかかってきたのは、ヒムとラーハルトだった。

ヒム「くれてやるぞ!」

ラーハルト「オレの生命ッ!!」

 二人の特攻に、驚くダイとポップ。

ダイ「ラーハルト! ヒム!」

ポップ「あいつら、やってくれた!!」

 雄叫びを上げ、バーンに挑む戦士達。まさに命を懸けたその特攻を、バーンは冷徹な目で見つめていた。








 特攻の最中、戦士達は色を失い、時間が止まったように見える世界の中で思う。

ヒム(どうせこんな身体だ……なにやったって、利きゃしねえだろ。かくなる上はっ)

ラーハルト(肉弾ッ! この身体ごと武器に変えて突撃あるのみっ!!)

 身動きすらせず彼らを見ているバーンは、それが玉砕覚悟の攻撃だと見切った。
 二人の気迫が尋常の物でないと悟り、迂闊な技では迎撃できないと考えたバーンは、手を動かした。

 緩やかに、舞いでも舞うかのごとく広げられる手の動きに、目を見張るポップとダイ。
 バーンは足幅を広く取り、余裕の表情を浮かべて天地魔闘の構えを取った。

バーン「天地魔闘!」

 まず、ラーハルトの穂先が砕かれた。続いて、ヒムの残った片腕が砕け散る。それだけでダメージを負い大きくのけぞった二人に比べ、バーンにはまだ手が残っていた。

 容赦なく追撃するカイザーフェニックスの炎が、二人を飲み込む。
 その炎は、ダイとポップの目に強く焼き付いた。

 炎に巻かれながら、空中に投げ出されるラーハルトとヒム。満足げな笑みを浮かべ、バーンは迎撃した敵の姿を見つめていた。雪のように舞う炎が、次第に小さくなっていき、最終的には儚く消える。

 が、その瞬間に飛んできた光の球があった。
 高速で飛ぶ光の矢が、やけに遅く感じられるその瞬間、バーンの目が驚愕に見開かれる。
 その表情から余裕の色合いが消し飛んだのは、その魔法の正体を知っていたからだ。

バーン「メドローア……!」

 触れた物、全てを消滅させてしまう極大消滅呪文。さすがの大魔王バーンとて、無視しきれない大呪文だ。
 左手を動かそうとするも、ピクリと指がひくつくだけでそれ以上は動かない。

 見る見るうちに迫る巨大な魔法が、バーンを覆い尽くしかける。 
 再度、手を動かそうとするが、先程よりも指の動きが大きくなった程度で、腕は硬直していた。
 息がかかるほどの距離まで接近するメドローア。

 さしもの大魔王の顔にも、焦りの色が見て取れる。
 引き延ばされたように時間が緩やかに感じられる中、バーンの指がもがくように動かされる。冷や汗を流し、迫る大呪文を見つめるバーンの顔が、魔法の光に照らされる。

 が、次の瞬間、バーンは手からフェニックスウィングを放ち、メドローアを弾き飛ばした。

 バーンが動き出したその時から、時間は正常に流れていく。
 弾かれたメドローアはバーンパレスの天井を崩し、空遠くへ飛んでいった。
 生き残ったバーンが見たものは、倒れたヒムとラーハルト、剣を下ろしたままじっとこちらを見ているダイ……そして、魔法を放った姿勢のままのポップだった。

 勝ち誇ったように、笑い出すバーン。

バーン「驚いたぞ、小僧。余に再びこの奥義の構えを取らせたこともさることながら、メドローアでの時間差攻撃とは……さすがの余もヒヤリとしたわ」

 敵からの称賛とも言える言葉を聞き、表情をわずかに引き締めるポップ。

バーン「だが、残念だったな。これで完全に、うぬらの望みも費えた……」

 構えた手を下ろそうとしたバーンだが、手がふいに動きを止めた。まるで、手が自ら意志を持って拒むような動きに、ハッとして目を見開く。
 警戒心も露わに前を見たバーンが見たものは、目に闘志を燃やして寄り添う勇者とその魔法使いの姿だった。

 バーンは自分の中に警戒心があり、構えを解けないことに驚いていた。無意識のうちにダイ達に対して脅威を感じている事実に、彼らにまだ何か手があるのかと疑問を抱き出す。

 バーンを睨んでいたポップは、わずかに目だけ動かしてラーハルト達の方を見やる。
 うつ伏せに倒れ込んだままのラーハルトだが、まるでポップの視線を感じ取ったようにわずかに手を動かし、親指を立てて見せた。

 生存を示し、激励の意志を伝えてくれたその動きに、ポップは笑みを浮かべる。
 反対側の方に倒れているヒムの方を見ながら、ポップは心の中で二人に感謝の意を伝える。
 ついこの前まで敵だった二人がここまでくれた……その思いを受け止めるポップ。

 腰の後ろに手を回し、ブラックロッドを引き抜いて身がまえるポップ。ダイもそれに合わせて、自分の武器を握る手に力を込めた。
 ダイの闘志に反応し、ダイの手に竜の紋章が光り輝く。

ポップ(おかげで、万に一つの勝機が見えた!)

ダイ(絶対に無駄にはしない!)

 そんな二人を見ながら、バーンは呟く。

バーン「最後の攻撃か……」

 バーンのその言葉に、ダイもポップも答えない。答えるまでない質問だからだ。
 大魔王と勇者らの横顔が、対峙し合う。

バーン「面白い……さあ、来い!」

 天地魔闘の構えを崩さないまま、誘いを掛けるバーン。が、ポップはどこか軽さの感じられる口調で声をかけた。

ポップ「そのままでいいのかい? 大魔王さんよ……!」

 わずかに目を見開き、質問の意味を問うバーン。
 ポップは言う――自分達の次の攻撃は、間違いなくご自慢の天地魔闘の構えをぶち破る、と。

 それを、失笑で返すバーン。
 ダイもギガストラッシュも、ポップのメドローアも、どちらも利かないのは立証済みだと答える。
 それに反論したのはダイだった。
 
ダイ「まだ、分からないのか、バーン」

 ポップはバーンを倒そうと思ってメドローアを撃ったのではなく、ダイに必殺の瞬間を見せるためにそうした――それを聞いて、バーンの目に険しさが増した。

ポップ「……思った通りだったぜ」

 ダイの言葉を引き継ぎ、ポップは天地魔闘の構えの直後にかすかな隙があることを指摘し、そのタイミングを見切るためにメドローアを放ったと言い放つ。

 実際、バーンは一瞬、硬直した。その上、メドローアを正確に弾き返すこともできなかった。ミストバーンに出来たことが、本人であるはずのバーンに出来なかったとも指摘する。

ポップ「つまり……! その瞬間をつけば、この傷だらけのおれ達でも、最後の大逆転ができるってことさ……!」

 強気にそう言い放つポップに、バーンはどこまでも冷静に返す。

バーン「初耳だな。なるほど、先程の硬直はそういうことだったのか」

 敵からの指摘を受け、自分自身でそれを納得してもなお、バーンは弱点を弱点としては重視していない。
 
ポップ「知らねえわけだよな。あんたは今まで天地魔闘の構えで、相手を仕留め損なったことなんてねぇだろ」

 愚問とばかりに、当然だと答えるバーン。
 天地魔闘の構えはバーンの最大の奥義であり、繰り出したからには相手は必ず、この世から去ることになる。

 ごく当たり前のようにそう語るバーンに、ポップは不敵な笑みを浮かべて、だからこそ隙が生まれたのだと指摘した。最強最後の技だからこその、大きな穴――その指摘に、バーンが不快そうに瞼をひくつかせる。

 が、ポップはわざとらしいジェスチャーも加え、どんなに凄い技でも2度も3度も見せるべきでは無かったと茶化すように貶し、大胆にも大魔王を挑発する。

ポップ「確実に勝ちたいのなら、普通に攻めてくることをおすすめするぜ……大魔王さん」

 不遜にも程のあるその態度に、バーンの目が凄みを帯びて光る。








 玉の中の世界で、アバンは目を見張っていた。

アバン(これは賭けだ……! 実際、普通に攻められた方が、体力が残り少ない彼らには不利だったはず……。しかし、奥義で最後の勝負をさせるためにポップは敢えて挑発した。奥義に対する大魔王の絶対なる自信に、全てを懸けて……)








 バーンは、しばし沈黙した。
 俯きがちの顔に影が差し、その表情は見えない。が、不意に顔を上げて破顔する。


バーン「…………よかろう。受けてたってやる!」

 天地魔闘の姿勢のまま、ダイ達を睨みつけるバーン。ダイもポップも、その目をしっかりと睨み返す。

ポップ(来たぁ〜っ、後は、のるかそるか……!)

バーン「……のってやるぞ、うぬらの挑発に!」

 興味があるからという理由で、敢えて弱点込みで対決すると決定したバーンは、第三の瞳を輝かせた。

バーン「だが!」

 倒れていたヒムとラーハルトの身体が雷鳴に包まれ、消滅した後には二つの玉が転がっていた。

バーン「残るは二人!」








 玉の中で、アバンは心配そうに二人の弟子達の名を呟く。








 ヒュンケルもまた、二人を心配していた。ポップにどんな秘策があるか知らないが、二人だけで奥義を破るにはあまりにも傷つきすぎていると案じるヒュンケル。







 クロコダインは顔をしかめながら、肝心な時に彼らの盾にもなってやれない自分を悔いていた。








 一方、バーンは冷静に自分と相手の戦力を分析する。
 ダイにはギガストラッシュを打てる体力は無く、ポップのメドローアならバーンには弾くことが出来る……どちらも、トドメは刺せない。
 そこに、興味を抱くバーン。

 どう考えても、二人だけでは先程のポップの策は実現不可能。それ以前に、奥義を凌ぎきることすら出来ないはずだ。

バーン「どうやって余に決めの一撃を食らわせる気なのか、是非みたい……!」

 見学気分の魔王に、ポップが応じる。

ポップ「どっちが決めの一撃か……ってったら、決まってんだろ!!」

 握りしめたポップの右手に、魔法の光が宿る。

ポップ「大魔王を倒すのは勇者だと、昔から相場が決まってらぁ!」

左手に握りしめたブラックロッドが、緑色味を帯びた光を放った。

ポップ「奥義のくらい役は……このおれの方だッ!!」

 全身から魔法力をみなぎらせ、左右の手でそれぞれに魔法を発動させながらポップはそう宣言する。







 玉の中で、ヒュンケルはそれを見て目を見張った。








 一心にポップを見つめるマァムは、心配そうに彼の名前を呼ぶ。








 平然としているように見せながら、ポップは初挑戦の魔法操作が成功した事実を噛みしめていた。
 以前、マトリフが二種類の魔法を使っているのを真似て、今の自分ならと思いぶっつけ本番で挑戦したのだ。

 だが、バーンはそんなポップを見て高笑う。
 器用なことをするし、一発勝負のメドローアよりもマシかもしれないが、こんなにも頭が悪かったとはと、ポップを貶すバーン。
 単純な計算も出来ぬのかと、興ざめしたような表情で言ってのける。

 それに反発し、食ってかかるポップ。
 バーンは教え諭すように、指摘していく。
 右手の爆裂呪文がイオナズン級だと仮定し、左手の杖にもそれなりの破壊力があると仮定したとしても、それで二手。残る一手に足りないし、脆弱な人間がバーンの魔法を受ければ盾にさえなれない。

 フェニックスウィングで魔法を弾き、カラミティエンドで杖を砕き、無防備になったポップはカイザーフェニックスで一瞬で燃え尽きる。
 そして、背後で隙を伺っていたダイも呪文の直撃を受ける――仲良く黒焦げになるのが結末だと決めつけるバーン。

バーン「せめて、あと何人かいれば話は違うものを」

 鼻で笑うバーンに、ポップは悔しげに歯を食いしばる。だが、次の瞬間、ポップは覚悟を決めた。

ポップ「いくぜ……ッ! バーン!」

バーン「それでも……来るか」

 わずかに顔を逸らして笑っていたバーンは、真正面に向き直る。
 自分の剣を強く握りしめたダイは、バーンに向かって静かに話しかける。

ダイ「ポップはちょっと頼りないところも初めはあったけど……この戦いを最初から生き抜いてきた仲間なんだ。何度も危機を救ってくれた、信頼できる仲間だ」

 ダイの目からは、バーンではなくポップの背中だけが見える。
 二種類の魔法を同時に使い、青空を背景にした魔法使いの背中――それを見つめながら、ダイは力強く叫ぶ。

ダイ「ポップがスキを作ると言ったんだから、絶対にスキは出来る! それを信じて、おれは全力を高めておくだけだ!!」

 ダイの強い主張を、無言で聞いているバーン。しかし、その表情は不機嫌さがにじみ出ており、その言葉に心を動かされている様子がない。

ポップ「ひとつだけ覚えておくといいぜ……おれ達は二人っきりじゃない」

 二人で始まった冒険の旅だが、これまで旅の間に様々な人達に出会い、戦い、救われた……誰一人欠けていても、こうして大魔王に向き合うことは出来なかった。

ポップ「たとえ、遠く離れていたって……」








 その時、地上ではフローラ達が空を見上げ、バウスン将軍やバダック、ノヴァは何かを相談し合っていた。







ポップ「動くことができなくたって!」







 床に転がる、複数の瞳。中に誰がいるのかは分からないが、太陽の光を受け、どの玉も強い輝きを放っている。








ポップ「おれ達は常にっ、魂の絆で繋がっている!」








 ポップの言葉を、玉の中にいるレオナ、アバン、マァム、クロコダイン、ヒュンケルは確かに聞いていた。








ポップ「この絆の強さ……ッ!! 目には見えないが、絶対にてめえのド肝をぬくはずだぜっ!!」

 強く、訴えるように叫ぶポップ。
 それに対し、バーンは瞑目したまま答える。

バーン「前にも言った……何度も言わせるな」

 目を見開き、天地魔闘の構えを見せるバーン。

バーン「魂などでは、余は殺せんっ!」

 大魔王の姿を、太陽が神々しく照らし出す。

ポップ「やるぞぉっ……ダイッ、後は任せた!」

ダイ「うんっ!」

 トベルーラで跳び上がり、一気にバーンへと距離を詰めるポップ。空中で右腕を後ろへ振りかぶり、まずはイオナズンをバーンへとぶつける。
 魔法を放つと同時に、ポップはブラックロッドを両手で構え直し、斬りかかる体勢を整えた。

 不動の姿勢を取るバーンに、魔法が迫る。
 それと全く同時に、杖を大きく振りかぶったポップがバーンに斬りかかろうとしていた。
 計算し尽くしたかのように、ピタリとタイミングの一致した同じ攻撃――だが、その時、バーンが刮目して叫ぶ。

バーン「天地魔闘! 灰になれッ!!」

 炎を纏ったバーンの右手が、イオナズンを弾いた。反対の手が、ブラックロッドをあっさりと折る。
 それを、驚愕の表情でみやるポップ。逆に、バーンは予測通りだとでも言わんばかりにほくそ笑む。

 そして、バーンはポップのイオナズンを飲み込ませるように、炎の巨鳥を呼び出す。自身の魔法のエネルギーも上乗せした炎に包まれるポップ。
 驚きの表情も悲鳴も、一瞬で炎に飲まれた。
 空中にいたポップを中心に、爆音と炎が巻き起こる。








 玉の中で、悲痛な顔でポップの名を叫ぶレオナ。







 クロコダインも目を固く閉じ、バーンの言った通りになったと嘆く。







バーン「予想の通り!」

 燃えさかる炎の前で、バーンは高らかに笑う。
 ――が、その時、ポップもまた、炎の中で小さく笑った。燃え広がる炎が収束するように一点に集まり、ポップの姿が露わになる。

 瞠目するバーンの目の前で、全ての炎はポップが胸につけていた縦に吸い込まれてしまった。
 それがシャハルの鏡だと、気づくバーン。

 服こそ破けてしまったものの無傷のポップは、気合いを込めて叫ぶ。

ポップ「はねかえせぇえええっ!」

 その叫びと共に、カイザーフェニックスがバーンめがけて襲いかかる。今度は、バーンが炎の渦に飲まれる番だった。
 その様子を、ポップは宙に浮いたまま見守っていた――。


 


《感想》

 ポップの頭脳、度胸、ダイとの友情がどこまでも強く感じられる素晴らしい回でした!

 ポップがアバン先生の玉を拾い上げる時、最初は両手で握りしめている改変、ものすごく大切そうに持つ仕草に感動しました。
 それから、片手で玉を握る原作の構図にあわせているのもいいですね。
 ポップがアバンに誓うシーン、アップになっているのが嬉しいところ。

 ラーハルトやヒムの焦りの表情、ポップをちゃんと戦力として数えているんだなと思えます。

 バーンの技をそういう技だと語る際、ポップが目を開けるのはアニメの改変ですね。強気な表情が、すっごく好みです♪
 ポップがバーンに向き直る動作が、アニメでしっかりと追加されたのも嬉しいポイントです。

 おお、説明シーンにラーハルト、アバン先生、ヒムがやられたシーンの回想が入りました!

 ポップの説明を聞いているダイ達、原作ではポップに思いっきり顔を向けていましたが、アニメでは目だけでポップに注目しつつも、バーンに備えるように身がまえているよう改変されていました。

 戦士っぽくて実にいいですが、バーンに完全に背を向けてポップに注目している原作ダイの後ろ姿が妙に可愛かったので、それがなくなったのがちょっと残念なんですけど。……大魔王に対する態度じゃないですから、アニメの方が正しいとはおもいますが……正しいと可愛いは別物!(笑) 

 原作では、バーンのシルエットと手の動きを三コマに分けて説明していたコマが、ダイが天地魔闘を食らった時の回想になっていました。
 また、原作では「攻・防・魔」と書かれていた部分が「攻撃、防御、呪文」になっていましたね。うん、これは原作のままで発音しちゃ、意味不明になっちゃいますもんね(笑)
 
 しかし、いいなと心底思ったのが、ポップの説明を聞いてヒムとラーハルトが怒りを見せたシーンです!
 原作ではヒムはポップの方を見たまま、ゴクッと息をのんでいるのですが、味方の説明で敵の技の強さを知って脅威を感じるよりも、敵愾心を燃やす方が彼ららしいと思いました。

 ダイも、引き締まった表情でバーンを睨みつけているシーンが追加されていました。
 バーンの立ち姿に、エネルギーが集中して身体全体が光り出すイメージシーンもアニメの追加です。

 ところでバーン様の目を閉じたシーンを見て、ふと気づきました。
 アニメのバーン様、まつげ長っ! つけまつげしているの? と聞きたくなるぐらいにまつげが長いですよっ。

 今までずっと、バーン様の目の周囲のアイラインは入れ墨的なものかと思っていたのですが、あれってまつげだったんでしょうか……!
 でも、女性的ではなくどこまでも男性美に溢れたお姿が素敵です。

 バーンがアバンの言葉が捨て台詞では無かったというシーン、一瞬、アバン先生の回想が流れました♪
 小僧呼ばわりするバーンの台詞に、ポップがちょっと悔しそうな横顔を見せるのが萌えます。

 ここでポップが怒りを感じたのは自分が貶されたからではなく、アバン先生のための怒りだと思いたいところです。

 バーンがダイが回復しないと言い切る時、原作ではポップは驚いたような表情を見せていますが、アニメでは平然としているのがいいですね。
 逆に、ダイの方が悔しそうな表情をみせるよう改変されています。

 原作だとポップは、ダイが回復していないことをバーンに見抜かれていると思わなかったように思えますが、アニメだとそれも見抜いてるように思えます。

 真剣な表情でダイをチラッと見た後で、バーンを睨む表情への変化も、実にいいです! 

 ポップの見つけたスキのシーン、バーン様の回想として表現されていました。一連の動作までは通常の色で、カイザーフェニックス直後にピタッと動きを止めたポーズをモノクロで表現していて、実にスキの部分が分かりやすかったです。

 満身創痍仲間達のアップ、いいですね。ダイがすごく苦しそう……!
 それに比べ、天地魔闘の構えを解いて身がまえる時の、バーン様の生き生きとした動きっぷりときたら! 原作では腕を交差したポーズ、バレリーナかよとツッコんだお気に入りポーズなので、上半身のみだったのが残念です(笑)
 でも、手の動きだけでもいちいち動作が派手で、華やぎを感じますけどね。

 バーンの攻撃の気配に叫んだヒムのアップに、ラーハルトの目元当たりが漫画のコマのように割り込んで警戒の台詞を口にした後、真ん中に割り込むようにポップの叫ぶ口が挿入される、凝った演出に感心しました。
 スピード感があって、いいですね。

 バーン様が自分から攻撃を仕掛ける際、瞳に赤い光を放つ白い線をだぶらせていたのが印象的でした。すっごく嬉しそうな表情で、喜々として攻撃を仕掛けています。

 ダイとポップが飛ばされるシーン、原作では頭が下、身体が上のポーズでしたが、アニメではポーズは同じでも頭が上になっていました。それに、原作では先に玉が飛ばされて、次がダイとポップでしたが、アニメでは玉ごと飛ばされています。

 その様子をチラッと見てから、バーンに向き直るヒム達の表情の変化はアニメの改変ですね。仲間の被害を見て、悔しいと思いながらも戦いを優先する姿勢にシビれます。
 ラーハルトが手刀で目をやられるシーンは、アニメの改変ですね。

 地上から見上げたバーンパレス、黒い色合いだと鳥というよりも雲に見えて怖いです。
 雷鳴に怯えるカール兵士、見知らぬ髭のおじさんと若い男性が並んでいましたが、青年の方はちょっと子供っぽい目が印象的な好青年風ですね。

 メルルやバダックさんなどの登場は嬉しかったですが、光が上から当たった瞬間をベタなしのトーンで表現したコマが気に入っていたので、そこが再現されなかったのが残念です。
 フローラ様が雷鳴で一瞬だけ、ほぼ真っ白に染まるシーンを見てみたかった……!

 バーン様が勝利宣言をするシーンで、ダイが一生懸命起き上がろうともがき、頭をガクッと落とす動きがいいですね。

 起き上がろうともがくラーハルトの台詞が、ぐっと胸に響きました。
 あれだけ傲岸不遜な男が、ポップの策に希望を見いだそうとしているなんて……指示は自分が出すと言い切っていた彼が、ポップの価値をいつの間にか認めていたんだなと思えます。

 ヒムちゃん、身を起こすシーン左右反転していますね。
 ポップが悔しそうに泣き言を漏らすシーン、原作では両手を床について震わせていましたが、アニメでは床を殴りつけています。

 そんなポップを見つめるダイの顔が、また、なんとも言えずにいい表情ですっ。ちょっと大人びたような、どこか寂しげな表情が勇者としてのダイらしい顔だと思えてなりません。

 ダイがバーンの攻撃に気づくきっかけが、差し込んだ光なのはアニメの改変ですね。

 ほっぺたを押さえて泣きながら叫んでいるチウが、なんか可愛いです♪
 最大のピンチなのにどこかユーモラスで、伸ばす声の語尾まで可愛い♪
 あ、余談ながら左右逆転しています。

 バーン様の台詞、一部改変されています。

原作バーン「速さはかなり遅めにしておいてやる。じっくりと痛みを味わうがいい!」

 原作では痛みを味わえと言っているのに対し、アニメでは恐怖を、と違いがあります。すぐ物理に物を言わせたがる原作バーン様に比べ、アニメのバーン様は、精神的に相手を追い詰めるのがお好きなのかもしれません(笑)

 原作では無表情に近いですが、アニメでは口端をあげてニヤッと笑ってますよっ。

 ポップが諦めないと呟くシーン、彼の横顔のアップが追加されたのは嬉しい改変です。顔を見せず、口元だけの横顔や、生まれたての子鹿のようにふっらふらに立ち上がる動きがたまりません!

 ダイ達が敵の攻撃にどう反応すればいいかさえ分からないでいるのに、その攻撃を凌いだ先を見据えているポップの思考が、やっぱり惚れ惚れするぐらいカッコいいです!

 それにしても、ラーハルトの顔を影で隠した俯き加減、絶妙だなぁと感心します。よく見ると、ハドラーの攻撃の後からずっと目を見せていないんですよね。
 
 奥義のスキについて語るポップの顔、左右逆転しています。
 『相棒』の呼びかけに、思いっきり感動しました♪ ダイ大の長い話の中で、ポップがダイを相棒と呼ぶシーンは、ここだけなんですよね!
 ダイに向ける一瞬の笑顔も、めっちゃ好きです!

 ポップが奥義を食らう仲間がここにいると言うシーン、ポップの足元が映し出される奥にヒムとラーハルトの姿が見える構図もシビれました。
 ヒム達が条件をのんでくれると、すでに思っているように話すポップがいいですね。

 ラーハルト達がそうだったように、ポップもこの二人を仲間と思っているんだなと感じられます。
 ポップの大博打宣言、声で聞くといっそういい感じです♪

 吹き出しのようなコマで、引きつった表情のチウのアップが表示されたのには笑いました。
 原作では「!!」の吹き出しのみだったんですが。

 微妙に引きつった表情は、単に迫り来るカラミティウォールに怯えているのか、それともポップの叫びを聞いたせいなのか判別が突きにくいですが、ここはやっぱりポップの叫びを聞いて、あの変態魔法使いはまだ諦めていないと勇気をもらうシーンであって欲しいです、個人的意見かもしれませんが。

 ポップがまだ諦めていないなら、恋のライバルである(自称)自分も諦めないと、せめてもの抵抗として手を前に突き出した、と解釈したいです。
 全く役に立ちそうもないですが、健気で可愛いですし(笑)

 ヒムがカラミティウォールを止めたと気づいた時、ポップとチウの表情が横並びにアップになっているのには笑いました。なぜここを二分割にした!?(笑)

 チウがヒムの名を呼ぶシーン、左右逆転していますね。手を組み合わせる乙女なポーズと溢れる涙……女の子なら絵になるのですが(笑)

 ヒムちゃんの吠えるような叫びと、ポップへの優しさの感じられる声かけのシーン、すごく好きです。
 ラーハルトが目が見えないと暴露するシーン、原作ではダイとポップが驚いた表情で彼を見ていますが、アニメでは二人の代わりにヒムが返事をする改変がされています。

 ラーハルトも自分と同類と見なし、死なせると分かっていても方向指示をするヒムちゃんがいいですね! ダイやポップでは、分かっていてもためらいがありそうですが、根っからの戦士のこの二人ならば必要とあれば自分自身をも切り捨てられるんだなと思えます。
 ヒムとラーハルトの決死の行動に、胸熱!

 ヒムちゃんがカラミティウォールを真っ二つに裂くシーン、原作にはないだけに見られて嬉しかったです!
 原作では隙間を空けたシーンの後、天魔の塔に爆発が上がるシーンになっていたので、アニメのようにヒムが腕を左右に開ききって魔法の壁を克服したシーンがなかったものですから。

 また、ダイとポップが爆風に身がまえているシーンの追加も嬉しい限り♪
 ポップは腕で顔を庇っていますが、膝を突いたままのダイはダイの剣を身体の前にかざすようにして身を守っているのがいいなと思いました。確かにあの剣なら、盾代わりにも十分になってくれそうです。

 バーンに特攻を仕掛ける時のヒムとラーハルトの台詞、原作では二人でハモっていると思っていたのですが、アニメでは割台詞になっていました。
 原作ではここで話の切れ目だったのですが、アニメではダイとポップの驚きの台詞を加え、バーンに突っ込む寸前でCMになっていました。
 うっ、めっっちゃ続きが気になるところで(笑)

 CM後のヒムとラーハルトの特攻、気迫がこもっていてかっこよかったです!
 しかしバーン様、マジでギリギリまで突っ立っているだけですね(笑)

 天地魔闘の構えに入ってから、スローモーションのように流れるアクションが凄絶でした! スピードで押すのも迫力がありますが、こんな風に緩やかな動きで圧倒的な力の差に敗れる演出も、ゾクゾクします♪
 原作にはない、ダイとポップがカイザーフェニックスを見つめる後ろ姿が特にお気に入りポイントです。

 ヒムとラーハルトが散った後、絶妙のタイミングで突っ込んでくるメドローアが、また迫力でした♪
 バーンに近づけば近づくほど遅くなっていくスローモーションで、迫ってくる魔法に焦りを感じて足掻くバーンの指の動き、変化していく表情のこわばりが壮絶でしたね。
 バーンの反撃と共に時間が通常通りに流れ出す、緩急の利いた演出も良かったです。

 メドローアを弾いた後、原作では手前にダイとポップ、奥にバーンがいる構図での全体図になっていましたが、アニメでは逆に手前がバーンで奥にダイとポップがいる視点になっていました。

 そのおかげで、立ち上がったダイが剣を手にしつつも身がまえてはいない姿勢がよく見えたのが感激です♪
 原作でも後ろ姿のダイ(しかも上半身のみ)は明らかに剣を構えていないと分かるポーズなのですが、アニメの角度からの方がそれが顕著に分かります。

 ポップ自身もこのメドローアでバーンを倒せるとは思っていなかったし、ダイもポップの意図を見抜いたからこそ、追撃を全く考えずに見切りに徹していたんだと思えて、二人の絆を強く感じます。
 目すら合わせないで、この意思疎通っぷりはすごいですよ!

 バーンの褒め言葉に、ポップがちょっと表情を引き締めたのは、バーンがこちらの思惑を勘違いしたような発言をしているのが、本気か、フェイクか、見極めようとしているようにも見えました。
 ポップの立場からだと、侮られて油断された方が助かりますしね。

 でも、ダイはポップが侮られるのが我慢できないとばかりに、この後で駆け引きもなにもなく、真相をぶちまけちゃってますが(笑)
 ポップは何も言っていませんが、内心「……あー、こいつって相変わらず空気読めねえよな〜」とか思っていたかもと想像すると楽しいです。」

 まあ、ダイがストレートに暴露することで、かえってバーンの本音を見極めやすくなるというメリットもあるので、結果的にはいいサポートになっている気もします。

 並んで立つダイとポップのシーン、原作では背景は集中線で画面の左右にダイとポップの目が片方ずつアップになると言う構図でしたが、アニメでは並んで立ちポーズは同じでも、背景が二人のアップになっています。しかも、ピッタリと寄り添い合っていますよ♪

 黄色みを帯びた背景の中で、アップになったダイ達のそれぞれの目の輝きの色がわずかに違っていたのに感動!
 ダイの目はかすかな青味を、ポップの目はかすかな緑味を帯びて強い光を放っています。

 原作のシャープな構図も好きですが、アニメの心が重なっているかのような寄り添い方はもっと大好きです♪

 そんな二人に警戒するバーン様、黒いバックに青みがかったモノクロな色彩が似合っています。原作ではやや斜めな構図でしたが、アニメでは真正面ですね。
 アニメでは、バーン様の真正面からの構図が増えている気がします。迂闊に書くと結構間抜けになりがちな真正面顔が、驚くほどの美麗さで描かれているのが嬉しい限り♪
 ……そういや、ガルダンディーやシグマは真正面だと微妙な気がしましたっけ(笑)

 ラーハルトのグッジョブサインに笑みを浮かべるポップ、左右逆転していますね。
 ラーハルトは知らないでしょうが、ヒュンケルもポップに同じサインを送っていたと思うと、ヒュンケルとラーハルトの間に深い絆があるんだなぁと思えてジーンとしちゃいます。アニメの改変あってこその感動!

 また、ポップが二人への感謝を心の中で呟くシーン、ポップの目がちゃんとヒムの方を見ているのも、嬉しい改変でした。
 原作ではこのシーン、構図は同じでもダイとポップと表情は焼灼されているんですよね。

 それが、ポップはヒムに感謝し、ダイはまっすぐにバーンを睨むという表情づけがなされています。
 また、感謝しながらポップが腰の後ろに手を回し、ブラックロッドを引き抜く動作が入っているのも好印象。
 
 ダイとポップが心の中で、「おかげで〜」と「絶対に無駄には〜」と思うシーン、原作では武器を構えたタイミングでしたが、アニメでは二人そろって並んで身がまえたシーンへと改変されています。

 ポップの天地魔闘の考察台詞、長いのにちゃんと全部語られたのは嬉しかったです!
 メドローア直後に強ばるバーンや、ミストバーンがポップとビースト君にメドローアを弾き返したシーンが、モノクロな回想シーンで流されたのもいいですね。

 原作では台詞だらけのコマになっていただけに、やっぱり動きは必要でしょうし(笑)

 ポップが「知らねえわけだよな〜」の台詞を言うシーン、立っているダイとポップからバーンの方に横に視線が流れる演出が入っていますが、途中に太い柱の後ろを視線がよぎるのがちょっと面白かったです。

 位置的にはレオナが隠れていた柱っぽいので、まるで視聴者がレオナのいた場所から、ダイ達とバーンの戦いを覗き見しているような臨場感が湧きました♪

 バーン様の自分の技への信頼感、ものすごっ(笑)
 自分の弱点を弱点とさえ思っていないからこそ、否定すらしませんね。
 そして、ポップが隙を指摘する時の表情が、原作よりも不敵な笑みが強まっていていい感じです。

 ポップが技を何度も見せるべきでは無かったと言うシーン、腕を広げてまで呆れた見せるのは原作通りですが、アニメではさらに首を軽く左右に振って、否定感を強めているのに感心しました♪

 あー、これって、なんとなくアバン先生に「いけませんねぇ〜、ポップ」と言われている時の仕草っぽくみえますね(笑)
 敵の煽り方には、定評がありそうな師弟です。

 しかも、ポップってば敵を前にして目を閉じて腕を腰に当て、声を跳ねさせてさえいますよ! ふざけたこの口調と言い、小馬鹿にしたような大魔王さん呼びと言い、本当にすごくいい演技です♪

 ウィンクする時の顔の角度が、原作よりも斜めになっていて、ちょっと小首を傾げた風になっているのが、さらに挑発的でいい感じ。
 そして、ポップの挑発について解説してくれたのがナレーターではなく、アバン先生だったのが嬉しかったです。

 返答前に俯いているバーンの顔の影、怖っ。
 バーンが戦いに応じると知り、ダイとポップの目のアップが漫画のコマ割のように左右から出現し、表現される演出がカッコいいです。

 真っ暗な画面でモノクロっぽいポップがこぼすモノローグ、地味すぎる色合いにポップの密かな弱気が見えるような気が(笑)

 原作バーンは「のってやろう、うぬらの挑発に」と発言していますが、アニメでは「のってやるぞ」に変更されています。
 原作と違って、連続的に流れるのなら同じ言い回しは避けるという意味で修正をかけたのでしょうが、やる気に満ちて聞こえますよ〜。

 二種類の魔法を使うポップ、カッコいいです♪
 しかし、相変わらずぶっつけ本番なんですね(笑) まあ、二種類の魔法を同時に使う必要性などそうそうないでしょうから、ここまで余裕のない戦いの中ではあまり意味の無い修行だと思い、後回しにしてしまうのが分かりますが。

 でも、実際に使えるかどうか本人にも分からなかったのなら、あれだけ大口を叩いてバーンの気を引きつけ、時間稼ぎしたのは納得です。
 にしても、回想シーンのマトリフ師匠がカッコいい……!

 バーン様の脳内シュミレーション、めっちゃリアルですね。
 空高く跳び上がって攻撃を仕掛けてくるポップの動き、実にいいです。炎に飲まれるポップに、それを棒立ちで見ているダイの想像の細かさが素晴らしいです。
 迫る炎に、ダイの顔がアップになる際、怯えたように目を見開いているのは、バーン様のお好みなんでしょう、きっと(笑)

 バーンの不吉な予想を聞いたポップが、息をのんでいるのがいいですね。原作では右向きの顔が、アニメでは真正面を向いています。
 一歩でもしくじったら、ダイごと巻き添えにして死んでしまうと、ポップ自身も自覚しているからこそ、恐怖も感じているのだと思えます。

 バーンがあと何人かいれば、と語るシーン、アニメで聞くと、ついさっきヒムとラーハルトがいた時点でその作戦をとらなかったポップを笑っているように感じます。

 その後でポップが歯を食いしばるシーンが入ったのは、アニメの追加です。
 実際、ポップも二人っきりになってから実行するより、ラーハルトとヒムの力も借りて波状攻撃を仕掛けたかったと思うんですよ。

 ポップの特攻宣言に、バーンが正面に向き直る顔がカッコいいです。
 その寸前の、人を小馬鹿にしたような、蔑みの表情もゾクゾクしますけどね♪

 ダイのバーンへの自己主張シーン、感動しまくりました!
 ダイはバーンの意味深な言葉や言葉遊びにはついていけていない感じで、何か言われたもろくに言い返せずに戸惑っている風なシーンが多かったし、人間に迫害されるかもと言われた時でさえ、バーンの意見を否定し切れていませんでした。

 なのに、ポップのことだけは自分から進んで、強く主張してるんですね……うう、涙がこぼれそう……。
 ダイは本当に、ポップを信用しきっているんだなぁと思えて嬉しくなります。

 人間達に嫌われてしまうことを恐れ、自分が純粋な人間じゃ無いことを気にしているダイは、その点はあっさりと諦めているんですよね。嫌われるならしょうが無いと、何かを主張するまでもなく身を引くつもりでいますし。
 でも、ポップのことだけは主張せずにはいられない……ダイのその拘りに友情を感じます。

 ポップの後ろ姿が映し出されるシーン、アニメの改変ですが見覚えを感じるような懐かしさが込み上げてきました。

 原作319話「勝機をかけて」で、ポップが青空の見える窓を背景に振り返る扉があり、柱の文章で「いつもアイツの陰についてきた……今度はおれが勇者(ダイ)を守る番だ!!」と書かれた回があって、筆者のお気に入り扉の一つなんです。連載時から、ずーっと表紙を切り取って保存していたぐらいに(笑)

 窓こそありませんが、その時のポップをダイ視点から見ているような頼もしさを感じる背中が、その時の扉絵のポップの姿と重なって見えます。

 目を1度閉じて、カッと見開いて主張するダイの強い口調……聞き入ってしまいました。

 ポップの主張も、感動物です!
 ポップの言葉は、なすすべもなく玉に閉じ込めれらた仲間達も救ってくれたはず……瞳に封じられた仲間達の表情はどれも好きですが、特に目を伏せているアバン先生が感無量を味わっているように見えます。

 一番手のかかるわがままだった弟子のこの成長は、教師にとってはさぞや感慨深いでしょうねえ。

 ポップに後は任せたと言われ、うんと答えるだけでなく頷くダイが可愛いです。ポップは前にいるから見えないのに……(笑)

 ポップの突撃シーン、原作では低い位置で一直線にバーンに向かってるように見えますが、アニメでは山なりに高く跳び上がっています。
 魔法を放つ際、ポップが身をのけぞらして勢いをつける動きがいいですね♪

 アニメでは度々、ポップが勢いをつけて魔法を放つシーンがありますが、野球っぽくて好きです。

 ポップのブラックロッド、真っ二つに折られたのを見て驚きました。
 原作ではバラバラに砕かれているのに! 大抵、物質はアニメの方が派手に壊されていたので、この改変は意外でした。
 スローモーションな動きで、回転しながら飛んでいく杖の先端の動きがよかったです。

 ポップの驚きの表情と、バーンの顔、ついでにポップの魔法直撃シーン、左右逆転していますね。
 目を閉じて嘆くクロコダインを見て気づいたのですが、「瞳」の中って、自由に目を閉じることができなくなるんじゃ……。

 ハッ、もしやクロコダイン、持ち前の怪力を瞼に集中しまくって、力業で強引に目を閉じているとか!?(笑)

 バーン様の高笑いシーン、ロンパリ目がなんか怖
 ポップがニヤリとするシーン、原作では服はまだ無事でしたが、アニメではこの時点ですでに服が破け済みでした。

 ええー、ポップの服が一瞬で破ける○ューティーフラッシュなシーン、密かに期待していたのに〜。見えない間に破けたことになっていただなんて……失望したっ(笑)
 
 ……まあ、冷静に考えれば女の子キャラならともかく、男子キャラの服が破けるシーンにそこまで熱意を込める必要があるかと聞かれれば、納得しちゃいますけど(笑)

 反射したカイザーフェニックスと、炎に飲まれたバーンを見つめるポップ……ここで終わり!? と叫びたくなったラストシーンでした!

 次回予告、ポップの姿が無かったのが残念ですが、ダイとバーンの対決がド迫力♪ 
 それにしても説明にが出てきたのに、姿は皆無だったヒムとラーハルトが不憫でなりません。

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