H.7.2.13(月)No11 『輝け!!破邪の秘法』

 

 圧倒的な強さで怪物達を蹴散らすヒュンケルは、アバン達の向かったバーンパレスの入り口から破邪の光が輝きだしたのを感じていた。
 5つの羽を使って空中に光る円を描くアバンを、ダイ達は目を見開いて見守っていた。
 レオナの習得したミナカトールのあった25階よりも、6倍は深い150階まで行ったアバンは、6倍はすごい呪文を身に付けたのでは……と、単純に考えるポップだが、そんな調子のいい計算は通用しはしない。

 50階杉からは呪文はほとんどなく、少なくとも150階までにはミナカトール以上の魔法は存在しなかった。アバンが見つけたのは、呪文ではなく破邪の秘法――アバンが念をこめて五芒星を空に浮かべたのを見て、レオナはいち早く悟った。

 呪文ではなく、呪文の破邪力を増幅させる秘術……ミナカトールを輝聖石の魔法円によって高めたように、アバンは破邪の秘法を、邪悪を滅する魔法と併用することによって、その力を最大限に高めることができる。

 ポップを救ったのも、トラマナを高めたもの。そして、今、使おうとしている呪文は当然扉を開く呪文、アバカムだ。
 強力な破邪の力により、扉は静かに開いていく。
 その光景を、ダイは呆然と見つめていた。

 ダイは今こそ、心のそこからアバンが助けにきてくれたことを嬉しく思う。魔界の門は、ダイにとっては力で砕かなければ開けられないものだった。けれど、開けようと思えば開けられるものだと、アバンは証明してくれた。

 それを見て、ダイは確信を持てたのだ。力だけが正義と考えるバーンは、間違っている、と――。
 アバンもダイのその考えを優しく肯定してやり、先に進もうとする。

 だが、行く間際、アバンは一瞬、ヒュンケルと目を見合わせた。
 思いを口に出さないまま、アバンは無言のままヒュンケルに頭を下げ、先へと進む。それを見送ったヒュンケルは、本当の父親役が戻ってきたことに安堵していた。

 不慣れな長兄役を捨てて、一介の戦士へと戻る。
 後先考えずに暴れると宣言した通り、ヒュンケルは本日二度目のグランドクルスを放っていた――!!


《タイムスリップな感想》


 ありゃりゃ、ポップを救ったのはてっきりマホカトールだと思っていたのに、トラマナだったとは。
 しかし、ダイって魔法もろくに使えないのに、よくアバカムの存在を知っていたなぁ(笑)

 それにしても、レオナの賢さってすごく抜きんでている。アバンの言おうとしたことをスパスパと見抜いてしまう彼女は、5人の弟子の中で一番賢いと見た! ……パラメーター的には、ポップの方が賢さは高いはずなんだけどね(笑)

 でも、アバンが戻って以来はしゃぎ気味で、ギャグメーカーっぷりを発揮しているポップのボケっぷりが楽しい♪
 でも、今回印象に残ったのは、弟子であるヒュンケルに無言の目礼を捧げたアバンの姿。
 自分に変わって、辛く、大変な役目を負ってくれたヒュンケルへの感謝の念は、きっと言葉にはできないものなんだろうな〜。
 それはいいんだけど、ヒュンケルってば二度もグランドクラスを使って、動けなくならないんだろうか?(笑)
 

次へ続く
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