H.7.4.24(月)No21,2 『銀髪鬼、ヒム!!』

 

 地上の人間達の戦いは、終わった。
 幾人もの怪我人を出しながらも、フローラ達は光の魔法円を守りきることができた。この円さえあればいつでもダイ達に救援を送れるし、彼らを帰還させることもできる。もはや、結界はない。

 だが、みんな、魔法円を守る戦いでぼろぼろで、とこても助っ人を送る余裕はない。しかし、元気よくみんなに出撃を呼び掛けたのは、チウ君。
 一人だけ元気溌剌な彼は、リーダーを気取って少数精鋭で助っ人にいく作戦を呼び掛け、メンバーを選ぶ。

 ますは当然、クロコダインを選んだが、ノヴァはロン・ベルクの介護があるため、行けない。
 メンバーを探すチウに、無言でエイミがプレッシャーをかける。

 私も行きたい――言葉にしないままの脅迫めいたエイミの気迫にも負けず、チウはビースト君を選んで3人でバーンパレスに行くことにする。
 戦いに生き残った敵の怪物を許し、配下に加える約束をしてやっているチウを見て、クロコダインは内心感心していた。

 実力はまだまだでも、チウの器は大きい。
 案外、大物になるかもしれないとの期待を込め、クロコダインはチウ達と共にバーンパレスに向かう。

 取り残されたエイミは、メルルの治療もあるからと諦めてそれを見送るが、ヒュンケルのことは気掛かりだった――。

 そのころ、ヒュンケルはヒムの攻撃をまともに食らってしまっていた。
 闘気の力により、ヒムは以前よりもはるかに恐るべき敵へとなっていた。ヒムの一撃で倒れ動けなくなったヒュンケルから、全身の感覚が失せていく。
 ダイ、ポップ、マァムの顔を思い浮かべ――ヒュンケルはそのまま意識を失ってしまった……。

 同じ頃、ダイ達は体力の回復を図っていた。
 ポップに回復魔法をかけてもらっているダイだが、違和感が拭えない。もっとも、回復魔法を覚え立てのポップにしてみても、その点は同感だ。

 回復魔法を使えるならさっきマァムに甘える必要はなかったのにとからかうダイに、向きになって言い返しているポップ。そんなやり取りを見ながら、マァムは改めてポップの急成長を実感する。

 なんだか自分の出番がなくなるみたいと思いながらも、マァムは寂しさよりも嬉しさを感じていた――。
 何はともあれ全員完全回復を果たして、ポップは強気に啖呵をきるが、その声は空しくこだまするばかり。

 不気味なまでの静けさや、まだ帰ってこないアバンとレオナが気に掛かる中、ポップは敵の本拠地で急に敵の出現率が減るのが、いい傾向ではないことを思い出す。
 つまり、それはその分、強者が守りについている証――と、ポップのセリフに続いて説明する声に、みんな、ギクッとして振り返る。

 悠然と登場してきたミストバーンに、ダイ達は一斉に身構える。そんなダイ達に、ミストバーンは語った  この場所は白い宮庭(ホワイトガーデン)と呼ばれ、バーンのいる中央塔に繋がる場所であり、バーンパレスの中で最も美しい場所の一つである、と。

 突然、観光案内を始めたミストバーンにポップが怒鳴り返すが、ミストバーンはあくまで余裕に溢れている。あの世に行く前に、自分達の死に場所の名ぐらいは知っておきたいだろう、と――。

 ――一方、意識を闇に飲まれたヒュンケルは、自分の名を呼ぶ声と、光を感じて目を覚ました。
 そこにはアバンと、彼の大切な仲間達……ダイ、ポップ、マァム、レオナが立っていた。
 アバンは、ヒュンケルに立つようにと促す。自分が教えたことを、守りなさい、と。


 力を全てだしきっての敗北なら、恥じることはない。だが、今のヒュンケルには、まだやれることがある、と。
 アバンのその言葉にだぶって、子供の頃の自分とアバンの姿が浮かび上がる。

 最後の最後まで戦い抜くのが、真の戦士  師の言葉に、ヒュンケルは現実でも目を覚まし、再び立ち上がった。
 それを喜ぶように見守るヒム。
 アバンに対する感謝の心と共に、ヒュンケルは再び闘志を取り戻していた……!!


《タイムスリップな感想》


 わぁーいっ、ひさびさにポップが出たぞーっ♪
 後方支援の地上組、殿に位置するヒュンケル、前線にいるダイ達と、全ての戦力の動向がよく分かる中身の濃いストーリーに大満足っ。

 チウ君の活躍や、エイミのギャグにも相当笑わせてもらったが、なんといっても、ダイ、ポップ、マァム、ゴメちゃんのトリオ+ワンのパーティが微笑ましかった。最初の頃のこの組み合わせの時はマァムが実質リーダーで、ポップは文句ばかり言っている足手まといだったんだが(笑)

 でも、ポップの成長を素直に認めて、喜ぶことができるのがマァムのいいところ。ほのぼのした三人もいいけれど、ミストバーンが出てきたからにはしばらくシリアスバトルになりそうだ。

 ヒュンケルの戦いもハードそうだし……バトルな週が続きそうだな。
 しかし、ぷわぷわと出発したチウ達は、いったいどちらの援護に行くんだろ?
 
 

次へ続く
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