H.7.7.24(月)No34 『不動!! ミストバーン』

 

 ぎくしゃくとしたぎこちなさを解消したポップとマァムのタッグに、レオナは安心感を抱いていたが、ダイはミストバーンの実力を知っているだけに、不安をぬぐいきれなかった。

 強敵であるミストバーンを前にしたポップとマァムは、小声でどう戦うか作戦を決める。 マァムの考えた作戦は、ポップが攪乱役を務め、マァムがとどめを刺すというもの。

 ポップの力を信用していないわけではないが、メドローアが跳ね返されることへの用心と、ミストバーンの闇の衣の下に肉体があるならそこに閃華烈光拳をかけた方が確実を覆えるからだ。

 短い打ち合わせをすませ戦いに身構える二人を見て、ミストバーンは身の程知らずと嘲笑う。
 ダイを追うのは簡単だが、白い宮庭を決戦の地と決めたミストバーンには、自らが動くつもりなどない。

 ダイの方を、戻らせるつもりなのだ。二人の死を持っておびき寄せるのは、簡単だと考えているミストバーン。
 そうはさせないと叫ぶポップとマァムだが、ミストバーンの自信は絶対的だ。

 アバンやヒュンケルならまだしも、二人程度では足止めにもならないと言い、ミストバーンは一歩も動かすに二人を倒し、ダイを必ず引き返らせると予言する。
 あまりにも一方的なミストバーンの予言に腹をたてたポップとマァムは、二人そろって彼に飛びかかった!!

 ミストバーンは闘魔傀儡掌を二人に仕かけるが、ポップはブラックロッドを伸ばす勢いで上空に逃げ、それを避ける。
 そのままトベルーラで宙に浮いたポップは、イオをいくつもミストバーンに放つが、彼はそれをなんなくいなす。

 しかし、それこそがポップの狙いだ。
 呪文を増幅して跳ね返されない様、そしてミストバーンの手をふさぎ続けるために、高速で呪文を連打することを重視して、わざと呪文のランクを落としているのだ。

 ポップが呪文で引きつけている隙を狙い、マァムがミストバーンに攻撃を繰り出す!
 左手で白い衣をわずかに裂き、肉体を露出させたマァムは利き手で閃華烈光拳をたたき込んだ!!

   だが、ミストバーンにはまったくダメージを与えられなかった。
 驚くマァムの身体に、ミストバーンの伸縮自在の爪が蛇の様に絡みつく。そのまま身体を締め上げられ、悲鳴を上げるマァム。

 それに気を取られたポップの背後にも、ミストバーンの爪は忍び寄っていた。
 宙に浮かぶポップを捉えた爪は強い力で彼を引きずり落とし、地面に叩きつける。仲間のピンチに先に進むことも忘れ、二人の名を叫ぶダイ。

 そんなダイに見せつける様に、ミストバーンは腕を高々と上げ、ポップとマァムの身体を締め上げて見せる。
 必死に苦痛に耐えながらもポップはダイに先に進めと叫ぶが、ダイにそんなことができるはずもない。

 前後のことも忘れ駆け戻ってくるダイを見て、ポップはミストバーンの罠にはまったことを悟る。
 ミストバーンの力を考えれば、完全に掌中に収めた二人の首など、いつでも捩じ切ることができる。

 それをわざわざ声を出せる程度に抑えているのは、ダイに自分達の苦しむ声を聞かせるためだと、ポップは見抜いていた。
 ミストバーンの狙いは正確で、ダイどころかレオナまでもが我を忘れて階段を駆けおりてきている。

 だが、ポップはそれが無駄足になることを知っていた。ダイが戻ってきた時点で、用済みとなったポップ達は殺される……!
 余裕が的中したことを誇り、ミストバーンはニヤリと笑みを浮かべる。

 必死になってダイを制止しようと叫ぶポップだが、その声を聞いてもダイを止めるどころかかえって足を速めさせるだけであり、ミストバーンの嗜虐心を満足させるだけのものだった。
 勝ち誇り、高笑うミストバーン。

 しかし、その彼の頭上に凄まじい攻撃が繰り出され、地をも割った。ミストバーンの手を離れ、宙に投げ出されたポップとマァムを素早く抱きかかえた人影は、そのまま見事に着地した。

 朦朧とした意識で、ヒュンケルに助けられたのかと安堵する二人――だが、ポップは彼とヒュンケルの違いに気がつく。
 そこに立っていた男は、ラーハルトだった……!

 


《タイムスリップな感想》


 ついに、ラーハルトの助っ人参上!!
 ……というか、ヒュンケルもそうだけどラーハルトも『これ以上ないって場面を狙って登場する』主義なんだろうか?(笑)

 死んだはずのラーハルトとの再会にさぞや驚くかな、と思ったんだけど、よく考えたらポップ以外は彼とはあってもいなかった。しかも、今の状況じゃポップの方が死にかけてるし(笑) ……ポップって、出番が多くなればなるほど、死にかけ率が高くなる気がする〜。

 それにしても、あれだけ前の号で大口を叩いていたくせに、みんなそろって目的を忘れまくっているなぁ。
 まさか、レオナまで、戻ってくるとは。

 そういえば、ミストバーン! 妙に詩人っぽく、えらそうな発言が多かった彼も、やっぱり根は陰険サディストだったとは!
 ポップを掴まえる際、わざわざ床に一度落とす必要があるとも思えないのに、わざとやるあたりがきっとサドっぽい。ああ、やっぱりこやつも魔族(笑)
 
 

次へ続く
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