H.8.4.1 (月)N18  『宿命の終焉』

 

 傷だらけのヒュンケルを乗っ取ろうとするミストバーン――その真意を掴めないながらも、アバンは彼を救おうと空の技を放った。
 だが、ヒュンケルの身体から放たれる暗黒闘気は、それさえも弾いてしまう。

 元々、ミストバーンはこの時のためにヒュンケルを鍛え、育て上げてきたのだ。バーンに身体を返した後、自分のメインボディとするために。
 ヒュンケルから放たれる凄まじい闘気……それはバーンと合体していた時に匹敵するものだった。

 完全にヒュンケルを支配するために、ミストバーンは彼の意識の中に入り込む。
 ヒュンケルにとっては、闇の師に当たるミストバーン……だが、ミストバーンにとって、ヒュンケルは身体のスペア。
 言わば、武器や道具に過ぎない。

 嘲笑うミストバーンに対して、ヒュンケルは吠える。
 マァムのように魂を一時的に消すのではなく、完全に打ち砕いて殺そうと、ミストバーンはヒュンケルの魂を鷲掴んだ。

 だが、そこから溢れ出たのは、光の闘気。
 悲鳴を上げて、消えていくのはミストバーンの方だった。最初からミストバーンの意図に気がついて、備えていたとしか思えない……なぜ気付いたと問うミストバーンに、ヒュンケルは答える。

「……なぜか、そんな気がした……。……おまえは必ず、オレを選ぶ、と……!」

 圧倒的な光に、ミストバーンの身体が崩れ去る。ヒュンケルの名を呼んだ絶叫が、そのまま彼の断末魔の叫びとなった。
 自分を取り戻したヒュンケルは、がっくりとその場に膝をついた。

 ミストバーンはヒュンケルの中で死んだ。
 闇の師弟の長い宿命が、今、終わったのだ。
 よろめきながら立とうとするヒュンケルに、手を差し伸べたのは彼の光の師……アバンだった。

「あなたにとって……オレはなんですか?」

 ミストバーンへしたのと同じ問いを、ヒュンケルはアバンに投げ掛ける。事情を知らぬアバンは、不思議そうな顔をしつつも静かに答えた。

「…決まってるでしょう。……誇りです…!」

 その答えにヒュンケルは満足そうに微笑み、アバンの手をしっかりと握って立ち上がった――。


《タイムスリップな感想》

 ありゃ、さんばん大暴れし、気を持たせまくった割にはミストバーンってばあっさりと死んだなぁ……。ヒュンケルの身体が回復しなかったのがちと残念だが、ブラックヒュンケルもカッコよくてよかった♪

 それにしてもラーハルトっ! おまえって奴は……っ、ミストマァムはあっさりと殺そうとしたくせに、ヒュンケルが取り付かれた時にはあの取り乱しようは、どういうことだ(笑)

 まあ、これで残る敵は真・バーンのみ! 来週からの新展開と、ポップの復活が楽しみだ♪
 
 

次へ続く
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