H.8.5.1 (木)No21『不動の構え』

 

 真・大魔王バーンの見せる怪しい構え……それを『天地魔闘の構え』と呼ぶ。
 武術の心得のほとんどないレオナにはそれは単純な構えにしか見えないが、ダイはその恐ろしさを瞬時に見抜き、恐怖すら感じていた。

 あくまで余裕たっぷりのバーンに、ダイは自分の最強技、ギガストラッシュをぶつける! だが、バーンは全くそれを避けようとしない。
 フェニックスウィングでダイの攻撃を片手で受け止め、もう片方の手の手刀でダイを斬り、さらにはカイザーフェニックスで彼を突き放す。

 ダメージを受け、倒れるダイ――それに比べ、バーンはわずかに切り傷を負ったのみだ。 怯え、驚愕するレオナに目を止めたバーンは、回復までの時間つぶしにレオナに自分の攻撃を解説する。

 バーンは、攻撃、防御、呪文の3動作を一瞬で繰り出せる。その前にはいかに魔法と攻撃の合体技で挑んでも、全て無効とされ、逆に大ダメージを負ってしまう。
 その恐ろしさを噛み締めるレオナの頬を、バーンは軽く触れる。

「……さしもの気丈な姫も、恐怖に言葉を失ったか……。…良い表情だ……」

 怯えるレオナは身動きすら取れない。そんな彼女を庇おうと、ダイはふらつきながらも必死で立ち上がろうとする。
 が、その肩から大量の血が吹き出し、ダイは再び倒れた。

 いくら竜闘気で守られているとはいえ、バーンの手肩なこそが最強の剣――しかもバーンは、わざわざダイに斬られた肩、しかも同じ位置を狙って切り付けたのだ。
 圧倒的な力の差を持つバーンは、じわじわとダイをなぶって留飲を下げるつもりでいる。 倒れたダイからレオナに目を移したバーンは、しばらく彼女の顔を見つめた末に言った。


「……フム。一つ、おもしろい余興を思い付いたぞ……」


《タイムスリップな感想》

 つ、強っ?! これじゃあ戦いにもならないや、相手が強すぎる! まるで適性レベルから20ぐらい離れた勇者がラスボスに挑んでいるよーなものじゃ!
 ポップ達はいったい何をやっているんだか、はよ援護してやらないと全然かなわないよ〜。

 しかし、バーンってば。今までレオナのことをまるっきり無視していたというのに、ちょっと余裕ができた途端、あの態度はなんだっ?!
 ……そういや、ロン・ベルクの回想シーンでも、バーンってば美女を回りにはべらせていたっけ(笑)

 ひょっとして、バーンって女好きっ?!
 ああ、なんかレオナがとってもピンチな予感、久々に囚われのお姫様状態になっちゃうんだろうか?
 
 

次へ続く
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