H.8.5.27(月)No26 『勝機をつかめ!!』

 

 ダイ、ポップ、アバン、ヒム、ラーハルト――バーンと戦う資格があるのは、この5人だった。いきなり仲間が玉になったことに戸惑うポップ達に、ダイはレオナも玉にされたことを話す。
 事情を知ったポップは、それを好都合だと言い切った。

 ヒムやラーハルトはそんなポップを非難するが、ポップは玉になっても死んだわけじゃないと言う。玉はそう簡単に壊れる物でもないようだし、死にかけた仲間がいれば回復に手が掛かるだけ……相手が相手なだけに攻撃だけを考えなければ勝ち目はない。

 少なくとも、レオナやマァムは玉になっていた方が安心だし、目の前でバタバタ死なれて動揺を誘われる心配もない。残酷な言い方だが、この方が戦い易いのだ。
 冷静なポップの判断に、ヒムやラーハルトも彼を見直す。いつも人一倍喧しいからもっと人情家かと思っていたが、結構クールな面もあるものだ、と。

「時と場合によらぁ…! どのみち大魔王に負けたら、地上に明日は無え! 玉にされた連中だって戻りゃしねえんだ。
 …奴に勝つためなら……みんなを救うためなら……おれはどんな手でも打つぜ…!!」

 そう叫ぶポップの横顔に、アバンはマトリフを思い出す。
 自分がいない間、ポップがマトリフに師事していたことを、アバンは今こそ悟る。

 ポップの存在感は、その昔、アバンが勇者として戦った時に傍らにいたマトリフとおなじものだ。
 自分の知らぬ内に成長していた弟子に、アバンは深い感慨を覚える――。

 一方、ポップは自分自身に向かって、必死にクールになれと言い聞かせていた。かつてマトリフがポップにそう教えた様に、今こそマトリフの様に戦う時だ。
 敵がメドローアを弾ける以上、ポップは魔法でバーンに対抗するつもりはない。今のポップには、何度もみんなと視線を乗り越えてきた知恵しか使えるものがない……!

 身構える5人に、バーンは悠然とギャラリーは多い方がいいと言い放つ。
 力尽きた者は、たちまち『瞳』と化してその場に落ちる。最後にはやはり、地上の希望であるダイが倒れるところを見ざるを得ない。
 うぬらこそが歴史の証人と、バーンは天に向かって手を振り上げた!!

 それに応えるかのように落雷が落ちるのを、フローラやテラン王は見た。地鳴りは、ロモス王やベンガーナ王の元にまで轟いた。
 今、ここに魔の時代が来たる――!!

 天地魔闘の構えをとるバーンに、ラーハルト達は武器を構えた。ポップがダイの回復をする時間を稼ごうとして……。
 だが、バーンの力を肌で感じたダイは、3人がかりでも勝ち目がないと知っていた。

 止めようとするダイだが、その首にポップの腕が巻き付けられる。
 ダイを回復しながらも彼を押え付けるポップに、ダイは必死に訴える。彼らを止めないと――だが、ポップは真っ直ぐに三人を見たまま怒鳴った。

「……じっとしてろッ!!」

 ポップらしくもない態度に、ダイは目を見張る。ポップは血が出る程唇を噛み締めて、三人の特攻を見つめていた……!!

 アバンストラッシュ。
 ハーケンディストール。
 オーラナックル。

 地上で有数の力を持つ戦士達の、それぞれの最強の技が繰り出される。だが、バーンはそれらをこともなげに打ち砕いた――!!


《タイムスリップな感想》

 おお〜っ、感激――っ!
 表紙の見返りポップからこの号は引きつけられたけど、クールであろうと頑張るポップの活躍には本気で感動!

 ハドラーでさえ見捨てられなかったポップが、死んでいないとはいえ玉になった仲間を見捨て、絶対にかなわない敵に突っ込んでいく仲間を見送らなければならないとは――その内心を思うと、気の毒だなぁ。

 本来、人情家で感情のままに行動するポップが、感情を殺して行動するのは大変なはずなのに。
 これで三人が『瞳』になってしまうとしたら、残るのはダイとポップだけか。

 その昔、デルムリン島からたった二人で旅だった様に、ダイとポップは最後の最後まで一緒に戦うのかと思うと、ちょっと感慨深いや。


 


《時を超えたおまけ》

 この回の表紙、窓を背景に振り向くポップの立ち姿は、ダイの表紙シリーズの中でベスト10に入るぐらいのお気に入りなんです!
 そのせいで、ばっちりと表紙は保存しておきました♪

 この回の表紙の煽り文は

『いつもアイツの陰についてきた…!今度はオレが「勇者(ダイ)」を守る番だっ!!』

 で、すっごくお気に入りの言葉♪
 最初の頃のポップが、本当にダイの陰に隠れてビクビクとついてきた感じが強いだけに(笑)、成長して今度はダイを守ろうとする姿にしびれますねえ♪
 
 

次へ続く
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