H.8.8.12(月)No37.38 『閃光のように』

 

 ノヴァはリンガイアへ、ロモス大会のメンバーは取りあえずロモスへ行き、ルーラの使い手を探すという。パプニカの2本とオーザムに行ける者を求め、フローラ達は焦っていた。

 時間も、人材も足りない――自分にルーラが使えればと嘆くエイミの傍ら、フローラはメルルに世界中の人へ呼び掛けられないかと問う。だが、それは彼女の力の限界を遥かに超えている。辛うじてポップと交信するのが、やっとなのだ。

 フローラ達の必死の努力をもはや手遅れと嘲笑うバーン……だが、ポップはそれに異を唱えて再び立ち上がろうとする。

「…ポ……ポップ…!!」

 驚いて、思わず彼の名を呼んだバーンの揚げ足を取るポップ。それに苛立ったのか、バーンはポップの襟首を掴んで宙に持ち上げ、諦めが悪いと罵る。
 勝てぬものは勝てぬと悟った方が幸せだ、少しはダイを見習えと、バーンはポップを床へと叩き付けた。

 床に大の字に転がったポップは、突然、ダイやバーンの寿命について話しだす。脈絡のない話に戸惑うバーンをよそに、ポップはロン・ベルクの話を聞いて思い出した、5、6歳の頃の自分の話をする。

 『死』について漠然と考えるうち、得体のしれない恐怖にかられて泣き出してしまったポップ。夜中なのに、両親は飛び起きて我が子の側に駆け付けた。
 訳が分からなくなって泣きわめくポップを、母親は優しく抱き締めてこう言った。

「人間は誰でもいつかは死ぬ……。……だから…。
 だから……みんな、一生懸命生きるのよ」

 幼いポップの心を落ち着かせた母の言葉は、時を経た今、仲間達に、そしてバーンにさえ強く響いた。
 バーン達のような長寿の連中から比べれば、人間の寿命はどうせ短い。

 だから、結果が見えてもあがき続けてやると言い、その言葉通りポップは立ち上がろうとしていた。

「一瞬……!! だけど…閃光のように……!!
 まぶしく燃えて生き抜いてやるっ!! それがおれ達人間の生き方だっ!!
 よっく目に刻んどけよッ!! このバッカヤロー――ッ!!」

 大魔王に向かって一喝する人間の少年に、バーンも、そして仲間達も目を見張らされた。 そして、地上にいるメルルも、その言葉を聞いていた。
 それでこそ、彼女が恋したポップだ――たとえ今すぐ世界が滅んでも悔いがない、最後まで頑張ってほしいと、メルルは祈る様に手を合わせた……。

 一方、バーンとポップは宙に伸ばされた手に、目を見張る。
 立ち上がろうとするダイを、凝視するポップ――そして、そんなポップこそが、ダイにとっては支えだった。

 ダイが本当に挫けそうな時や諦めてしまいそうな時、いつも最後の一押しをし、立ち上がらせてくれた最高の友達、ポップ。

(君に出会えて……良かった!!)

 傷つきながらも戦意を取り戻し、立ち上がったダイの姿を見て、地上消滅の絶望に打ちのめされた時でさえ涙を見せなかったポップの目に、涙が浮かんだ――。

 


《タイムスリップな感想》

 うぉおぉぉおお〜っ、か、感動だぁああ〜っ!!
 ううっ、こういう話こそを今までずっと読みたいと思っていたんだと、読んだ時に心底思ったよっ!
 今まで、ずっとダイ大を好きで、読み続けてきて良かった……!!

 それにもう、今回はジーンとするシーンがいっぱい! 小さいの頃のポップの可愛さも、ポイントが高いっ。バンダナをチョウチョ結びにしている芸の細かさや、玩具の散らばる部屋がたまらないっ。

 それにしてもジャンクってば――仮にもファンタジー話になぜ腹巻きを巻いて登場するっ?!(笑)

 バーンに向かって『バカ』呼ばわりするシーンもよかったけど、バーン戦になってから涙を見せなかったポップが、ダイの復活に始めて涙したシーンが、最高にいいっ!
 
 

次へ続く
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