H.8.10.7(月)No45 『たぎる竜の血!!』

 

 最後の手……それは双竜紋の力を全開にすること。
 今まで力を温存していたとでも言うのかと嘲笑うバーンに、ダイは言う。今までも全力だった……だが、それはダイがダイでいられるという前提があった上での全力だ。

 もし、二つの紋章の力を全開にすれば――言い換えれば、ダイ自身の人格を捨て、竜魔人となる覚悟があれば……ダイは爆発的に強くなれるはずだ。
 しかし、レオナはやめてと叫ぶ。

 ダイがダイでなくなること……その悲しみを、すでに知っているから。そして、一度記憶を失ったダイも、自分が自分でなくなるのは怖い。
 できるのならみんなの力で勝ち、人間界の勇者として地上の平和を守りたかった。

 だが、ダイは自分が魔獣となることよりも、みんなの明日が踏みにじられることの方がずっと嫌なのだ……!
 これしかないと言い切るダイに、さすがのレオナも言葉を失う。

 そして、ポップはダイの頭をかかえるように抱き締め、言った。
 ダイはバカだ、と。

 ポップ達や地上の未来を救うために、自分の存在を捨てようとしている  ポップにはそんなダイの気も違いたいほど分かるのだ。
 だからこそ、止めることはできない。

「……驚くなよ……ポップ…。おれがどんな姿になっても……」

「誰がっ! 当然、最後までバッチシ見届けるさ。
 たとえどんな姿だろうが……ダイはダイだっ!!」

 ポップと、そしてレオナの言葉に、ダイはただ礼を言う。
 ダイから手を放し、ポップ達が少し後ろに下がる。だが、その途端、足下に大穴が飽き二人はその中に落ちてしまった!!

 必死に駆け寄るダイの前で、穴は閉じてしまう。それはバーンの仕業だった。
 バーンパレスの奥深く……脱出不能な場所へと落とし、バーンはダイを怒らせようと挑発する。
 高笑うバーンを、ダイは睨みつけた。

「……だったら……だったら、見ろよ」

 ダイの中で、何かが切れた。
 全ての力が開放された今、拳に移動したダイの紋章は一つになり、再びダイの額に輝く……。

 頭にはめていたリングを弾き飛ばし、ダイは輝く紋章を頭上に抱き、ものすごいパワーを発揮しだした。
 その姿はほぼ変わらないが、内蔵するパワーはバーンの目から見てでさえ化け物と映る。


「その通りだ、バーン……。おまえ以上のなっ……!!」

 逆上してカラミティエンドをもって切りかかってくるバーンに、ダイは眉一つ動かさなかった。
 事も無げに片手でそれを受け止め、手刀でバーンの左角をいとも簡単に折り取った――!!


《タイムスリップな感想》

 おっ、だいたい予想通りだっ、ぶいっ!!
 今回、最も印象に残ったシーンは、結局はダイを引き止めなかったポップ。それに、ポップに『驚くなよ』と言ったダイのシーン。

 前に、自分の正体が人間じゃないかもしれないからポップやレオナに嫌われたくないと恐れていたダイは、今はポップが自分を嫌ったりしないと信じている。
 だからこそ、自分の存在を消すような賭けに打ってでてたんじゃないかと、思うな。

 それにしても、ポップとレオナはどこに落とされたんだっ?! あの二人の出番、もう終わりっ?!
 急に強くなったダイに、どのくらい元のダイの意識が残っているかも気になるし〜っ。
 そんでもって、7周年記念としてもっとも好きなシーンのコンテストをやるそうな。どのシーンが一位をとるか、今からわくわくものである♪


《時を超えたおまけ》

 この回は、巻頭カラーでしたっ。
 冒頭の煽りの柱文は

『揺るぎなき大魔王の勝利!! だが、ダイの胸中には、とてつもない秘策が眠っていた…?!』

 でしたっ。
 ところでこの回は、見開きの表紙の回でした! 竜魔人化したダイのシルエットの、超ドアップな表紙が印象的な回でしたね〜。

 表紙の煽り文章は

『父の力と子の力が、今、ひとつに…!!』

 でしたっ。

 さらには、最後の柱の文章は

『愛する者を守るために竜魔人と化すダイ!! 大魔王をも凌駕する「禁断の力」が今目覚める!!』

 そして、恒例ジャンプの予告っ。

『ダイ、バーンを圧倒…!! 次号は「咆哮!!」の巻!!』

 と、ものすごぉーーく珍しいことに、次回予告が題まであっているんすよっ。びっくりです、何があったんだジャンプ?(笑)

 で、コミックスには収録されていませんが、実はこの回には2Pに亘ってファイナルバトルを完全再録した粗筋つきでした。
 バーンパレスでのダイとバーンの戦いを6ターンにわけ、今まで何が起こったのか解説してありました♪

 さらに、連載七周年記念企画として、ダイの大冒険名場面ベストテンを読者投稿によって選ばせるという応募要項がでていました。
 ここで面白いのが、見本として名場面となりそうな7つのシーンのコピーがセレクトされている点。

 多分、編集部もしくは作者判断であげられたシーンなのでしょうが、実際に選ばれたシーンとはちょっと違っていたのは、面白いところ。
 あげられていたのは以下のシーンでした。

○ダイの初ギガブレイクシーン(死の大地での、ハドラーとの決闘でのシーン)

○ポップ、メガンテをかける直前の別れのセリフのシーン。

○アバンのメガンテのシーン。

○ダイ、ポップ、マァムの三人がロモスで勇者として挨拶するシーン。

○ポップが賢者に昇格したシーン。

○アバン復活のシーン。

○ヒュンケルがバーンパレスで再起不能となり、死んだように眠りにつくシーン。
 
 

次へ続く
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