H.8.10.21 (月)No47 『大魔宮脱出せよ』

 

 ヒムを復元させ、全員の闘気技を試し、脱出方法を探すポップ達――。だが、かすり傷を与えるだけが精一杯の現状に、みんなの不安と焦燥が高まっていく。
 一瞬だけでも外壁が吹っ飛べばルーラで逃げられると力説するポップだが、レオナやクロコダインは冷静にその手段がないと指摘する。

 重い沈黙の中、ポップは諦め悪く助かる方法を考える。
 そして、思い付いたのはグランドクルスだった。
 傷ついているヒュンケルにそんな真似をさせる気かと怒るマァムだが、ポップもヒュンケルに無理をさせるつもりはない。

 ヒュンケルにグランドクルスを教えたアバンに、やってもらおうと考えたのだ。一瞬、ためらいを見せるものの、ポップに合わせて軽いノリで快諾するアバン。
 だが、ヒュンケルは鋭い口調でそれを止めた。

「やめろッ!! やめさせろ、ポップ!!
 また……師を犠牲にしたいのか……?!」

 本来、グランドクルスはアバンがヒュンケルに授けた技だが、今では弟子であるヒュンケルの方が巧く使いこなせる技だ。
 メガンテに近い力と効果を持たせ、なおかつ自爆技で終わらせないように自身も生き延びることのできるのは、ヒュンケルだけ……。

 最初からそれを知っていたアバンは、自分の身が危ないのを承知で、あえてそれを引き受けようとした。成功率が低いのを承知で、グランドクルスに挑もうとするアバンを引き止め、ヒュンケルは自分がやると名乗りでる。
 止めるマァムを説得しようとするヒュンケルだが、その時、大きく部屋が揺れた!!

 もう時間がないと知り、互いに気遣いあって、自分が危険を引き受けようとするアバンとヒュンケル――だが、意外にもそれを実行したのはヒムだった。


 見よう見まねでやろうとするヒムだが、何よりも固いはずの超金属の身体が壊れていく。
 それを見兼ねてヒュンケルが止めても、ヒムはここでヒュンケルに死なれたら永久に勝てないと言い、やめようとしない。
 ……だが、それは強がりに過ぎない。

 ヒムが自分の身を犠牲にしてもいいと思ったのは、人間達を  みんなを好きになったからだ。
 絆を守るためなら生命も惜しまない……ヒムの戦友達にそっくりな彼らに、誰一人悲しい顔をさせたくはないからだ。

 素直に本音を打ち明け、ヒムは砕けていく身体でグランドクルスに挑む!!

「見損なうなって…!! てめえが不死身ならっ……!! 不死身なら…っ!!
 オレもまた、不死身だぁ――っ!!」

 グランドクルスを放った衝撃で、ヒムの身体が砕け散っていく……!!
 だが、その衝撃は確かに、バーンパレスの外壁を十文字に切り裂いた!! その瞬間を逃さず、ポップとアバンがルーラを唱える。

 崖上に投げ出された一行は、重く響く音を聞いた。
 それは、バーンパレスの落ちる音。地上に落ち、燃えていく姿。それが、バーンパレスの最後だった――。

 それを見ながら、チウはヒムを褒めたたえ、彼の栄誉を称えて獣王遊撃隊12番を永久欠番にすると決定した。
   が、誰も知らなかったが、実はヒムはちゃんと生きていた。みんながいる崖の下の方でポップに助けられ、生き延びていたのだ。


《タイムスリップな感想》

 おいおいおい、みんなが助かったのはいいけど、ダイはっ?! まさか、ダイはあの城と一緒に落下っ?!

 うーむ、それにしてもヒムがポイントになるとは……元敵なのにいい奴になっていくなぁ。今回は久々にポップとアバンの軽〜い会話もあったし、チウの出番もあったりと、楽しいシーンも多くて満足♪

 それに、ポップがヒムを助けたのも、なんか嬉しい点の一つ。なんとなく、ハドラーが最後にポップを庇ったのを思い出すなぁ。
 ポップとヒムがハドラーの最後について話すシーンを、是非一度見てみたいもんだ。
 

次へ続く
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