8 軽〜い死神、キルバン&ピロロ

 

 魔王軍の殺し屋、死神キルバーンは、大魔王の命令を受けて動く恐るべき暗殺者だ。
 本来は軍団長を始末するのが仕事で、彼は滅多に人前には姿を現さない――彼が姿を見せるのは、その人を殺す時だけといわれているキルバーンだが、陰気な職業にも拘らず彼は陽気でお喋りな性格だ。

 ふざけたような口調でペラペラとどんなことでも楽しげに話すキルバーンは、ミストバーンと同じく種族、年齢一切不詳の謎めいたキャラクター。

 だが、人を殺すことさえも楽しげに話すその口調は、かえって脅し付けるよりも不気味で、異様な迫力を感じさせる。

 トレードマークに死神の鎌という大きな鎌を持ち歩いているが、これは単にスタイルだけではない。

 笛にもなる上に、それを振り回すだけで人間の耳に聞き取れない音波を発し、それを聞いた者の身体の感覚を奪ってしまう恐ろしい武器だ。その鎌自体も武器となるようで、戦う時はキルバーンはそれを武器に使用している。

 キルバーンは特に誰か以上の強さを発揮したというシーンもなければ、暗殺に成功したシーンもないけれど、それでもその不気味さと秘められた実力は高い評価を得ている。

 キルバーンの特殊能力として、壁や空間からヌウッと姿を現したり、逆に消えたりする技がある。
 ふいに思わぬところから現れるキルバーンは、まさに不死身ともいうべき肉体の持ち主だ。

 心臓を貫かれても胴を真っぷたつにされても、すぐに回復してしまう  しかも、その血液は強い酸で、切り付ければその切った剣をボロボロに腐食させてしまうというから手に負えない。

 瞬間移動呪文を使ったり魔界の炎を召喚してみせたところを見れば魔法力もそこそこありそうだし、計り知れない力を感じさせる奴である。

 しかも、実力もさることながら、真に恐るべきはその残酷な性格だ。
 キルバーンには相手を戦士として認め、真っ向から戦いに挑むという考えはまるっきりない。

 根っからの暗殺者で、不意打ちや罠を駆使して相手の力を弱らせ、確実に殺そうと考える。
 そのうえ、キルバーンは明らかにその陰湿な殺し方を好んでいる。

 人間を殺す時、哀れな犠牲者やそれを見守っている者達が見せる絶望の表情を、キルバーンは芝居でも見るように笑いながら見物する。
 はっきりいって、とんでもない性格の悪さだっ。

 バーンでさえ、残酷さにかけてはキルバーンは魔界一だと認めているほどだ。
 バーンの本拠地、大魔宮にはキルバーンが仕掛けた超魔法の罠が幾つも仕掛けられている。

 どの罠をとっても凄まじい殺傷力を持った致命的な罠で、すべてがキルバーン特製のようだ。どうもキルバーンは自ら手を下すよりも、相手が致命的な罠にかかってもがいているのを、高みの見物と気取る方が好きらしい。

 ……つくづく、困った性格である。
 そんなキルバーンの相棒は、一つ目ピエロのピロロ君。たいてい一緒に行動しているが、このピロロ君もただものとは思えない。

 無邪気な口調とは裏腹に、平気で人間を殺しちゃおうなどと言える神経の持ち主だ、とても外見通りの子供とは思えない。

 一見キャハハッと笑ってばかりいるようでいて、情報調達員の役目を持っていてキルバーンに魔王軍の情報を詳しく教えていたりする。

 戦いには一切加わらず、キルバーンの肩ではしゃいでばかりいるが、回復を司る力はあるようだ。
 一度、真っぷたつになったキルバーンに何かの粉をかけて復活させたことが印象に残る。
 残酷な殺し屋ながらどこかユーモラスさを感じさせ、ついつい気を引かれてしまう魅力のあるキルバーンは意外に人気が高く、魔王軍の中では唯一人気投票ベスト10に入った経歴を持つキャラクターだ。

 最後に彼のおちゃめな特技を一つ、お教えしよう――なんとトランプ占いが得意らしい。

 

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