17 熱くなりやすい熱血漢 兵士ヒム 

 

 親衛騎団の中で一番早く登場し、ダイ達とまみえたのがこのヒムだ。
 5人の中で唯一、チェスの駒から人間型に変わる変身シーンを披露しての登場が鮮やかだったヒムは、結果的にザボエラの超魔法からダイとポップを救った。

 救った理由は、不意打ちで敵を倒してもおもしろくはないからというから、言う事がふるっている。
 いかなる敵とも真っ向から戦うのを誇りとし、それを至上の喜びとするヒムは、親衛騎団の一員であることに誇りを持つ、誇り高き戦士だ。

 姿形も感情も最も人間に近く、5人の中では一番感情的だ。
 怒ってみたり、ハドラーの言葉に感動して泣いたり、ヒュンケルとの戦いに拘ってみたりと親衛騎団の中で唯一感情をむき出しにした言動を見せてくれる。

 戦いを楽しんでいるような好戦的な性格で、戦いに夢中になればリーダーであるアルビナスの制止もろくに耳に入らないほど。
 もっとも、ハドラーはそんな彼の戦いに対する強気や、感情の起伏を気にいっているようだ。

 チェスとしては最弱の駒、兵士(ポーン)とはいえ、ヒムは距離を詰めての格闘戦に強い。
 素手で戦うタイプで、決め技は超熱拳(ヒートナックル)

 親衛騎団の中でも勝利に対する執着心は一際強く、戦いで腕を痛め動かせなくなってしまった時、動かない腕ならば無い方が身軽でいいと、自ら腕を切り落とした執念の持ち主だ。

 いくら禁呪法で生み出された金属生命体で、核を壊されない限り不死身とはいっても、痛みを感じないわけではない。
 傷を負えばそれなりにダメージがあるのに、自分で自分の腕を落とすとはたいした根性の持ち主だ。

 しかも、ヒムはそれだけ戦いに執着心を持ちながら、勝ちに拘るあまり卑怯な振る舞いを行うことがない。

 堂々と自分の弱点である核の位置を教え、戦いに挑むほどはっきりとした事を好む性格の持ち主だ。
 敵同志が決闘を行っているのを見ても、それを邪魔しようとは考えもしない。

 ヒムの思考は、ハドラーへの忠誠と戦い以外はないようだ。
 ヒムはダイ、ヒュンケルの両者と一対一で戦ったことがあるが、どちらかというとヒュンケルの方がお気に召したらしい。

 当時、まだ剣を使いこなすことができないダイに失望していたから、ヒムは強い敵を相手にすればするほど燃える、正統派の戦士だといえる。

 どちらかといえば集団戦闘よりも個人戦闘の方が好きなようだが、ヒムは戦いに熱くなると状況をきちんと見なくなる傾向があるので、アルビナスの指揮力を最も必要としているのかもしれない。

 彼の最後の戦い相手は、お望み通りヒュンケル。
 『空』の技を使いこなすヒュンケルはダイ一行の中でも要注意人物だが、ヒュンケルとの格闘経験の多いヒムが、彼との戦いに当たったのだ。

 しかし、ヒュンケルは短期間の間に急激にレベルアップしてしまっていて、ヒムの知っているヒュンケルとは別人のように強くなっていた。

 そのせいかヒムvsヒュンケルの対決はあっけないほどあっさりと決着がつき、ヒムは一方的にやられて最後の言葉を残すいとまもなく、核を貫かれた揚げ句、大魔宮から落ちてしまった――。

 それまで出番も多く、5人の中ではなかなか目立つキャラクターだけに、そのあっけなさすぎる死が残念でならない。

 ……まあ、後にぬけぬけと再登場してくるわけだけれど、その話はまた別項目で(笑)

 

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