24 最後の馬鹿敵、出来損ないキング マキシマム

 バーン所有のオリハルコンの駒より生まれた、ハドラー親衛隊。
 ――の、生まれる345年ほど前から、自らの意思でバーンパレスを守っている王の駒、それがマキシマムだ。

 バーンのチェスの駒の中で、唯一意志を持っている生きている駒で、他の駒を人型に変形させ、自分の配下として操る能力を持っている。

 得意技はキングスキャンで、今まで得た全ての戦闘データを一瞬で呼び出し、敵の詳細のデータに合わせた最適な作戦を練ることができる。
 王という名に相応しい巨大な身体に、髭を生やした偉そうな風貌を持った敵である。

 ……が、これが見掛け倒しというべきか、はたまた見掛け通りの馬鹿王というべきか。
 自称バーンパレス最大最強の守護神と名乗ってはいたが、ミストバーンは彼を掃除屋と呼んでいた事実は見逃せない。

 それに常勝無敗であり自分が守りについて以来、バーンパレスに敵に侵入を許したことはないと豪語はしていたが、……すでにこの段階でダイ達がバーンパレスに来たのは二度目なのだが。

 一度目の時は、かけらも姿を見せなかったぞ。
 ついでにいうのなら、自分では一切戦わず配下の駒に命令をするのみ。

 さらに、ピンチになったら、重傷のせいで動けないヒムを人質にとり、ヒュンケルを殺そうとしたのだから、どこまでも情けない根性の持ち主だ。

 それに、配下の駒達も姿こそはヒムやシグマなどにそっくりだったが、何の意思もない人形だった点からも、彼がさほどの能力を持っていない裏付けになりそうだ。
 ハドラーがそうしたように、意思を分け与えて自力で動けるようにはできないらしい。


 本体の戦闘力もたいしたことない……と言うより、はっきりいって鈍い。
 背後から食らった槍の一撃を避けられなかったのはまだしも、その槍を抜かれる間際、身体を無数に切り刻まれたのに、一向に気付いていなかった。

 動けば死ぬと忠告されたにもかからわず、負け惜しみのセリフと共にその場から逃げようとした瞬間に、自爆。
 ――超情けない死に際だった。
 どシリアスな激闘展開の中で、久々に登場した笑えるやられ役といえよう。

 しかし、すんげー情けなくってどーでもいいようなやられ方だったとはいえ、自分の意志を持った駒ということは、彼の役割は本来バーンパレスの警護よりも、バーンのチェスの相手だったという疑惑が浮上してくる。

 親衛隊が生まれるまではバーンはちょくちょく、一人でチェスを打っている図があったが、もしかするとあれは、一人でできる詰め将棋のようなものではなく、マキシマムを相手にチェスを楽しんでいた可能性がある。

 考えてみれば、かつての戦法を脳裏に叩き込んだ上で、それに対応しながら最善手を選ぶってのは将棋や碁などでは常識の訓練方法だ。

 つまり彼は本来、護衛役というよりは、チェスの相手だったんじゃないかなと推測。
 それなら、実戦にはあまり向かんのも納得はいく。
 が、そうなると、また新たな疑惑が発生する。

 バーンは「余のチェスの相手を務められる者がいなくなって久しいから」という理由で、ハドラーに5つのオリハルコンの駒を与えたのだっ。
 ――ってことは、チェスの相手としてもダメダメじゃん(笑)

 やはり、やることもできることもなかったから、掃除屋をやっていたのかもしれない。
 ……いっそ意思などなくて、バーンかハドラーに分身体として生み出された方が、よっぽどよかったような気がするなあ。

 

 

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