2  女の友情! マァムとレオナ

 ダイ一行の中で女性戦士として戦っているマァムとレオナ。
 共に並の男では太刀打ちできないようなスケールの広さを持つこのお二人、妙なところで妙に気が合ったのか、意外と仲が良い。

 さて、男の子同士の友達と違って女の子同士の仲と言うものは、とかく一緒に――それこそトイレに行くのも一緒に――行動しがちなものだが、マァムとレオナはむしろ離れて行動することが多い。

 レオナがアバンの使徒となり戦闘要員となったのは物語後期のことだし、マァムには途中で単独行動をとって修行に励んだ期間があるため、一緒にいた時間はたいして長いとは言えない。

 マァムが最初にレオナの存在を聞いたのは、ダイとポップから。
 ダイの友達で、パプニカのお姫様であるレオナの話を聞いたわけだが、最初はダイにとって大事な人だと言うことと、けっこう性格がきついということぐらいしか知らなかった。
 しかし、それだけしか知らなくてもマァムはレオナの命を助けるために、大事な魔弾銃を犠牲にした。

 もっともマァムの性格ならば見ず知らずの人であろうとも、助けるためには命をかけるだろうから、この時点で二人に友情が発生していたとは言えない。

 レオナ生還後、パプニカで行われたささやかなパーティで、初めて意識のある状態で顔を合わせたマァムとレオナは、隣り合って座っている。考えてみれば、ロモスの村で男に代わって村を守ってきたマァムにしろ、パプニカ王亡き後、国を守ってみんなを導いてきたレオナにしろ、同じ年頃の女の子と友達になる機会などなかったに違いない。

 特にレオナは嬉しそうで、ワインを飲み散らしてはしゃいでいる。
 その頃はマァムもレオナを『姫』として扱っていたのだが、レオナから姫ではなくレオナと呼んでと言われ、それ以降はレオナと呼び捨てにするようになる。

 そのパーティ以来レオナはマァムを気に入ったようだが、マァムの方には多少の葛藤が残ったようだ。

 その当時、マァムに比べてレオナは段違いに回復魔法がうまいし、攻撃魔法も使えた。それに比べて魔弾銃を失ったマァムは攻撃魔法は使えないし、回復能力ではレオナに劣る。……レオナに嫉妬したわけではないが、なにかしら拘りを感じてしまうのも無理はない。

 その結果、マァムは一人で修行することを決意するのだが、それをみんなに打ち明けた時、レオナが今のマァムでは足手纏いになるかもしれないと現状をきっぱり断言したことで、かえってすっきりしたようだ。

 遠慮もせず、思ったことははっきり言う――レオナのそんな所がマァムは気に入ったらしい。

 マァムもさっぱりとした性格で胸に言葉を溜めこむのは得手ではないから、似たもの同士というものだろう。

 ダイやポップとは対称的に、マァムとレオナは似たもの同士でありながら成長するために互いの力を必要としない、自立心の強い女の子だ。だからこそ一人で修行をしたいというマァムの意見をレオナは真っ先に受け止め、賛成することができた。

 逆にレオナがミナカトール獲得のため修行を受けることになった時も、マァムはそのために協力してあげることができた。共に同じアバンの使徒となった今、対等な関係としてこれまで以上に仲良くなった二人だが、残念なことが恋愛関係。
 年相応に恋愛に関心があるレオナに比べ、マァムはその辺には無頓着。

 マァムやポップ、メルルの三角関係を知りながら、レオナはずっと黙って見守っていたが、ダイとしょっちゅうそのことを話しているところを見れば本当は喋りたくてならないのは明白。

 マァムもメルル、ポップの告白を聞いて少しばかりは変化があった。最後の戦いが終わって平和になった時、女の子同士で好きな人に関してのおしゃべりなんかをするシーンを見たかったものである。

 


  
  

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