5 別れ、そして告白……  ポップ

 長いこと告白しないまま過ごしてきたポップだが、それでも一度マァムに、自主的に気持ちを打ち明けようとしたことがある。

 マァムが修行のため、ダイ達と別れた時のこと――マァムが去っていくことを誰よりも悲しみ、その反動で拗ねまくっていたポップだったが、レオナに「しばらく会えないんだからいいたいことは言っておいた方がいい」と勧められたのがきっかけだった。

 ――まぁ、レオナはポップやマァムのためを思って、というよりは自分の好奇心を満たすためにおもしろ半分でけしかけたのだが、へたをすればこれが最後の別れになるかもしれないという焦りがポップをつき動かし、ポップはマァムの後を追っていく。

 覚えたての瞬間移動呪文でマァムをネイルまで送っていこうとしたポップは、慣れていないせいで、ポップにとっては一番印象の深い場所――マァムと初めて出会った魔の森へと行ってしまう。

 初めて出会った場所で、好きな娘と二人っきりでいる……そんな絵に描いたようないい雰囲気の中でポップが告白しようとした時、マァムが先に彼女の本心を話し出した。

 マァムはポップと最初に出会った場所に戻ったことで、最初の頃のポップと、今のポップの違いを噛み締めていたのだ。

 最初の頃、ポップは臆病で自分勝手なヤツだった――それが、どんどん強くなり、どんどん勇敢になり、驚くようなスピードで成長していくのを、マァムは目の当たりにしてきた。

 何度も何度も自分を助けてくれたこと……それに感謝するマァムは、ポップの成長に負けたくないと思った。助けられてばかりでは申し訳ないと思ったからこそ、マァムは自分も強くなるために修行することにしたのだ。

 完全にポップを仲間としか見ていないマァムの言葉……けれど、ポップを実際以上に強くて勇敢な仲間だと思っているマァムに、ポップは告白できなくなってしまう。泣くのを堪えて、自分もマァムを素晴らしい仲間だと思っていると告げるのが精一杯だった。

 握手を交わし、別れを告げたポップは、さっき本音を漏らしかけたことを忘れたように、いつものお調子ぶりを発揮してマァムをからかい、笑いながら去っていく。

 ポップの悪口に腹を立てたマァムも、そうやってふざけることで自分の心を軽くしてくれたポップに感謝していた。

 ――だが、マァムは走り去っていくポップの本心までは分からなかったはずだ。
 今のままではマァムに告白する資格さえないと思い、もっと……もっと、強くならなきゃと自分に言い聞かせているポップの気持ち――。

 ポップから本当に告白を受けたマァムは、いつか、魔の森でポップが打ち明けられずにいた想いを、思い出す日がくるかもしれない。

 ――ところで、気になることが一つ……。
 パプニカでダイとお茶を飲みながら、ポップの告白がうまくいくかどうか楽しんで待っていたレオナだが、彼女の性格から見て、帰ってきたポップにそのことを聞かないはずもないだろう。

 レオナの追及にポップがどんな風に答えたのか――ぜひ、見てみたかったのだが(笑)

 


  
  

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