8 愛は種族を越えられるか? チウの大人の恋の物語!

 

 いつも元気な空手ネズミのチウ君――だが、彼にだって意中の人はいる。
 同じ師匠について共に武闘を習ったマァムこそ、彼の理想の女性っ!
 清純で、かつナイスなボディをもつ彼女が、チウ君のお眼鏡にかなった女性だ。

 ダイ達がマァムと再会した時には、チウはすでに彼女を好きになっていたので、どんな状況で恋に落ちたかは語られていない。
 だが、チウの気持ちははっきりいってバレバレだったりする。

 もともとロモスの武闘大会に出場したのも、マァムにカッコいいところを見せてアピールしようと思ったから。ネズミのくせに大それた考えを抱くチウ君は、他のキャラクターと違って、告白しようかどうしようかなんて、お子様なレベルで悩んじゃいない。

 両思いのダイとレオナが改まった告白など考えないように、余裕綽々のチウはすでにマァムを恋人と見なしているのか、彼女にカッコいいところを見せることばかり考えているのだから。

 彼の自信はたいしたもので、チウよりももっと彼女と付き合いの長いポップがでてきても、ヤキモチを焼いたりはしない。
 『マァムの昔の男』と見当を付けた辺りの勘も、当たらずとも遠からずと言ったところ。
 妙な勘だけは良いようだ。
 チウのポップへの態度が、これまたふるっている。

 女性の過去は気にしない主義のチウは、二人の間に何があったかを問わずポップに金を渡して、これでキッパリ別れるようにと告げている。

 しかも、渡した金額は2ゴールド……。
 ――爆笑物である。

 カッコよく決めたい気持ちは分かるが、どうにも空回りしてしまうのがチウ君の行動パターン。本人が真面目にやっていればやっているだけ笑いを誘ってしまうのだが、チウ君はいつでも一生懸命なのは確か。

 さて、女性の過去は気にしないはずのチウ君だが、短期間のうちにクロコダイン、ヒュンケルと再会して喜ぶマァムを見て、さすがに何人も『昔の男』がいることに動揺し、清純だと信じていた彼女にちょっと疑いを持ったようだ。

 そのせいか後期になる程、マァム、マァムと騒ぐことがなくなったが、根性だけは筋金入りのチウ君のこと、そう簡単に諦めるとも思えない。
 しつこく、想い続けているのかもしれない。

 でも、その恋心が通じるかどうかは……微妙な問題である。
 『愛に国境はない』といいきるチウ君だが、国境は越えられても、種族を越えるのは難しい。

 実際、これだけ種族が違っては、恋愛の成就は難しいだろう。
 第一種族も何も、肝心のマァムはチウの気持ちなんかちっとも気付いちゃいないし、ポップ、ヒュンケルという強力なライバルが二人もいちゃあ、ほとんど望みはない。

 それにチウにとっては、マァムは恐らく初恋の相手――。
 だいたい、好きな女性をやたらと理想化してみたり、照れ臭くなるような愛の演出を望むのは恋に恋している間の特徴というもんで、初恋の時はとくにこれに陥りやすい。

 ささいなきっかけで夢が壊れ、破れるのも初恋の特徴――初恋と言うのは、得てして実らないもんなのである。バーンとの戦いが終わって、マァムが結論を出す時……おそらくは候補にも登りそうもないチウ君は、相手に振り返られないまま失恋してしまうだろうが、なに、他に女は幾らでもいる。

 できれば同族の可愛い子を見つけて、セカンド・ラブを成就してほしい――というのは、個人的な願望である。
 

 

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