3 ブラスの護衛、おのん気護衛の三兵士!

  

 ロモス王の命令で、再び魔王軍にブラスが人質にとられることがないように、護衛としてデルムリン島に送られたのが、ロモスの兵士3人組。

 名前ははっきりしないが、髭面の隊長に、若めの部下が二人だ。
 年齢は20代〜30代ぐらいだろう。家族がいるのかどうかは定かではないが、デルムリン島は南海の孤島、いわば世界の果ての同然だ。

 ――考えてみれば護衛と言う名目の左遷のような気もするが、本人らはこの仕事を名誉な任務だと考えている。
 ……まあ、信じるものは救われるものだ。

 どちらにせよ、ブラスは勇者ダイの育ての親に当たるうえ、怪物とはいえ思慮深くて温厚な人柄で付き合うのが苦痛なタイプではない。
 気さくでおっとりとした性格なので、種族の違いを超えて楽しく付き合える人物だ。

 そのせいか、この3人組とブラスさんはいつの間にかしっかり気があって、妙に馴染んで馴れ合ってしまったようだ。ロモス王国の連中も島に渡った当時は、ビシィッと鎧兜に身を固め武器を装備していたのだが、なんせデルムリン島は南海の孤島。

 そこで育ったダイがいつもノースリーブで通していたことから分かるように、気温はかなり暖かめで、そんなにきっちりした服なんぞいつまでも着ていられるもんじゃない。次に登場した時は三人ともノースリーブのラフな感じの格好になり、武器すら帯びていない状態だったりする。

 まあ、護衛とはいえ、デルムリン島には強力な光の魔法陣が施されており、並の怪物なんか近寄れないのだから気が緩む気持ちはよく分かるが、その光の魔法陣を破った敵は二人も存在する。

 ハドラーとザボエラ――二人とも強大な魔法力を誇る強敵だ。
 もし、魔法陣を破って敵が攻め入ってくるとすれば、間違いなくそのレベルの敵だというのに、そんなにのん気にしていていいものだろうか?

 しかし、もしそんな敵が攻めてくれば、とてもじゃないが普通の兵士3名程度じゃ歯がたたない。何といってもハドラーやザボエラ級の怪物ならば、ダイ達ほどの力がなければ戦うのはおろか逃げることすら難しいだろう。

 ……こうやってよくよく考えてみればみるほど、ますますわざわざ護衛なんぞつける必要なんかはないように思えてくる。そのことにダイ達が気付いていたかどうかは定かじゃないが、はっきりいってこれは護衛と言うよりは『気休め』レベルの問題だ。

 なにはともあれ、じいちゃんが守られて安全な場所にいると思えば、ダイの心配は一つ消えるわけだから、その意味では彼等は役に立っているといえばいえる。

 また、ブラスにとっても、護衛三人組はいてくれた方が嬉しいに決まっている。
 人間並みの知能を持ち、人のいいブラスにしてみれば、孫同然のダイがいなくなりやっぱり寂しかっただろう。

 なまじ、ダイがいなくなる直前まではポップやアバンもいて賑やかだっただけに一気に人の気配がなくなれば、そりゃ寂しくない方がおかしい。確かに島にはたくさんの怪物達がいるが、そのほとんどが知能の低い動物系の怪物でまともな会話すら望めない状況なのだ。

 それに比べれば、護衛兵士達はおしゃべりもできるし、チェスなんかして遊ぶこともできる格好の茶のみ友達だ。
 『護衛』というよりは、孤独な老人を慰めるボランティアのような三人組。

 ――ダイとポップがオリハルコンを取りに島に戻ったのを最後にとんと出番がないまま終わったが、果たして彼らはどうなったのだろうか?
 エンディングでは見掛けなかったし、故郷に帰ったのかもしれない。

 


  
  

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