33 ダイvsヒュンケル戦(6) |
二日間を特訓に当てた後、ダイ、ポップ、バダックの三人はマァム救出のため、自分達の方から敵陣へと乗り込んでいる。 ポップはバダックから不死騎士団の本拠地の話を聞き、マァムがそこに連れ去られたのだと推理している。バダックの話を聞くだけではなく、ポップは自分達がヒュンケルと初対決をした神殿もきちんとチェックをしている。行動する前にきちんと情報の裏付けや確認をとっている辺りに、ポップの現実性の高さや判断力の確かさが現れている。 ポップは初期の段階からかなりの推理力や頭の良さを発揮しているが、彼の強みはそれに頼りきっていないところだろう。名探偵のように柔軟、かつ大胆に推理をできる頭脳と、刑事のように現実を確認し、事実の裏付けをとる現実性をバランス良く持ち合わせている。
勉強が苦手発言が多く、説明が苦手なせいでダイはちょっと頭が悪い様な印象が否めないキャラクターではあるが、ダイは理論立てて説明するのが苦手なだけで思考力事態はしっかりしている。特に戦いに関してのダイの戦略性の高さは、目を見張るものがある。 ダイが相手の弱点を見抜いて自分で戦いの組み立てや作戦を考えているシーンは物語の随所で見られるし、ダイはかなりの頑固者で嫌なことは嫌だときっぱりと言う。だが、この時のダイはポップの作戦に一度も異議を唱えていない。 魔の森でクロコダインと初対決した頃は、ダイの方がポップに指示や作戦提案をしていたことを思えば、大幅な進歩である。 ところで、いざ地底魔城に乗り込む際、砦の情報欲しさにバダックの道案内を頼んでいたものの、戦いに関しては足手まといだと判断しておいていっている ポップのちゃっかりさと口の達者さがさりげなく現れているシーンだ。 そんな風に、作戦前の行動ではポップはかなりしっかりした作戦参謀ぶりをみせているのだが、いざ城に潜入した途端、ビビりまくっているのが面白いところである。 まだ、この頃のポップは敵地で行動する恐怖を克服仕切っていないのだ。 後のバーンパレスの戦いで、ポップは敵陣での敵の出現率についてアバンに習ったことがあると知識を披露していた。 最終戦でヒュンケルがやってのけた、敵の後続を断つことの重要性についてもポップはきちんと理解していた。おそらくはその必然性や理由も、ポップは知っていただろう。 だが、侵入者の分際で堂々と通路を歩きまくっているのがそもそもどうかと思う点だ。はっきり言って、見つからない方が不思議なぐらいである。通風孔を利用してこっそり逃げたマァムの様に、少しは見つかりにくい工夫ができなかったものだろうか。 おまけに見つかった時の心構えも、彼らは準備してはいない。 あの場の最善の手は、殺す、もしくは捕らえると言う手段で敵の口を封じ、連絡を防ぐことだろう。侵入者にとっては、自分の潜入がバレるのが一番まずい(まあ、この場合はとっくにバレまくってるが) もし、相手が喋れるぐらいの知能があるのなら、脅してマァムとヒュンケルの居場所を探っておく そうすればリスクを負わずに仲間を助け出し、少しでも有利な条件でヒュンケルと戦うことが可能かもしれかった。
ある意味薄情な言い方だが、ヒュンケルを倒したところでパプニカが元に戻る訳ではないのだから。 ヒュンケルが魔王軍軍団長として積極的に動かないのであれば、その間は無理に戦う必要などない。おまけに成長率が並ではないダイやポップにとって、時間を置くのはそれだけで有利になる。 力を蓄えながらレオナを探して合流し、態勢を整えてから改めて再戦に挑む――これこそが、最善だっただろう。 が、ビビりまくったポップは敵の姿を見る度に逃げまくっていたし、なまじダイもダイでポップを信頼するようになったからこそ素直に彼の行動や指示に従っている。最初の頃、ハドラーと戦おうとするダイをポップが止めていた頃は全く言うことを聞かなかったことを思えば、二人の間の信頼度は確実にアップしている。 だが、これが逆に良くなかった。 もし、敵がここに罠を仕掛けていたのなら、その時点でダイ達は敗北している。 これだけの判断力があるのなら、敵に意図的に誘導されている事実にもっと早く気がつけたはずだ。 この頃のポップは小利口さはあってもまだまだ実戦経験が浅く、度胸が磨かれていない。ダイもダイで、判断力の甘さが目立っている。
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