『背中は預けたぞ』

 

「……すげえ……」

 掠れた様な声が、ポップの口から漏れる。その目は、大きく見開かれたままだ。
 それも無理もないだろう――こんなにも凄まじい光景を目の当たりにしては。それは、本来なら地上にいる人間が見るはずもない光景だった。

 小さな湖の周囲に、そこを取り巻く様にずらりと建ち並ぶ怪物の大群。
 それらは、本来なら地上にいるはずもないもの。だが、勇者やその一行ならば見た覚えのある異形の怪物の姿……つまり、魔界の怪物達だった。

 地上の怪物達よりもずっと強靭であり、強さも狡猾さも持った恐るべき怪物達。しかも、ここにいるのは一匹や二匹ではない。
 数百……いや、もしかすると数千はいるだろうか。バーンとの最後の戦いで、勇者一行への罠のために呼び集められた怪物の数に匹敵するような大群がそこには集っていた。

 もし、何も知らぬ者が見たのならば、目を疑うか、でなければあまりの恐ろしさに驚愕するばかりだっただろう。
 だが、ポップは違った。最初の驚きから立ち直ると、勇者の魔法使いの顔に浮かんだのは不敵な笑みだった。

 その表情には、ヒュンケルは見覚えがあった。
 魔王軍との戦いの最中、ポップがよく浮かべていた表情だ。

「へへっ……おい、見ろよ。すげえ光景だと思わねえか?」

 恐怖がないわけではないだろうに、少しおどけた口調で強がる態度。それに応じて、ヒュンケルも短く答えた。

「ああ。壮観だな」

 元魔王軍に在住し、後に人間の味方として魔王軍と戦ったヒュンケルでさえ、これほどの大群の怪物が一か所にそろうところなど、そうそう見た記憶はない。
 本来、怪物とは動物と同じような自意識を持っている。群れで動く習慣を持つ種族以外は、個体でそれぞれ勝手に動くものだ。

 魔王などの上位の存在からの思念派での命令を受けない限り、種族の違う怪物が一か所に集うなど有り得ない。
 だが、その有り得ないことが、今、ポップとヒュンケルの目の前で実現していた。

「ホントだよな……本当に、こんな光景が見れるなんて思わなかったぜ」

 怪物の群れを見ながら、ポップは小刻みに震えていた。
 それは、怯えを示すわけではない。
 ヒュンケルは知っている――一見、臆病に見えるし、本人でさえ本気で自分を臆病だと思っているポップが、どれほどの勇気を持っているか。

 今のポップを震わせているのは、怯えの感情のせいではない。抑えられない歓喜が、ポップの身を震わせている。
 ポップがずっと、心の底から望んでいたもの  ダイへの手掛かりを、目の当たりにしたのだから。

 通常では有り得ないこの光景は、ポップの見た夢がただの夢ではないという立証に他ならない。
 ポップは言った――夢の中で、聖母竜が西の小島の湖に飛び込んだ、と。

 まさにその小島にやってきて、こんな光景を目の当たりにするとは、予想外もいいところだ。
 だが、これは悪い兆しとは思わない。

 怪物が……それも、本来ならば地上で見るはずもない魔界の怪物が、理由もなく集まる訳はない。しかも、ここに集う怪物達はみんながみんな、湖に気を取られている。
 それは、獲物を狙う狼を思わせた。

 狼の狩りは、特殊だ。
 冬、獲物が少ない時期には、狼は群れを成して狩りを行う。円陣を組んだ形で、狙い定めた獲物をどこまでも追い続けていく。

 獲物が弱り、抵抗できなくなる状態になるまで追い詰め、それから集団で一斉に襲いかかるのだ。
 今の怪物達の動きも、それに似ていた。

 どの怪物達も例外なく湖に気を奪われ、背後にいるポップ達に気がつきもしない。中には待ちきれないとばかりに湖に飛び込もうとする怪物もいるが、抜け駆けは許さないとばかりに他の多くの怪物に襲われる。

 湖に惹きつけられながらも、湖に入ることを互いに牽制し、争い合うせいで、かえって怪物の均衡が取れているのは皮肉な話だった。
 もし、これらの怪物達がこの小島から溢れだし、周辺に住む人間を襲いだしたのならタダではすまないだろう。

 この小島はデルムリン島のように絶海の孤島ではなく、陸地からさほど離れていない場所にある。
 人間であっても、泳ぎの得意なものならば港からここまで泳ぐことが可能……その程度の距離だ。

 怪物達がその気になれば、大挙して港を襲うのは簡単なはずだ。だが、空を飛ぶことのできる怪物でさえ、この湖を気にして移動しようとはしない。
 それを思えば、ますます湖の中に何があるのか、興味が引きつけられる。

「……ちくしょう、飛べさえすりゃ簡単なんだけどよ……!」

 悔しそうに、ポップが呟く。
 それに対して、ヒュンケルは否定も肯定もしなかった。
 確かに、飛翔呪文で飛べば湖を取り巻く怪物の上を飛び越えて、一気に湖の中に飛び込むのは可能だろう。

 だが、それは危険を伴う一か八かの賭けになる。
 怪物の中には飛べるものもいるし、魔法や遠距離攻撃の手段を持つものも少なくはない。これ程の怪物のそろう中、空を飛ぶ人間なんていう目立つ的が、見逃されるはずもない。


 最悪の場合、怪物達の一斉放射を食らうだけだ。
 そんな危険をポップが選択するなら、おそらくヒュンケルは止めただろう。それを思えば、今のポップが飛べないのはかえってよかったのかもしれないと、ヒュンケルは考える。 どちらにせよ、奇襲がかけられないのであれば、選べる選択肢は限られてくる。

「強行突破、が妥当だろうな……」

 力押しで戦うしかできない戦士として、その発想は当然だった。正攻法は、どんな時であっても有効な定法なのだから。
 たとえ相手が幾千、幾万の軍勢だろうと、全滅させてしまえば何の問題もない。それに怯む様な繊細さなど、彼には微塵もありはしない。

 前よりも格段に身体が弱り、戦いには向かなくなったと分かっていてでさえ、その強気は失われなかった。

 ヒュンケルにしてみれば、魔界の怪物は恐れる対象ではない。確かに地上の怪物に比べて強靭であり、未知の能力を持っている場合が多いとは言え、それでも倒せない相手とは思えない。

 不安の源は別にある。
 無言のまま、ヒュンケルは傍らにいる魔法使いに目をやる。その視線の意味を察したのか、ポップはニヤリと笑った。

「心配すんなって、今日は体調がバッチリなんだ。まあ、さすがに大呪文は無理でも、援護ぐらいならできるって」

 口先だけは立派なものだが、力こぶもできない様な細腕で薄い胸を叩いてみせるその仕草は、頼もしいとは言い難いものがある。
 だが、ポップはいかにも自信ありげだった。

「それに、策もある。ちょっと耳を貸しな」

 

 

「言っておくけど無茶するんじゃねえぞ」

 打ち合わせが済み、それぞれが武器を手にして準備を整えた後で、ポップが念を押すようにそう言った。
 その心配は、的はずれなものではない。

 いくら治療しているとは言え、それはまだ途中であり、到底完治したとは言えない状態だ。
 実際に治療を施したポップの意見を信じるのなら、今のヒュンケルは全盛期の7割程度の力しか出せない上に、耐久性がなくなっているという。

 例えるのであれば、壊れた壺のかけらを合わせてヒビの入った場所を塞いだような状態だ。一見、問題がないように見えるし、使えない訳ではない。
 時間をかけて養生すれば、ヒビも少しずつ修復され、いつかは元に近い状態にまで治ることもあるかもしれない。

 だが、ヒビが完全に塞がった訳ではないから、無理をすれば再びかけらがバラバラになり、砕けてしまう――そんな風に、ポップは説明した。

 それは前と同じように戦うことはできても、前と同じように敵の攻撃を食らうことはできない、と言う意味だ。以前ならば耐えることのできた攻撃も、今のヒュンケルにとっては致命傷になりかねない。

 前より劣る攻撃力や身体能力で、なおかつ敵の攻撃を全て躱しきらなければならない――その難しさを承知していながら、ヒュンケルは少しも怯まなかった。
 そういう条件だと割り切って、戦うまでの話だ。心配のネタは、別にある。

「……その言葉、そのままそっくり返す」

 ヒュンケルのその言葉に、ポップがちょっとムッとした顔を見せる。だが、即座に文句を言い返さないところを見ると、本人にもそれなりの自覚はあるのだろう。
 制限のある条件というのなら、ポップの方がヒュンケルよりも遥かに分が悪いのだから。
 

 ポップも魔法を使えないという訳ではない。
 だが、強い魔法を使うことはできまい。ポップに直接確かめた訳ではないが、メドローアやベタンのような大呪文を放つことはできないのだろう。

 敵に近付かず、大軍を一掃できる便利な呪文はこんな場でこそ最大抗力を発揮する。それができるのなら、最初からポップはその作戦を上げていたはずだ。
 今のポップに使えるのは、回復などの僧侶系の魔法に、せいぜいが中級ぐらいまでの攻撃魔法だと本人が言っていた。

 しかも、今のポップは移動呪文の類いは、反動が大きすぎて一切使えない。それがどれ程ポップにとって不利な条件か、ヒュンケルは知っていた。

 今までも戦いの最中、ポップは細かいところで移動呪文を使用していた。敵の攻撃を躱す際や移動する時、自分の肉体能力に少し上乗せするような形で、微妙に魔法力を使っていたのだ。

 それができるからこそ、ポップは戦士と並んで前線に立つことができた。
 そんな裏技を使えない状態で、この大軍に挑むのは正直な話、無茶にもほどがあるというものだ。

 敵の攻撃に対して防御力がないと言う点に関しては、ポップはヒュンケルよりも分が悪い。元々、魔法使いの肉体は一般人と大差がない。
 多分、壊れた身体とは言え元戦士のヒュンケルよりも、ポップのそれの方がずっと耐久度は低い。

 敵の攻撃を一撃でも食らえば、そこで終わり――最初っから背水の陣を引いた状態で、ポップとヒュンケルは戦いを挑もうとしていた。

 まず、先陣を切るのは戦士の役割だ。
 目線で促してポップを一歩後ろに下がらせ、ヒュンケルは剣を身構えて闘気を集中させる。

 自分自身が研ぎ澄まされた剣へと変化していくような感覚を、ヒュンケルは久々に感じ取っていた。

 身体が沸き立つような高揚感に、その癖、頭だけは冷静に冷えていく爽快感――自分はやはり戦士なのだと実感できる。
 ぎりぎりまで高めたその気迫を、ヒュンケルは一気に解き放った。

「ブラッディースクライド!」

 螺旋状に伝えられる闘気が、渦を巻いて敵へと襲いかかる。
 幼い頃から必死になって鍛え、練り上げてきた技はブランクをおいたとしても絶大な効果があった。

 敵が一番密集していた部分を目掛けて放った技は、その斜線上にいた全ての怪物を飲み込み、吹き飛ばす。
 ついさっきまで地面すらも見えない程だった場所に、一本の線を引いたように道が開ける。

 それは、湖にまで一直線に続く花道だった。
 さすがに驚き、慌てふためく怪物達よりも覚悟を決めていたポップの方が反応が速かった。
 道が開けたのを見た途端、ポップはそのまま走り出す。

 湖に向かって、一直線に。
 突然の攻撃にどんなに驚いたとしても、こんなにも絶好の獲物を怪物が見逃すはずもない。

「ギィイイイッ!!」

 奇声を上げて飛び掛かろうとする怪物にむかって、ポップの放った魔法が炸裂する。

「イオラッ!」

 魔法力が大気中の成分を合成変換し、一定範囲内の空間に爆発を引き起こす。中級呪文とはいえ、ポップの基礎魔法力は並のものではない。
 さすがの怪物達も少なからぬダメージを負って弾き飛ばされるか、あるいは怯んで道を譲る。

 しかも連続して呪文を唱えるポップを、止めることのできる怪物はいなかった。
 湖のすぐ近くまで駆け寄ったポップは、一度足を止めてポケットの中を探りだす。ここまで完全に動きを止めてしまっては、魔法を放つにしても一手遅れる。

 それを好機と見たのか、何匹の怪物が奇声をあげて襲いかかる。
 だが、それに驚いたポップが後ろを振り向く前に、全ては終わっていた。

「後ろは見なくていいぞ、ポップ。おまえは、おまえのやるべきことをやれ」

 剣を構えたヒュンケルは、そこにはいた。
 そう言う間も、彼は手を休めない。ポップのすぐ後ろに立ち、彼を守って剣を振るう。
 その姿を見るまでもなく、ポップも知ってた。先を走る自分の背中から、怪物が襲いかかってこなかった理由を。
 ヒュンケルが背を守ってくれていたからこそ、ポップは無事にここに来れたのだ――。
 

「へっ……任せらぁ。背中は預けたぞ」

 背中越しにかけた言葉に、返事はなかった。
 だが、無言のままヒュンケルが剣を振る音は、言葉による誓いよりもずっと強く、ポップの胸に響く。

 だからこそポップは敵に周囲を囲まれているという不安や焦りを感じることなく、生すべきことに集中できた。

 ポケットから取り出した小瓶を周囲にざっと振り撒き、簡単に線を引く。途切れがちな上に歪んでいるが、曲がりなりにも円になるように聖水を振り撒いた後、ポップは魔法力を高めて叫んだ。

「邪なる威力よ、退け! マホカトール!」

 ポップの叫びに応じて、近くにいた怪物達を弾き飛ばしながら光り輝く魔法陣が生み出される。ポップを中心とした、直系三メートル程の大きさにすぎないが、そこは光の結界に覆われた場所だ。

 そこに立つポップやヒュンケルにとっては、何の害もない場所。
 だが、邪悪な怪物や魔族を拒む光の魔法陣は、絶対の安全圏となる。確実な足場を確保してから、ポップは湖へと飛び込んだ。

 それを目で見送ってから、ヒュンケルは敵に向き直る。
 ポップが戻ってくるまで、この場を死守するのが彼の役目だ。怪物はこの中に入れないとはいえ、この魔法陣は全ての攻撃魔法や間接的な特殊攻撃、飛び道具までも完璧に防げる訳ではない。

 それらの攻撃を使う怪物がいるなら、排除しておく必要がある。それに、ポップが戻ってくる時のスキを突かれないように、用心するのはもちろんだ。
 弟弟子を背中に庇っていた時と全く変わらない気迫と心構えを持って、ヒュンケルは大軍の怪物の前に向き直った――。

 

 


(深い……!)

 できるだけ呼吸を持たせようとしながら、ポップは下へ、下へと潜っていく。湖の水は冷たくて閉口したが、思っていたよりもすんでいる綺麗な水なのは幸いだった。
 おかげで、潜り始めていくらも経たないうちに目的のものが見えてきたのだから。

 湖の底に沈んでいる、光り輝く巨大な白竜。
 忘れようもない、聖母竜の姿がそこにはあった。
 身体を丸め、手にした球を精一杯守る様な姿勢で目を閉じている聖母竜は、ぴくりとも動かなかった。

 残念なことに、聖母竜がかばっているせいで球の中身はよくは見えなかったが、おぼろげに見えるだけでも十分だった。

(間違いねえ、ダイの奴だ……!)

 どんなに離れていても、また、チラッとしか見えなくても、ポップには分かる。
 逸る気持ちのまま間近まで近付いたポップは、聖母竜の周囲を覆う不思議な膜の様なものに気がついた。

 それはほとんど透明であり、手で触れて初めて存在しているのが分かるものだった。まるでスライムの様に、ぐにゃぐにゃとした柔らさと弾力性を備えた膜だ。
 聖母竜の姿は見えているのに、いくら触れても彼女を覆う薄い膜のようなものを破ることはできない。

 心の底から望み、やっと目の前まで辿り着いた目的を目の前にしたというのに、自分の力ではどうしようもできないことで道を阻まれている。
 絶望にも似た焦燥感が、ポップの胸を焼いた。

(ダイッ……!)

 水の中だと言うのも忘れて思わず呼び掛けようとしたせいで、口から気泡が零れて上へと零れていく。
 だが、それでも聖母竜にはその呼び掛けは聞こえたらしい。
 今までずっと目を閉じていた聖母竜が、ゆっくりと瞼を開けた。

「……!」

 驚くポップの目の前で、聖母竜は何度か目を瞬かせる。その度に、ポップの頭の中に直接聞こえる声があった。

『力を……貸して……さい……』

 それは酷く不明瞭で、聞き取りにくいものだった。だが、それでも確かに聞こえる声だった。
 やっと手に入れることのできたダイへの手掛かりを、聞き逃すことなんてできる訳がない。

『……今は……まだ……時が…来ていない……』

(どういうことだ?)

 聞き返したいこと、言いたいことは山ほどある。
 だが、それをぐっと堪えて、ポップはとにかく聞くことだけに神経を集中させる。聖母竜がなにか大事なことを告げようとしているのが、分かる。

 しかし、ポップの肺活量ではもはや限界いっぱいだった。息苦しさのせいで、頭の奥が痛い。
 泳ぐ力が失われれば、掴まる場所もない水底にとどまるのは難しい。自然に身体が浮き上がりだすのを、ポップは止められなかった。

『……満月…の夜に、もう……一度ここに……』

 その言葉を最後まで聞いたかどうか。ゴボリと息を吐きだしてしまったのと同時に、意識が薄れていくのをポップは感じていた――。

 

 


「……プ! ポップ、しっかりしろ……!」

 定期的にかけられる声と、同じく定期的に胸を圧迫する重み。そのどちらに先に意識が呼び戻されたのか、ポップには分からなかった。
 ただ、はっきりと覚醒したのは、鼻を摘まれた不快感のせいだ。息苦しさに目を開けた途端、ヒュンケルのドアップが目前に迫っていて、びっくりしてそれを突き飛ばす。

「ぶっ、ぶはっ、なにしやがるんだっ、てめえ?!」


 思わず怒鳴ったポップに対して、ヒュンケルはむしろホッとしたような表情を見せる。
 

「気がついたか……」

「え? あ、あれ?」

 自分の周囲を見渡して、ポップはようやく現状を悟る。
 一面に広がる怪物達の群れがじっとこちらを見ているのに驚いたものの、よく見れば彼らは魔法陣より中には決して入ってこない。

 どうやら気絶した自分をヒュンケルが助けて、ここまで連れてきたらしいとやっと思い当たる。
 もっともそれに感謝するよりも、もう少しで人工呼吸されるところだったという事実の方が癪に障って、素直に礼を言う気にもならないが。

(でも……一応は礼ぐらい言った方がいいのかな、こいつに借りを作るのも癪だし)

 などと、ポップは少しばかりためらいやらこだわりがあるが、ヒュンケルはポップが意識を取り戻した途端、剣を手に取り怪物達の方に向き直る。
 何事もなかったように怪物を牽制しながら言ってきたのは、別のことだった。

「それで、どうだった?」

 それを聞いた途端、ポップの意識も切り替わる。今の気まずさや男の体面などよりも、もっと大事なことがある。

「ああ……、バッチリだったぜ。ここには聖母竜が確かにいた……! それに、ダイも……っ。ダイを、もうじき取り戻せるんだ――!!」

                                    《続く》



《後書き》

 思えば、ヒュン兄さんの必殺技シーンを書いたのは初めてです! …しかし、漫画だとあの手の必殺技は一目瞭然でかっこいいのですが、文字で表現するにはキツいんですよね、これが。
 バトルシーンに憧れはあるのですが、まだまだ精進が必要なようです。

 ところで、裏の恋愛成立後設定では、ポップは水が苦手になって泳げない設定になっていますが(笑)、このサブルートでは泳げます。
 まあ、その割には溺れとりますが(笑)
 ……やっぱり、水が苦手になる結果は変わらないような気がしますね〜。

 

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