『緑と紫の混合 3』
 

「じゃ……、ヒュンケル、よろしくお願いね。とにかく、アバン先生への連絡を急いでちょうだい」

 いかにも気がかりな様子で幽閉室を何度も振り返りながらにそう頼んでくるレオナ達に対して、銀の髪の戦士は神妙な表情で頷いてみせる。主君や三賢者を差し置いて螺旋階段を急ぎ足で降りていくその態度に、レオナ達が彼がそのままアバンのいるマトリフの洞窟へと駆けつけることを疑ってもいなかった。

 が、レオナ達は知るよしも無かったが、その表情や態度とは裏腹に内心は全く逆だった。

 もちろん、ポップはこのまま素直にアバンやマトリフの所に行くつもりなんて欠片もない。
 ポップとしては、内心躍り上がりたい気分だった。

(へっへっへー、やったぜ、これでしばらく自由になれるっ!)

 どんな事情かは分からないが、自分とヒュンケルの精神が入れ替わった――最初こそ戸惑ったものの、それがどうやらアバンの仕業らしいと分かった途端、不安など綺麗さっぱりとなくなった。

 もちろん、ポップとてずっとこのままの状態でいたいとは思わない。が、確実に元に戻れることを約束されているのならば、少しばかりこの入れ替わりを楽しみたいという悪戯っけが湧き上がるのは止められなかった。

 階段を降りる足取りも、誇張抜きで軽い。
 それは気分的な問題もあるだろうが、単に体力的な部分も大きい。ヒュンケルの身体は、とにかく快適だった。ついさっきまでの体調が嘘のように、軽々と動くことが出来る。

 ここ数日、身体のだるさや倦怠感に悩まされていたポップにとっては、身体に全く気遣わなくてもいいと言う状況は実に爽快で、新鮮だった。
 絶好の体調でもこうは早く降りられないと言うほどの新記録ものの速度で階段を降りたポップは、とにかくまずは城から出るつもりだった。

(さぁーて、何をしてやろうかな? せっかくヒュンケルになったんだし、いつもなら出来ないこととかしてみたいよな。あ、この前行くはまだ早いって止められたカジノに行ってみようかな♪)

 などと浮かれていたポップは、前もろくろく見てはいなかった。

「きゃっ!?」

 身体にぶつかる、ごく軽くって柔らかい感触。ぶつかった反動で、相手の身体が弾かれる。

 いつものポップならば、その動きは見えたとしても何も出来なかっただろう。それに今ぐらいの勢いで誰かにぶつかったのなら、ポップの方も同じように弾かれて転んでいたに違いない。

 だが、ヒュンケルの身体は他人にぶつかられたぐらいではびくともしなかった。もし、これが全力でのタックルを喰らったとしてもびくともしないでは無いかと思えるぐらい、どっしりと安定しきっている。

 その上、軽く手を伸ばして相手を支えるのも簡単だった。片手だけで、ふらついた女の子を軽々と支えることのできた事実に驚きながら、ポップは謝る。

「おっと、大丈夫? わりぃ、ちゃんと前見てなくってさ」

 そう声をかけた途端、目の前にいる侍女が驚いたように大きく目を見張る。と、その頬が一気にぽっと赤く染まった。そして、その目が見る見るうちに潤み、うっとりとした表情が彼女の顔に浮かぶ。

「え?」

 あまりにも急激な表情の変化に、ポップは戸惑わずにはいられない。と、彼女は頬を紅潮させたままひどく嬉しげに話しかけてきた。

「い、いいえっ、とんでもない! それよりも助けて頂いてありがとうございます、あなたのおかげで転ばずにすみましたわ。
 それにしてもすごいですね、あんな勢いでぶつかったのに、こんなに軽々と支えて下さるなんて……」

 ひどく感心した様子で、女性から頼もしそうに見上げられる――個人差はあるだろうが、男としてこれ以上いい気分になれることはない。
 しかも相手はなかなかの美女だ。城に仕える侍女ともなれば、一定の容貌も求められるものだから外見がいいのも当然と言えば当然なのだが。

 ただ容姿が際立っているばかりでは無く、立ち居振る舞いも洗練されており、スタイルだっていい。そんな女性にうっとりと見つめられながら、腕にすがりつかれたともなれば、ポップが舞い上がるのも無理もないだろう。

「へ? で、へへ、そうかな〜。とにかく、怪我がなくってよかったよ。どっか、痛いところとかない?」

 鼻の下を伸ばしつつそう尋ねたのは、八割方は親切心から出た言葉だった。もし、女の子がどこか怪我をしたのならば即座に治してあげようと思う気持ちだってあった。

 ――そのついでに、ちょっとばかり彼女にタッチできるかな〜と言う期待めいた下心があったのは、決して否定できないが。

 もし、ポップが声をかけたのがマァムだったのなら、その下心を見抜いて怒ってビンタの一つでもかましてきただろう。しかし、侍女はそう言われて、これ以上ないと言うほど嬉しそうに微笑んだ。

「まあ、ヒュンケル様にご心配いただけるだなんて……!」

(……あ、そうだった)

 すっかりと忘れていた現実を突きつけられて、膨らんだ気分が一気に萎む。今の彼女の反応が、自分に対してでは無くヒュンケルに向けられたものだと思うと、ひどく拍子抜けというか肩すかしの気分だ。

 しかし、そんなポップの内心のがっかり間も知らず、侍女は目をキラキラと輝かせながら積極的に話しかけてくる。

「今日はなんだか、いつもと感じが違いますのね」

「そ、そうかな?」

 ぎくりとしてそう答えつつも、そりゃそうだろうと、ポップは頭の片隅で妙に冷静に考える。何せ、中身はポップなのだ。

「ええ、そうですわ。いつものクールなヒュンケル様ももちろん素敵ですけど、なんだか今日はとても親しみやすい感じがしますわ」

 さすがに女性は鋭いと言うべきか、何も分かっていないはずなのに的確にヒュンケルとポップの差を感じ取っているらしい。

「あ、あの……ヒュンケル様、もしよろしければ今日のお礼をさせてはいただけないでしょうか? 勤務が終わってから、お時間をいただけないでしょうか?」

 単なるお礼を告げるにしては、あまりにも熱のこもりまくったその言葉に、潤んだ目で自分を見上げる態度。
 侍女らしからぬ大胆な態度に、ポップは些か怯むというか、どうしていいか分からずに混乱すら感じてしまう。

「え、えっと〜」

 この女性が、自分――と言うか、ヒュンケルに好意を抱いている……それは、一目瞭然だ。だが、それに対してどうふるまえばいいのか、ポップは戸惑わずにはいられない。

 ――と言うか、ポップに対してこんな態度をとった侍女など今まで一人としていなかった。

 彼女達の名誉のために言うのであれば、もちろん侍女達は十分な尊敬を持ってポップに接している。自分よりも年下であっても、仕える相手に対しては十分な敬意を払うのは使用人の鉄則だ。

 とは言え、庶民出身で侍女や侍従にも気安く話しかけるポップに対しては、年齢が近い相手ほど釣られて親しく話しかけてくれることが多い。結果として話しやすい相手として好感がもたれ、人気があることは確かだ。

 が、それはあくまでも『親しみやすい相手』と思われているのであって、男性として意識されているということではない。

 と言うか、そんな気配は皆無だ。
 思えば、以前別の侍女にぶつかった時だって、ぶつかって頬を染められるどころか、

『あらあら、ポップ様。元気なのもよろしいですが、お気をつけて下さいね。あなたが怪我でもしたら、姫様も勇者様も心配なさいますわ』

 などと言われて助け起こされたりしていたのだから、どう見たって男性としては眼中に無い……と言うよりも、まるっきりの弟扱いとでも言うべきか。

 それはそれで男として屈辱的な気がして、余り嬉しくは無かったのだが、かといってこんな風に女性から積極的に迫られるのも落ち着かないものだと、ポップは初めて思い知った。

(ど、どうすればいいんだっ、この人っ!? っていうか、おれにはマァムがっ、いや、まだ返事は聞いてないから、いいっていやいいような気もしないでもない……って、後でバレたら半殺しじゃすまねえよな、絶対っ!

 ああっ、でも、今、おれ、ヒュンケルだったんだッ、だったらマァムは関係ないじゃん! いや待てよ、ここでおれが頷いたって、おれじゃなくってヒュンケルがモテてるだけだよな、それってなーんか面白くねえしよ〜)

 戦いの場では即座に最善の思考を取ることが出来る2代目大魔道士だが、恋愛スキルや恋愛脳に関してはそこら辺にいる、年齢=彼女いない歴の男子と大差はなかった。

 一人であたふたしまくっている銀の髪の戦士に、侍女は脈ありと見たのかぐっと身体を乗り出してくる。となれば、必然的に二人の距離は接近するわけで――。

(ぐわっ、か、顔、近いっ!? っていうか、胸ッ、胸が当たりかけてるよっ、腕にっ!!)

「お願いします、ヒュンケル様……! ほんの少しの時間でも構いませんから――」

 甘く、ねだるような声音に、ポップがほとんど陥落しかかったその時のことだった。

「あー、せっかくのラブシーンを邪魔するような野暮な真似はしたくないんすけどね、こっちも勤務中なものでね。悪いがおネエちゃん、そのお誘いは勤務時間外にやってくれないですかね?」

 からかい気味の渋い声を聞いて、侍女は顔を赤らめてパッと離れる。

「ご、ごめんなさい、ヒュンケル様。それでは、また……」

 まだ名残惜しげながらも、自分もまた勤務中だと言うことを思い出したのか、そそくさと逃げるように去っていく。

 それを見送りつつ、ポップはホッとしていいものか、がっかりしていいものか、迷わずにはいられなかった。そんなポップに対して、苦笑気味に話しかけてきたのは知った顔だった。

「やれやれ、珍しいですね、隊長が口説かれるような隙を見せるなんて」

 そう声をかけてきたのは、中年の兵士だった。
 近衛兵の制服を多少着崩して着ているその男には、近衛隊の副隊長だ。ポップにとって個人的に親しい相手とは言えないが、ヒュンケルの補佐役として活躍していると聞いたことがある。

「いや、珍しいなんて言っちゃかえって失礼ってもんですか。
 なんせ、隊長を意中に定めている女の子なんざ、ゴロゴロいますからねえ。さしずめ、日常茶飯事ってところですかね」

 冷やかすようなその言葉に、ポップはもう少しで声に出して叫ぶところだった。

(なにぃいいいいいっ!? こんなのが日常なのかよっ、あいつはっ!! いっつもいっつも、女になんか興味ありませんって顔でスカしているくせにっ!)

 あまりの羨ましさに、ポップは怒り噴騰だった。
 しかし、幸か不幸か、いつも怒ったような仏頂面をしている不幸戦士を見慣れている人間にとっては、ヒュンケルの怒り顔など珍しい物ではない。故に副長は気にした様子もなく、普通に話しかけてきた。

「ところで、ちょっとお聞きしたいんですが……大魔道士様のお具合はどうですかい?」

「ん? ああ、それならもう大丈夫だよ」

 至って気楽に、ポップは適当に答える。
 正確に言えば、精神が入れ替わった現状を鑑みても、また単にポップの体調的な意味合いでもまだ大丈夫とは言い切れない気もするのだが。

 だが、実情を知らない上に、生真面目な隊長に信頼を置く副長は、その返事で納得したらしい。 

「そうですかい、それはよかった! では、隊長、いつものようにあいつらにも教えてやってくださいや」

「へ? いつものように、って?」

 ポップにしてみれば、そう言われるのが一番困る。
 だいたい、ポップはヒュンケルがいつもどんな仕事をしているのかさえ知らない。

(そういや、あいつ、いったいどんな仕事してるんだ? なんか、いっつもいっつもおれんとこに来て文句ばっか言ってる気がするんだけど)

 などと考え出したポップにお構いなく、副長は一方的に腕を引っ張って歩き出す。

「お願いしますよ、あいつら、すっかり落ち込んじまっていましてね。まあ、隊長のお気持ちも分からないでもないですがね……、どうかお心を広く持って、お手柔らかに頼みますよ」

「?」

 苦笑交じりの副長の言葉は、ポップにはさっぱり意味不明だ。しかし、問い返すような間もないまま副長に連れて行かれたのは、兵士の詰め所だった。

 その部屋に入った途端、室内にいた十数名の兵士達が一斉にこちらを見る。
部屋に漂う緊張感と、妙に切実なその視線の鋭さにポップは思わずたじろいだ。

(な、なんだぁ!? 人が寝ている間に、なにか事件でもあったのか!?)

 兵士の詰め所と言えば物々しいが、実際にはあまり使われていない場所だ。緊急時に対策本部を設置するための場所なので、普段はあまり活用されていない。

 そこに大勢が集まっているだけでも物々しいが、その上にやけに空気がピリピリしている。兵士達が揃いも揃って深刻な表情をしているせいで、久しく忘れていた大戦時の空気を思い出す。

 魔王でも再来したのかと思える程の緊張感に、ポップも知らず知らずのうちに身構えてしまう。
 と、そんなポップめがけて兵士達はさっと集まって、口々に質問をぶつけ出した。

「隊長! 大魔道士様は!?」

「まさか、ポップ様に何かあったのですか!?」

「はあ?」

 予想外の質問に、ポップは唖然としてしまう。だが、その沈黙さえ追い詰められた表情の兵士達は、悲痛な知らせの前兆ととらえたらしい。

「隊長っ!? な、なんですぐに答えてくださらないんですかっ!?」

「まさか……っ、まさか――嘘だと言って下さいッ、隊長っ!!」

 などと、勝手に不吉な予想に突っ走って盛り上がる兵士達を見て、ポップはとりあえず慌てて否定する。

「いや、それ、誤解だっ。お……いや、ポップなら大丈夫だから、心配は要らないって」

 そう言ったポップの口調は言い間違いもあるし、どう聞いてもヒュンケルらしくない口調だと我ながら思ったが、幸いにも兵士達はそんな細かい部分まで気を回せる状態では無かった。

「ほ、本当でありますか!?」

「ああ、本当だっつーの、だから、そんなに気にするなって」

 それはポップの本心からの言葉だったが、兵士はとんでもないとばかりに首を横に振る。

「いえ、そうはいきませんっ。こんなことになったのも、自分がちゃんと大魔道士様をお守りできなかったからです! もし……もし、あの時、ちゃんとオレが気がついて部屋まで送っていたのなら、大事にはいたらかったはずなのに……!」

 心の底から後悔しているように、そう打ち明ける兵士の顔には見覚えがあった。

(あ、そういや、こいつ、あの時の兵士か?)

 ポップの自室につうじる回廊には昼夜を問わず見張りの兵士が交代で立っているが、この兵士は確かポップが倒れた日の当番兵だったはずだ。

『ポップ様、顔色が優れないように見えるのですが……大丈夫ですか?』

 心配そうにそう声をかけてくれたことを、覚えている。
 だが、その心配を平気だと笑い飛ばし、付き添いを断って一人で階段をのぼったのは他ならぬポップ自身だ。その結果調子が悪くなったとしても、言わば自業自得と言うものだ。

 が、兵士達は全くそうは思っていない様子だった。

「よせよ、おまえだけじゃない……オレだって、もっと早く朝、起こしに行くべきだったんだ。そうすれば、もっと早く発見できたのに……っ」

 今にも泣きそうな顔で、そんな告白をしている兵士もいる。

「それを言うのなら、オレこそ――! もっと、大魔道士様の見張りに細心の注意を払うべきだったんです!!」

 誰もが口々に後悔を口にしつつ、今後の見張りへの決意を新たにしている。
 ヒュンケルに鍛えられているうちに、ヒュンケルの後ろ向きさと嫌な方向へのポップへの保護者意識が移ったとしか思えない兵士達が量産されていることに、ポップはくらりと目眩じみた物を感じる。

「いや……そこまで気にしなくても」

 ポップにしてみれば、年がら年中むさい男に見張られ続けるだなんてそれこそ願い下げである。だいたい、か弱いお姫様か何かじゃあるまいし、いちいちそこまで心配される点からして納得いかないのだが。

 しかし、ぽろっとそう言った途端、兵士達は揃いも揃ってとんでもないとばかりにわめき立てた。

「隊長、何を仰るんですか!?」

「そうですよ、隊長こそが一番心配なさっていたじゃないですか!」

「えー? ヒュン……じゃなくって、おれが?」

 とても信じられなくて、ついそう聞き返してしまったポップの迂闊さに、兵士達は誰も気づかなかった。誰もがこれ以上ない程の力を込めて、やたらと熱心に訴えかける。

「そうですとも! 正直、大魔道士様が倒れたと報告した時の隊長を見た時、失礼ながらぶっ殺されるかと思いましたっ!」

「ええ、オレもです! 魔王軍との戦いの時、怪物と出会った時より怖かったですよ!! てっきり、あの日こそが命日になるかと死を覚悟すらしましたっ」

 聞きようによってはなかなか失礼な言葉を口走っている兵士達に、ポップは思わず絶句してしまったが、後ろの方からクックと低く笑う声が聞こえてきた。

「まあ、それも無理もありませんけどね。
 だいたい、隊長は誤解されやすいんですよ。心配なさっている時ほど、怒っているように見えるんですから」

 フォローになっているのかなっていないのか分からない言葉だったが、それを聞いてポップは思い出した。

 今回、目覚めた時にヒュンケルはいつになく怒っていた。元々、ポップが体調を崩した後はやけに不機嫌な時が多いのだが、今回はいつもより一段と酷かった。

 それを、ポップは手間をかけさせた自分への怒りだと解釈していたのだが――。

 思わず、考え込んだポップはそのまま黙り込んでしまったが、隊長が無言のままでいるのは近衛隊では珍しいことでは無いらしい。副長が手慣れた様子で、兵士達にまとめの言葉を投げかける。

「さっ、とにかくこれでおまえ達も安心しただろう? さあ、散った、散った。非番の者はちゃんと休んでおけよ! 
 待機班の連中は、他の連中にもこのことをちゃんと伝えといてくれや」

「「了解ですっ!」」

 その場にいた兵士達が、さっと敬礼のポーズを揃えて声を唱和させる。この上ないやる気と士気の高さが窺えるが、それはポップにとっては全然ありがたい物ではなかった。

(……おれの見張りとかは適当でいいって、まじで)

 ポップとしては心の底からそう思うのだが、さすがにこの空気の中でそれを口にはできやしない。ダイのように全く周囲の空気を気にしないタイプと違い、ポップはこれでも空気は読む方だと自負しているのだから。

 ほとんど呆然として兵士達が詰め所から出て行くのを見送っていたポップに、またも声をかけてきたのは副長だった。

「ところで隊長、彼らならば中庭の修練場にいますぜ」

「か、彼らって?」

 何やら嫌な予感と共に、それでも聞き返したポップに対して、副長は片方の眉を大きくあげてみせる。どうやら、それは呆れを表現した表情のようだった。

「やれやれ、今日の隊長は本当にどこかおかしいですね。
 彼らって言えば決まっているじゃないですか、隊長のお仲間達……勇者ご一行の面々ですよ」              《続く》

 

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