2  とってもできた怪物、ブラスじいちゃん

 

 ダイの育ての親、ブラスは鬼面道士。
 しわだらけの丸っこい体に背丈よりも長い杖を持つ鬼面道士は、なんとなく日本の妖怪のユーモラスさを漂わせる魔道士系の怪物だ。

 ゲーム版DQ3に登場する怪物だが、はっきり言って敵に回せばかなり厄介な相手だ。
体力はさほどでもないものの、なにより精神混乱呪文を惜しげもなく連発して味方を同士討ちに追い込む。

 それも、混乱させた隙に攻撃すると言うのならばともかく、この怪物ときたら戦うどころかこちらが同士討ちしているのを楽しむように、何度も精神混乱呪文をかけてくるのだっ!

 ゲーム中、味方を攻撃し誤って殺してしまったと言う経験を持つ者も少なくはないはず。筆者も何度パーティを全滅されたことか……いや、それはどうでもよいが。

 だが、魔王の邪悪な意思から解放されたブラスは、そんな性格の悪い怪物ではない。島に流れ着いてきた人間の子供を自分の子供か孫のように大切に育ててきた、優しい怪物なのだ。

 ダイと言う名も、赤ん坊の入っていた揺籠に名前のプレートが壊れていて名が分らなかったたため、かろうじて残っていた頭文字のDからダイと名付け、立派な人間となるように愛情を注いで育ててきた。

 考えてみれば、人間のいない島にいたにもかかわらずダイが人間の言葉や一応の常識を身につけていたのも、このブラスの教育の成果に他ならない。……まあ、ダイがほとんど字を読めないのはブラスの教育の成果なのか、ダイの勉強嫌いのせいなのかは悩むところだが…。

 将来ダイを親元に帰すとか、人間の世界に帰すつもりがあったかどうかは定かではないが、ダイが旅に出る時に特に止めなかったところを見ればある程度覚悟はしていたのかもしれない。

 それに魔王が復活した時、ブラスを初めとした怪物が邪悪な意思に操られ狂った際、必死で気持ちを制御してダイを島から逃がそうとしていた。
 まったく、怪物にしておくにはもったいないほど、できた人(?)なのである。

 魔王を倒し自分達を助けてくれた勇者を尊敬するあまりダイを立派な魔法使いにして、将来は勇者さまの役に立ってほしいと願っていたが、親の思惑とは大きく外れて育つのが子供というもの。

 小さな頃から勇者の素晴らしさを聞かされ続けていたせいかダイはむしろ勇者に憧れを持ち、その願い通り勇者になったのだから、世の中分かんないものだ。

 ダイ自身が『じいちゃんは怒ってばかりだったけど、たまにはすごく優しくしてくれた』と語るように、島にいた頃はブラスはダイをぽかすか殴って叱っているエピソードばかりが目立つが、ブラスは本心からダイを可愛がっているし、ダイもブラスを実の親のように慕っている。

 ダイは自分が怪物ではないか、と悩む時まで自分の親や出生について知りたいと思いもしなかったのも、親代わりのブラスに満足していた証拠。普段は親バカだとか、叱ってばかりいると文句が言えるのも、かえってそれだけ遠慮のない仲だっていうこと。

 子は親の鏡と言うが、正義感も強く真面目で人の良いブラスの性格がダイに与えた影響も大きいはず。

 島から一歩でも外に出れば魔王の邪悪な意思に操られ魔物と化してしまうブラスは、ほとんどデルムリン島から動かずひたすらダイの無事を祈っている。基本的にダイの帰りを待っているので目立った活躍はないが、たま〜に思い出したように話に登場していた。

 ちなみに、○ャンプで行われた人気投票では、第一回目15位、第二回目21位…結構地味な順位だったりする。

 
 

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