4  最初は普通の子だったレオナ姫

  

 長い栗色の髪がチャーミングなレオナは、パプニカ王国の正式な王位継承権を持つお姫さま。
 しかし、彼女は可愛い顔に似合わず思ったことはなんでもズケズケ言うし、育ちが特殊なせいかまったく遠慮がない子だ。

 レオナは、ダイとは二つ違いで14歳。
 神官系の王家に生まれた彼女は賢者の卵として修行を受けるのも王女をして国を継ぐのにも反発することなく、地の神との契約の儀式のためにデルムリン島に来て、ダイと知り合った。

 しかし、会ったそうそう『…やっだぁ〜っ! こぉ〜んなチビなのおっ?! カッコ悪〜いっ!!』と大笑いしてるわ、チビくんと呼ぶわ、言いたい放題に言っている。
 その毒舌には性格温厚なダイでさえ、あいつ性格悪そう…と思ってしまう程に遠慮のない女の子だったのだが、彼女はただワガママなだけの子じゃない。

 魔法ができないことを落ち込むダイに国宝の聖なるナイフを気軽にぽんと譲って励ましたり、魔のサソリの毒のせいで死にかけた時も責任を感じるダイを励ましている。

 言いたいことは言うけれど根は優しく、身分にこだわらずに接してくれる人を好む――初登場時のレオナは、ちょっと風変わりなところのあるがそれでも普通の女の子に過ぎなかったのだ。

 後に魔王軍の進行が始まった時に打倒魔王軍のリーダーとして活躍する統率力や聡明さは、この時はさっぱり見られない。

 だいたいこの時は三賢者の付き添いもなく、密かに姫の暗殺を企む司教のテムジン&賢者のバロン、それに彼等の部下が7人も混ざった兵士達と一緒にデルムリン島に来たのだから呆れたもんだ。

 しかも、こいつらは魔のサソリやキラーマシーンなんていう目立つ怪物や道具を船につめこんできたはずなのに、誰も気付いていやしないっ!

 魔物はまだ魔法の筒に閉じ込めていたから分からなくても無理がないが、キラーマシーンの方はもろに船に積んであった……。
 どうして、誰も気付かなかったんだぁっ?!

 ……この頃はまだ父であるパプニカ王も生きていたはずだが、よく可愛い一人娘をこんな怪しげな連中と一緒に旅にだしたものである。
 それに、あれだけはっきり物を言うレオナなら嫌なことは嫌、と拒否しそうなものだが。

 しかしレオナは好奇心が強いので、デルムリン島に旅に出れるという目先の目的に喜んで少々の怪しさに気付かなかった可能性もある。もしくは初期のレオナには、人を見る目がなかったという可能性も考えられるが(笑)

 なんだかんだ言って、レオナは王女として大切に育てられた箱入り娘のお姫さま……しかも、この頃はまだ魔王復活前の平和な時で危機感なんて誰も持っていなかったはず。その上、彼女はわずか14歳、周囲の悪意を感じきれなくても決して悪いとは言い切れない。

 レオナが魔王軍と戦うために世界中の王達を集めた強さを持ったのは、この事件がきっかけかもしれないし。

 だが、ダイはパプニカ王女として人を導く彼女よりも、気が強くてさっぱりしている普通の女の子レオナが気に入ったらしい。
 同時にレオナも、怪物とでも仲良しになれちゃう上にいざという時に頼りになるダイが気に入り、二人は再会を約束をして、しばしの別れを告げることになる。

 その後、魔物に囚われたお姫さまとそれを助けた勇者として再会をはたす二人だが――まあ、それは後の話になるので、ここでは触れないでおこう。

 
 

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