12 何が彼女を変えたのか? 王女レオナの華麗なる再登場!

  

 ダイと別れ、パプニカに戻ったレオナ――。だが、魔王軍の突然の侵攻によって、二人の再会はかなり違ったものになってしまう。

 魔王軍との戦いで父を亡くしたレオナは、好む好まざるとは関係なくたった一人生き残った王家の者としてパプニカの人々を導かなくてはならない立場になったわけだ。若干14歳の少女としてはなかなかハードな運命だが、レオナはそれに見事に答えた。

 生き残りの人々を集め魔王軍に対抗するために力を蓄える彼女の統率力と、人間であることを誇りとさえ思わせる気高さは兵士達の心を一つにし団結力を高めている。

 環境の激変がかえって彼女を成長させたらしく、その姿には初登場時に見せたワガママさなんかはかけらも見えない。
 惚れ惚れするほどあっぱれな指導者振りだ。

 フレイザードに捕らえられ『勇者の助けを待つ不幸な姫君』として、ダイと再会した彼女だが、レオナはただ助けを待つだけのお姫さまとは一味違う。レオナは他国にまでその名が鳴り響いた、勇猛で知られる気丈な娘だ。

 実際、彼女はダイ以上にリーダーシップに優れていて、魔王軍と戦う決意に燃えている割には具体的な方法を思い付けないダイに変わって次々と手を打ち、魔王軍打倒のため人材の収集を行ったほどの統率力、実行力の持ち主だ。

 世界を救うこと――みんなの中で一番それを強く意識しているのは、実はレオナかもしれない。

 ダイやポップ達が世界のためというよりは身近な人を助けるために戦い始めたのとは逆に、レオナはまず国を救うために戦い始めたようなものだ。そして、その視点の大きさが世界の王達を束ね、人類全体として魔王軍と戦うという発想に結び付いたに違いない。
 

 ダイ達なら自分達の力だけで戦おうとしただろうが、人を動かすことに慣れているレオナの発想はまるで違っている。
 広く世界に呼びかけ人材を集め、さらに魔王軍に対する勇者がいると一般の人に知らせることで希望を持たせ、対魔王軍への勢力を高める。

 もちろん彼女が一国の王女であること、おそらく王族として指導者に相応しい教育を受けていたことも考えれば不自然な思考ではないが、それでもそのスケールの大きさ、それを実現させる政治的手腕はすごいの一言に尽きる。

 レオナの魅力は、大局的に物を判断し個人的感情を押さえてもするべきことを果たす責任感の強さにある。
 だからこそ、彼女の指揮にみんなが従えるのだ。

 しかし、いかに統率力に長け指導者の素質があるといっても、レオナはまだ少女。
 気丈な彼女も、時折、その年頃に相応しい少女らしさを垣間見せる。
 ダイと再会した時、以前よりはるかに成長した彼の姿を見て、安堵のあまり涙を浮かべた可愛らしさは実に初々しかった。

 ダイが記憶を失った時も、戦力の低下よりも思い出が失われたことを嘆くレオナは、まさに普通の女の子だった。
 本当は国を動かすよりも、ダイやみんなと普通の女の子として一緒に行動する方が好きなようだ。

 再会したダイが言ったように、みんなをまとめなければならない立場にいるレオナよりも、城を抜け出してダイ達と一緒に旅をしていた時の彼女の方が生き生きとしている。
 レオナ自身も指揮者であるよりも、ポップやマァムと同じようにダイの仲間でありたいと思う気持ちの方が強い。

 フローラの登場によって指揮者の責務から解放された彼女は、王女としてではなく5人目のアバンの使途として、気分もあらたに最後の戦いに望んだ。
 国とそこに住む人々のためではなく、自分の大切な人のために戦うことを決意したレオナ。

 パプニカの姫としてのレオナも好きだが、アバンの使徒の一人、賢者レオナとしての活躍ぶりはもっと気に入っている。……まあ、実戦力としてはあまり活躍しなかったが(笑)
 
 

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