13 役に立たない三賢者! ちょっと不安なパプニカの明日!

  

 パプニカの象徴である、太陽、風、海。
 その三つのシンボルを司り、姫を守るために常に側に控えているのが、パプニカ三賢者だ。賢者と聞くとつい年寄りを連想するが、三賢者はぐっとお若い。

 太陽のシンボルを持つリーダー格のアポロ、海のシンボルを持つマリンはそろって20歳。
 風のシンボルを持つエイミが18歳と、実に若い連中ぞろいだ。

 ま、勇者からして子供のこの世界のこと、若くても実力さえあれば何の問題もないのだが……彼等の実力に関しては、いまいち疑問がある。

 賢者と言うからには魔法使いの魔法と僧侶の魔法の両方を使いこなせ、しかも僧侶以上の体力、腕力を持っているはずなのだが――彼らはどう見てもそれ程の使い手とは思えない。

 まず、攻撃に魔法を使っている点。エイミ以外は武装もしていない点を考えると、どうも肉体的訓練を受けていない可能性がある。それでも魔法での攻撃力に長けていれば問題はないわけだが、アポロが使った魔法はメラゾーマ、マリンが使った呪文はヒャダイン……これでは当時、三流魔法使いだったポップとさして変わりがない。

 防御力はフバーハなど高度な防御魔法を使ってみせたところを見ると、この三賢者、なにより姫の身の安全を守ることを考え、守備系の能力を買われて集まったのかもしれない。
 いつから姫を守っているのかは定かでないが、レオナがデルムリン島を訪れた時にいなかったことを考えるとその後の可能性が高いだろう。

 テムジン達に命を狙われた事件を考慮し、姫の身の安全を優先させるために選んだと考えれば、この攻撃手段の低さも納得いく。短い期間で人を集めたため、思ったより若い三人になってしまったことも頷ける。

 戦士などと違い、魔法使いや賢者などは年を重ねれば重ねるほど力がついてゆくから、実力不足でもまだ若い三人の将来性に期待していたのかもしれない。三人とも真面目で姫に対しての忠誠心に溢れていて、しかもマリン、エイミは姉妹でもありチームワークは抜群だ。

 アポロは攻防のバランスが一番取れていて、マリンは防御、回復系、エイミは攻撃系の方が得意というデータはある。だが、その割にはマリンが顔に傷を負った時、それをきれいさっぱりと直したのは賢者の卵のレオナだった。

 バダックさんの話によれば三賢者はレオナよりは攻撃魔法が使えるらしいが、しかし、それにしても回復魔法で年下の、しかも守るべき対象の姫に負けているというのは情け無さすぎるっ!

 また、三賢者は移動に気球船を使っているところを見ると、瞬間移動呪文や飛翔呪文は使えないらしい。人口50人足らずしかいないテラン王国にさえ、瞬間移動呪文の使い手がいると言うのに……。

 ……人格的には申し分なくても、本当に実力的には問題はありありだ。
 彼らもそれを自覚していて一度は三賢者の資格を返上してダイ達の旅に加わり、腕を磨き直そうとまでしたぐらいだがら向上心はある。

 しかし、向上心だけですぐレベルアップできるほど世の中甘くはない。
 それにパプニカを守る使命やレオナの指示に従って世界中と連絡を取り合うなど、けっこう雑用も多い三人は修行する時間があるかどうかも疑わしい。

 出番が多い割に、活躍したシーンの少ないのがこの三賢者の不幸な点。
 しかし、戦闘ではいっさい活躍していないものの終盤で恋愛方面で見せ場を作ったのが、エイミ。

 ヒュンケルに片思いをし、彼のために危険な最後の戦いにまで共にしたエイミは口実としては姫の身を守る護衛として付いていったはずだが、そんなことをすっかり忘れ果てヒュンケルしか目にはいっていやしない。

 恋に夢中になったエイミの分、密かに活躍してくれたのがアポロ達。気難しいロン・ベルクに頼み込んで、ダイ以外のみんなの分の武器を作ることも頼みこんだ。
 ……しかし、主人であるはずのレオナ姫用の武器を頼まなかったのが、どうも……。本当に肝心のところで、役にたっていないなぁ。
 
 

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