14 じーちゃんがんばれ! バダックさん、奮戦記

 

 レオナ姫のお付きの兵士の一人だったバダックは、自称『パプニカ一の剣豪』
 対ヒュンケル戦直後、傷付いたダイとポップを助けた気の良いじいさんで、短気だが義理人情に厚くなかなかひょーきんで楽しい人だ。

 昔からのレオナのお目つけ役で、彼女の性格をよく飲み込んでいる。活発で奔放なレオナには手を焼いていたらしい。
 現在58歳でまだまだ元気一杯、気だけは若いじーさんだが腕前の方はちょっと……。
 本当に本人の言うように、若い頃は剛剣でならしたかどうか、非常に疑わしいものだ。なにせ剣にかけては素人のポップでさえじいさんの実力を見切って、見張りばかり頼んでいたのだから。

 実際、バダックさんご自慢の『パプニカ一刀流』はリビングアーマー相手にからぶりするわ剣を折るわと、な〜んの役にも立たなかった。しかし、体質なのか根性があるのか、ザボエラのかけたザラキに耐えきるなど、なかなか踏ん張ったところを見せてくれる。

 バダックが役に立つのは、戦闘よりもむしろその合間――息抜きをしているような時に、さまざまな活躍を演じてくれるところが楽しい。

 発明が趣味で、武器や防具の修理などはお手の物。
 自称『パプニカの発明王』でもある彼は、対ヒュンケル戦後に壊れたダイの防具を新品同然に修理してくれたし、クロコダインの斧を修理したこともある。

 しかし、剣豪の方が限りなく疑わしいように、発明王の方にも疑問点は尽きない。
 確かにダイとクロコダインの防具、武器は修復したものの、壊れてしまった魔弾銃には手も足も出なかった。

 まあ、この世界には銃は普及しておらず、魔弾銃を作ったアバンにしても噂と書物だけで作ったオリジナルだからそれは直せなくてもしょうがないとしよう。

 対フレイザード戦の時は爆弾を作ったのだが、デザインが致命的にダサく、元来素直なダイやマァムでさえその威力に不安を抱いていた代物だった。でも、この爆弾は結局は本来の目的には使われなかったので、どのくらい威力があったのかは闇に包まれたまま終わってしまったが……。どなたかご存じの方がいたら、真相を伺いたいところだ。

 問題なのは、彼がチウのために作ってやったオリジナルの武器『ズタズタヌンチャク』名前もセンスがないが、外見もそれに輪をかけてセンスがないっ。
 ヌンチャクにところかまわずトゲトゲをつけたデザインで、相手よりも使用者の方が危険度が高そう……。

 それを手にとったチウはそのトゲトゲで怪我をしてしまっている。実戦でも使ったが、やはり使用者にもダメージが……。

 しかし、要は気持ち。
 たとえ役に立たず――足手まといになるだけだとしても――クロコダインやチウのような怪物にも偏見無く、正義の使徒として接するじいさんの存在は彼らにはありがたいはず。

 頼まれなくても世話を焼くお節介なところも、口ばっかりは達者で威勢のいいところもなんとなく憎めなくて、みんなの緊張を緩和し雰囲気を和らげてくれる。
 その上、ザボエラとの最終戦では沈むクロコダインをさりげなく励ますところなど、伊達に年は食っていない奥深さを感じさせる。

 また、アポロ達と一緒にロン・ベルクに地に頭をこすりつけて頼み込み、ポップ、マァム、ヒュンケル、クロコダインの武器を作ってもらったお陰で、一行の戦力はぐんとランクアップした。

 あの頑固なロン・ベルクをどうやってその気にさせたのかは定かじゃないが、間違いなくこれが彼一番の大手柄だ。
 さて、プロフィールによれば、娘夫婦と孫が一人いるはずのバダックさん――一度、ご家族そろったところを拝見してみたいものである。
 
 

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