16 驚異の的中率! 霊感少女、メルルちゃん

  

 黒く長い髪、黒目がちなひときわ印象的なメルルは、外見通り物静かで控え目な女の子。積極派が多い女の子達の中で、唯一消極的で『守ってあげたい』と思わせるようなか弱さが魅力的なコだ。

 テラン出身だが、祖母ナバラと一緒にあちこちを旅していた占い師で、年はポップと同じ15歳。

 魔物の存在を感じ取る力や優れた予知能力を持ちその力を使って魔王軍の戦いから逃れてきたが、少女らしい潔癖さから自分達だけ難を逃れる生き方に嫌気がさし、微力でもいいから人を助けようと決意した時にダイ達と出会う。

 竜の騎士であるダイに興味を惹かれたこともあるが、なによりポップに好意を抱き、それゆえに共に行動するようになる。
 後に彼女が最終決戦に志願して付いてきたのもポップがいたからこそだが、消極的な彼女の気持ちはポップに伝わらず、また、彼女もなかなか思いを打ち明け切れずにいる。


 それにポップにすでに想う娘が――マァムがいることも、彼女の悩みを深めるばかりだ。
 メルルはマァムに嫉妬心を感じないわけではないが、ポップが好きになるのに相応しい人だと認め…だからこそ彼女と競うことを考えもせず、一人、ひっそりとポップを見詰めている。

 万事控え目でおとなしい少女だが、その予知や感知能力の鋭さは、驚異的! なんと、的中率は100%だ。
 どちらの能力も実用性があるが、より役に立つのは感知能力の方だ。

 対バラン戦や鬼岩城の時は敵の勢力を早くから察知したおかげで敵がくる前に手を打つことができたし、目印もない迷いやすい森でも彼女の力を使えば容易く道を選べる。反面、感知能力の高さゆえにメルルは普通の人間には分からないことを感じ取り、恐怖を感じ苦悩することも多い。

 それでも彼女は健気に、自分の力をみんなの役にたてようと頑張っている。
 使う機会も多く、ある程度彼女の意思で使いこなすことのできる感知能力に比べれば、予知は意外と役に立たない。

 予知は直前にならなければ感じ取れようだし、彼女にもどんな状態で分かるか特定できない上、関知能力ほど確信も持てないようだ。

 今までメルルが感じた予知は3つ――バランに向かっていくポップの死と、床ごと抜けてしまう罠の存在、そして大魔王バーンの攻撃の予知だ。
 前の二つは気付いた時には手の内ようもなかったから、ほとんど寸前でなければ予知は感じ取れないのかもしれない。

 他にも、メルルは本業である占いもできる。ダイの剣を探す手掛かりも、彼女の占いによって見付けたものだ。
 しかし、占いはそれ一回っきりでお目にかかれないのが残念!

 普通の人とは違ったさまざまな力をもつ彼女はその力や逃げるように旅を続けてきた生い立ちのせいか引っ込み思案で、本人もそれを自覚し勇気のない自分の弱さにコンプレックスをもっている。

 だからこそ、ダイが怪物でも構わないと言い切れるポップに惹かれた。
 そして、ポップがどんな難関にも打ち勝つ勇気を持った男の子であることに気付き、密かに想いをかけてきたメルルは、大破邪呪文を完成できずにいるポップを狙ったザボエラの殺意を感知し、身を投げ出してポップを救った。

 だが、それと引き替えにメルルは猛毒に犯され、瀕死の重体に追い込まれてしまう。どたんばで発揮されたポップの魔法力によりなんとか命だけは取り止めたメルルは、最後の最後で驚異的な成長を見せる。

 高度なテレパシー能力と言うのか、メルルはポップの心と同化して彼の目を通して事態を察知し、呼びかける能力を身につけた。
 その能力だけでもたいしたものだが、世界が滅ぶ寸前と知っても怯まずに仲間達にそれを伝え、絶望に苦悩するポップを励ましたメルルは精神的にも成長したようだ。

 恋をすることによって、か弱い少女から芯の強さを持った少女へ変化したメルル――ひょっとすると、彼女が女の子達の中で一番成長したコなのかもしれない。
 
 

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