19 人呼んで北の勇者!ダイのライバル、ノヴァ登場!

 

 ノヴァは16歳ながら、リンガイア王国戦士団団長を勤める少年だ。
 北の勇者と呼ばれ、また自分でも世界最強の勇者だと信じている自信家だが、確かに自信を持つだけあってなかなかの力は持っている。

 独自の必殺技を持ちマヒャドまで使えるのだから、確かに実力はある。……しかし、彼の場合は力よりも性格の方に問題があるっ。

 そもそもみんなで船を建造するために造船所に行っているというのに、自分一人だけ違う所にいるのが間違っている。
 はっきり言って、ワガママだ。

 出会ったそうそうダイ達を見下した発言をし、それでも仲直りを申し出たダイの手を振り払って天井を闘気弾で打ち壊し自分一人で仲間を救うと豪語したあげく、瞬間移動呪文で飛んでいくとは、呆れてしまうを通り越してもう言うべき言葉もないぞっ!

 ノヴァの父、リンガイア王国将軍バウスンは、男手一つで育てたせいかわがままな子で……とフォローしているが、これはもうそんなレベルではない。

 自分や父がオーザム王国を救うため遠征していた時に故国を滅ぼされたノヴァは、自分さえ故国にいれば魔王軍から故国を守れたと信じ、どうもそのことで父親に逆恨みを抱いているのか父の言うことすらまともに聞かない有様だ。

 だが、そんなことはありえないっ。
 ヒュンケルが言った通り、リンガイアを滅ぼしたのは、魔王軍最強の男――バランだったのだから……。

 出会ったそうそうポップを初めとしてマァムやメルルまでの反感を買い、見捨てられそうになったノヴァ。

 だが、レオナの『彼は性格サイテーで、自己中心的でいかにもボンボンって感じだけど、それとこれは別よっ!!』という発言と、ダイのいたってのん気な発言によりみんなは彼の後を追った。

 一早くノヴァの元に辿り着いたのはダイとポップだったが、ダイに強烈なライバル心を抱くノヴァは一緒に戦おうというダイやポップの説得を聞きもせず、あくまで一人で戦う姿勢を貫く。

 その結果、本人も自分が勇者じゃないと納得できるほど惨敗してしまった。
 だが、ここで負けたことで、初めて彼は自分の自惚れに気付いたのだ。
 そう考えれば、敗北もいい勉強になったかもしれない。

 そして、初めての負けに落ち込んで一人で不幸に浸り切って落ち込んでいる時にマァムにキツい調子で責められたのは、きっともっとためになったはずだ。

 将軍の息子でまわりの者からもノヴァ様と呼ばれてきたノヴァは、今まで自分が特別な存在で周りの者とは違うという意識が多かれ少なかれあっただろう。
 だが、負けたことで自分が井の中の蛙だったことを悟り、マァムに遠慮なしに甘えを指摘されたノヴァは、それからは別人のように性格が丸くなった。

 素直に自分の実力不足を認め、勇者としてではなくダイ達を支援するグループに回るようになる。

 あれほどライバル視していたダイの特訓に付き合い、さっぱりしておおらかなダイとも自然に仲直りし、こだわりなくダイの実力を認めることができた。
 もともとのノヴァの性格は、悪いものではない。

 自分が傷を負った状態でも敵にやられそうな味方を――相手が気に入らないはずのダイとポップでも――力を振り絞って助けたぐらいだ。自己中心的な勇者思考と自分に酔い知れる自惚れ癖さえ直せば、ノヴァは実に頼りになる仲間だ。

 ただ、背伸びをするのを止めて自分のできることをしているノヴァが前より丸くなったのも確かだが、登場時の気負いをもった生意気なノヴァが個人的に好きだっただけに少々物足りない気もする。

 ポップやマァムと同じ歳ごろだし恋愛がらみのエピソードでも一踏ん張りするかと思ったが、それは見事に期待外れに終わってしまった。

 最後の決戦ではロン・ベルクの治療役に徹したせいで、バーンパレスにさえ行けないで終わっているし(笑)
 まさしく彼は超新星――華々しく現れて、ひっそりと消える運命だったようだ。
 
 

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